イナズマイレブン1!2!3!4!? 比企谷 八幡伝説   作:投げやーりー

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こうして、雷門サッカー部は成長する。

生徒会長様が帰った後、俺達は特訓を始める。

 

今日は金曜日なので、必殺技の練習・開発である。

 

当然錘をつけて練習をするのだが、初めての豪炎寺には、最初のアップ中に何とかこの錘の特訓に慣れて貰いたいものである。

 

 

あれから鉄塔広場までの道のり20往復、河川敷付近で短距離走20セット、逆立ち走20セット、腹筋30セットを完了したところで必殺技の練習に取り組む。

 

「ん?」

 

ドリブル練習だろうか、小刻みにジグザグとドリブルをする半田に正面から壁山が止めようとするが、半田に段々と雷の様なエネルギーが溜まっていき、そして、そのエネルギーは壁山へと放出された。

 

 

「ひぇ?アバババババババ!?」

 

壁山はそのエネルギーに感電し、面白いことに成っているが、それよりも半田の必殺技は何か見覚えがあった。確かあれはアルゼンチン代表の……

 

「よっしゃ!新しい必殺技が出来たぜ!その名も半田ライトニングサンダーだぁ!」

 

と、ネーミングセンスの欠片もない技名を堂々と言ったが、

 

「ねぇな」「ないでやんす」「ないね」「ないわ」「ないですよ半田さん」

 

染岡、栗松、マックス、木野、音無の順番に即却下された。まあ、妥当だな。

 

「全く……ダメですねぇ半田くん、いいですか?必殺技と言うのはもっとスマートでインパクトがあり、尚且つ分かりやすく、なんと言ってもカッコ良くなければいけないのですよ。

 

仕方ないのでこの目金がこの必殺技を…」

 

「あー、『ジグザグスパーク』って所だな」

 

「ちょ、ちょっと比企谷くん!?」

 

長々と語っていた目金に割り込む形で思い付いた事を言ってしまった俺……スマンな目金。

 

「けど比企谷、何で俺のあの必殺技を『ジグザグスパーク』って呼んだんだ?」

 

「惚けなくても良いぜ半田、大方アルゼンチン代表のDFが好んで使う『ジグザグフレイム』をパク……参考に作った必殺技だろ?本来ブロック技の『ジグザグフレイム』をドリブル技にアレンジするなんて中々出来ないぜ?凄いぞ半田。」

 

「あ、アル…ゼンチン?俺…アルゼンチンの試合まだ見たこと無いけど…」

 

「……マジで?」

 

と言うことは自力で開発した技が二番煎じみたいになったと言うことか?報われねぇなぁ…半田。

 

何はともあれ半田の新必殺技は『ジグザグスパーク』と言う名前に落ち着いた。

 

「うぅ…ヒドイッスよぉ、半田さぁん……」

 

そして、ぬるっと起き上がり半田の後ろから恨みがましく見つめる壁山…

 

あまりの迫力に「ご、ごめん壁山」と、引き気味に半田は言うも

 

「許さないッスーーぅ」「ギャーーー!?」と、愉快な音声と共に恐怖の鬼ごっこが始まった。

 

俺は半田に合掌した後、思い悩んでいる様子の風丸の元へ向かう。

 

「どうした?風丸」

 

「ああ、比企谷か…、実は最近ドリブルが上達して攻撃にも参加できる様になったんだが…、MFからFWの奴らは全員シュートチェインすることが出来るだろ?

 

俺も参加出来たらもっと役に経つと思うんだ。

 

だが、半田に教えて貰った『浴びせ蹴り』は俺と相性が悪いのかしっくり来ないんだ。もっと使いやすそうな必殺技を知らないか?」

 

なる程な、確かに風丸は留まるより上がっていくタイプのDFだ。守備力も壁山とはまた別のベクトルで高いし、攻撃力の観点からも、風丸のスペックなら得点に十分貢献できるはずだ。

 

それに俺としても風丸の悩みは解決した方が良いだろうと思う。

 

思うに俺達雷門のサッカーは超攻撃的変則型としか良いようの無いスタイルだと思っている。王道の攻撃力も奇襲による攻撃力も高く、決定力には事欠かない…しかし残念ながら守備力はそれほど高いとは言えないのも現状だ。その辺りは何とか出来るように俺も頑張らんとな……

 

さて、風丸の悩みだが……

 

「なあ、風丸…お前自身のスピードを生かしたシュートを生み出したらどうだ?例えば『疾風ダッシュ』を上手くアレンジすればシュートチェインに参加するだけのシュートじゃなく、お前自身が強力な決定力に成りうるシュートになる…と俺は思う。」

 

「俺のスピードを生かした……『疾風ダッシュ』をアレンジしたシュート……か、ありがとう比企谷、何か掴めた気がする。また相談に乗って貰っても良いか?」

 

 

「ああ」

 

迷いは晴れた様だな…後は風丸の頑張り次第だな……

 

 

「比企谷」

 

「…豪炎寺か」

 

いきなり話しかけるなよ心臓に悪いだろうが!いきなりボッチは話しかけられることに慣れてねぇんだよ!俺のノミの如き心臓に負荷が掛かりすぎて突然死したらどうするんだよ!

 

「お前、いつもこんな風にアドバイスとかしているのか?」

 

「ああ、まあな…」

 

あー、そうなんだよなぁ、それこそ最初の1年は皆必殺技を覚えるだけで精一杯感あったしなぁ……

 

それに必殺技を習得するのに俺が尽力しないといけないくらいには弱小サッカー部だったなぁ…

 

うん、八幡ホントに頑張った。

 

「そう言えば豪炎寺、お前『ファイアトルネード』の他に何か必殺技を使えるのか?」

 

ふと気になった事を訊く。

 

「ああ、『ヒートタックル』と言うドリブル技だ。」

 

「見せて貰って良いか?」

 

「ああ、仲間だしな、俺の手の内を知って貰っても損は無いだろう。」

 

「ありがとよ。それじゃあ俺がディフェンスするから豪炎寺はその『ヒートタックル』を使って俺を突破してくれ。」

 

 

俺が構えると、豪炎寺は渦巻く炎を身に纏い俺にタックルをする。

 

俺は豪炎寺がぶつかる瞬間に衝撃を受け流す為に後ろに飛んで衝撃を受け流し、バク転して着地した。

 

「かなり突破力のある必殺技だな。豪炎寺、所でブロック技は無いのか?」

 

「あ…あぁ、残念だがブロック技は使えない。そもそも必殺技とはそう簡単に身に付くものでも無いしな。」

 

確かにそうだろう。

例え使えたとしても練習は必要だし覚えられるかどうかもわかったものでは無い…まあ、俺みたいに必殺技を覚えるコツが分からないとそう思っても仕方がないだろう。

 

「…いや、今の『ヒートタックル』を見て思ったが、豪炎寺、お前にぴったりのブロック技がある。」

 

「何!?その必殺技は一体…」

 

「『ジグザグフレイム』…アルゼンチン代表のDFが好んで使う必殺技だ。そうだな、実際に動画で見て貰った方が早いか、スマン豪炎寺、少し待っててくれ。

 

…………おい、目金、ちょっとパソコンでアルゼンチン代表の試合の動画を出して欲しいんだが…いいか?」

 

俺は染岡達と練習している目金に話し掛ける。

 

「ん?唐突ですね。一体どうしたと言うのですか?」

 

「実は、豪炎寺にブロック技を教えたいんだが、相性が良さそうな必殺技をアルゼンチン代表の選手が使ってんだよ。『ジグザグフレイム』と言うんだが…」

 

「『ジグザグフレイム 』…確か半田君の新しい必殺技と似ていると比企谷君が言っていた…

 

フム、いいでしょう!実は比企谷君が言っていたその『ジグザグフレイム』がどの様な必殺技なのか気になっていたのですよ!」

 

目金の承諾を得た俺は、早速パソコンを持った目金と共に豪炎寺の元へと戻る。

 

「豪炎寺、待たせたな。」

 

「どうぞ豪炎寺君、これが『ジグザグフレイム』ですよ。」

 

「ああ、見させて貰おう。」

 

目金は豪炎寺に動画を見せた。丁度相手チームがアルゼンチンの守備ラインに入った所で、アルゼンチン代表のDFが足に炎を纏い、まるで地面を滑る様にジグザグに走行し、隙をつきボールを奪った。

 

「これが…『ジグザグフレイム』……か」

 

興味深そうに豪炎寺は動画を見返す。

 

「成る程…確かに比企谷君が半田君の必殺技を『ジグザグスパーク』と名付けたのが良くわかります。動作だけを見ればかなり似通っていますね。ですが、完成度は圧倒的にこちらの『ジグザグフレイム』の方が上ですね。

 

何よりあのジェットブーツで走行するような近未来的な動きはロマンを感じます!」

 

どうも目金はあの動きがお気に召したらしい。豪炎寺と一緒に食い入る様に見ていた。

 

 

あれから10分後、俺と豪炎寺は『ジグザグフレイム』の練習に移っていた。

 

先ず、俺は『ジグザグフレイム』の所感を豪炎寺に言うことにした。

 

「俺が見た限り、あの技は『ヒートタックル』と『ファイアトルネード』のノウハウが活かせる技だと思う。

 

何故なら足に炎を纏うと言う流れは『ファイアトルネード』から…相手への突進力は『ヒートタックル』から、それぞれ転用出来るだろうと言う予測ができるからだ。

 

後、注意点として大きな違いが、地面を滑るように移動すること、その過程で恐らくスピードに振り回される様になること……くらいか?

 

まあ、そこは何度も練習して調整していくしかねーな。

 

それじゃ、練習開始だ。俺から『ジグザグフレイム』でボールを取ってみろ。」

 

俺は豪炎寺に向かってそう言うと、豪炎寺は足に炎を纏い、こちらへと踏み出そうとする…も、走って動こうとした為か、バランスを崩し、後ろに重心を傾けたバランスの取り方で辛うじて滑っていた。

 

「豪炎寺!動画を思い出せ!走るんじゃなく滑るんだ!もっと体の重心を前にして思いきった方がコントロール出来る筈だ!」

 

俺のアドバイスで早速フォームを修正した豪炎寺は、直ぐにトップスピードに乗り、左右へとジグザグに滑走し、ドリブルする俺からボールを奪い去った。

 

まさか一発でここまで形に出来るとは…

 

流石木戸川清秀でエースを張っていたことだけはある。

 

 

「比企谷…お前は…

 

いや、何でもない、ありがとう比企谷、見ただけで必殺技を使うことが出来るように成るなんて思っても見なかった。済まないがもう少し練習に付き合ってくれ。」

 

その後、豪炎寺が納得できる形になるまで『ジグザグフレイム』を練習し続けた。

 

しかし、流石豪炎寺と言うべきか、使う度に技のキレが増している。

 

これは次の練習試合で豪炎寺がどこまで活躍するか楽しみになってきたな…

 

 

 

 

そして、練習漬けの毎日であっという間に時間は流れ……試合当日となった。

 

 


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