学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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皆様、お久しぶりです。
書き上げましたので、投稿いたします。

現在、自分の活動報告場にて、アンケートを実施しております。
詳しくは、そちらをご覧ください。
皆様のご協力を、お願いします。


第四十八話

俊輔はティーガー1とパーシングを紀伊の船底部にある格納庫へ搬入していく。なお、二両はそのまま固定され、何があっても動かない状態にチェーンで固定されたのである。

そして、俊輔達はエレベーターを使い、艦橋へと上がった。

 

「紀伊型と言うから、大和型をベースにしているのかなって考えてたけど……艦橋の形からして、アメリカ海軍のアイオワ級に近いわね………」

 

「確かに……ん?」

 

沙耶の言う通り、艦橋内部は大和型戦艦をベースとしたものでは無く、アメリカ海軍の最後の戦艦と呼ばれたアイオワ級戦艦の艦橋をベースにされていた。

俊輔は艦長席に一枚の紙が置かれている事に気が付いた。

 

「なんだ? 手紙?」

 

俊輔は紙を手に取ると、手紙で、差出人はアポロニアスであった。

 

『この手紙を読んでいると言う事は、無事に紀伊型戦艦を手にした、と言う事じゃな。さて、俊輔よ。以前、夢の中で話していたが、援助が来ない件。実は、俊輔の行動でそれは回避されたのじゃ。これにより、本来は孝君の母親や麗君の父親は死ぬはずじゃった。だが、俊輔の働きによって、それは回避された。君の働きをこれからも期待しておるぞ………さて、本題じゃ。この紀伊型戦艦にはアンドロイドが搭載されておる。起動するには俊輔が艦橋に上がった時点で開始されておるから、問題ないじゃろう………それから、空君に伝えてほしい。空君専用に航空母艦を用意しておる。この航空母艦の乗員は全員、アンドロイドじゃ。じゃが、特殊なAIを組み込んでおり、人間と同じように感情を持っておる。そこは留意しておくのじゃぞ。搭載機に関しては、航空母艦に乗艦してからのお楽しみにと言う事で………最後に、君らはもう原作と言う枠を外しておる。君らが知る原作と言う縛りは無い。その為、これから何が待ち受けているのかは、君らしか判らん。じゃが、君らであればどんな困難な状況であっても、打破出来ると儂は思っておる。これからの君らの活躍を見守っておるぞ』

 

アポロニアスからの手紙にはそう、書かれていたのであった。

 

「アポロニアス様………ありがとうございます。空、お前専用の空母が手に入るぞ」

 

「なんですと⁉」

 

俊輔は後方で待機していた空にアポロニアスからの伝言を伝えると、空は驚いていた。それもその筈である。自分専用の航空母艦が手に入ると聞けば、誰もが驚く内容なのだから。

 

「さて、その航空母艦を探しに行きますか………でも、その前に」

 

俊輔はそう言うと、艦長席に座った。

 

「艦長席って、こんなにも高いんだな………」

 

俊輔の感想はそれであった。

すると、俊輔は徐に艦長席に設置されている受話器を持ちあげた。

 

「こちら、艦橋。各員、聞こえているな。これより、我が艦は山城空専用航空母艦の捜索に当たる。各自、持ち場に配置。機関始動。対空、対艦、対潜戦闘用意‼」

 

「誰に言ってるのよ」

 

俊輔が一人芝居を始めたのかと、沙耶は呆れた表情で俊輔を見ていたが、俊輔は一人芝居をしていないと言う事を思い知らされた。

俊輔が指示を出した途端、紀伊が揺れ始めたのである。

 

「な、なに⁉」

 

「艦が動いてる? 俊輔、この艦には俺達以外は乗ってないんだよな?」

 

沙耶は驚き、近くにある物にしがみつき、孝が俊輔の方を見て確認をした。

 

「あー、確かに俺達以外は乗っていないな………人間は」

 

「人間は……ってどう言う意味だ? もしかして、俺達以外に何かが乗っていると言う事か?」

 

俊輔の回答に永が尋ねた。それに答えたのは、空であった。

 

「この艦には特殊なAIを組み込まれたアンドロイドが乗艦しています。その為、僕らはここにいれるのですよ」

 

空の説明に、何と無く全員が納得した様子であった。

 

「さて、空達はこのまま士官室で休んで来い」

 

「俊輔君はどうするのですか?」

 

「俺? 俺はこのまま艦長席で座っておくよ………何かあってもすぐに対応できる様にな」

 

俊輔は空達を先に休ませようとする。しかし、それは俊輔がどこで休むのか判らなかった。だが、俊輔の言葉を聞き納得したのである。

だが、空も自分専用で航空母艦の艦長となる身。俊輔の考えを良しとしなかったのである。

 

「なら、僕もここで残ります」

 

「だが、空。お前は疲れているだろう?」

 

「それは、俊輔君も同じ事ですよ」

 

「だったら、先に空が休んでくれ。その後の交代で空が臨時艦長をしてくれ」

 

「………判りました」

 

「なら、これが地図な。孝達も一緒に連れてやってくれ。それと、孝と冴子。コータとあさみさん。お前と静香先生、ありすちゃんは同じ部屋な」

 

空が折れる形で事は済んだのである。俊輔は地図を空に渡すが、その際、カップル同士を一つの部屋に纏めようと考え、ニヤニヤした顔で指示を出したのである。因みにだが、空と静香は恋人同士にはなっていない。だが、二人の距離はそれなりに近い物ではある。

 

「沙耶はすまないが……」

 

俊輔は沙耶を自分の部屋で一人で過ごしてもらう事に罪悪感を持ちながらも声を掛けようとしたが、沙耶は片手を出し俊輔の言葉を遮った。

 

「私もここに残るわ」

 

「だが、ここにいても何も面白くないぞ?」

 

「良いのよ………アンタの傍にいたいだけだから……」

 

「………判った」

 

今度は俊輔が折れる番だった。俊輔は副官席に沙耶を座らせたのである。

 

「なら、空。頼むぞ」

 

「了解です」

 

空は孝達を連れ、艦橋を後にするのであった。

 

「さて、これからだな………」

 

俊輔はそう言うと、窓から見える海を見つめるのであった。




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