礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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第18話 胸懐で叫ぶ

黒い靄状のヴィランのワープで移動させられ、水難ゾーンに飛ばされた緑谷、峰田、蛙吹。緑谷の作戦で3人の協力により危機を乗り切り、中央広場の戦闘の一部始終見ていた。

 

 

 

「…ッスッゲェ…!なぁ!礎がやってくれたぜ!脳みそ野郎をぶっ飛ばしやがった!!」

 

「えぇ…あれが礎ちゃんの全力なのかしら?オールマイトみたいな威力だったわ」

 

確かに凄い威力だった。

 

オールマイトの全力の一撃を間近で見た自分にはわかる。彼の全力はそれに近いものを感じさせた。

 

「もしかしたら倒しちまったんじゃねーか!?」

 

「そう簡単にいくのかしら?オールマイトを倒す切り札なんでしょう」

 

だが、梅雨ちゃんの発言で思い返す。

 

"殺せる算段が整っているから連中はこんな無茶をしている"

 

あの大男がオールマイトを殺す切り札だとするなら、おそらくまだ___......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッゼッ…ッゼッ…ッゼッ……!」

 

…呼吸が乱れる。それに腕が痺れて…手を思ったように握れない。

 

'礎、立てるか?'

 

「…ッはい…!イレイザーヘッド…」

 

相澤先生が腰を屈め背中越しに、おそらく死柄木との間に入ってくれた。顔は見えなかったが、返事は出来た。

 

「…あのデカい奴は生きてんのか?」

 

「すいません…アイツは脳無っていうオールマイトを殺せる奴です。加減していられませんでした」

 

息が上がるが立ち上がり、少し先にいる死柄木を見据えつつ、手に入れた情報を共有する。

 

 

「(…ならまだ…)…わかった。脳無はまた戻って来るかもしれん、油断はするな。アイツは触れた箇所を崩壊させる"個性"だ。まだ戦えるか?」

 

痛々しく筋肉を覗かせる右肘を抑えながら、死柄木の危険性を教えてくれた。さっきまで見えなかったが、俺達が来るほんの少し前に負ったのだろう。

(……もう少し早く来れれば…!)

そう頭の中を後悔が巡るが、それは後だ。

 

「…脳無から受けたエネルギー、殆ど使い切りました。でもまだ人間一人くらいなら吹き飛ばせます。それと…アイツはリーダーの死柄木です」

 

「よし、後方を頼む」

 

短く簡潔に文字通り()()()な指示を与え、相澤先生は前へ行く。おそらく手負いの自分と相手の力量を鑑みた采配だろう。

 

死柄木は……呆然と立ち尽くしている。よく見ると首を掻き毟っているようで、カリカリと微かに耳に届く。

 

 

 

…どうでもいい。そう思い、イレイザーヘッドの背中を見て半歩ずつ前へと足を運ぶ。援護を頼まれた、失敗は出来ない。

 

少し目を離し、倒壊ゾーンを見る。脳無は再び此処へ来るかもしれないが、少なくとも衝撃音はする筈だ。"油断はしない"そのつもりだった。

 

だから___......

 

 

 

 

 

 

 

 

先生の後ろに黒い靄が掛かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

見間違えだと感じた。だってアイツは13号先生が。

 

 

 

 

 

 

 

黒い靄の中から真新しい傷のある手が見え、古傷が残る折れた骨の突き出た腕が出てきた。

 

 

「せッッッッッッッッ!!!!」

 

声を張り上げると同時に手を奴の腕に向k__ッドッ!

[斥力]放出???

 

「ッ?!ッなんで?!」

 

残った全てを使い、打った。確かに当たった筈なのに奴の腕はピクリとも動かなかった。

 

相澤先生の身体が、くの字に曲がり、殴り飛ばされた。やはり、脳無が黒い幽霊の奴に送られて来たのだろう。

 

「ぁあ゛ぁあ゛ぁああぁッッ!!」

 

脳無に向かって叫び、鈍い身体を引きずり走る。

 

奴の背中は傷が少ないのに、他は骨が折れ不自然に肉が隆起している。のに、自然に立って死柄木の方を眺めている。

 

(なんで動ける!先生の個性は効いていた筈。(先生!)黒い幽霊の奴?知るか。(救けないと!)逃げるか?(ダメだ!!))

 

脳無の死角に走る。が、奴は体を捻り拳を放った。

 

(……ぁ…………)

 

 

瞬間。脳無の肘から先が霞のように消え、俺は受けきれないと悟った。

 

「__ッンッグッッッ!!!」ッドッン!!

 

瞬時に爪先で右後ろに跳んだ。なんとか寸前で避け脳無の腕が足元ギリギリに落ちる。地響きと共に地面が割れバランスを崩した。

 

「〜〜ッッッ!!!」

 

(ッダメだ!先生 担いで逃げる!3人揃ったら勝てない!時間稼ぎも無理!逃げる。回避。回h___ッ○*#▽!!!

 

体制を直し、そのまま相澤先生の元へ走ろうとすると奇妙な音と共に、気味の悪い“ナニか”が迫る___脳無の口の中だと気付いた。

 

「ッッフッ!!ッグッッ!!!」

[運動エネルギー]吸収

 

個性を発動させ、咄嗟に間合いを詰め右手で上顎を左手で脳無の肩を抑えた。再び脳無の動きを止m「ッッイ゛ィッッ…!」

 

捉え切れなかった力が顎に伝わり、礎の手に岩のような歯が刺さる。

 

(ッ喰われる!!嫌だ!!手がっ!痛いッ!!)

 

大き過ぎるエネルギーを吸収・放出した影響で消耗し、礎は本来の力を発揮出来ずにいた。

 

そのせいで脳無の全身は錆びた機械のように少しずつだが、目の前の相手を破壊せんと動いていた。

 

 

 

「……ッハッ!!ハハハハハッ!!あの程度で倒せると思ったか!?脳無はオールマイトの100%にも耐えられるように改造された超高性能サンドバッグ人間さ」

 

死柄木の言葉が耳に届く、なら背中がほぼ無傷だった事の説明がつく。が、もう元どおりになった脳無の腕は___

 

「イレイザーヘッドとの一撃は正直、いい線いってた。けど…超再生の個性もあるから無意味だったな」

 

(ッ!!そうか…ッなら___......)

 

 

 

振り返って向こうへ歩く死柄木。その際に放った言葉には、相手を完全に見下した悪意しかなかった。

 

 

 

………

 

 

 

 

ガキ一人を抑えた脳無を背に死柄木は一人ブツブツと考えていた。

 

「どういう個性なんだ…脳無をあんなに止めれるガキがいるなんてなぁ…脳無みたいに()()持ってんのかな…。でも結局、劣化版みたいだったからどうでもいいか…」

 

イレイザーヘッドの時のように観察していた個性を考察する。

 

死柄木 弔(シガラキ トムラ)

 

「遅い、黒霧」

 

「申し訳ありません、脳無が飛んで行ったのが見えて…其方に行ってからここに来たので遅れました。」

 

「で、13号はやったのか?」

 

「行動不能には出来たものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名 逃げられました。」

 

「………は?」

 

「はーー…はあーーーー」ッガリガリガリガリガリガリ……

 

 

黒霧の失態にイラつきながら、首元を両手で掻いていく。

 

「黒霧、お前…お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ……」

 

逃げた生徒は学校に行き、プロヒーローに救援を求めるだろう。〔ッグジュッッ〕

 

背後から微かに、肉を無理矢理 裂いたような音がする。

 

「流石に何十人ものプロ相手では敵わない。ゲームオーバーだ、あーあ…()()()ゲームオーバーだ」〔_ッバッギッ!…ッぁあ゛ぁ゛ッッ!!……〕

 

 

 

ガクリと首を折り、わざとらしく項垂れる。が、背後のガキの痛みに呻く声が実に心地良い。

 

 

 

「…はぁ…まぁ、いいや……()()()()()()()()()()()()()すればオールマイトはどんな顔するかなァ…」

 

手型のマスクの後ろで頬を歪ませ、ゆっくりと脳無の方見t___「"黙れ"」ッッッドッッ!!ッッザザ………

 

 

 

 

 

 

「……はぁ?」

 

やけにハッキリと聞こえた声に反応し、後ろを見た。そこには僅かに土埃を上げ脳無が口から血の泡を出し、倒れていた。

 

よく観察すれば痙攣している事にも気づけただろう。それよりもあのガキが()()()()()()()という疑問が頭を埋めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死柄木の言葉と奴が背後を向いて歩き始めたのを横目に見て、僅かだが冷静さを取り戻した。

 

(この怪力ッとッ超再生?!ざっけんなよっ!(逃げろ!!)なんで出てきた俺!!)

 

「〜〜ッッ!!…フー…!フー…!フー…!ー……」

 

食いしばった歯の間から息が漏れる。心臓の鼓動が早く、激しく鳴り耳を覆う。吸収を解いたその時、待っている確実な"死"、それを正しく認識している。

 

(このクソッタレが!!まだ!まだ出来_ッズギンッ…「ッッギッ……」

 

 

右手に痛みが走る。

 

 

「〜〜ッッ!!ッハッハッ…!…ッハッッハッ……」

 

 

自分の吐く息が耳を覆う、もう時間が無い。

 

(まだ、やれることは()()…!…でも……!……あぁ…もぅ……こんな気持ちだったのか緑谷……)

 

……

 

目を閉じ……覚悟を決めた。_ッグジュッッ…「〜〜ッッ!!」

 

脳無の歯が右手を手袋ごと貫き、礎の肉を削った。最新式のハイテク機器だったそれは電気が漏れ、バチバチと音を立てた。

 

それに伴い、脳無の顎が下がって此方を向いた。長い舌を覗かせる口には何の感情も感じられない。

 

同時に鈍重だった脳無の動きが僅かに滑らかになる。当然____ッバッギッ……「ッぁあ゛ぁ゛ッッ!!……」

 

脳無を抑えていた左腕から気持ちの悪い音がする。"折れた"と直感的に分かったが脳が言葉にする前にそれ以上の痛みが頭を満たした。

 

(…ィィイ゛ッデェェ!!!)

 

ギシギシと奥歯が鳴る。が、耳には届いているのに感じるのは痛み。ただそれだけだ。

 

(…もう少し…ッ!)

 

……

 

'ーーー…………オールマイト……ーー'

 

「……ッッ!!」

 

向こうのヴィランの口から出たその言葉だけが、なぜか礎の耳を突いた。

 

 

 

(お前がッ…!)

 

 

 

(お前らがッ……!!)

 

 

 

 

「(…その名を軽々しく呼ぶなッッ)_"黙れ"」__ィィイィィンッッッ!!ッドッッ!!!

[振動エネルギー]放出

 

反射的に出た言葉を種火に耳を劈くような瀑声が、脳無の口内に鳴り響く。

 

当然、己を抑えていた力が無くなり脳無は目の前の目標を破壊せんと動いた。__ッゴリュッッ!「ゥッッギッッ……!」

 

折れた左腕が更に曲がり、神経を直接削られるような痛みが走る。

 

だが、脳無は口内で起こった強力な振動によって頭から後ろに吹き飛ばされた。

 

右手に刺さっていた脳無の歯が痛みと共に抜け、その時、礎の()()()()()()()()()……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ?!ありえない…脳無がっ……!」

 

黒霧が驚きの声を上げ、死柄木の近くに寄る。しかし当の本人はガリガリと首を掻き、倒れた脳無を見据えていた。

 

 

「…立て、脳無!………おい……!」

 

血を吹き、ピクピクと僅かに痙攣する脳無。命令通りに立ち上がろうとするが、上手く身体が動かない。

 

「〜〜ッッ!…テメェ……ッ?!………ハッ…」

 

脳無にダメージを与えた相手を睨む。が、目に入った途端に目を細め、冷静さを取り戻す。

 

またガリガリと首を掻き始め、あのガキの個性について考える。

 

 

ガリガリガリガリガリッ……

 

 

音が、止まった。

 

 

 

「…あぁ…そういうことか…何となく分かってきた…脳無のショック吸収とは違う…それに、攻撃を反射するって感じ じゃあない」

 

先程とその前の攻撃は全て、攻撃を受けてから行われた。反射だとするなら攻撃までのスパンはもっと短いだろう。

 

「…てことはお前の個性はエネルギーの吸収と放出って感じかな…」

 

(…何か喋ってる……コイツも劇場型か…)

 

「お前…()()()()()()()()()()()?…ハハッ凄い凄いっ……一体、どんだけの種類を吸収できんだぁ?…でも最初っからやらなかったのは___....そうなるからだろ?」

 

(……は……ぁ…?…これ地面か……)

 

力を出し尽くし、うつ伏せに倒れた相手を見る。そいつは此処からでも見て分かるほどに、胸の辺りが伸縮を繰り返していた。

 

(よく聞こえない……体が……動けない……)

 

「…なるほどなぁ……威力上限だか回数制限だかで、体力を消耗するのか…その顔の無いマスクは、それを悟らせない為につけてんのか?……お前今、汗ダラダラだろ」

 

死柄木の言う通り、礎の体と服を繋ぐように汗が流れていた。

 

……

 

「…ーて脳無」__ッズシャリッ…!

 

(もう…立ち上がって来た……fuckだ……全力で打ったつもりなのに…まだ自分の中に力が残ってる……)

 

辛うじで耳に届いた言葉には一番聴きたくない名前が入っていた、同時に地面を通して足音がした。…それに加え、自分が限界を迎えたことが分かってしまった。

 

(…アイツの…!内臓を振動させて、体ん中グチャグチャにしてやったのに……あぁ……月の王様だったら、雄英高校ごと吹き飛ばせただろうな…)

 

 

 

 

 

 

「……ーーッ!ーーーれッ……!」「ーーー……ーっ……」

 

 

 

 

 

 

…もう敵の言葉が痛みと疲労によって、耳に届かない。自分を罵っているのか、勝ち誇っているのかしているのだろう。

 

(こんな風に膝着くのっていつぶりだ…?碌に相手も見ずに、地面ばかり___あぁ、そうか…)

 

 

〈もう終わりか?イシズエ!?勝てない相手に──屈するのか?!〉

 

C.H(ハモンド)にいた時は、トレーニングで毎日毎日シゴかれていた…。あの時は一触れも許さない程にキャプテンは強かった。

 

 

(なんで今こんな事思い出してんだ…?)

 

 

〈…いいか?もし君が___倒れて、力尽きそうな時それでも尚、守りたい事があるなら___この言葉を思い出すんだ。_____......〉

 

 

 

 

 

 

 

……………

………

 

 

 

 

 

 

「ッ!!!」ジャリッ……

 

(思い出した。()()()()()!)

 

うつ伏せの状態から肘と血塗れの手を支点に身体を起こす。

 

 

 

 

(ッッ!!…そうだよキャプテンッ!貴方なら、キャプテン・アメリカなら!!勝つまで立ち上がんだよ!!!)___ザッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…死柄木弔。あの生徒が__...」

 

「あぁ?」

 

黒霧に促され後ろを振り向いた。そこには息が上がり、肩を上下させ、それでも握った手から血を流し、片腕が折れていても、胸まで拳を上げて立ち上がった奴がいた。

 

「…ハハハッおいおい、言ったろうがッッ!お前は脳無の劣化版!勝てやしねぇって!」

 

(…ンなこと言ってたのかヴィラン…。でもなぁ……)

 

 

 

「…ァ…キ………ィ…」

 

「あ?」

 

ボソボソと途切れ途切れに喋る脳無の劣化版、だが次はそれがハッキリと聞こえた。

 

「……I can do this all day(まだやれるぞ)……!」

 

 

…その異国の言葉が死柄木の何かに触れた。

 

「………脳無ッ!あのクソガキを殺せ!!」

 

口から僅かに残った血を垂らし、腕を振り上げ向かって走ってくる。やけに意識がハッキリとして脳無の動きが遅く見える。

 

(…ここまでか…俺は___「ッッ礎くん!!!」

 

緑谷がこちらに___いや、脳無に向かって走って来た。

 

(…緑谷ッ!?何w_「ッSMASH!!!」

 

此方まで吹き飛ばされそうになる衝撃音と共に緑谷の拳が脳無の腹を突いた。

 

「礎ちゃん!!」

(誰だy__ッグンッ!

 

腹を絞める力を感じ、後ろに引っ張られた。

 

……

 

風圧が発生するほどの威力。前までは発動するとボロボロになっていた腕が個性を使用したのに折れていない。

 

こんな時に力の調整が成功し、上手く拳が当たった。なのに。

 

脳無はワン・フォー・オールの一撃を受けても平然としていた。

 

(効いてない…!?)

 

これがオールマイト殺しの―――切り札。

 

自分が放った腕を、黒い、黒い腕が掴m__ッバァンッッ!!!

 

ドアが破られる音と共に、修羅の如き顔でしかし誰もが安心する姿で"彼が"現れた。

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

自分で自分に腹がたつ。

 

 

 

平和の象徴。

 

希望の光。

 

(ヴィラン)発生の抑制源。

 

そう呼ばれその声に応えるために全てを護ろうと、救けようとしたのに。

 

現場には間に合わず、後輩達は傷つき生徒達は恐怖の表情に染まっていた。

 

 

 

「……嫌な予感がしてね。校長のお話を振り切ってやってきたよ」

 

己の怒りを噛み殺し生徒達を安心させるために優しく、真剣に話す。生徒達に自分自身への憤りを知られてはいけない。

 

「来る途中、飯田少年とすれ違って、…何が起きているか、あらまし聞いた」

 

 

「もう大丈夫――私が来た!」

 

 

 

……

 

 

 

大きな音が、USJの入り口の大扉から聞こえる。俺は長く油の差されていないブリキのように、ぎこちなくオールマイトの方を向いた。

 

「…オールマイト(平和の象徴)……!来てくれた…!!」

 

 

 

 

オールマイトは、珍しく激怒したような顔でネクタイを引きちぎった。と、ここまでは見えていた。

 

気づいたら峰田も入れ、4人とも倒れた相澤先生の辺りに連れて来られていた。

 

 

 

「礎少年ッ…!……よく!頑張った!!」

 

「…ハハッ…オールマイトッ!来るって!わかってました…!!」

 

背中越しに親指を立てて、俺なんかの戦いを讃えてくれた。同時に緊張が切れて涙が出そうになるのを抑え、相澤先生と俺が手に入れた情報を伝える。

 

「……ゼェ…ハァ…!…オールマイト…脳みそ剥き出しの敵。奴は強い衝撃の吸収と…相当な回復力持ちです。手だらけの方は触れた箇所を…崩壊させます…」

 

「ッ!あぁ!!ありがとう!!!」

 

オールマイトがくれば、この場はもう大丈夫。

 

(あぁ…しまった……黒霧って奴の事伝えんの忘れてた…俺は…アンタに少しでも報えただろうか……)

 

俺は、重たくなる瞼に従い目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




礎 遷形をCHARATでイメージ化しました。挿絵の「礎 遷形 キャラクターイメージ」です。
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