礎 遷形のヒーローアカデミア   作:Owen Reece

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タグにある通り処女作です、よろしくお願いします。



第1章 帰郷
第1話 進学先


始まりは中国の軽慶市、発光する赤子が生まれたというニュースだった。

 

それ以降、各地で『超常』は発見され、原因も判然としないまま時は流れる。

いつしか『超常』は『日常』に。

『架空』は『現実』に!

世界人口の約8割が何らかの特異体質を持つ超人社会となった現在。

 

そしてそんな混乱渦巻く世の中で、誰もが1度は空想し憧れた1つの職業が今、世界中で脚光を浴びていた‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラキラ光ったガラス瓶、ラベルの装飾も反射して目に光が入る。

 

ここまでは自然な事だ、不自然なのはそれがこちらに向かって飛んできている事だ。

 

 

 

眩しい、片目を閉じた。

 

 

 

 

(…あぁ…またか_ッガッシャンッッ!!

 

数秒経たない内に床に落ちて砕けてしまった。いや、正確には俺の近くで止まってから落ちた。

 

下を見ると飛散した破片が俺の足を避けるように、そこら中に散っていた。円を描くように、綺麗に払い除けたと言っても誰もが信じるだろう。

 

最も大きな破片はラベルで繋がれた部分だ、そらは辛うじで元が瓶だと証明していた。視線を右、広めの横道に移す。

 

黒、青、白のゴミ袋、換気扇が唸る。排気管はやや詰まっているのか ガタガタ震えて仕事をしている。そんな中でデカい奴が歯を見せた。

 

正確には何かを喰むように卑しく笑って唇の奥から歯を覗かせた、だ。おそらくコイツが罪無き瓶を投げたのだろう。

 

投げた奴、正確には()()の中のデブは偉そうに座ってニヤニヤこちらを見て笑っている。

 

コイツらの顔は知っている、同じ事を何度もされた事も。なにか面白い事でも発見したのか、タンクトップで帽子を被った奴が指を差し笑った。

 

追従するかのように他も笑い始めた。このヒトに近い塵芥は、面白い事を見つける事に必死だ。自尊心を傷付け、己を満たす為に。

 

一頻りのルーティンを見た後いい加減、飽きた。そう思って視線を伏して、止めた足を進めた。

 

 

 

「〜〜〜ッ!!!ッッ!!」

「〜ッ!ッ!ッ!!」

「ッ!!〜〜ッ!!ッッ!」……

 

当然、気に入らない行動をした俺に腹を立てた全員が殴り掛からんと走って来た。唇を上げて笑い声を上げながら。その中の一人はウケ狙いで、両足で蹴り倒そうと助走をつけて跳んだ。が、

 

相手に届く前につけた勢いが嘘のように消えて、止まってしまい当然背中から落ちた。

 

 

相手は気にせず歩いている。

 

 

元々無いに等しい頭の沸点が超え、装飾だらけの手で殴った。

 

また同じ。勢いが消えて止まる。

 

 

相手は気にせず歩いている。

 

 

今度は全員で囲んで殴る。が、止まる。

 

殴る、止まる。

殴る、止まる。

殴る、止まる。

殴る、止まる。

蹴りを入れる、が止まる……

 

 

相手は気にせず歩いている。

 

 

前に立ち塞がり、コイツの歩みを止めようとした。が、触れる事すら出来ない。逆に押されて、大した踏ん張りも効かずに尻餅をついた。

 

 

相手は気にせず歩いている。

 

 

デブが拾った鉄パイプで、息を切らしつつも殴り掛かろうとして止めた。これ以上は人の目があるし そもそも、このチビには効かない事を悟ってしまった。

 

 

相手は気にせず歩いている。…歩いて行ってしまった。

 

 

 

 

もう、慣れた。

 

 

アイツらもあと数回、同じ事をすれば無意味とわかるだろう。そうなれば後は3パターンだ、"個性"を使って警察に連れてかれるか、諦めるか。

 

どちらを選んでも、また同じようなのが同じような事をするだろう。後の1つは()()()陰湿なものに変異するかだ。

 

でも昔に、事の当事者を突き止め人前で相手のズボンが濡れるまで髪を掴んで、頭を広間にある噴水に叩き込んでやった後は久しく起きていない。

 

やられる理由はわかっている。粘土のように形を変えて伝わる子供の噂ほど、わかり易いものは無いから。

 

 

もう、慣れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後。

 

ニューヨーク州クイーンズ。ミッドタウンのとある中学校、時間は午後2時15分。

 

下校時刻にあたってロッカーが並べられている通路は生徒で溢れていた。

 

出遅れた。そう思った彼の名前は、ジョナサン・ネイト・シモンズ。この学校に通う生徒の内の1人だ。

 

しょうがない。と頭の中で呟き自分の個性を使って通路に設置されている防犯カメラに"話しかけた"。

 

(やぁ、久しぶり。)

 

掴みが大切。こいつは防犯カメラらしく生真面目で、気難しい。

 

⦅シモンズ。学校での個性の使用は原則使用禁止だ。⦆

 

これだよ。正論しか言えない病だ、機械に病気なんて無いけど。

 

(今ケイを探してんだけど、そっちから見えない?多分いると思うんだ。)

 

自分の目的と所感を伝える。

 

⦅先程伝えた通り、学校での個性は原則使用禁止。禁止されている行為に協力はできない。⦆

 

やっぱり。

 

(なぁ頼むよ。人が多過ぎてここからじゃ見えないんだ、少しくらい良いだろ?盗撮するわけじゃないんだから。頼むよ。)

 

⦅………当該の人物は、自身のロッカーに向かって進行中。 ⦆

 

(ッ!ありがと!!助かったホント!)

 

ロッカーの位置は当然知ってる人混みに入った。その中を掻き分け、当の人物を見つけた。

 

「ケイ、ケイッてば!」

 

後ろから自分の友達にご機嫌な声をかけた。

 

「..シモンズ。」

 

振り向いて自分の名前を呼んだ彼は、礎 遷形(イシズエ センケイ)。

日本人の友達だ。こいつとの付き合いは長い、子供の頃から気が合う友達だ。

 

「進路の事決まった? 先生となんか話してたろ?」

 

 

 

 

〜〜1週間前〜〜

 

俺は進路相談の為に先生を訪ねた。

 

「日本に進学?本気かね?」

 

概ねそんな反応をすると思っていた。

それはそうだ。こっちにもヒーロー科のある高校がほとんどだし、何より俺は4歳の頃からこっちにいるんだから進学も同じくと考えるのが普通だ。

 

「ダメですか?」

 

「いや、故郷に進学すると言うのなら止めはせんし成績も個性も申し分ない。それに君の"複雑な“事情はよく知っているから何も言わんが_____向こうにはご親戚はいるのかね?」

 

「はい。叔母と従姉妹がいます。飛び級している分1年を受験勉強にあて、試験を受け入学したいと考えています。」

 

「hurm…わかった、学校側からいくつか当たってみよう。1週間後に結果を報告しよう、そしたらまた来なさい。いいね?Mr.イシズエ。」

 

わかってくれて良かった。先生は頼りになる。

 

「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

 

 

 

 

〜〜現在〜〜

 

「進路の事決まった? 先生となんか話してたろ?」

 

シモンズ…俺の友達。日本に進学するって話はしたけど、正直伝え辛い。子供ん時からの付き合いだ。

 

「あぁ さっき話してきたよ、日本の雄英って高校勧められた。」

 

「ッ!マジか!?こっちでも超有名なとこだろ。先生はなんでまた?」

 

言うと思った、いい奴だな。

だが、こいつはハイになると早口で喋る事が全てが大袈裟になる、でも素直で正直なのは変わらない。

 

「ウチの校長が向こうのと付き合いがあったらしくてさ、俺のことを話したんだって。」

 

「そしたらさ向こうの校長が『ちょっと考えさせてくれ』って」

 

「それで?それで?」

 

「で今日 向こうから連絡が来て、またすっっごい事教えてくれたらしくてさ。」

 

彼の興奮が俺にも移ったのか言葉にも力が入るのがわかる。

 

「なに?何?早く言えよ言えって!」

 

俺は僅かに息を吸って「オールマイトがその年に雄英の教師に着任するらしい。」と言った。

 

「Oh ジーズ…orz」

 

シモンズはショックを表現するためを俯きながらロッカーに手をついた。

 

「ヤバいだろ?したらその後、向こうの校長が『俺さえ良ければ来てくれ、特別扱いなんかはする気は無いけどねw』って言ったらしい。」

 

俺はそう言いながらロッカーからリュックを出して担いだ。

 

「オールマイト…?…平和の象徴のその人が先生って?特別どころじゃない最高だぜ…」

 

シモンズは目線を下から上げつつ続けた。

 

「そりゃこっちにも"生きる伝説"だったたり"雷神様"がいるけどさ。あっ、伝説の方はシーラカンス並み。」

 

「シモンズ。俺はその年寄りの魚に色々教わってんだ。」

 

少し顔を顰めて彼に軽く釘を刺した。

 

「ごめんってw」

 

笑いながらシモンズが言った、こんなやり取りは茶飯事だ。

 

「しかしオールマイトか、、驚いた……」

 

俺の動きを見て悟ったのかシモンズは校門の方に歩き始めた、俺も彼の横について歩く。

 

「だろ?先生も『こんな事はあまり言いたくはないがヒーローを目指すんならその年に限り雄英以上の所はない』ってさ」

 

「そりゃそうだろうな。クッソ〜俺もヒーロー向きの個性が良かった。」

 

「機械と喋れるんだから文句言うなよ、サポート科に進んだら成功すること間違いないだろ。そんな事言ってるとパソコンに検索履歴ネットに流されるぞ。」

 

「言いたくもなるよ、わかるだろ?」

 

それはそうだ、ヒーローに憧れない奴なんか居るわけがない。

 

「まぁな。あっそうだオールマイト云々は言いふらすなよ先生にも口止めされた。」

 

「え、何で?」

 

「詳しくは聞いてないから分からん。向こうの事情だろ」

 

シモンズは空を見上げてながら答えた。

 

「ンン..じゃあ あれか、こっちからも受ける奴増えるから。とか。つーか口止めは意味ない。ここでそこまで話す奴いないし。」

 

俺とシモンズは校内じゃ、少し浮いてる、2人とも1年飛び級しているしシモンズに至っては俺より倍は頭が良い。

つまり__もう1年しようと思えば出来る、やらない事をわざわざ聞くのは野暮だ。

 

「んで?今日もC.Hだろ?報告しないとな。」

 

俺はと言うと、シモンズが言った所に通っている少ない内の1人だからだ。

 

 

 




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