魔理沙の家で一夜を明かし、私とヒロ、そして魔理沙は魔法の森の北東にある、紅魔館を目指して歩いていた。
勿論目的地は博麗神社なのだが、歩きでの移動の為、大変時間が掛かる。
こんな時淀子姉さんのバイクがあれば、なんて思うのだが、肝心な時に姉さんは現実世界にいるという現実。
「なるほど、これがスペルカードか」
先頭で歩きながら一枚の札、いやカードを見つめながら私は呟く。
「そうのぜ。一応使い方を覚えれば誰でも使えるのぜ」
「へー」
てことは、
「なあ、私にも使えるのか?」
「多分な、でも何故だ?」
今持っている武器を思い出しながら言う。
「今私の持っている武器な、無限連射可能になったインチキエアガンしかないのよ。
だから、スペルカードの使い方を覚えれば、殺さずに遠距離攻撃が可能な筈なんだ」
某サイトで見た情報によると、スペルカードでの勝負は『殺し合い』を『遊び』に変える要素らしい。
故に二丁拳銃を牽制目的で使用し、スペルカードで仕留める方法が、一番戦いやすいと気付いた。
「そういう事か。それなら、その拳銃を使ってスペルカードを使用できるようにしようぜ。
私の知り合いに機械に詳しい旅人がいるのぜ。
多分呼んだら来ると思うが」
そんな奴いたかな・・・・・・?
「おーい、にとり」
魔理沙がそう呼ぶと同時に、何もない空間から人が現れた。
勿論東方キャラだから女性だ。
ウェーブの掛った外はねが特徴的な青髪の上に、緑の帽子をかぶっている。
瞳の色は青色で、大きなカバンを背負っている。
「よんだ?」
「おう、にとり。頼みがある。
そこの奴が持ってる拳銃を、スペルカードの技が使えるように改造してくれないか?」
魔理沙の依頼を聞くと同時に、私と私の持つ拳銃を見て問う。
「アンタ、雰囲気的にここの国の奴じゃないよね。
名前は?」
「お、おう。私の名前は浅井初だけど・・・・・・。
お前が河城にとりか?」
「うん。私がにとりだよ」
勿論イラストで見たことがある。スク水のイラストが多かった印象が・・・・・・。
次ににとりは、ヒロを見て、
「そこのあんちゃん、名前は?」
「ヒロ」
にとりはヒロの全身を見てから、再び問う。
「アンタは武器持ってないのかい?」
「ああ。武器なんて普段持ち歩かないからな」
「じゃあ、ここで戦う為にアンタの武器も作ってやるよ」
そしてにとりは、私の拳銃を受け取ってから、作業を開始した。
◇◇◇
六時間程その場で待ち。
私の二丁拳銃の改造と、ヒロの武器の制作が完了したようだ。
私はよく観察しながら、にとりに質問した。
「なあ、にとり。これって何か変更点みたいなのはあるのか?」
「うん。一応スイッチを付けた筈だから、それをオンにしてみな」
にとりに促され、拳銃を確認すると、確かにスイッチのようなものがあった。
カチリ、という音でスイッチを切り替える。
「一応スペルカードは、銃弾之星(スター・バレット)という奴だ。
使ってみな」
私は少しだけ移動し、二丁拳銃を木に向けた。
〇コンマ五秒の速さで照準を定め、引き金を引く。
銃口から現れたのは、シルバーの光を放つ星だった。
その星は木に激突すると同時に弾け、木を真っすぐに吹き飛ばす。
「このスペルカードは、あらゆるものの中でも強力だわ。
多分切り札になると思うわ」
「おう、ありがとな」
「それからヒロの武器だが、これなんてどうだ?」
にとりがヒロに渡した武器は、刀。
「一応スペルカードの効果で、斬撃を飛ばせるようになっている」
「それなんの月牙〇衝・・・・・・?」
てかブ〇ーチ来年実写化するらしいな。私はラ〇ライブの映画あったらそれ見たいが。
「まあやってみてよ」
ヒロは両手で刀の柄を握り、木に向かって振り下ろす。
同時に光の刃が木に激突し、木を斬らずに、木を吹き飛ばした。
一応スペルカードは殺し合いを遊びに変える道具だから、殺傷はしないわけだ。
「と、こんなわけだ。最近悪霊に取りつかれる奴が多発してるから、気を付けてね」
にとりはそれだけ言い残すと、どこかに行ってしまった。
「さて、じゃあ紅魔館へ行くぞ」
「おうッ!」
そのまま北東に向かって、私達は再び歩き出す。