取り残された軍人と潜水艦   作:菜音

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本章
とある軍人は出会い 1日目


とある島にて

 

 

「敵襲!伏せろ!!」

ヒュー、ズドーン!!

 

 

 

 

 

 

私が目を覚ますと青空が広がっていた。先程まで屋内にいたはずだが施設はめちゃくちゃに破壊されており屋根が無くなっている。周りを見渡すと廃墟が広がっていた。しかし、破壊されてから少し経っているようで私は思っていた以上に眠っていたらしい。

 

 

ここは日本国防軍の軍事施設であり、私はそこに配属されていた陸軍中尉である。

 

近年、この島の近海で油田が新たに見つかったのである。その為この島は採掘の拠点になり採掘基地などが作られ、それが多くの雇用を生みこの島の経済は発展して大型の商店も建てられたのである。

 

ところが深海棲艦と呼ばれる謎の敵が姿を見せ始めた為警備の為にこの軍事施設が置かれた訳である。

 

そしてとうとう恐れていた事が起きたのである。

中国を初めとしたアジア連合軍が敵の侵入を阻むべく戦いを挑んだが惨敗し侵入を許してしまい、深海棲艦がここにまで迫ってきたのである。なので我々陸軍が油田の作業員や島民を島から避難させるべく誘導していたのだが敵の侵攻速度は予想以上に速く、敵の空襲を受けたのである。そこからの記憶がないのでおそらくその時に気を失ったのだが‥‥、よくもまぁ無事だったな。

 

「しかし、これは不味いな‥‥。」

 

そう、どうやら私は1人置き去りを喰らったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「陸軍の輸送船が全部出ているな。どうやら民間人の避難は間に合ったらしい。」

 

私はしばらくしてから辺りを周り始めた。

どうやら激しくやられたのは軍事施設と港だけで町には被害が無かった。その港も船は残っておらず尚且つ沈んでもいなかった。そして、これまでに死体は見なかったのでおそらく皆無事に逃げたのだろう。

 

「困ったな‥‥。」

 

死人はいなかったが他に逃げ遅れた者もいなかった。船は一隻も残っていないので島から出ることも出来ない。そうです、私はただ1人無人となった島に取り残されたてしまったのである。

 

 

 

おそらく軍事施設の地下倉庫や町などに行けば食料には困らないと思う。だけど救助が来るまで独りぼっちとは‥‥。いや、そもそもその救助が来るかどうかも怪しい所だ。人間あんまり1人が続くと精神的にくるらしいからな‥‥。あんまり覚えていないが子供の頃読んだロビンソン・クルーソーも話し相手欲しさに鳥を捕まえて言葉を覚えさせたとか。ここはインコとかオウムがいるほど南国ではないからなぁ。

 

などと考えながら海岸を歩いていると岩場の方から何かバタバタと音が聞こえてきた。何かが岩場に打ち上げられたのかそれとも何かいるのか‥‥。私は腰の拳銃を取り出し用心しながら近づいていった。

 

 

 

 

音源に大分近づいたようだ、この岩の向こうだな。

この音からすると何かいるのは間違いない、しかし魚等では無さそうだ。逃げ遅れた人間かそれとも深海棲艦がまだ彷徨いていたのかも知れない。どちらにせよそろそろ向こうにも気付かれているだろうから覚悟を決めた方が良さそうだ。

 

(よし!いくぞ!)

私は意を決して飛び出した。そして驚いた。

私の予想は一応当たっていた。よりにもよって後者だが、しかし、想定外だったのはその深海棲艦だった。

 

とにかく小さいのである。

小柄で長い黒髪、肌は白くパッとみたら貞子かと思うがあまりに幼く見えるため怖そうには見えない。小さい酸素マスクがあるが少し大きいのか使えこなせていなくて背中にも小型の通信機(トランシーバーみたいに見える)もこの子には重たそうに見える。とにかく今の状況を分かりやすくまとめると、深海棲艦と思われる子がいたがとても幼くて岩場の潮溜まりで溺れている?のである。

 

 

「(>_<")!!!」バタバタバタバタ。

 

なんか見ていて苦しくなるので助ける事にした。

 

 

 

 

 

「(^-^)♪」ニッコリ

 

とりあえず休めそうな所があったので腰を下ろしている。この子も一緒です。先程まではガタガタ震えていたが今は落ち着いたのか私にじゃれている。

この子は前に見た資料によると潜水艦クラスのカ級らしい。しかし、資料の写真とは違い今笑っているこの子はあの禍々しさが1欠片もない。とても小さな子でおそらく生まれたてなのだろう。しかし、どうやら私の言葉が少し分かるらしい。

 

あれから辺りを探索したが深海棲艦は他には何処にも見当たらずどうやらこの子だけのようだ。

 

「お前も1人か‥‥。」

奇妙なものだな、話し相手が欲しいと思ってたら人類の敵、しかも幼い女の子が出てくるとは‥‥。

しかもどうやらなつかれてしまったようだし‥‥。

この辺りの海は海流云々で潮の流れも早いしそんな中まだろくに泳げなさそうなこの子を放つのは罪悪感が強いしな‥‥。

 

「仕方ない、しばらく面倒見ようか。」

となると、この子の事はなんて呼ぼうか?

んー、そうだな‥‥。この子はカ級と呼ばれているクラスなのだろう?しかし、だから言ってカ級と呼ぶのもどうなのかな?ん?なのかな?カ級‥‥。かな。

そうだ!カナにしよう!

 

「お前の名前はカナにしよう。どうかな?」

 

「(-_-)ウ~ン、(≧∇≦)♪♪♪!」ニッコリ

 

どうやら気に入ったようだ。

 

「これからよろしくな!カナ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは民宿だったようだ。

ここなら調理場や布団もあるし水とガスも使えそうだ。

後は電気だが、電気は発電施設が使えなくなっているので後で基地の廃墟から使えそうな物を持ってこよう。

どうやらカナは先程は溺れていた訳ではなく、打ち上げられた魚状態だったようである程度の深さの水があった方がいいようだ。実はここを拠点に決めた後、近くの百貨店に行ってみたがかなり大きい水槽があった。それこそ寿司屋とかで見かけるあの水槽より大きいぐらいのサイズだ。誰が買うんだ?

 

ついでにノートとボールペンも拝借した。

カナについて観察したことや分かった事をまとめるつもりだ。まるで自由研究の観察ノートか子供の育児ノートみたいだな。

 

なんとか暗くなる前に発電機を用意できた。

今日は色々あったがようやく食事の時間だ。

気を失ってから何も食べていなかったので大分お腹がすいている。食材があるので料理できないこともないが流石に体力の限界なので今日は発電機と一緒に持ってきていた軍食のレーションで我慢する。レーションは栄養はしっかり摂れて良いのだがいかせん美味しくないのである。

 

私の食事が終わった後はカナの食事についてだった。

深海悽艦が何を食べるかなんて知らないので非常に困りました。海にいるのだから魚とかを食べるのか?いやでも駆逐艦クラスが人を補食する所が目撃されているから案外肉派かもしれない。いやでも、まだ幼いから離乳食か?そもそも食べるのか?

 

色々考えてとりあえず色々用意して食べさせてみることにした。

 

まずはお肉を軽く焼いてみたがまだ噛む力がないのか上手に食べられないようだ。次に魚をさばいて刺身にしてみたがお気に入りめなさいようだ。次にミルクを飲ませたがむせてしまった。うーん。食べないことはないが難しいらしい。あれ?何気に料理してるな私。

 

疲れたので一緒に用意していたリンゴを切って食べる事にした。うん、リンゴは甘くて美味しく。レーションの後だから余計に美味しく感じる。

 

「(・_・)」ジー

 

なんかカナが凄く見てるな。

 

「食べる?」

 

「(≧∇≦)」コクコク

 

カナの食べやすいサイズに切ってあげた。

 

「モグモグ!、(^q^)!!」

 

どうやらお気に召したようだ。

早速記録しておこう。

 

 

彼女は眠ってしまった。どうやらお腹いっぱいらしい。

こうして見ているとまるで人間の子供のようだ。とても人類を脅かす敵には見えない。とりあえず今日の事を記録しよう。脱出できるまで私自身の日誌も書こうと思う。私のサバイバル?日誌とカナの観察ノートを書き終えた私も布団を広げて眠る事にした。

 

本当に今日に色々あったな。明日から色々と忙しくてなりそうだし休むとしよう。

 

今考えたらカナの観察ノートって人類初の深海棲艦の実態調査にあるんのでは?これもし私が生きて日本に帰れて指令部に渡せたらこれは相当な手柄になるのでは?

 

 

 

などと一瞬変な事を考えながら中尉はその1日を終えるのでした。

 

 

 

 




どうもです菜音と申します。
初めましての方もそうでない方もこんにちはです!
このお話は私の現在作成中の再びあの海への外伝?みたいなものです。世界観は同じですが今のところ本編とはなんの関わり合いはないので安心?して下さい。
投稿は本編に比べると遅いと思うので期待しないで下さい。また、このお話を少しでも良くするためにアドバイスや感想を頂けると作者は非常に嬉しいです!


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