シンデレラのぶかぶかなガラスの靴   作:結城 理

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氏名:原田 美世

ふりがな:はらだ みよ

身長:163cm

体重:46kg

血液型:O型

年齢:20歳

誕生日:11/14

利き手:右

3サイズ:86/59/85

星座:蠍座

出身地:石川

趣味:クルマ、バイクいじり

所属時の本人からのコメント:アイドルとして走るのも悪くないかもなーって思ったんだよね!
あっ、でも速く走るためにはメンテが必須だからね!
プロデュースよろしくね、■■さんっ♪

宣材写真同封のコメント:まさかアイドルにギアが入っちゃうなんて!
人生何があるか分からないね!
でも、目指すからにはトップでしょ♪
さぁ、フルスロットルでいっちゃおー!

所属事務所:346プロダクション
所属部署:トライアルターボ↓
ツインドリフドクロ↓
クロニクルサーガ↓
スクエアエコー (現在の名称)


file02:原田美世

初めて会うたんは確か海岸沿いの何の変哲もない道路やったな。

しかも会話の発端がまさかのエンスト。

明らかアイドルとの会話の発端に似合わん内容やわな!

まぁあの時はホンマに焦っててん。

適当にオートマティックの中古車買ったばっかりとはいえ、あまりにも急にエンストするもん。

そんなことある?普通?

 

そんでしばらく動かん車をガチャガチャいらってみたけど、全然わからん。

その時や、美世が来てくれたんは。

 

『あれれー?どうしたのー?

エンストー?』

 

きょとんとした顔で何処からともなくイケてる赤い車で来よった。

すぐ停車して降りてきて、バンパーの前まで駆け寄ってくるや否や秒でキラキラした目つきになりよったな。

 

『これはリッカーかな……』

 

好奇心旺盛な瞳とどこかで同情するような顔。

その二つを持っていた美世に一目惚れは出来んかった。

お偉いさんの所のライブ会場に遅刻寸前やったし。

多分急ぎやなかったらその抜群のルックスに簡単に一目惚れしてたやろう。

んで、遅れてることを伝えたら、会場まで美世の車で送ってくれると。

親切なやっちゃなーって思ったで。

 

『レディ………ゴー!!!』

 

掛け声聞こえるまでは。

あの時ほんま死ぬか思たわ。

今まで見たことない速度で世界が動いたわ。

その世界が終わったかと思ったらいつの間にか会場間に合ってて。

あの時はおおきにな。

 

そんであんなくっさいスカウトに乗ってくれて。

今思い返したら恥ずすぎてよう書かれへんわ(笑)。

そんでそっから、今までに感じたことのない速度で物事が動いた。

というか、余りにもスムーズに進歩していってんな、俺ら。

 

『走るなんて……車の方が速いのに……。

でも、体力づくりだし、しょうがないかぁ』

 

初レッスンで生身で走らせたりしたなぁ。

二人ともめっちゃ迷って学校とかに到着したっけ。

 

そうや、それからちょっとしてから宣材写真!

カメラマンがファン2号になった日やな!覚えてるか?

あれは不幸中の幸いってヤツやったな。

ファン2号が事故らんかったらあんなに良い写真は撮られへんかった。

美世は気付いてへんねやろうけど、あの写真を上の人達が高く評価して、そのお陰でアイドルの特技が重視される傾向が取られてん。

 

えっと、初仕事の時は…ごめん。

美世がなんかひたすらブロロンブロロン言うてる印象しかなかったわ。

まぁそれが功を奏して結果オーライやな。

 

それからラジオ、ライブ、握手会、サイン会、グラビアと。

ほんまに色々やってたな。

たまにやってたレースクイーンが美世的には一番楽しかったんちゃう?(笑)

美世に対しては仕事の了承もらう前に必ず大丈夫か確認取ったけど、その度に毎回、

 

『うん、余裕余裕♪

フルスロットルで行くよー!』

 

って言ってたな。

まだ俺が仕事に慣れへん内は凄く頼りになった。

最近では挨拶代わりみたいなもんになってるな。

今では時期シンデレラガールズ候補やからな!

しっかり他の3人の頼りになんねんで、スクエアエコーのトップさん!

 

大丈夫、経験と他にないルックスで勝てるて!

 

 

………………あぁ、謝らなあかんな。

 

 

 

他のアイドルが経験してないことさせたもんな………。

 

 

 

言い訳になって申し訳ないけど、あの時はむしゃくしゃしてて気がおかしかってん。

所属アイドルが一人だけの状態で成果を上げるのに限界が来た。

それも、想定よりも早くに。

これは純粋に、トライアルターボプロデューサーである俺の能力不足が原因や。

そんな状態での久しぶりのオフに、美世は海誘ってくれたな。

美世はあの時軽い悪戯のつもりで誘惑したんやろうけど、俺は全力で乗ってしまった。

 

そりゃ美世に女性としての意識が全くない訳やないけど。

 

アイドルとして、越えたらあかん一線を越えてもうた。

それも一晩で3回も。

 

外れたのが不幸中の幸いってヤツやろか。

もうこの時に見限ってても良かってんで?

なんで許した?

心身共に大きく傷つけた俺を?

 

数週間して小梅をスカウトした。

部署名も変わった。

俺の自責が増えた。

自傷が増えた。

辛かった。

逃げたかった。

仕事が億劫になることすらあった。

 

でも、そんなん無理やった!

美世は逃げへんかったから!

健気に頑張っていたから!

せやから俺もまだ頑張ろうって思えた!

 

でも、スクエアエコーに部署名が変わった頃には、限界が来てた。

美世ももう一人でも行けるって思えたし、なんなら他の3人の面倒も見れるくらいに頼もしくなっていたから。

 

 

二つ目の謝罪や。

 

勝手に死んでごめん。

逃げてごめん。

頑張りきれんくてごめん。

 

今になって未練タラタラやわ。

死ぬ直前に戻りたいって凄く思う。

でも、もう手遅れ。

逃げた俺への罰やな。

 

もう、だいぶ勝手に吹っ切れてもうたから罰ついでにもう一個罪増やしたろか思ってんねん(笑)。

 

いや、笑いごとちゃうわな。

 

 

美世にな、一つ我儘言いたいねん。

 

 

 

こんなクソみたいな俺でも、美世とはある程度は仲良く出来たと思う。

 

 

せやから、美世も多少はショックやとは思うねんけどな。

 

出来るだけすっかり俺のことは忘れて欲しい。

 

美世の人生に俺は汚点やねん。

せやから、すっかり忘れて。

 

そんで、シンデレラガールを獲って欲しい。

アイドルの頂点に立って時に、また俺のことを思い返して欲しい。

 

 

ほんま終始勝手で申し訳ないけど、これが最後や。

 

 

 

もう俺は現世に留まれず、いわゆるあの世ってヤツに行ってまうやろう。

 

 

 

 

正直今パソコンに憑いて打ち込むのも辛い。

 

 

 

 

もう、時間ないわまとめな。

 

 

 

 

えっと、何言うかまとまってない………

 

 

 

 

 

どうしよ時間も………………

 

 

 

 

………あ、えっと………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美世、

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう、プロデュースが出来て、幸せやった。




俺はハンドルから助手席へ、そして今は後部座席で見守っているからな。


フルスロットルでポディウムに飛びかかったれ!

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