ダンジョンに八雪を求めるのは間違っているだろうか   作:神納 一哉

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8 やはり俺の魔法とスキルはぶっ壊れて(まちがって)いる。

ベルに伝えたとおり、夕食と風呂を済ませた後で雪乃と合流し、ヘスティア様の居室へ行き、【ステイタス】を更新してもらった。

 

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比企谷(ヒキガヤ)・八幡

 

LV1

 

力:I20 耐久I12 器用:I58 敏捷:I14 魔力:G286 幸運:H 精癒:H 神秘:H 収納:G

 

《魔法》

 

鑑定眼(ティナディス)

・無詠唱で発動可能。

・物品を鑑定する。情報化できる。

・様々なものを測量する。測量の際は対象に触れる必要有り。情報化できる。

 

《スキル》

 

空間収納(マゼーボ)

・物品を亜空間に収納できる。容量は【アビリティ:収納】によって増加する。

・物品を源素(オリジン)に変換できる。

 

錬成(アイヒミア)

・空間収納内で源素を元にして記憶にある物品を作成できる。ただし世界に適合した(かたち)で作成される。

・空間収納内で物品を複製できる。

・空間収納内で物品を解体・精錬できる。

・空間収納内で物品を修復できる。

 

記録(オミリア)

・【魔法:鑑定眼】で見たもの・測ったものを情報化して保存できる。

共通語(コイネー)の言語理解・自動翻訳。

 

比翼連理(ゼブガーロマ)

・早熟する。

雪ノ下(ユキノシタ)・雪乃への愛情(想い)が続く限り効果継続。

・愛情の丈により効果上昇。

・雪ノ下・雪乃と【スキル:空間収納】【スキル:記録】を共有する。

・雪ノ下・雪乃と【経験値(エクセリア)】を共有する。

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雪ノ下(ユキノシタ)・雪乃

 

LV1

 

力:I20 耐久I12 器用:I58 敏捷:I14 魔力:G286 幸運:H 精癒:H 神秘:H 収納:G

 

《魔法》

 

聖獣化(ネーヴマ)

・白銀の毛皮を纏う聖獣に変身する。俊敏になる。

・聖獣化しているときは【癒しの女神の円陣】(パナケイアサークル)を作り出すことができる。

・詠唱魔法「この身を癒しの女神(パナケイア)の加護を与えられし矮小なる獣に。聖獣化(ネーヴマ)

 

守護獣召喚(キリシィ)

・召喚時、雪ノ下・雪乃を中心として半径3M(メドル)の守護結界を作成する。

・守護獣は敵対するモノに攻撃する。

・詠唱魔法「守護を司る優しくも猛き獣よ、我が召喚に応えたまえ。顕現せよ。守護獣召喚。(アエイ・パン・キリシィ)

 

《スキル》

 

知識の泉(イグノシィ)

・世界の情報を調べることができる。情報収集端末(パソコン)を具現化可能。ただし世界に適合した(かたち)で具現化される。

・入手した情報は【スキル:記録】に情報化して保存できる。

 

空間収納(マゼーボ)

・物品を亜空間に収納できる。容量は【アビリティ:収納】によって増加する。

・物品を源素(オリジン)に変換できる。

 

記録(オミリア)

・【スキル:知識の泉】で入手した情報を保存できる。

共通語(コイネー)の言語理解・自動翻訳。

 

比翼連理(ゼブガーロマ)

・早熟する。

比企谷(ヒキガヤ)・八幡への愛情(想い)が続く限り効果継続。

・愛情の丈により効果上昇。

・比企谷・八幡と【スキル:空間収納】【スキル:記録】を共有する。

・比企谷・八幡と【経験値(エクセリア)】を共有する。

――――――――――

 

「うん。まあ【比翼連理】があるからアビリティが同じなのは、納得がいかないけど許容できる範囲内だ。でもね、なんで雪乃君は魔法が増えているのかな!?あと、八幡君の【錬成】も、『物品を修復できる』とかヤバい匂いがプンプンするし、補助アビリティが軒並み上がっているのもどうかしているんだけど!?」

 

というのが、【ステイタス】更新後に我らが主神(ヘスティア様)からいただいたお言葉である。

 

「そう言われても、魔法やスキルを使いまくったから上がったとしか言えないよなあ?雪乃」

 

「魔法を使ったのは八幡だけなのだけれど。私も試しに使ってみればよかったかしら。魔法が増えたのは、戦う力が欲しいと願ったからかしらね」

 

その増えた魔法の詠唱にある守護獣の召喚呪文(アエイ・パン・キリシィ)を見るに、パンダのパンさん(アイツ)が召喚されるのは間違いないだろう。どれだけ好きなのん?

 

「君たちが規格外なのはわかったよ。ボクとしては他の神に目を付けられないように気を付けて(自重して)くれるとありがたいかな」

 

「まあ、善処する」

 

「それ、絶対にやらかす奴の言葉(セリフ)だからね!?」

 

頭を抱えるヘスティア様を残して、そそくさと居室を退去すると、雪乃と二人で俺の部屋へと戻り、いつものようにベッドに並んで腰を下ろす。

 

「さて、じゃあ【錬成】を試してみるか」

 

「私にも源素(オリジン)への変換はできるみたいだから、植物から源素を作ってみるわね」

 

「俺は土石とゴブリンと水を源素にしてみるから、雪乃は薬草類以外の植物を源素に変えてくれるか」

 

「ええ。わかったわ」

 

岩、礫、土、ゴブリン、水を順番に源素へと変えていき、その後で残しておいた薬草類を精錬してみることにした。

 

――――――――――

空間収納G 13/400 上限40000

 

技能:収納 錬成 解体 精錬 修復 整理 消去

 

植物源素 18451 

生物源素 1254

鉱物源素 12687

硝子源素 3645

魔源素 4287

水源素 18684

 

回復草A 125

魔力草A 92

活力草A 41

瀉下草A 48

解熱草A 74

麻酔草A 62

 

魔石G 2

――――――――――

 

地上の植物でSランクは稀らしいので、精錬ではAランクに止めておいた。まあ採取した物の中にAランクも混ざっていたから、納品しても高品質ってだけで問題にはならないだろう。魔石に関してはゴブリンの魔石のまま精錬をしていない。

 

「随分とすっきりしたわね」

 

「そうだな。普通に使い道なさそうなものは、回収するときに源素にした方がいいかもしれないな」

 

「そうね。空間収納内もすっきりするからいいのではないかしら」

 

試してみたいことがあったので、立ち上がってクローゼットを開け、中にしまっておいた地球の服や靴を鑑定してから回収し、再び雪乃の横に座った。

 

「おお…。すげえな、修復(これ)

 

かなり履き潰していたはずのスニーカーが、新品のように綺麗になって俺の横に置かれている。同様にTシャツやトランクス(インナーウェア)、靴下、ネルシャツ、チノパン、セーター、手袋、マフラー、ロングコートも綺麗な状態となっていた。

 

「ロゴとかは無くなってるし、サイズとかの文字は共通語(コイネー)に置き換わっていて、大きさも俺にジャストフィットしているぞ。材質も違和感ないし、すげえなこれ。名称に【比企谷・八幡仕様】って付くのは、まあ仕方ないか」

 

「ねえ八幡。私のもお願いしていいかしら?」

 

「構わないぞ。回収してこい」

 

「ええ。行ってくるわ」

 

雪乃が自分の分を回収してくる間に、俺はとりあえず下着類と靴下を5着ほど複製してクローゼットにしまい、ネルシャツとチノパンは2着ほど複製してクローゼットにしまった。ロングコートは複製せずにハンガーにかけなおした。

 

「戻ったわ」

 

雪乃が戻ってきて俺の横に座り、少しソワソワしながら俺の方を見る。

 

「どうした?」

 

「その、ね。空間収納に入れてきたのだけれど、私のを修復する前に、鑑定眼で私を測量してから修復してもらえるといいかなと思って」

 

「そりゃまたどうして?」

 

「測量しておけば、私の身体に合わせて大きさを調整できるでしょう?」

 

「確かにそうだけど。いいのか?」

 

「お付き合いしているのだし、別に構わないわよ」

 

「じゃあちょっと失礼して」

 

そう断ってからそっと雪乃の手に俺の手を重ね、【観察眼】で雪乃を測量する。慎ましいとは自虐し(言っ)ていたけれど、意外とある(・・)んじゃないか?

 

「何か不埒なことを考えなかったかしら?」

 

「……気のせいだ」

 

空間収納の中で雪乃の衣類を修復し、下着類・キャミソール・ストッキング・靴下を各5着、ブラウス、セーター、スカートを各2着複製する。それから少し考えて、俺のを元にして雪乃のサイズのスニーカーを作っておいた。色は無難な水色にしておく、って、普通に色とか変えられるのかよ。

 

それならばと複製したセーターとスカートの色もそれぞれ違う色にしてみる。

 

「ねえ八幡。複製してくれている服が色違いになっているようなのだけれど」

 

「ああ、なんか雪乃のスニーカーを作ったら色が変えられたから、服でもできるかなと思ってやってみたら変えられた」

 

「そうなのね。ありがとう。…他のやつも変えてくれていいのよ」

 

お礼の後にぽしょりととんでもないことを言うのはやめてもらえますかね、心臓に悪いんだけど。まあ、ご要望にお応えして、黒と青と桃(着せたい色)の下着類は作っておくけどな。

 

「このスニーカーの方が移動には向いているわね。複製できるから靴はこちらにしてしまってもいいかしら」

 

「地上はそれでいいけど、迷宮は登山靴みたいなのがいいんじゃないか?ほら、こういうやつ」

 

「……何気に凄いことしてるわね。靴底も厚くてブーツ型だから洞窟を歩くにはよさそうね」

 

「おお、雪乃サイズで普通に作れちまった。俺サイズのも作っておいて、と。【錬成】ってチートすぎじゃね?」

 

まさか中学の登山で使っただけ(うろ覚え)の登山靴が作れるとは思わなかった。ん?待てよ、記憶しているものでいいのなら…。

 

「おお、入れ物は違うけど…ゴクッ、美味い!これは間違いなくマックスコーヒー!」

 

なら、アレもできるか?

 

「ほら、雪乃、飲んでみ」

 

「…美味しいわ。これは部室の紅茶を再現したのかしら?」

 

「おう。カップもそれっぽく作ってみたんだが、どうだ?」

 

「悪くないわよ。それにしても、【錬成】のスキルはかなり応用が利くみたいね。これならアレも作れるのかしら?」

 

「アレ?」

 

雪乃は頬を赤らめてぽしょりと尋ねる。

 

「その…、生理用品を見たことはある?」

 

「……小町と母ちゃんは同じの使ってたぞ。買いに行かされたこともある」

 

「作れるかしら?」

 

「……確認してくれ」

 

「ギャザーもあるしテープもあるわね。とりあえず20枚ほど作っておいてくれると助かるのだけれど」

 

「了解。その、生理専用の下着(サニタリーショーツ)も作っといた方がいいか?母ちゃんが重い方でな、存在は知ってる」

 

「……お願いするわ」

 

ここで雪乃は紅茶を、俺はマックスコーヒーを飲むことで、強引に話題を切った。

 

「飲み終わったらカップは収納しておいてくれ」

 

「わかったわ」

 

俺は飲み終わった飲料瓶(いれもの)を収納して修復する(修復は洗浄代わりになる)。ついでにカップも修復しておく。

 

「その、どのみち近々必要になるものだから作ってもらったのだけれど、ごめんなさい」

 

「蒸し返さなくていいから。まあ、そういうものって知ってるから」

 

「…では話を変えましょう。ある程度知っているものが作れるのなら、筆記用具とかも作れるのかしら?」

 

「まあ、作れるな。ほれ、こんな感じでどうだ?」

 

A4サイズのノート、シャーペン、替え芯、消しゴム、ペンケースを雪乃に渡す。奉仕部の部室で見たことがあるものを参考にしたものだ。

 

「あなた、私のことよく見ているのね」

 

「いや、使い慣れてる方がいいだろ?」

 

「そうね。ありがとう」

 

「こっちの世界の物も作れるか試してみる」

 

とりあえず回復薬、魔力回復薬、上級回復薬、上級魔力回復薬、解毒薬、解呪薬、エリクサーなど、ポーション系は問題なく作れた。見せてもらった素材も源素を元に作り出すことができている。【錬成】ヤベェ。

 

「服や靴はまだしも、武器とか防具を複製するのはさすがに拙いよな?」

 

()入りのものは複製できないのではないかしら?」

 

「ヴェルフのやつは複製できるみたいだな。ヤベェ、どうしようこれ?」

 

何の気なしに腰に差している黒猫の爪(くろにゃん)に触りながら【複製】を試したら、空間収納に小太刀【黒猫の爪】が増えていた。しばらく眺めていると、その下に小太刀【白猫の爪】が増えたので、驚いて雪乃の方を見ると、雪乃が腰に差していた小太刀が消えていた。

 

「ふふっ。私のは白猫の爪(しろにゃん)なのね。姉妹刀なのかしら」

 

「ああ。ヴェルフはそう言っていた」

 

「使うこともないでしょうけど、念のため白猫の爪(私の刀)も複製しておいてくれる?空間収納に死蔵しておけばヴェルフくんにもわからないでしょう?」

 

「まあ予備ってことでそうするか。なんなら【保管庫】フォルダみたいなの作って、そこに入れるようにするか?」

 

「そうしましょうか。オリジナルのものを入れておきましょう。部屋に行ってくるから、フォルダ作りお願いね」

 

そう言うと雪乃は自分の部屋へと向かった。まあいろいろあるのだろう。忘れないように空間収納の中に【保管庫】フォルダを作り、クローゼットの中にしまっておいた、スマートフォン、家の鍵、(使わないも)財布、包装された眼鏡(のや貴重品)を入れ、少し考えてからスニーカー、ロングコート、マフラー、Tシャツ、トランクス、靴下、セーター、手袋、ネルシャツ、チノパンも【保管庫】に入れ、最後に空間収納内の登山靴【比企谷・八幡仕様】と小太刀【黒猫の爪】、小太刀【白猫の爪】を入れた。

 

――――――――――

空間収納G 72/400 上限40000

 

技能:収納 錬成 解体 精錬 修復 整理 消去

 

【保管庫】34

 

植物源素 17546 

生物源素 1162

鉱物源素 12247

硝子源素 3505

魔源素 4034

水源素 18368

 

回復草A 115

魔力草A 83

活力草A 41

瀉下草A 48

解毒草A 1

解熱草A 74

麻酔草A 62

解呪茸A 1

麻痺茸A 1

妖精茸A 1

 

鋳塊(インゴット)A 1

鉄鋳塊A 1

銀鋳塊A 1

金鋳塊A 1

白金(プラチナ)鋳塊A 1

魔銀(ミスリル)鋳塊A 1

 

ティーカップ【奉仕部仕様】A 1

飲料瓶A 1

 

回復薬A 1

上級回復薬A 1

魔力回復薬A 1

上級魔力回復薬A 1

解毒薬A 1

解呪薬A 1

エリクサーA 1

 

コボルト爪A 1

キラーアント甲殻A 1

パープルモス翅A 1

サラマンダーウールA 1

魔石E 1

魔石F 1

魔石G 2

――――――――――

 

【精錬】の効果で魔石以外はAランクになっている。店で見た物は殆どがBランクかCランクだったんだけど、気にしないでおこう。おそらく【精錬】が自動(オート)化しているんだろうけど、とりあえずは困るものでもないし。素材とか薬は、納品できるようにある程度の量は作っておくことにしよう。薬はヘスティア様に、鋳塊はヴェルフに渡す分も作っておくか。数はそれぞれ20くらいでいいかね。素材を増やして、薬を増やして、鋳塊を…増や…し…て………。

 

     ×   ×   ×

 

次の日の朝、いつも通り洗顔と歯磨きを終わらせてから朝飯のために食堂へ足を踏み入れると、いきなり雪乃が抱き着いてきた。

 

「八幡。よかった。無事ね?」

 

「え、なに?どうしたん?」

 

「心配したんだから…」

 

「そう言われても何が何やら…」

 

「八幡く~ん。君は昨日、精神疲弊(マインドダウン)で倒れたんだよ。雪乃君の取り乱し方は凄かったんだから。しっかりと反省するように。いいね」

 

「そういえば、昨日眠った記憶無いな。何、俺、倒れたのか?」

 

「そうよ。あなたの部屋に行ったらベッドに突っ伏していたから驚いたわよ。バカ、ボケナス、八幡」

 

「お、おう…。いやちょっと待て、八幡は悪口じゃないだろ。…まあ、悪かった」

 

謝りながら雪乃の頭を撫でると、額をぐりぐりと俺の胸に押し付けてくる。何この()、可愛い。

 

「暫くそうしていなよ。雪乃君が落ち着いたらご飯を食べて、二人で居室に来るんだよ。精神疲弊で倒れたなら、おそらく【ステイタス】上がってるから更新しておこう」

 

「了解です」

 

命さんの視線が辛いが、甘んじて受けるとしよう。


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