取り残された軍人と潜水艦   作:菜音

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本当は出す気はなかったけど相談役の友人から作ってあるなら出せ!と脅されました。

続くかは皆様次第で‥‥


とある航空兵のメモ帳 2ページ

 

 

私ははじめ、彼が怖かった‥‥

 

 

 

 

 

私達ははじめから姫様の盾として造られました。

 

なのでありとあらゆる場面などに運用、適用できるように様々な艦種の負の念を集められて造られました。

 

そんな私達は姫様の代わりに傷を負うこと前提な為、感情はありません。

 

 

 

私は泊地棲鬼様の配下になりました。

このお方は姫様の中では私達に優しい方です。

 

 

その日は姫様に連れられてある島を攻撃します。

それが命令だから仕方ない。

 

 

人間が攻撃して来ます。

姫様の攻撃は全て庇います。

 

そもそも姫様は私達以上のバリアがあるのだから必要ないと思うけど、きれいな姫様に傷をつけるわけにいかない。

 

 

しばらくして、人間の兵器と基地は壊しました。

 

姫様は帰れると言いました。

 

しかし、まだ空に一機、まだいました。

 

 

 

「お前、後片付けを」

 

私が命じられました。

 

所詮は人、人間の爆薬や鉛玉なんて怖くないです。

 

私は対空射撃を行います。

早く帰らないと‥‥、うちの姫様は優しいけどこれが他の姫様だと壊される。

 

 

しかし、その機体に攻撃が当たりません。

全て回避されています。

それどころか向こうから迫ってきます。

 

 

それでも当たりません。

 

こんなベテランがわざわざ爆撃機でもないのに接近してくる理由はなに?

 

 

 

すると彼女を構成している負の念の記憶が甦ります。

 

 

突っ込んでくる日本機、燃える艦橋、乗員の流れる血と叫び声‥‥

 

 

特攻

 

 

 

 

 

彼女は生まれてはじめて恐怖を感じた。

 

いけない‥‥あれだけはいけない!

 

あれは喰らっていけない!

 

 

 

彼女を構成する負の艦の記憶がそう叫びます。

 

私は必死に射撃をします。

 

しかし、間に合わなかった‥‥

 

 

 

 

案の定、私は大損害を受けた。

でも、なんで?バリアは?

 

 

彼女もこの時点では人間も知らないが、深海悽艦には『特攻』が存在する。

 

 

ある攻撃はある艦のバリアを無効にして貫通する原理だが、そんなのは彼女には関係なかった。

 

 

おそらく彼女を構成しているものに特攻し沈められた艦の負の念が混じってたのだろう。

 

 

はじめて恐怖を覚えた彼女は自我が芽生えた。

 

そして、自我の目覚めた私の中に彼女が形作られた。

 

 

 

人間がこっちに来る。

 

人間が体を叩いた。

 

すると、体は真っ二つに割れてしまった。

 

 

 

なぜ?私の体は今割れた。

なら今の私は?

 

 

気付くと私は別の形をしていた。

 

まるで姫様を小さくしたような‥‥

 

 

人間が武器を向けてる。

 

 

こ、怖い!

 

 

恐怖が溢れてくる。

 

これまで無縁だった恐怖という得体のそれない感情は更なる恐怖を生み出し、それを知らない事による恐怖はまた更に恐怖を生み出し続ける。

 

 

 

怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い

 

 

 

 

 

人間がふと武器を下ろして苦しみ始める。

何故だ?

 

 

 

そして、しばらくして人間の顔に殺意が出る。

 

私は覚悟した。

 

今度こそ殺られる!

 

 

 

 

しかし、またしても裏切られた。

 

 

人間は武器をしまった。

 

 

そして、話しかけてくる。

 

 

 

「恐がらせてごめんな!もうヒドイ事はしないからな!」

 

 

そして、彼は私の頬を撫でてくる。

 

 

この体になった事ではじめて感じる感覚だ。

 

 

だけど、どこかに懐かしい感覚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日もお疲れ。よくやったお前達‥‥」

 

姫様は大規模な攻撃が終わると私達を誉めてくれた。

そして、何体もいるのに撫でてくれたのだ。

 

 

そうだ!あの感覚だ!

 

姫様に撫でてもらったあの感覚だ!

 

 

そう思うと途端に安心を覚えた。

 

 

それにより恐怖も薄れはじめた。

 

 

 

今日ははじめてなことばかりだ。

 

 

恐怖も安心もこの人間がはじめて与えてくれた。

 

 

気が付くと私はまた新しい感覚を覚えたらしい。

 

ならば、もはや姫様の元に帰れそうにないし、

この感覚に従ってこの人間の元に居るとしよう。

 

 

 

 

こなみにこのユウと名付けられた彼女はのちにこの感覚を好意と知る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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