Aura Battler DUNBINE Cross Knight's & Magic   作:ハイパー・ダーナ・オシー
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例えばオーラバトラーがいて、それよりも基礎性能はある程度高い幻晶騎士が戦った場合、中の人のオーラ力補正で総合的な性能は互角になると考えています。そのため、サーバインはどっちかっていうとオーラ力補正でめっちゃやばくなってるっていう捉え方をしています(じゃなきゃ初期も初期に作られたオーラバトラーがズワァースの上位互換体のズワウスと互角に戦えないのではないだろうか)。或いは試作機特有の増産も糞も燃費もない、メカの顔していたショットが暴走して作った結果本当に性能も馬鹿にならなくなったって可能性もありますが。


第三話 月の森の戦闘

「サーバインが到着しました!」
「よし、中に入れろ!」

王都からヤントゥネンへと飛行してきた白い姿。夜空を飛ぶサーバインが開けた地に降り立つ。サーバインの到着を確認し、オーラバトラーや幻晶騎士が入る程の巨大な建物の扉が開かれ、その中をサーバインが入っていく。そして中を見ると、そこでは壊れた機体の修復作業や慌ただしく補給を行っている姿が目に入った。

「何だ?何があったんだ?」
「凄い慌ただしいけど、まだベヘモスとの戦いで受けた被害が?」
「それにしてはペースが速いのが気になるな……」

空いている位置にサーバインを近づけ、コクピットを開いて鎧を外し、降りるシオン。降りてきた彼に、テッドが近づいてくる。

「よぉ、来たかシオン」
「何があったんだ?」
「実はな……」

テッドがシオンがいない間の出来事を語っていく。ガロウ・ランの襲撃を受けたこと。一旦ガロウ・ランを退けて今は彼等の足取りを追っているということ。そしてその話の中に敵が使っていた武器を手に入れたと聞き、シオンがそれを確認したいと言い、二人はそれが保管されている所へ向かう。

「こいつが……その、ガロウ・ランの幻晶騎士が使っていた武器なのか?」
「ああ、味方が討ち取られた。威力は保証できるぜ」

シオンの目の前にあったのは、襲撃者であるガロウ・ランが使用していた新たな武器である、左腕に装着された小型爆弾を発射する篭手。見た目こそ対したようには見えないが、この場にいるこの兵器の威力を目の当たりにした者達が警鐘を鳴らしているのだ。それだけの威力を秘めているのだろう。

「そこで現在、この遠距離攻撃を受け止めるべく、盾を持っていない機体に盾を配備している。シオン、お前の場合は間に合わせでサーバインの手首が通るようにしたものを用意してある」

トルクが運んで来たのは確かに彼の言うとおり、一つの盾だった。サーバインの腕を通せるように改造した後が見て取れ、サーバインの爪を引っかけて固定する機構が付けられている。

「サーバインの機動力を損なう可能性もあるが、どのみち障害物の多い森での戦いだ。ここは守りを重点において損はないと思う」

ヤントゥネン騎士団団長、フィリップの助言を聞きながらシオンはその盾を見る。少し考えた後、その盾をサーバインの側へと持って来てサーバインに乗り、右腕を動かして盾を持ち、それを左腕へと通し、最後に爪を引っかけて固定する。そして軽く動かして普通に腕を動かす分には支障がないことを確かめると、満足げに頷く。

「ああ、こいつは役立ちそうだ」
「!聖戦士様!!奴等が動き出しました!」
「ジャ・バグか!」
「追跡に出していたガロウ・ランが戻ってきたか」

頭部にスカーフを巻いた細身の肉体の男性がサーバインに乗り込んだままのシオンの前へと現れる。色味の強い肌を持つ彼を前にシオンは兜を外して対応する。ジャ・バグと呼ばれたその男はシオンの前で膝を付くと、自分の調べてきた情報を伝えていく。

「連中はボキューズ大森林の奥地に建造された城に戻っていきました」
「城だって!?そんなものがあるのか?」
「ええ、といっても所々に修復の痕がありましたが。恐らく、かつて人の地を広めるためにそこに城を作ったは良いとしても、結局強い魔獣との戦いに押される形でその領域を後退した結果、城だけがあそこに残るようになった、と捉えるべきでしょう」
「そこに連中がいるんだな」
「はい」

テッドの言葉に確信を持った声で頷くジャ・バグ。それを聞いてシオンも頷きながら懐に手を伸ばし、そこから金貨袋を取り出す。

「ありがとう。案内を頼めるかい?」
「えぇ、それこそ聖戦士騎士団のためならば」

金貨を投げ渡され、それを受け取ったジャ・バグが最後に一礼して一旦その場から走り去る。その姿を見ながら、テッドが一人呟き、その言葉にフィリップが自分の意見を口にする。

「やれやれ、ガロウ・ランが皆あいつみたいな奴等だったらマシだっただろうに」
「所詮ガロウ・ランは獣。彼が偶然飼い慣らされているだけさ。全く、自分達から枝分かれしたドワーフを少しは見習ってほしいものだ」
「そんなこと言ったらコモンだって悪人と善人がいるんだ。そんなことを言ったって意味ないさ。いつになったら出れる?」
「ああ、十分後には準備が終わる筈だ」
「よし、出発は十分後にする!フィリップもそれでいいか!」
「こちらは構わない!」

シオンの声が響き渡る。そして十分後、ここの守りをヤントゥネン騎士団へと任せ、聖戦士騎士団はジャ・バグが発見したガロウ・ランの居城へと攻め込むため、オーラバトラーと幻晶騎士団を動かすのだった。


―――


木々が生い茂る森の中。魔獣も寄りつかぬ妙な匂いが漂うその地には一つの城があった。とはいえ、その城の外装はほとんど壊れて砕けており、一階だけが無事な有様。辛うじて屋根はあるため、雨風は凌げる上に場所もそれなりに広いため、ここにいるガロウ・ランにとってこの場は自分達の住処となっていた。

「どうだったかな?私の作った新型幻晶騎士は」
「ああ、とんでもなく使いやすかったぜ!しかし、あんなに大量のオーラリアクタ、どこから調達したんだ?」

月の光が差し込む薄暗い城の一室。そこで右目が隠れたガロウ・ランの青年が目の前の人物と話していた。その傍らにはガロウ・ランにしてはどこか優しいような、いや脳天気そうな顔つきの青年が立っていた。

「俺だってオーラリアクタの製造が国家秘蔵なもんでその生産コストが異常に高く、とても簡単に手に入らないってことぐらいは知ってる。なのにあんたはそのオーラリアクタを大量に生産してみせた。どういうカラクリを使ったんだ?」

右目の隠れたガロウ・ランの男は多少機械に強い、所謂インテリと呼ばれる類の存在なのだろう。

「生物の心臓を使い、オーラ力を吸収・転換・貯蓄する装置。幻晶騎士の心臓とも言えるべき存在だが、肝なのはオーラリアクタがオーラリアクタであるために擬似的な血液が必要となること……しかしこの血液はオーラ伝導率に難がある上に全体的に製法そのものが秘匿されているせいもあって一つ作るだけでコストが高い。ならば安価で作るに越したことはないだろう?生体エンジンなどお手のものだ」
「だからその製法を教えろってんだよ」
「ふふ……お前達が交戦した例の騎士団、ヤントゥネン騎士団と聖戦士騎士団を見事打ち倒してみせたらその功を以て信頼の証として教えてやる」
「ちっ、もったいぶりやがって」

その人物に毒づくガロウ・ラン。その姿を見ながら、二人を鼓舞するようにその人物は激励をかける。

「私は期待しているのだ。頼んだぞ?ロウ・リン、モト・カナよ。お前達もまた、奴等を倒せると思っているからこそ、敢えてあのガロウ・ランを逃がしたのだろう?」
「ばれていたか」
「同じガロウ・ランだ。やり方は熟知しているぜ」

不適な笑みを浮かべる二人。と、そこにもう一人のガロウ・ランの男が素早く現れる。

「ロウ・リン、モト・カナ。奴等が来たぜ」
「よっしゃ!行くぜ、ロウ・リン!」
「ああ、聖戦士だか何だか知らないが、こいつの威力を喰らわせてやれば一撃だぜ」

モト・カナの声に答えるように隠れて見えない右目を覗かせながらロウ・リンが声を上げ、二人は報告に来たガロウ・ランと共に自分の幻晶騎士へ乗り込むために走り出す。その姿を見ながら、その人物は闇の中へと姿を溶かし始める。直後、城の外で爆発音が響き渡る。それは、聖戦士騎士団とガロウ・ランの戦いの開始を告げる合図であった。

「うおおおおお!」

刃が幻晶騎士を両断する。その刃がオーラリアクタまでも両断し、その内部から青い液体がこぼれ落ち、同時にその身が爆発する。

「くそ、自爆するのか!」
「シオン!!」
「貰ったぜぇ!」
「くっ!分かっている!」

右から爆弾が発射された音に反応するように左腕に装着した盾を構えるサーバイン。その爆弾が盾に命中し、その威力を盾が受け止めるもその一撃で盾は大きく歪む。

「おせ、おせぇ!」

騎士団の幻晶騎士が手にした杖から炎が放たれ、それが敵機の発射した爆弾に直撃し爆風が飛び散る。その中を突破してきた敵機の腕から放たれた一撃が杖を破壊し、それに怯んだ機体をカバーするように別の所から投げられた一機がその敵機にぶつけられ、二機がバランスを崩す。

「うぉお!こ、この!」
「当たってやるものか!」

それでも何とかサーバインを狙おうとぶつけられた二機が攻撃を仕掛ける。しかし、発射された爆弾を前にしたシオンは冷静に判断し、空中にいる状態で自分の身を一回転させながら横に素早く移動して回避する。そのまま銃口の修正もできない敵機に迫り、一機のコクピットを貫くとその場を離脱、直後、貫かれた機体が爆発し、その爆発にすぐ近くにあった味方の機体を爆発させる。

「うぉおお!」

正面から連続して放たれる爆撃を自身の愛機である緑の幻晶結晶の全長程もある巨大な盾で受け止めながらトルクが剣を手に走り出す。盾が凹み、表面が弾け飛びながら敵機に勢いよく盾を激突させてバランスを崩すと、そのコクピットを一突きで中のガロウ・ランを仕留める。

「ぐぁああああ!」

直後、機体が爆発し、その爆発の衝撃がトルクを吹き飛ばす。幸い爆発の直前に刃を抜いて盾を構えて直撃こそ避けれたものの、その爆発によって盾が半壊してしまう。

「こ、こいつ、しがみついてうわああああ!」
「くっ、自爆する機体なんて厄介なものを!」

死の直前に聖戦士騎士団の機体に自分の機体をしがみつかせ、爆発に巻き込んで相討ちされ、敵味方数機が中の騎操士と共に死亡する。

「くそ、どうしてこうも都合良く自爆できる!?機体が駄目になったのを判断する術式が組み込まれているってのは予想できるが、中の奴が死んでも起動するのはどういうカラクリになってるんだ!?」

剣を振り上げながら接近してきた一機を避け、蹴り飛ばす。そして背中を見せた敵機にテッドがトマホークを投げる。投げられたトマホークは回転しながらその刃の先端を敵機に深く突き刺し、敵機を自爆の衝撃に呑み込ませる。そして吹き飛んだトマホークを周辺に注意を向けながら回収したその時だった。

「!」

まるで本能で動いたような感覚だった。何かの気配、いや自分に敵意を向ける者のオーラ力を感じ、咄嗟に機体を捻るように逸らす。直後、自分の脇の下を爆弾が通過する。

「ちっ、仕留め損なったか!」
「新手か!」

爆弾を撃ってきた機体のある方を向くと同時にトマホークを構える。闇から現れた茶色い鎧に全身を覆ったその幻晶騎士の背中側の腰には鞘があり、右腰には刃の刀身が収まる鞘にしては微妙に大きい筒がついており、その左腕には先程テッドを攻撃した爆弾射出機が装備されていた。

「へっ、コモン人が調子に乗ってるんじゃないぜ!」
「馬鹿言うんじゃないよ!あんたらが乗ってるのだってそのコモン人が作ったものだろうが!」

敵機の剣とトマホークがぶつかり合い、火花が散る。数回の斬り合いをした後、突如として敵機が距離を取るように下がる。

「ロウ・リン!」
「何だ……!?」

しかし、その意図に咄嗟に気付けたことでテッドは何とか背後からのもう一機の攻撃の回避に成功する。しかし、完全には避けれず、背中の装甲に刃が刻まれる。

「挟撃か!?」
「こいつ、意外とやり手だ!モト・カナ!あれでいく!」
「ああ!」

テッドを襲ったのも、目の前のロウ・リンと背後のモト・カナなるガロウ・ランが呼んだ者が乗っているのと細部を除いて同じ機体だった。そして二機が共に右腰の筒の中に剣の刀身を入れる。そして刀身を抜くと、その刀身に液体のようなものが付着しているのをテッドは確認する。二機が機体の左腰に付けられた少し色合いの違う装甲に刀身を勢いよく擦らせると、火花と共に液体が燃え始め、炎を纏った刃へと姿を変える。

「こいつら、正気か!?こんな所で明かりを強くして……仲間を呼ぶ作戦か!?」
「そいつは違うぜ!」

モト・カナが炎の剣で斬りかかる。その一撃に何かあるとその場から跳んで攻撃を回避する選択を取るテッド。その刃がテッドを斬らず、テッドの背後の大木を斬ることとなり、炎の先端が触れた瞬間にそこが勢いよく燃え、炭化してばらばらになって崩れ落ちていく。文字通り、焼いて斬られた大木が崩れ落ちる。

「な、何だこれは!こいつら、どんなカラクリを!?」
「ガロウ・ランにはガロウ・ランの知恵袋があるんだよ!俺達秘蔵の、魔獣の体液などを特殊配合して作り出した溶液!こいつの威力は見ての通りってわけだ!幻晶騎士の装甲程度なら簡単に切り落とせる!」
「俺のデンと!」
「俺のシン!」
「「この二機の前にお前は為す術もない!」」

テッドを挟む幻晶騎士、シンに乗るモト・カナとデンに乗るロウ・リン。二機は必殺のフレイムソードを確実に命中させるため、左腕から小型爆弾を射出しテッドの周辺を攻撃、逃げ場を塞ぎ、身動きを封じる。

「うおおおおお!」
「終わりだ!!」

煙が揺らめき、赤い炎が地面へと突き刺さる。切れれば確実に仕留められる一撃。しかしそれは空を切る結果となり、そこに金属片の一つも落ちてはいない。

「何!?」
「馬鹿な、逃げただと!?」

どこに逃げたというのか。自分達も動いているため、多少は音はあるが、それでも闇雲に移動したのならばその足音が響くはずだ。しかし、足音を一つも聞かせずに消えた。跳んだのならば跳んだでその予備動作とそれに伴う音が出るはずだ。となると、あいつがどこにどんな方法で消えたのか、その候補は一つ。

「ま、まさか!!」
「逃げちゃいないよ!!」
「こっちも二人に増えた、そうは考えなかったのか!」

瞬間、トマホークの先端がデンの左腕の射出機に突き刺さり、射出機が爆発する。同時にシンの左腕が切り落され、二機は慌てて距離を取るようにその場から離脱する。

「う、嘘だろ!?」
「一体どこから!?」
「視界を封じられたって、オーラ力で探知することぐらいならできる!しかもあんな明かりを見せられれば目立つ!ビーレスは大丈夫か!?」
「ああ、背中を軽く切られた程度だ、問題ない!」

煙が晴れた先にいたのは、サーバインとテッドの愛機であるダークブルーカラーの幻晶騎士、ビーレスだった。煙の中、敵を倒してこちらに加勢に来て空から飛び込んできたサーバインによってビーレスは救出され、逆に煙を利用して視界を封じ、敵の隙を狙って攻撃したのだ。

「火薬武器は厄介だが、それでもやりようは幾らでもある!幻晶騎士の操縦技術の差が響いてきたな、ガロウ・ラン!お前達の仲間も多くがやられた、もう時間の問題だ!」
「何……!?」

シオンの言葉通り、既に戦況はシオン達の方に傾いてきていた。小型で使いようによっては驚異的な火薬武器。そして倒されると自爆する機体も、対処に慣れ始めれば対応できる。そして、自分達のアドバンテージが潰された今、シオン達が有利に戦いを進めることができるようになるのは自明の理だろう。

「今すぐ投降するんだ!これ以上被害が出るのは吝かではないはずだ!」
「投降だと!?そんなこと、できるわけないだろうが!」
「どうせ、屈した所で牢にぶちこまれるか、殺されるかしかないんだ!」

シンとデンが互いに近づく。先程液体を付着させた筒をデンがシンの腰から外してそれを自身の腰の筒と重ねるように接続させる。

「何をする気だ!?」
「降伏なんざしようって腹じゃなさそうだな……!」
「へっ、どうせ俺達に逃げる道なんざないのさ!」
「それに、こっちにはまだ奥の手があるんだぜ!!」

二つを接続した筒を腰から外し、それを二機が炎に包まれた刃で貫く。直後、筒の容器が弾け飛び、巨大な炎が刃を覆っていき、二機が距離を徐々に外しながらサーバインとビーレスに迫る。二機の刃と刃の間は、巨大な炎の紐が出来上がっており、先程の威力を知るテッドはそれを受けてはいけないと判断する。

「あれは盾なんかじゃ防げねえ!」
「ああ!」

サーバインがビーレスの腕を掴み、空へと飛び出す。回避した二機に構うことなく、敵機はそのまま前方へと突っ込んでいく。まだ、他の兵達が戦闘を行っている場所に。

「な、何だあの炎は……!?」

燃え上がる炎は木々を焼き切りながら迫る。それを前に、敵も味方も関係ない。その炎に触れた幻晶騎士の装甲が一瞬にして蒸発するように溶けていき、両断され、破壊されていく。

「うぉおおおお!?」

トルクが何とかジャンプして回避行動をする。しかし、その足を焼き切られ、地面に転がってしまう。

「ひゃははは!回るぞぉ!!」
「ああ、回るぜぇ!」

二機が距離を詰め、炎の縄を切らないようにターンし、仕留め損なった身動きの取れないトルクを仕留めようとする。迫る二機の幻晶騎士を前に、冷や汗を流すトルク。

「シオン!!」
「オーラ力を出すぞ!」

サーバインがデンとシンに突進する。その足の三本の爪はビーレスの両肩を掴む形で突進しており、機体も赤く染まっている。弾丸以上の速度で飛んだサーバインは足を後ろへ振り上げ、それを片方へと投げ飛ばす。

「やらせるかよ!」
「足掻いてやる!」

トルクが盾を投げ飛ばす。それを何とかデンが回避するも、直後、その右肩に投げられたトマホークが突き刺さる。

「ぐっ、肩が!?」
「盾はまだもう一つあるぞ!」

さらにサーバインもまた盾を投げ飛ばし、それがシンの頭部に突き刺さる。サーバインの攻撃とトルクの足掻きでバランスを崩した二体に、サーバインが投げ飛ばしたビーレスよりも速く迫り、デンの右肩から胴体を両断し破壊する。さらにビーレスもまた残った右のトマホークで胴体を貫き、中の人物を仕留める。

「「うわあああああ!!」」

大爆発が二機を包む。その爆風の余波を受けそうになるビーレスの前にサーバインが立ちはだかり、サーバインから発生したオーラ力がバリアのようになって爆風を防ぐ。

「くっ……大丈夫か?」
「ああ、何とかな。トルク、お前さんの方はどうだ?」
「足を飛ばされたが問題ないぜ……それより他は?」
「分からん。しかし、こいつらが敵さんの親玉であると考えていいのかね」

既に爆発の中で死体も残っていない敵機。何故、敗北と同時に機体が爆発したのか。その疑問を脳裏に過ぎりながら、静かになった森の中で生存者を集め、シオン達は事後処理へと乗り出すのだった。


―――


聖戦士騎士団がボキューズ大森林で遭遇した、ガロウ・ランの操る幻晶騎士の集団。その数が一騎士団程の数があったことから、それだけの機体をどうやって調達されたのかが重点に置かれ捜査が行われた。しかし、フレメヴィーラ王国内部で幻晶騎士の部品盗難などが行われた形跡など一切存在せず、技術者が失踪した、等ということもない。敵機を解析できれば何かが判明したかもしれないが、肝心の機体が一機として存在していなかったことからそれは不可能となっており、辛うじて回収できた敵機の腕などを調査してもよくある機構であり、とても情報源とはなり得なかった。

しかし、敵機が存在していないという情報から、この機体を作った存在はこの機体に相手に知られてはいけない彼等だけが知りうるブラックボックスが搭載されているという可能性が浮上。強力な魔獣が徘徊するボキューズ大森林の奥地には自分達の知らない幻晶騎士の技術者がいる可能性が有り、今後の調査が期待されるという結果でこの一件は一先ず幕を閉じることとなる。

「撃つぞ!」

そしてその事件より時が過ぎ。サーバインが左手で引き金を引くと同時に、左手首に装着された並列四連装型の射出機から小型の爆弾が発射される。それは離れた距離に置いてある丸太に付けられた的に命中し、的と共に丸太を爆発で吹き飛ばす。

「へぇ、ガロウ・ランが考えたものにしちゃ良いもんじゃないか。それに、魔導兵装(シルエットアームズ)を装備できないサーバインにはぴったりの武器だ。俺もこいつを付けさせてもらおうかね。杖なんざ持ちにくくてしょうがないんだ」

サーバインの左手首には、爪に引っかかる形で射出機が装備されている。さらに腕を一周する形で固定器具が取り付けられており、発射トリガーは左手で引く形を取っている。それを見ながら、黒髪の整った顔つきの横に広がった体つきを持つドワーフの青年が少し難しそうに頬を搔く。

「しかし厳しいな。規格が違いすぎて、例の幻晶騎士と同じにはできなかった」

サーバインの後ろにある工房から茶髪の少し身長が小さめだが大きな体格をした男が現れる。渋い顔つきをしたその男はサーバインを見ながら面白そうに笑う。

「へっ、寧ろ元々幻晶騎士用だったものをサーバイン用に改造したものを開発しただけ、今は大きな進歩だぜ、フェン。それに、こんな酔狂なことをする奴なんて、聖戦士様らがご贔屓にしてくれる俺達しかいやしないさ」
「アラン……ま、それもそうか」

ここの作業場の主任である茶髪のドワーフ、アラン・グレイドル。そしてここで機体整備などを行うドワーフの一人である黒髪のフェン・チグカリオがサーバインから降りてきたシオンを見る。

「こいつは便利な武器になりそうだ。名前とかあるのか?」
「そうだな、幻晶騎士の杖が魔導兵装なんだから……」

考え込むアラン。この武器はどちらかというと幻晶騎士よりもオーラバトラーの方が向いている。そう考えて、ある名前を思いつく。

「オーラバトラーにつけるなら、最初のオーラを取ってオーラショットってのはどうだ?どうせ、普通の幻晶騎士はコストの面からこんなもん取り付けねえからな」

オーラショット。この火薬を用いた武器は、実の所幻晶騎士に持たせようとするのには向いてない。無論威力は保証されているのだが、弾丸は使い捨てされている。対して魔導兵装の武器は幻晶騎士内部のオーラ力を消費して攻撃を行う。その際、オーラ力は消費するがオーラリアクタによって回復することができるため、事実上損失がないといえる。そのため、一度使い切った後にまた攻撃を行うためにオーラ力を補充すればいいのに対し、オーラショットは材料を用意して組み立てて装填する必要がある。とてもではないがサーバインやこれを使うことに乗り気なテッドら以外には好まれない武装だろう。

「オーラショットか……」

二人の成人ドワーフの目を見ながら、シオンは頷く。どこか聞き覚えのある武装だが、だからこそぴったりなのかもしれないと感じたのだ。

「いいんじゃない?」
「そう言って貰えるとは幸いだ。しかし、ガロウ・ランとの戦いで結構被害を喰らったな」
「ああ」

工房の中には修復や改修作業を受けている多くの機体がある。その全てがシオンの騎士団の機体だ。先日のガロウ・ランとの戦いで手足を切られたり、爆発で吹き飛ばされたりと散々な目に遭ったものも多く、ここまで来ると修復ではなく新造も視野に入れるべきではないかという見解をアランは出しており、それにシオン達も同意していた。

(機体の新造、か……そういえばあの子は何をしているかな?)
「そのために比較的損傷のないビーレスを一旦実験機として武装の追加などを行う」
「お手柔らかに頼むぜ、アラン。今有事があったら動けるのはサーバインとビーレスだけなんだからな」
「安心しろ、俺達だって鍛冶のエキスパートだ。乗って弄くる奴等が不安に感じてることなんざ起こさねえさ」

テッドの言葉に軽口を叩くようにアランが言葉を返す。歳こそ離れているが、こうして軽口をたたき合える辺り仲が悪いわけでは決してない。

「そういうわけだ。出来を楽しみにしていてくれよ」

にやりと口元に笑みを浮かべるアラン。その表情を見ながら、テッド達は新たな機体に期待を望むのだった。






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