『偽典』とある魔神の主神の槍《グングニル》   作:かり~む

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13話:空虚には欲望を詰め込んで

 後頭部に感じる鈍い痛みと共に、イドゥンは目を覚ました。

 頭は霞がかかったかのように、ぼんやりしている。上手く思考を巡らせることはできない。それでもなんとか眼球をぐるりと回して、周囲の状況の確認をする。

 

 ここは倉庫、なのだろう。

 隅には農具やら、壺やら、ガラクタじみた何の用途に使うかも分からない器械が、乱雑に積み上げられている。使わなくなった物品を廃棄するのも勿体ないから、とりあえず積んでみたという感じだ。薄暗い室内の片隅に、ストーブの灯に当たりながら、読書に耽る男がいた。

   

「おや、起きたかい?」

 

 イドゥンが目覚めた事に気付いたのだろう。

 男は読みかけの文庫本に栞を挟むと、にこやかに笑いかけた。

 ストーブの橙色の柔らかな光が男の顔を照らす。

 

 油絵具をそのまま塗りたくったような鮮やかな金髪に、太陽を反射する南の海のように青色の強い瞳。それに反して、顔の特徴は薄い。それは彼の顔の造形が平凡という事を意味してはおらず、無駄を一切排したようにスマートな顔立ちは整っている方と言っていい。

 

 口元に浮かべた春の日差しのような笑みは、相手の緊張を解く事に特化していた。夜の繁華街よりも、午後の喫茶店が似合う男。異性にはきっと困らないだろう。もっとも、イドゥンに彼のそんな笑みは全く通用しなかったが。その男の顔が視界に入り、声が耳に届いた瞬間、イドゥンの頭に掛かっていた思考の靄は嘘のように晴れる。

 

「貴方ッッ!?」

 イドゥンは反射的に椅子から立ち上がろうとするが、それは叶わず椅子ごと冷たい床に倒れた。

「ぐうッ!?」

「ああ。悪いけど、縛らせてもらったよ」

 

 イドゥンは縄で椅子に縛りつけられていた。

 身体の節々を動かして拘束を何とか解こうと試みるも、結び目は固く、とても一人で解くことは無理だった。仕方なしにイドゥンは床に転がった状態で男を睨む。もし個人が誰かに向ける殺意を可視化できたなら、この男の周りには何百本ものナイフがずらりと並んでいただろう。男はそんなイドゥンの視線をどこ吹く風で受け流し、くすりと笑った。

 

 

 彼の名はジャック・スミス。

 

 かつてイドゥンが所属していた魔術結社に、集団でふらりとやってきて、『十字教』への改宗と、イドゥンたちが暮らしていた村を明け渡す事を要求してきた、頭のおかしい魔術師たちの首領。彼らとの抗争の結果、イドゥンの『家族』は皆遠きところへと旅立った。彼らがいなければ、イドゥンは今も『家族』たちと穏やかな生活を送っていただろう。

 

 憎き仇を目の前にしたイドゥンの胸中にあったのは、溢れんばかりの憎悪。

 そして一抹と呼ぶには余りに大きすぎる疑問だった。それはイドゥンの唇を通して、困惑の声として発せられた。

 

「………なんで」

「ふふ。生きてるのか、かい?」

 

 男は椅子から立ち上がり、イドゥンに近づいていく。

 転がるイドゥンを見下ろすジャックの目は嬉々としていた。まるで、数年会っていなかった旧友に、偶然会えたような、そんな嬉しさを顔中で表現する。

 

「貴方は結社のアジトごと燃えて灰になった筈……」

 

 元々ジャック魔術結社は英国圏で活動していたらしい。

 『十字教』以外の全ての宗教を邪教とみなす中々に過激な思想の結社だったようで、人々に無理な改宗を強要しては問題になっていたらしい。やがて、英国内で大きな問題を起こした彼らは、清教派に国外退去を命じられ、イドゥンたちが住んでいた北欧圏に流れ着いた。

 

 彼らはそこでも無理な布教を繰り返し、イドゥンの『家族』にしたような道理を弁えない要求を、幾つもの結社に対しても行っていた。そんな事を繰り返していれば、待っているのは当然の破滅だろう。

 

 魔術結社は常にお互いを監視しあっている。それは魔術が人の世に流出する事を防ぐためでもあり、『魔術サイド』の一応の均衡と平和を保つためでもあり、何より他の結社の勢力の拡大を阻害するためでもあった。出る杭は必ず打たれる。それが他の地域からやってきた、礼儀も作法も弁えない、刺々しい腐った杭ならなおさらだ。

 

 最終的に彼らの結社は、横暴に耐えかねた北欧の大規模な魔術結社に攻め込まれて壊滅した。燃え盛り、籠城した団員とともに灰となっていく彼らのアジトを、イドゥンは確かに目にしたのだ。

 

 そう。

 確かにジャック・スミスは灰と消えた筈。

 

 

「ああ、アレね。実は、僕の結社を滅ぼしたのは僕なんだよ」

 

 恥ずかしそうに頬を掻きながら、まるで子供の頃駄菓子屋でお菓子を盗んだ罪を渋々告白するような。

 そんな調子でジャックは言った。

 

「----は?」

 

「いやあ、団員には悪い事をしたな、とは思ってるよ。身動き封じられた状態で焼かれて、さぞ熱かっただろうね。可愛そうに」

「あな、た」

 

「勿論、直接魔術でアジトを燃やしたのは僕じゃないよ。誰も魔術を使ってないのに燃え出したら、流石にばれるさ。………確かにあの時、僕らのアジトは、敵対していた結社の魔術師たちに取り囲まれていた。だけど、それが彼らの限界でね。情けない事に、彼らは攻めあぐねてたんだよ。それともここは嘗ての部下たちの努力を湛えるべきかな」

「なにを…………」

 

「だから、仕方ないから僕が手を貸してあげた訳。中の団員を魔術で動けないようにしてから、張り巡らしていた魔術防壁を相手の攻撃に合わせて緩めたのさ」

「何をッ!言っているのッッ!?」

 

 イドゥンはジャックに対する怒りも半ば忘れて、叫んでいた。

 保育園に子供を迎えに来た父親のようなにこやかな笑みを浮かべて、この男は何を言ってるのだ?

 

 いや、ジャックが言っている言葉の意味は分かる。

 だが、それを理解することは、とても不可能だった。

 

「アジトを取り囲んだ奴らだって、多少は不思議がっていたけどね。でも死体の数はあってるし、身内が裏切ったとは、流石に考えなかったみたいだ。……ああ、僕の死体は、そこら辺を歩いてたホームレスを使ったんだよ。知り合いの闇医者に、僕そっくりに整形してもらってね。ふふっ。所詮は人生積んだ奴さ。札束をポケットに入れてやれば、子犬みたいに言う事を聞く。まあ、そのあとに殺して、ポケットのお金は回収したけど。悪いけどね」

「なんで……」

 

 呆然とした様子でイドゥンは唇を動かす。

 それは質問というよりも、思わず零れ出た呟きに近いものだったが、ジャックはそれを丁寧に拾って答えた。

 

「悪いけど、面倒になったんだよね」

「----は?」

 

 今度こそ、イドゥンの思考は空白に染まった。

 

「だからさ。面倒だよ。結社のボスって意外と疲れるんだ。部下に任せきりで楽できるかと考えてたんだけど。悪いけど、あんなにやることがあるなんて思いもしなかった」

 

 多忙だった日々を、余り思い出したくないのだろう。

 小さくため息を吐いて、げんなりした様子でジャックは続ける。

 

「そもそも、あいつらちょとうざかったんだよね。………いや、悪いけど、ここだけの話。妙な熱意に溢れてたし、本気で世界を『十字教』で覆えると、信じてたのかな?はははっ!全く、なんて愉快なドン・キホーテ達だろう!時代錯誤も甚だしい!……だけど彼らの熱意は、確かに、金にはなった。『十字教』で世界を覆う偉大なる活動のため、我らには資金が必要なのだ!ってな感じさ。……ああ、でもやっぱり気苦労も多くてね。うん。悪いけど」

 

 ジャック・スミスはすそこで腰を落として、床に転がるイドゥンの耳元に自身の唇を近づける。片手を口に当ててまるで、内緒話をするように声を潜めて、だけどそれでも笑いながら、ジャック・スミスは言い放った。

 

「だから、燃やした」

 

 イドゥンはゆっくりと首を振った。

 

 彼女にとって結社とは『家族』だ。

 お互いがお互いを信じ、労り、慈しみ、愛す。

 

 勿論イドゥンが過去にいた結社の方が独特の形態をとっていた事は、イドゥンは既に理解している。魔術師とは根本的に集団より個人を優先する生き物だ。

 

 だけど。

 だけど。

 

 『これ』はいくら何でもないだろう。

 

 別にジャック・スミスに大層な思想を要求していた訳ではない。

 どんな理想をもっていようが、許すつもりなんて毛頭なかった。

 

 だけど、こんな狂った男のせいで自分の『家族』は死んだのか。憎しみぬいた筈のジャックの部下も、今となっては哀れにすら感じる。それとも、この男の本質を見抜けず、最後は生きながら灰となった最後を腹を抱えて笑ってやればいいのか。

 

「才能があるんだよ。なんでもそうなんだ。スポーツも勉強も芸術も恋愛も、ちょっと本気になれば、人の上に立てる」

 

 ねえ、だから、と同意を求めるようにジャック・スミスはイドゥンに語りかける。

 

 ポーズでもない、諧謔でもない。

 本気で彼は信じていた。

 

「僕は才能に溢れてるんだから、他人より楽して生きたっていいだろう?」

 

 目の前で微笑んでいるこの男は。

 本当に自分と同じ人間なのだろうか。

 イドゥンには分からなかった。

 

 

 

 

「何かのボスになるなんて、もうコリゴリでね。ここ何年かは気ままに世界を周ってたんだよ。でも、それも面倒になってね。食客になった結社の秘奥を盗み出しては転売して、金を稼いでた。まあ、そんなもんさ。それで、幾つかの結社の恨みも買ってしまって、追っ手が放たれたりしたんだけど。いや、この話は良いか。長くなる。とにかく追っ手なんかに僕は負けないけど、面倒ではあるって事さ。………全く、生きるという事は、とかく難しいものだね!」

 

 頭に手を当てて、スポットライトを浴びた舞台俳優のように大袈裟にジャックは嘆く。

 その動作はひどく彼に似合っていて、会話の内容さえ知らなければ、世界の不条理に嘆く若き哲学者にも見える。彼がちょっとその気を出して、それっぽい事を言ってのければ、その外面に騙される人間も多く出る事にも頷けた。もっとも、その内面は腐り落ちていたが。

 

「で、思い出したんだ」

 ぐるり、とジャックは首を回して、溢れんばかりの笑顔をイドゥンに向けた。

 

「イドゥン。君の魔術は『繁栄』の後に絶対的な『破滅』を運んでくる。逆説的に言えば、『破滅』は確実な『繁栄』を運んでくるってことだ」

 

 そして、とジャックは続ける。

 

「君の魔術の何より面白いところはね、対象の人数が増えても、効果の分散が殆ど無い事だ。例えばね、君が1000人に対して同時に魔術を行使する際、1000人分の『繁栄』と『破滅』を用意してるんだよ。……おっと、よくよく考えてみれば、君の魔術を改良して、今の形に整えたのは、何を隠そう、この僕だったね。しまった!自慢をするつもりはなかったんだが。恥ずかしいな」

 

 恥ずかしそうに頬を紅潮させ、頭をぽりぽりと掻きながら、ジャックは言う。

 ジャックは過去にイドゥンを攫い、幻覚と暗示で操り人形にした上で、彼女の『家族』を襲わせたことがあった。ご丁寧に、元は『繁栄』に主眼をおいた『林檎』の魔術を『破滅』に重きを置いたものに改良して、だ。とてもじゃないが自慢になるような過去じゃない。

 

 

 ジャックは咳払いして赤面した自分を落ち着かせ、言った。

 

「まあ、だからね。そんな1000人分の『繁栄』だけを僕が貰ってしまおうかな、と」

 

 その顔には盗人がカモを見つけた時に浮かべる、卑しい笑みはなかった。

 悪党が悪事を考えているときに浮かべる、毒々しい笑みもなかった。

 

 午後3時のアフタヌーンティーが目前に迫っているような、優雅で晴れやかな笑みだけがそこにあった。

 

「理論もほぼ完成してるんだ。これは日本で盗み出した秘奥が役に立った。ふふ。彼らね。キュウリを埋めて、呪いを逸らすんだぜ。滑稽な事この上ないけど、それはつまり彼らの呪いに対する対応力の高さを物語ってる。これで、僕は暫くは楽に暮らせると思うよ。……まあ、村の人は全滅だろうけど。悪いけど、仕方ないね」

「………貴方、狂ってるわ」

「ごくまれーに言われるんだよねそれ。謎だよ。悪いけど、君の方がおかしいんじゃない?」

 ジャックは不思議そうに小首を傾げた。

 

「ともかく。悪いけど、君に拒否権はない。前にみたいに幻覚や暗示を使ってもいいんだけどね。その手の術が得意な奴は、残念ながら、何年も前に燃えてしまったんだよ」

「貴方が燃やしたんでしょうが」

「僕は魔術で身動きを封じただけさ。…まあ、ともかく。いない奴の事は諦めるしかない。だから……」

 

 そこでジャックは倉庫の隅から、真っ黒な袋を持ってきた。

 袋の中から取り出したのは、数十センチほどの木の苗だ。

 イドゥンはそれを見て、叫んだ。

 

「それは、まさか……『トネリコ』ッ!!」

 

 『主神の槍』の材料は既に、ジャックの手の中にあった。

 上条たちに先んじて、ジャックは『トネリコ』を回収していた。

 

「雪山から抜け出して、気でも抜けてたかい?一般人に探し物の場所を聞くのは構わないけど、外で聞き耳されていないかくらいは確かめた方が良いよ」

 

 ジャックは『トネリコ』を、イドゥンには届かない位置に置きながら言う。

 

「なんでも、大事なものなんだろう?何に使うのかは詳しくは知らないけどさ、凄いのは分かるよ。加工された霊装でもないのに、魔力をビックリするくらい保有してる」

 

 ジャックは腰を落として、地面に転がるイドゥンの頬を優しく撫でた。

 

「さ。だから、頼むよ。イドゥン。僕に繁栄を運んでおくれ」

 

 ジャック・スミスは狂っている。

 徹頭徹尾、自分の事しか考えていない、エゴイストと呼ぶことすら憚られる、自己愛の行きついた果て。

 彼にとって他人の想いを踏み躙る事は、散らかった机のゴミを纏めてチリ箱に放り込む事となんら変わらない。

 

 しかし、だからこそイドゥンには確信があった。

 ここで頷けば、自分は間違いなく『トネリコ』を手にすることができる、と。

 

 ジャック・スミスが信用における人間という訳ではない。

 そんな言葉はこの男とは対極の位置にある言葉だ。

 

 だが、彼は約束を破る程、他人に価値を置いてはいない。約束を反故にして、イドゥンが激昂する様子を見るなんて事は、彼は面倒くさがって、しないだろう。

 

 彼の興味は、常に自分の人生にしかない。

 彼が、かつて自分が率いていた魔術結社を滅ぼしたのも、食客となった結社の秘奥を盗み出したのも、今多くの人間の命を引き換えに繁栄を手に入れようとしているのも。

 

 すべては彼が楽に生きるためだ。

 最低限の労力で人生を謳歌するためだ。

 

 彼にとって他人は只の踏み台でしかなく、又踏み台が壊れるのは偶々であり、それ自体を壊すことに意義を見出していない。

 

 簡単だ。

 さっき自分がやったことと、同じことをすればいい。

 首を縦に振って。『林檎の魔術』を発動する。

 

 それだけで、自分は『願い』を叶える小切手を手に入れることができる。

 

 だから。

 

 イドゥンは、ジャックの顔を正面から見つめて、こう言ったのだ。

 

 

 

 

「----嫌よ」

 

 

 少し前の自分なら間違いなく頷いていただろう。

 臆面もなく己の家族の敵であるこの男に尻尾を振っていた筈だ。

 

 だけど。

 彼は言ったのだ。

 

 『ヒーロー』ではない、只の少年。

 悩み、恐れ、分からない事だらけの、あの馬鹿な男は自分に言ったのだ。

 

 胸を張って、『家族』の元に帰れ、と。

 頑張ったね、ってちゃんと頭を撫でて貰え、と。

 

 自分はそれに頷いた。

 『家族を生き返らせる』ことが自分の『願い』じゃない。

 『生き返らせた家族の元に帰る』事こそが自分の『願い』。

 それをイドゥンは自覚したから。

 

 だから。

 だから。

 

「は?悪いけど、もう一回言ってくれる?」

「嫌って言ってんのよ、この勘違いナルシスト野郎!」

「んん?悪いけど、耳の調子がーーーー」

「貴方の言いなりなんかに、私はならない!」

 

 だから、こんな外面だけの男の手なんて、自分は取らない!

 

 自分の真の『願い』を間違えるな。罪に濡れた新世界なんて、欲しくはない。自分は嬉しさのあまり泣き笑いを浮かべながら、あの穏やかで優しかった世界に帰ってみせるのだ。

 

「私は胸を張って『家族』の元に帰るのよ!貴方なんかの言う通りに、何の罪もない一般人を犠牲にしたら、彼らの元に帰れないじゃない!分かったかこのッッ!!馬鹿野郎ッッ!!」

 

 身体に力を籠めて、イドゥンは勢い良く跳ね上がる。

 椅子に縛られて、身動き取れない身でもそれくらいはできる。

 

 イドゥンは目の前にあったジャックの顔に、思いっきり頭突きする。

「が、はッッ!?」

 

 縛られた身体では上手く着地も取れず、イドゥンの身体には鋭い痛みが襲う。額は熱くじんじんする。だけど、彼女の心は晴れやかだった。

 

「悪いけど……」

 

 頭突きで鼻を打ったのだろう、ハンカチで顔を抑えながら、ジャックは言う。

 

「後悔するな……、なんてことは言わないよ」

 

 声は冷え切っていた。

 顔はもう笑っていなかった。

 

 

 

 

「----後悔しまくれ、小娘が」

 

 

 

 

 

 




ジャック・スミス。
友達になりたくないなぁ…って思ってくれるような悪役になってれば、幸いです。






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