礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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Part2です。よろしくお願いします。





第11話 対人戦闘訓練 後半 Part 2

「おいおい、礎がスッゲーよ!!何話してんのかわっかんねーけど、轟を嵌めやがった!!さすが、入試一位だ!!」

 

「不確定要素があっても、十分に機能する作戦をあの短時間で立てたのですか…!」

 

「アイツの個性って結局なんなんだ?チームメイトの氷は溶かしてんのに、最初の攻撃は水すら出てないぜ。」

 

「知んねーよ。前、切島といた時は"使い方のひとつだ"つって教えてくんねーんだよ。」

 

礎を話題にして口を開く面々。

 

(個性は聞いていた通りだ。だが戦略に関して言えば習っていたとしても、応用力が必須となる。それを瞬時に…キャプテン・アメリカ…貴方も良い弟子をお持ちになりましたね…)

 

口には出さなかったがオールマイトも又、彼を心の中で話題にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尾白の奇襲が成功し、轟を部屋の西側に飛ばした。

 

「ョシッ!尾白 ナイス!後は俺が…」

 

「いや大丈夫!このまま二人で__....」

 

(2対1か…なら..まずはこっちだッ)轟が右手を床につけた。

 

パキパキパキッ!

 

床伝いに尾白へ氷が延びていく。

 

(床から離れれば届かない!)ダンッ!

 

尾白が飛び氷を回避しt___ズォッ!!

 

「冷たっ!えっ?なっ何で!?」

 

尾白が飛んだ近くの北側の壁から氷が延び、今度は尾白の胴体を氷が覆った。と同時に俺は轟に向かい走った。

 

(あんな事もできるのか…!)

 

「ごめんっ!礎ッ!」

 

「大丈夫!!」

 

(壁と床に注意しつつ中距離で攻めるっ!)

 

カチッカチッ!

 

指を操作して起動させた。親指と人差し指の電磁石に電気が通り、互いに反発する力を感じる。

 

(アイツが来る!だがこの距離ならまだッ)

 

轟に手をかざし狙いを定め___ドッ!!

[斥力]放出

轟を西の壁まで突き飛ばした。

 

「ッ?!がっ!」

 

(なんだ?!いきなり__!!)

 

(壁に押し続け、宙吊りにすれば氷も出せんだろう。これd___ズァッ!!

 

「ッなっ?!」

 

いきなり氷が床から飛び出した、思わず放出を解除し防御にうつる。

[運動エネルギー]吸収

バキンッ!バキバキッ!!

 

氷は止まり、その勢いのまま途中で砕けた。

 

(ッ!どうやって氷を?手と脚は何処にも触れていなかった…背中から?となると轟の全身を浮かせるか。…マズイな、屋内じゃ分が悪過ぎる…屋外(そと)に放り出すか?)

 

(ッ!?アイツの攻撃が止まったッ)ッダン!!

 

ッズァッ!!

 

天上、南側の壁、床から同時に氷が迫る。

 

「ッャバ!!」__ッダン!!

[運動エネルギー]放出

咄嗟に後ろに跳んだ。

 

ッバッッギン!!!

3方向から伸びた氷同士がぶつかり合った。衝突音が部屋に響き、氷壁が出来上がる。

 

(ここまでとは…力の底が見えない。攻撃と防御が()()()()()()()()()…!)ッブル!

 

スーツにもヒーターは付いてる…だとしても流石に寒い…低温を吸収してたら後手に回るし…これでは尾白も凍傷になりかねん。

 

轟さえ抑えれば…何か方法は…?…ッ!小型無線機!

 

'葉隠!聞こえるか?'

 

'聞こえるよー!何?'

 

'コート着たままでいい、確保テープの準備を。轟を()()()()()()()!'

 

'えっ?ちょっと!'

 

 

 

(なんとか分断できた…礎っつったか。全部はわからねぇが、取り敢えずアイツは弾く攻撃と防御は同時にはできねぇ。なら攻撃した時がチャンスだ。

動きをよく見て一気に凍らせる…!

広くなっているとはいえ、部屋は部屋。それ程、距離がある訳でもねぇ。そんで核に触れさえすれば…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っだー!!惜しい!分断されちまったぞ。」

 

「奇襲したとはいえ、轟に地の利があるのは変わんねーか。やっぱ推薦入学者はつえーなぁ。」

 

「尾白さんを捕らえられたのは痛いですわね。数の利が無くなってしまいましたわ。」

 

「なんで礎君は尾白君の氷溶かさんのやろ。2対1の方がえぇのに。」

 

「いつ攻撃がくるかわからないからじゃない?お茶子ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フー……」

息を整えた、葉隠頼んだぞ。…これが最後だ。

(先ずは左右の氷からッ!)

[斥力]放出

 

パキンッ!

(来た!)

バキバキッ!ズドンッッ…!

 

左右の氷壁の下に亀裂が入って崩れていく。

 

(どちらか来るか悟らせない気か。)

 

ガシャンッ!

 

(ッ!窓?!)

 

南側の壁にあった窓ガラスが割れる。

 

(なら左から攻撃→突き飛ばして外へか、なr__ピシィッ!ッズッッドン!!!

 

「!?なっっ!??くっ!!」

 

真ん中に細く残っていた氷壁が轟の右側に向かって飛んできた、咄嗟に体を時計回りに捻って避ける。

 

ダッッ!!!

[運動エネルギー]放出

(理由は知らないが、左側を氷の鎧(そんなの)で覆ってちゃ____死角ができる!!)

 

一気に間合いを詰めた。

 

ガシッ!

延ばされた腕の膝を掴んで持ち上げ、関節を取り背後に倒れるように重心を傾けた。

 

「ッフッ!!!」

 

_ドシャッッ!

 

「ッがッ!」

 

(っ腕が…!だが勝負を焦ったな。核の方に投げるなんてよ…!)__ズァッ!

 

パキパキッパキッ

轟が仰向けに倒れたまま礎の前、轟との間に氷壁が作る。立ち上がった轟は核に向かい走った。

 

(氷を壊すにしろ、溶かすにしろ時間が出来る。その間に核を__)

 

タッタッタッ…

 

核にまで残り約1メートル、左手を伸ばす轟__(??待てよ?__コートは何処に行った?_尾白の氷__溶けていた__なら透明の奴__靴を履いたまま__なz「轟君!捕まえ__...(__ッ!しまった!)

 

北側の氷に囚われていた尾白、その影から力の抜けた左腕目掛けて確保テープが飛んで来た。

 

左側(ひだり)じゃ間に合わねぇ…!)

 

「ヒーローチーム、WIIIIIIN!!!」

 

 

「えぇっ?」

 

「…は?」

 

「なんだ?」

 

「向こうで何が…?」

 

氷を内側に砕いて視界が広がった。そこには__

 

ニュッ「俺だ。」

 

??あれは口…だな。連なった腕の先から出てきた。もしかして__

予想通り、窓から障子が入って来た。

 

「壁をよじ登ってこの窓の外で待機していた、かなり冷たかったがな。隙を見て腕を複製して伸ばし、核に触れた。」

 

「「「…………」」」

 

俺たちも轟も黙っていた。おそらく彼にも伝えず、いや伝えられずとも実行したのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおー!!スッゲェ!!!障子がファインプレー!!」

 

「礎さんは完全に障子さんのことを失念してましたわね。」

 

「あいつ悔しがってんだろうなぁ。轟相手に善戦できる高校生なんて、そうそういるもんじゃないぜ。」

 

「策士策に溺れる、か…。実戦で核がなければ仲間の命すら危なかっただろうな。」

 

「怖い事言うなよ、常闇…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……負けた…!…馬鹿だ俺はっ!くそッfuckが…)手を強く握り締めた。

 

「ぉ.ぉおーい。礎〜早く溶かしてくれ〜。」

 

「あっ!尾白っ!ごっごめんすぐに溶かすッ!」

 

カチカチッ……ブワッ!!

 

感傷に浸って忘れていた。指を操作して尾白の氷に手を近づけすぐに溶かしていく。

 

ズッ…ブァッ!!

「…すまん。」

 

「「えっ?」」

 

轟の左側から熱を感じる、まさか。

 

左側(こっち)は解除用だ。」

 

「マジかよ…スッゲェな。」

 

…核無しで左側を使われてたら…俺は…結果は変わらんか。攻撃に利用しないのは理由があるんだろう、深くは聞かない。

 

「…礎、強いなお前。」

 

尾白の氷を二人で溶かしていると話しかけてきた。人を褒めるタイプには見えなかったが。

 

「俺、負けたぜ。よせよ、色々画策したけど上手くいかなかったし。」

 

マスクを開けて答えた。

 

「いや…」

 

「尾白も葉隠も、すまなかった。リーダーぶったのに負けちまって。」

 

振り返って、葉隠を探すとコートを胸の前に持って立っていた。

 

「ううん、私は終盤までなんも出来なかったし。」

 

「ぉっ俺も。キキッ奇襲で調子こいちまった。ごっごめんな。」ッタ

 

ようやく尾白の氷が溶けきり、下に降りた。二人は許してくれたが、強い相手に夢中になり背後を取られた。自分の策に溺れるなんて、情け無いッ!

部屋全体を温めるため背を向け、熱を放出した。

 

「尾白君これ…礎君いいかな?」

 

「ん?あぁ勿論。」

 

すると尾白を温めるためだろう、葉隠がコートを前に持って尋ねてきた。

 

「アァ゛〜…あったかい。ありがとな、二人とも。あっ、そういや轟と礎は格闘技かなんかやってた?」

 

ッ!尾白は意外と鋭いな、格闘技の経験者はやってると動きで何となくわかるもんな。

 

「俺は訓練の一貫でやってる…」

 

轟は当然だな、動きでなんとなくわかってた。

 

「俺も、アメリカに住んでた時にな。今は自主訓練だけだよ。」

 

「えっ?礎君 アメリカにいたの?すっごい!ヒーローの本場じゃん!帰国子女だ帰国子女!!」

 

ニュッ「興味深いなそれ。」

 

「本当に凄いのは俺の格闘技のコーチだよ障子、葉隠。」

 

「へー礎の師匠か、誰なんだ?」

 

…漸く自慢ができそうだ、少し切羽詰まった状況ではあるが…まぁ良い。

 

___フッ

 

大方、温めきったので熱の放出を止めマスクを外した。

 

「キャプテン・アメリカ。」

 

「「「…………………………」」」

 

「…ハハッ…アメリカンジョーク?流石にそれは…」

 

尾白が包まったまま喋る。その反応は当然だよね、立場が逆なら俺でもそう反応する。だから__

 

カチャカチャ…

 

手首の投影装置を起動する。携帯と繋いで思い出の写真をいくつか入れておいた。壁に手を向ける、上手く投影してくれれば良いんだが。

 

ッヴゥンッ!

 

独特と音が指すその先、灰色の壁を三人は目を向けた。

 

そこにはヒーローを志す者なら、誰もが一度は耳にする。生ける伝説[キャプテン・アメリカ]その人が礎と肩を組み写っていた。

 

「っとこれじゃ分かりにくいよね。」

 

礎が操作したのだろう、二人の顔が大きくなった。そこに写るのは確かに礎だった。

 

「…マジかよ。」尾白は唖然。

 

「すっごーい!!キャプテン・アメリカだぁー!!」葉隠は透明なままにピョンピョン跳ねていた。

 

「驚いた…」障子は腕に眼を作って見た、その全てが見開かれていたようだ。

 

「キャプテン・アメリカの弟子か…」轟はこちらをジッと見つめていた。

 

「格闘術と戦略の知識、あと個性持ちの敵と()()()()の強力な力を持ったヴィランの傾向と対策を教わった、短い間だったけどな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、あれ!礎と写ってんのもしかしなくても、キャプテン・アメリカか!?あいつ何者だよ?!ホントに!!」

 

「だからこそあの強さと格闘術ですか…納得しました。」

 

「先生ッ!あいつって留学生なんですか?!」

 

「違うぞ上鳴少年!彼はこちらに越してきたんだ!雄英は校長が紹介してね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「礎君!もっもしかしてコスチュームって…!!」

 

「うん、スタークさんが作ってくれた。」

 

「アイアンマンとも知り合いっ!?どうなってんだ?!」

 

『少年少女達!!礎少年の話を聞きたいのは私もだけど!そろそろ戻ってきて講評を始めようか!?』

 

オールマイトから全員に無線が来た。

 

「わかりました、今行きます。皆、行こうか。」

 

「ねぇ教室帰ったら、詳しい事教えて!」

 

ニュッ「俺も」

 

「俺も知りたい!けどその前に一応保健室行かなきゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて!大接戦の講評を始めようか!」

 

オールマイトが俺達の戦闘訓練の講評を始める合図をした。とは言っても言われることは大体想像がつく。

 

「まず、礎少年と轟少年だ。この2人が戦闘の殆どを負担していたわけだけど___礎少年は障子少年の存在を忘れ、奇襲を想定できなかった。

轟少年は周りが見えていないのと、考えの甘さが目立ったね。チームプレイが基本なのだから障子少年にもっと頼っても良かったよね。これがもし実戦だったなら、どちらとも致命的だ。

両者ともプロヒーロー顔負けの戦闘能力を持っているんだ、無駄にしてもらいたくはないと私は思うぞ!!」

 

「……はい」

 

「………………」

 

俺は歯を噛み締めながら小さく返事をし、轟は口には出さずに小さく頷いた。

 

「そして障子少年と尾白少年。君達の調査能力もフィジカルも素晴らしいが、今回はちょっと思考停止だったね?

障子少年は最後なんかはもっと意見を言っても良かったんだよ。」

 

「轟の制圧力に圧倒されました……すいません、気をつけます。」

 

マスクで鼻から下を隠しているものの、こちらも先ほどの訓練を鑑みて反省する点を自分で見つけられているようだ。

 

「葉隠少女は個性と身体能力を考えると最後に良い行動をしたと思う。でも同様に思考停止だったね?作戦の内とはいえ、考える事を止めると勝負が決まってしまう。今回の訓練でよくわかった筈だ。」

 

「その通りですよね。返す言葉もないです……」

 

…多分、納得してる。…筈。

 

「さぁ、次だ。どんどんやっていこう!!」

 

笑顔でクラスメイト達の方を向いた。

どうやら前の今の戦闘で皆、火がついたのだろう。目つきが変わっていた。

 

この後訓練は滞りなく進行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘訓練終了後。足早に去っていくオールマイトの背を見送ってから、皆行動が早かった。

 

「礎!キャプテン・アメリカの弟子ってマジかよ?!」

 

「ソーの雷撃ってどの位強いんだ?!俺の何倍凄いっ?!」

 

「ハルクって実際どんな感じ?!緑の肌って超気になる!」

 

「俺、個性柄スパイダーマンの動き研究してんだ。教えてくれ!」

 

「ミズ・マーベルのエロボディ!」

 

……取り敢えず皆で更衣室で着替えて教室に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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