礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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第17話 反撃

 

 

 

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ーー死柄木が動くより少し前ーー

 

 

カンッカンッカンッカンッカンッ……

 

階段を駆け上がりつつ、風を放出させながら作戦を話していた。

 

「俺が聞いた限りじゃ強いのは、手だらけのリーダー死柄木と脳みそ剥き出しの脳無!この2人はさっきのチンピラ達とは別格!オールマイトを殺せるってのは脳無だ!!」

 

「その2人の個性はわかったの?!」

 

「いや。相当に脅したけど答えなかった!と言うより答えられなかったんだ。アイツらは出来立ての急造チームみたいで、そこまでの信頼関係はない!」

 

「じゃあその2人を倒せばいいのーー?!」

 

理解が早い。芦戸は切羽詰まってくると目覚めるタイプらしい。が、

 

「いや、俺たちには倒せない!」

「「えっ?!」」

 

「考えてもみろ。オールマイトを殺せるか、最低でも抑える事ができる奴だ!逆立ちしても倒せない、だからそれ以外で勝つ作戦を立てた!」

 

「さっきからゴーゴー風吹かせてるのと関係あるんー!?」

 

「勿論ー!!このまま行けば"暴風・嵐ゾーン"の近くに出る!そこで一度止まるぞ!!」

 

丁度、階段を登り切り風を止めた。中央広場でイレイザーヘッドが戦っているのが見え、咄嗟に隠れる。よく見ると襲撃直後よりも彼の動きが鈍くなっている、数は暴力だ。

 

「相澤先生…!」

 

芦戸が唇を噛みながら言う、麗日も心配そうだ。

 

…周りにいるチンピラ共は5〜6人ってところか。死柄木と脳無はまだ突っ立ったままだ、疲弊した所を狙う気だろう。

 

「よし…作戦だが、ターゲットは脳無1人に絞る。アイツは危険過ぎるし死柄木を狙ってもあいつはリーダーだ、脳無は全力で守るだろう」

 

コートを脱ぎ、イレイザーヘッドの戦闘から目を離さずに喋る。

 

「まず俺が脳無をゼロ距離で抑える、仮にオールマイト並の力でも全力の一撃を出すにはある程度の間合いがいるからな。それでも多分、数十秒も持たない。だからなるべく短期決戦で決めれたらベストだ」

 

「だからさっき溜めてたエネルギーを……」

 

「そうだ、残りは移動用と()()を作る用だ。それで空になる。二人の役目は___......

 

 

 

 

 

 

___......どうだ?いけそうか?」

 

「うん!」「できる!!」

 

役割を話した、それでも危険な事には変わりは無い。が、二人は大きな返事をしてくれた。

 

「よし…辛いかもしれんが、少し向こう見ててくれ。異常が起きたら報告を」

 

そう言って二人に中央広場を偵察させ、俺は黒い幽霊の奴を探した。

 

(……ッ!…いたッ出入り口のところ!なら13号と他の皆が抑えてる可能性が高い。こっちに来られたら厄介だ)

 

「礎くん!残りの弱い(ヴィラン)あと4人!」

 

バッと音がする程の勢いで中央広場に目をやる。

 

「…わかった…そろそろどっちかが動くぞ、覚悟決めろ」

 

「「…………………」」

 

 

 

 

 

 

 

…二人共黙ってしまった…。見なくても、聞こえなくても、二人の思いを感じる。恐怖、緊張、義憤、などを俺より多く感じているだろう。

 

 

 

(何を言えばいい…?………)「なぁ、二人共___......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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__ッドッ!ッガ!!

 

イレイザーヘッドの背後に跳び込み、脳無の攻撃を止める事に成功した。が、

 

(…コイツ…!腕を軽く振っただけでこの威力っ!…バケモンがっ!!)

 

相手との絶望的なまでの戦力差に青ざめる。だが、吸収はしているのに脳無が動くエネルギーを感じない。

 

「脳無!何やってる!!とっとと全員殺せ!!」

 

「ッ!!!〜〜ッッ!!!」

 

死柄木の命令と同時に脳無の筋肉が引き締まり、強大な力が働く。たが俺の個性によって動けない。

 

同じくそれを合図に、残り少ないザコ(ヴィラン)2人はそいつらに向かい走った。

 

「ガキ共が!調子こいてんじゃねぇぞ!!」

 

「ッ!!」

 

イレイザーヘッドが捕縛武器を構える。が、「先生は個性を休めてください!」

「おいっ…!」

 

止める間も無く芦戸が前に出て酸を噴出させる、だが派手な攻撃ゆえに避けられてしまった。

 

「ンなモンが当たr__ッガァン!!

 

「なっ?!」

 

敵が避けた隙を狙い、麗日がボタンを全て開けたコートの下に隠し持っていたドッチボール大の岩が頭部に直撃し、相手の意識を奪った。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー「まず、麗日はこれを着ててくれ」

 

そう言って彼女には少し大きいコートを渡す。

 

「えっ!?なんで?」

 

「相澤先生が相手にしてる奴らが減れば死柄木達は動く。そのタイミングを見計らって俺があの岩を割る、したら麗日はその破片___そうだな、ドッチボール位の大きさの岩を軽くしてコートの下に隠しておいてくれ。お前さんが戦う時は武器が必要になる」

 

「うん!わかった!!」ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

(さっきの衝撃音は岩を割ってコイツを作るために…)

相澤は死柄木を注視しつつも生徒の戦いを見ていた。

 

 

 

 

「っおい、脳無!何やってる!!」

 

機能停止したかの様に動かない脳無に苛つき、命令を飛ばす死柄木。

 

「ッンン…!!ギッ…!」

 

先程以上の力、百万個の万力のような力を感じとる。それに伴い、礎は口から呻きの声を上げる。

 

「ッ礎!お前ッ___「ッッまダッ!いけま゛ず!!」

 

イレイザーヘッドの声が聞こえ、なんとか返事は返した。とは言ってもかなりギリギリだ。

 

 

 

残り1人となったザコ敵が走る。

 

「テメェ!よくッ?!モッ?!!」

 

一瞬の隙を突いて出来た芦戸の弱めの溶解液に足を取られ後ろに転んだ。

 

「クソッ!ンだよっこn_ッガン!

 

即座に上半身を起こすチンピラ。たがその隙を逃さず、麗日は岩を投げ仕留めた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー「芦戸は酸で陽動、隙を見て麗日が岩を投げろ。手加減はいらん、精々が脳震盪ってとこだ」

 

「了解!」ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

麗日は敵を仕留め、間を置かずに後ろを振り返り、礎を見る。

 

「礎くん!!」

 

「だのむ!麗日!!」

 

それに応え、脳無に触れようとする麗日を見て、死柄木は走り出す。

 

「させると思ってんのか、ガキが…!」

 

「ッ先ッ「わかってるッ!!」

 

芦戸が名を呼ぶ前にほんの僅かな間だったが、個性を休めたイレイザーヘッドが跳び出した。死柄木と二人の間に入り捕縛武器を使って間合いを取りつつ戦う。

 

「〜ッッ!ッイレイザ〜〜……!!」

 

FLOAT!

 

その間に麗日が脳無に触れた。同時に吸収で止まった奴の身体を腕で思い切り押し、虚空に飛ばした。

 

奴は抑えられていた力が無くなり、腕を振るう。風圧を巻き起こす程のパワーを見せるが空気を掴むように空振りしかできない。その上、体が回り天地が無くなった。

 

「…ッゼッ…ッハァ……芦戸!麗日!行け!!絶対!振り返るな!!!」

 

「うん!!」「わかった!!」

 

重力を消された芦戸が麗日を背負い、ここに来る時に作っていた溶解液の道に腰を屈めた。

 

「しっかり掴まっててね!麗日!」

 

「うん!」ッドンッ「ッうゥ!」

[斥力]放出

麗日の背中を弾き、二人は滑走する。ここで彼女らの役割は終わりだ。

 

…ッ!身体が重い…四方から毛布で押されてるみてぇだ…!その上、息が苦しい。俺は力無く仰向け倒れた。

 

(頼むからこれで……!)

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おい……!何やってる、脳無…!」

 

死柄木はプロヒーローに止められ、戦っていた。が、子ども2人が離脱した時。イレイザーヘッドと距離を置いての浮かぶ脳無を見た、その時。「ッ!ィレイザーヘッドッッ!!!」

 

両の掌を脳無に向け、寝転がるマスクのガキが叫ぶ。ふざけた体勢だと思った瞬間、イレイザーヘッドが自分と更に距離を空けた。何故かガキの方には行かずに。

 

 

 

 

 

 

 

(どんな個性を持っていようが、計り知れん力を持っていようが、これなら関係ねぇ…!)

十指全てが反発し合い、指に鈍い痛みが走る。

 

「ッッ()()()()()をっ!!!」

 

(ッ!そういう事かっ……!)

 

相澤は礎が視界に入らないよう、右目を手で隠し、脳無だけを刺すように()()

 

「…Take THAT motherfuc_ッッズッッッ!!ォォオォォゥン!!!

最大[斥力]放出

 

脳無の身体が歪み腕や脚の骨が無くなったように揺れ、ほぼ同時に視界から消えて、倒壊ゾーン目掛けて飛ばされた。

 

ッドォォッンッッッ!!

 

数棟分のコンクリートを砕く音がこちらに届いた。

 

反動で腕が軋み、肩が地にめり込みそうだ。寝転がらなければ身体ごと吹き飛ばされていただろう。それでもなんとか距離は稼げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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