「よりにもよってアリスか・・・・・・」
爆弾投げまくる奴相手とか勝てるわけねーだろ。
こっちの武器はエアガン二丁だけだぞ?
「取り敢えず効くかどうかだけ試すか」
私はアリスを無視し、木に向かってエアガンの銃口を向ける。
引き金を引き、バンという音と共に弾丸が放たれる。
弾丸は一直線に進んでいき、木を貫通した。
「え・・・・・・?」
私は頭がおかしくなったのだろうか。
ダンゴンガン、と三度引き金を引く。
四発が限界の筈だが・・・・・・。
五発目が放てた。そしてその弾丸は全て、木を貫通した。
「なるほどな・・・・・・」
ここではエアガンは人を殺傷する兵器になるわけか。しかもリロードがいらないという。
格ゲーでよくある仕様になっているわけだ。
「これでアリスと戦えるか・・・・・・」
「私を無視して試し撃ちとかアンタなんなのよ・・・・・・」
「いや私が元の世界から持ち込んだ武器エアガンしかないからな? てか正直エアガンが実弾銃に変わってて驚いた」
まあご都合主義が過ぎる展開ではあるが。
「ま、まあ良いわ。そんな事知った所で、あんたは今から私に殺される運命(さだめ)。
軽く捻ってあげるわッ!」
ヒロと私、魔理沙に向かって人形が放たれる。
「悪いが、私は射的だけは得意なんだよなッ!」
二丁のエアガンから弾丸を放つ。
弾丸はそのまま人形を貫通し、起爆した。
「戦う力が無い筈の現実世界人のわりにはやるわね・・・・・・」
「残念ッ! 私ほぼいつも死にかけてるから、今更爆弾くらい取るにならないぞ」
私はそのままアリスに向かって駆け出す。
「じゃあこれならどうかしらねッ! 上海人形ッ!」
何もない空間から現れたアリスの人形から、一直線に太い光の波動が放たれる。
これがスペルカードというものだろうか。
先とは桁違いの攻撃。
私は横にそれを回避し、アリスに向かって前転する。
光線は私の後方にあった木を穿ち、衝撃に耐えられなかったその木は、私に向かって倒れてくる。
体勢を立て直した後、私は右の拳を握り。
アッパーの要領で、木を空中へ吹き飛ばす。
「はぁ・・・・・・」
喧嘩慣れしていると自負している私にも、アリスの倒し方は分からない。
相手はスペルカードという、あらゆる戦いの常識を覆す、必殺の遠距離攻撃を有する。
私には、姉さん達とは違い普通の人間に出来ることしか出来ない。
さて、どう戦う・・・・・・?
「行くわよッ! もう一度上海人形ッ!」
考えさせる間もなく、アリスは人形からレーザーを放つ。
「うおおおおおおおおおッ!」
私はそのまま地を蹴って駆け出す。
赤いレーザーは私には当たらず、木を穿った。
アリスの攻撃は、私が避けようとする事を前提に放った一撃。
ならば、一直線に進めば当たらない。
そして、避けないと確信したアリスは正面に放つ筈。
予測は当たり、私はそれを回避し。
右のエアガンを、空に思い切り投げ。
右拳を、驚くアリスの顔面に叩きつける。
そのままアリスは真っすぐに吹き飛び、木を腰に激突させた。
空から降ってきたエアガンを、難なく右手でキャッチし、くるくる回してポケットに収納する。
「な、何とか勝てたな・・・・・・」
「そ、そうだな。取り敢えず家に帰してあげようか」
◇◇◇
魔理沙と共に、アリスを家に帰しに行き。
再び魔理沙の家の外で。
「さて、すっかり夜も遅くなったな。
どうするのぜ?」
「今から動くのは危険だと思うから、取り敢えず今日だけでも泊まらせてくれ」
「ま、まあ良いのぜ」
霧雨魔法店に入り、取り敢えず荷物を置き、夕食を頂いた。
メニューはキノコのスープと、キノコ炊き込みご飯、マツタケのステーキ、キノコサラダ。
「いっただっきまーす」
◇◇◇
飯を頂き、リビングに行ってみると、今度はヒロが荷物チェックをしていた。
iphoneに、3〇SとP〇 vitaと私と持ち物はほぼ変わらない。
ヒロが入れているソフトはFPSだ。
これはFPSプレイヤーとしての血が騒ぐ。
「なあヒロ、FPSで勝負しようぜ」
「ま、まあいいけど。お前強いのか?」
これでも私は世界ランク一位なんだよなあ。
「ああ。多分お前は私を一キルすら出来ないぜ?」
「上等だ。やってみろ」
「んじゃあ、盟約に誓って――」
「「アッシェンテ!!」」
行ったのは二十戦。
ヒロとFPSをし、私は二十勝零敗。圧勝だ。
「お前二丁拳銃でここまでいけるとか何者だよ・・・・・・」
いやなんでスナイパーライフルとか使ってその程度なのか説明して欲しいぞ・・・・・・。
そしてそのまま、一夜が過ぎた。