礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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第2話 キャンプ・ハモンド第5訓練所

学校の最寄駅から電車で15分、キャンプ・ハモンド第5訓練所(通称C.H)はある。

第1訓練所はコネチカット州スタンフォードに設立された。

 

超常黎明期後、ヒーローが台頭し始めてから暫くして政府の意向によって、アメリカ全州にヒーローの支部を置くフィフティ・ステイト・イニシアティブ計画が実行された。

 

これにより、多くの個性が目覚めた者にスーパーヒーローとなるチャンスが与えられアメリカの超人社会の先駆けとなった。

 

キャンプ・ハモンドはそんなヒーロー候補生たちのアメリカ初の訓練施設で、全50州にひとつずつ建てられた。

 

但し、職業としてヒーローが認められ、ほぼ全ての学校にヒーロー科ができた現在では資格習得したてのヒーローが訓練する場所としての面が強い。

 

取得していない、ましてや10代前半の俺なんて個性を使った訓練なんて出来ない。

 

よってここのコーチを兼任しているプロのヒーローに格闘術、(ヴィラン)の傾向と対策などを教わることぐらいだ。

 

とは言えヒーローを目指す者は多く毎年受講希望者が殺到する、が「高校生からでいい」、「子供の内に(ヴィラン)を教える事は酷では」と言った声から敷居は高い。

 

学校との両立、受講態度、体力、学力、etc……等々多くを見られる。よって受講人数は少ないが得られるものも多い。

 

が、個性の前に格闘術など意味が無いと拗ね、批判する幼稚な輩も若干増えている傾向にある。

 

 

 

 

この駅から家が近いシモンズと別れ、訓練所の受付へ向かった。

 

「パークスさんこんにちは。」

 

「やぁ Mr.イシズエ。今日は3時からだったな。」

 

受付に会員証を見せ、予定の確認を行う。

 

「今日は近接格闘術と基礎体力訓練の訓練だ。」

 

「わかった、ありがと。それとさ進路先決まったよ。」

 

「おぉ!良かったな、コーチにも話しておけよ。」

 

「もちろん、じゃあ行ってくる。バーイ。」

 

パークスさんは軽く手を振り、挨拶を返した。

 

 

 

 

 

 

 

訓練が終わり、時間は午後6時。

 

コーチに話しかけられた。

 

「センケイ、この後時間あるか?」

 

「ありますよ。何か?」

 

「いや、良かったら私の自宅で君の"個性"を少し見たいと思ってね。進学先が決まったお祝いだよ。」

 

マジか!断る理由なんてない。

 

「是非!よろしくお願いします!!」

 

 

 

コーチ宅

 

俺の個性は「変換」だ。自分の中心から約半径40cm範囲のあらゆるエネルギーを吸収し、任意のエネルギーに変えて放出できる。

ただ放出する際、そのエネルギーが範囲内にないと放出できない。

 

シモンズには「チート野郎」などと言われたが勿論、弱点もある。

 

「相変わらずこんな個性ですけど…どうです?」

 

「改めて実に強力な個性だ。攻防一体、両方に使える。しかし、変換する際には触れていないとダメなのか…hurm..人は生きているだけで多くのエネルギーを受けているから不便ははないだろう。」

 

「ただ戦闘の状況によって利便性を求めるならコスチュームにエネルギーの種火となる装置が必要になる。」

 

「あぁそれならコスチュームのアイデアスケッチに描いてみました、後1年以上は外で着れないでしょうけど。」

 

「今は持ってる?」

 

「?えぇ、でも貴方ほど絵は上手くないですよ。」

 

「いいんだ。見せて。」

 

カバンからスケッチブックを取り出してページを開いた状態で渡した。

 

「フルフェイスマスクにグレーのチェスターコート?下は普通のスーツでさっきの装置は手首に付けて操作するのか。」

 

「個性を使えば結構な速度で移動できるんですが目を守らないといけないんで。どうです?」

 

「大昔に似た格好した(ヴィラン)と戦ったことがあるよ。コートはロングで白だったかな。」

 

「すいません…」

 

「いいさ。デザインの良し悪しはともかく、装置を手首に付けるは良い。だとしても改善点はいくつかあるだろう。」

 

「それは勿論…」

 

「これ、少しの間借りてもいいかい?」

 

彼はスケッチブックを閉じて言った。

 

「フフッ イラストのブラッシュアップですか?有り難いです。」

 

自嘲気味に答えた。

 

「いや、()()()作りの天才にいくらか心当たりがあるから僕から作ってもらうよう頼んでみるよ」

 

……数秒意味を考えた。スーツ、天才、心当たり、ヒーロー、赤と金、黒豹……

 

「……すか。」

 

「ん?」

 

「本当ですかっっ!!」

 

「わっ!ほっ本当だよ、教え子の一張羅なんだから」

 

耳を抑えながら答えた。

 

ヤバい。今、絶対顔がにやけてる。頬の筋肉が溶けてスムージーみたいになってるのがわかる。

 

「Mr.イシズエ」

 

「………」

 

「Mr.イシズエッ!」

 

「あぁすいません。ちょっと興奮して。」

 

「hurm..君ならわかっていると思うが"個性"に頼りすぎると痛い目見ることになる。気をつけたまえ。」

 

興奮して俺を諌めるように言った。

 

「それから……_______」

 

 

 

 

 

 

個性についての話が終わった頃には日が暮れてもう2時間は経っていた。

 

「今日はありがとうございました。」

 

「すまないね、夜中になってしまった。」

 

「いえ、貴重なアドバイスを頂けたので十分です。」

 

「そうか。」

 

彼は微笑んで返した。

 

「じゃあまた訓練所で、コーチ。」

 

「あぁ。でもここはC.H(ハモンド)じゃないぞ。」

 

それはそうだ、じゃあ……

「おやすみなさい、Mr.ロジャース。」

 

「お休み。」

 




主人公の"個性"のイメージを画像一覧にアップしました。
「個性発動イメージ」のGIFです。
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