礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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第20話 保ケン

男子更衣室。

 

 

………

 

 

 

「いっ礎からっあんな声が出るなんてなぁ…ふふふっ」

 

「もういいよ…その話は…」

 

治ったとはいえギプスと包帯は外せないので、着替えを瀬呂に手伝って貰っていた。

 

「っふっくっくっ……あ、あれが素か?もっと轟よりの性格してると思ってた」

 

「素って言うか…隠してるわけじゃないよ。全部本当の俺だ、テンションの高低の差っていうか…」

 

確かにシモンズや、家族の前だとあんな感じではある。単純な話、まだ見せていなかっただけだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「さっ!治ったんならもう帰りな」

 

「えっ?警察の聴取は?!」

 

「あっはっはっはっはっ!!おっお前と緑谷はぁっあっ明日聞くからいいっつって'ひぃーひぃ'たぜ…ブフッ!」

 

(なんてこった…何のために直したんだ…?)

これでは急いだ意味が無い、そう思った。

 

「へっ?!じゃ無理して治さなくてよかったんじゃ……!」

 

「「「「あっはっはっはっはっ!!」」」」

 

四人が一斉に笑う。

 

「あぁもう、ここは溜まり場じゃないんだ。服を着替えて安静にしときんさい!」

 

 

ふいに"服"という単語で思い出す。

 

 

「ちょちょちょ俺のコスチュームは…」

 

「ピーピーうるさいから更衣室に運んだよ!早く行きな!!下校時刻 何時だと思ってんだい?!」

 

皆揃ってと言うより四人は笑いっぱなしだったが…。無理矢理 部屋の外へと追い出された。

 

 

 

 

 

「はぁ…あんな奇声と醜態を晒すことになるなんて……」

 

「いいじゃん、壁が壊れたって感じで。なぁ?」

 

やっと笑い声が止まり、上鳴が俺の肩を組んで瀬呂に言う。

 

「くくくっ……まぁ新たな一面が見れたわな…くくっ」

 

(この笑い上戸めが……)

 

 

 

 

 

 

 

 

「礎くん…怪我はもう大丈夫?」

 

「脳みそヴィランにやられたって聞いて…」

 

「あぁもう平気、包帯やらは明日にでも外そうかな。緑谷は大怪我したそうだけど__二人は?というか四人か。怪我してない?」

 

「あっオレはヴィランに殴_..'上鳴っ'

 

'ん?あっそうか…'

 

「うん?」

 

二人が後ろへ半歩遠ざかり、背後に気配を感じた。

 

 

 

「礎っ…一緒に戦えなくて、ごめん!」

 

「私もっ途中で逃げt_「あーあーあー、よせよせよせ、謝んなって。約束を守ってくれたろ?それだけで十分だって」

 

「でも……!」

 

「敵の能力が予想以上だったのは俺の責任だ。仮に四人で戦ってても犠牲は避けらんなかったよ」

 

「「…………………」」

 

「hurm……相澤先生の援護に行く前に言ったこと思い出してくれ。俺から言えんのはそれくらいだ」

 

「……あっ!あれってそういう……!」

 

「じゃあ俺は着替えるから、瀬呂 ちょっと来てくれ」

 

「「えっ??」」

 

 

 

「呼んだ?つーか話、終わった?」

 

瀬呂と上鳴がこっちへやって来た。

 

「あぁ、着替えるからちょっと手を貸して欲しいんだ」

 

「お、わかっt「奇声は上げるなよ」ぶふふっ」

 

「…しばらく言われそうだな……もう二度と上げんからな。二人も早く家にかえらないと、親御さんが心配するぞ。じゃあな」

 

そう言って男子三人は行ってしまった。

 

 

 

「なんか…ズル…」

「というか礎はこうなる事予想してたね……はぁ…ズッル〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ようやく着替えが終わり、損傷したコスチュームを手に取る。案の定、右の掌の部分から中が見える。

 

「やっぱ、穴が…修理に出さないと。ほら」

 

「あ〜あ、こりゃ見事に穴が空いてる。スターク社製の一張羅っていくらすんだろうなぁ?」

 

「考えたくも無いよ…」

 

コスチュームを下ろして日本支社の連絡先を調べようと携帯を開いた。

 

「なぁマスクの中がチカチカ光ってるけど、どうなってんだ?これ」

 

「ん?それは初めてだな…貸して」

「はいよ」

 

携帯を置いて上鳴からマスクを受け取って、被る。すると

 

{スーツの損傷を確認}

{崩壊フェイズに移行しますか?}

{音声認識 Yes/No}

 

とディスプレイに表示されていた。

 

「礎 どうした?」

 

「崩壊フェイズに移行するかどうかって出てる。多分、ピーピーうるさかったのってコレのアラームだな」

 

黙り込んだ礎が気になり、瀬呂が話しかける。が聞いたことがない単語が口から出てきた。

 

「崩壊って…コスチュームがか?!どういう機能だよ!」

 

「いや……似たような言葉を見たことがあるんだ。確か…バクスタービルに見学に行った時だったか……」

 

…おそろしく長いホワイトボードに書いてあったような…思い出せない…なんだったか……

 

「マジか、バクスタービルっつったらF4じゃん。あのピチピチスーツの」

 

と上鳴が言葉で思い出した。

 

「……上鳴、ナイス。思い出した、音声認識"Yes"」

 

「ん??」

 

{崩壊フェイズに移行. .. ...成功}

{再生回帰開始}

 

「お?んだ?コスチュームがなんか…」

 

コスチュームの内側が胸から脚へと波打つように光り、右手の穴が塞がり始めた。

 

「マジか!スッゲェ!!」

 

「なぁお前がやったのか?!」

 

マスクを脱いで答える。

 

「いや、スーツの機能だろうな。崩壊フェイズってのはコスチューム(こいつ)を構成してる分子中にある不定分子を一度フラットな状態にして……」

 

「礎?」

 

「…元の形に修復する機能のことだったんだ。いや驚いた、F4のコスチュームって聞いてピンと来たんだ。電力はどこで賄ってんだ?一度コイツの機能を調べないと……」

 

無意識のうちに立ち上がって後ろに向き考えこむ礎。

 

「またわけわからん事を言い始めた…」

 

「また?……もう面倒だからほっとくか」

 

「そうだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーー援護支援の少し前ーー

 

 

「…わかった…そろそろどっちかが動くぞ、覚悟決めろ」

 

「「…………………」」

 

…二人共黙ってしまった…。見なくても、聞こえなくても、二人の思いを感じる。恐怖、緊張、義憤、などを俺より多く感じているだろう。

 

「(何を言えばいい…?)…なぁ、二人共」

 

「…なに?」

 

「…俺が思うに…高校入ってすぐに会敵なんて、まともな状況じゃない。でも、二人は俺と一緒に戦う事を決めた。」

 

顔を向けることはできない。その分ゆっくりと、出来るだけハッキリと喋る。

 

 

「……うん」

 

 

「何をもって"ヒーローなのか"なんて、俺にはわからない___でも向こうに一歩出て、例えどんな結果になっても___お前らは"俺のヒーロー"だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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