学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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第四十六話

シグナムは、今起きている情報をヴィータから念話で伝えられ、それを俊輔に報告する。

 

「新床三小に避難している一部の住民が警察官と自分達の考えに背く住民を学校から追い出したそうです」

 

「…………どう言う事?」

 

俊輔には今起きている状況が呑み込めないのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? 待って……住民が住民と警察を追いだしたって………馬鹿か?」

 

俊輔は今の状況でそれをすれば、自分達の首を絞めると言う事が判らない住民たちに対して罵倒する。

 

「ヴィータからの報告では、奴らが向かっている方角に追い出されたらしいです」

 

「………全員、起きているな?」

 

「ああ。お前の大声のお陰でな」

 

俊輔は孝に全員が起きている事を確認すると、俊輔の大声で皆が目を覚ましたと伝えると、頷いた。そして、声を荒げて指示を出した。

 

「これより、追い出された住民と警官たちの救助に向かう‼ これは俺の独断だ‼ だが、警官の中には麗の父親もいる可能性があり‼ 孝の母親もいる可能性が高い‼ よって、俺達は速やかに準備を整え、戦車で向かう‼ 異論はあるか‼」

 

『ない‼』

 

俊輔の言葉に全員が異論無しであった。

 

「各自、準備に取りかかれ‼ 持ち時間は3分だ‼」

 

『Jawohl‼』

 

俊輔の指示に全員がドイツ語で答える。(なぜ、ドイツ語かって? 決まってるじゃないか……かっこいいからだよ‼)

 

 

きっかり3分後には身支度が終わっていた。特に女性の準備には時間が掛かると言われているが、今回は緊急と言う事もあって、女性達は化粧をする時間を省いたのである。

 

「Panzer vor‼」

 

なぜか俊輔までもがドイツ語で戦車前進と言う。これにより、ティーガー1とパーシングは今までの走りより早くなっている気がしていた。

そして幾分か走っていると、奴らの数が増してきていた。

 

「奴らの数が増えて来た……このまま突っ切るぞ‼」

 

俊輔はそう言うと、アクセルを強く踏み込む。これにより、ティーガー1の速力が上がり、奴らのミンチを製造していく。続くようにパーシングもスピードを上げ、ミンチとなった奴らの肉片を踏み挽き肉に変えて行く。

 

「見えた‼ 空、行進間射撃用意‼」

 

『Jawohl‼』

 

俊輔の指示で、空は射撃体制を取る。操縦しながら射撃が出来る様になっているティーガーとパーシングは、疾走しながら砲撃をしていく。自衛隊の最新鋭である10式戦車も真っ青な行進間射撃である。

 

「撃て撃て‼ 奴らをミンチにしてやれ‼」

 

『汚物は爆発だ‼ ヒャッハー‼』

 

トリガーハッピーとなった二人は、生存者より遠く離れた奴らに向けて砲撃していく。

 

「ヴィータ‼ シャマル‼ ザフィーラ‼ 魔法の使用を許可する‼」

 

『Jawohl‼』

 

俊輔の指示で三人はバリアジャケットを身に着け、住民や警官たちを護る様に奴らを殲滅していく。警官たちも、民間人に護られているのが嫌なのであろう。けん銃を用いて奴らの数を減らしていく。そして、住民たちの近くに戦車を止めた俊輔と空は、バリアジャケットを身に着けると、上空へと飛び上がった。

 

「お父さん‼」

 

「れ、麗‼」

 

「アナタ‼」

 

「貴理子‼」

 

宮本家全員が揃った瞬間であった。三人は強く抱き合った。

 

「お袋‼」

 

「孝‼」

 

孝も母親と合流する事が出来、一時であるが安心できたのである。

 

「孝、住民たちを一か所に纏めろ‼ 警官たちもだ‼」

 

「お前、まさか‼」

 

「殲滅する‼」

 

「…………無茶して沙耶を泣かせるなよ」

 

「わーってるよ‼ ほら、急げ‼」

 

俊輔は孝が聞こえる距離で指示を出し、麗の父親の協力もあり住民や警官たちを戦車の周りに集めさせた。

 

「ザフィーラ、シャマル‼ お前達はシールドを展開させて住民と警官達を護れ‼」

 

「「了解‼」」

 

「ヴィータ、遠慮はしなくていい………やれ」

 

「判った」

 

「シグナム、切り刻め」

 

「御意」

 

俊輔は静かに指示を出していく。先程までとは違い、加減を無くした結果である。

 

「空、やるぞ」

 

「ああ」

 

二人はさらに高く昇ると、デバイスを掲げる。

 

「フォートジック、カートリッジ、フルリロード‼」

 

「マルチロック」

 

俊輔と空は、デバイスとディバイダーを最終形態にする。

 

「スタァーダスト………」

 

「シルバァァァァァ」

 

二人の魔力は膨大となり、漆黒の闇が包み込むのではないかと思われる程、大きくなっていたのである。

 

「スパァァァァクル………」

 

「スタァァァァズ………」

 

最後の仕上げと言わんばかりに魔力はいつ爆発しても良いぐらいに膨張し、限界を迎えていた。

そして、二人は引き金を引く。

 

「ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼」

 

「ハンドレッドミリオン‼」

 

二人の長距離砲撃並びに広域殲滅射撃によって、奴らはその数を減らし、ある程度の脅威を拭ったのである。

だが、着弾と同時に地面は地震が起きたのではないかと思われる程、揺れ民家に至っては建築法に基づいて建築された筈の家々は軒並み、崩れ去った。

 

「これで奴らはいなくなった………」

 

「後は……貴様だけだ」

 

二人が見る先には、一人の男が立っていた。

 

「「紫藤‼」」

 

「クッ……ですが、良いのですか? 今、貴方方が私に手を掛けたとなれば、警察たちが黙っていませんよ?」

 

紫藤は俊輔と空が自分を殺す勇気を持っていないと思っていたのである。だが、それは間違いである。

 

「だからなんだ?」

 

「俺達は貴様がこれまでやって来た行為を見逃す気は更々、無い。だからこそ、ここで死ね」

 

二人はデバイスを紫藤に向ける。

 

「クッ………ククク………アハハハハハハ‼」

 

「何が可笑しいんだ?」

 

「とうとう、頭がイカれたのか?」

 

紫藤は絶望的状況にもかかわらず、高笑いをする。

 

「私の役目はここでお終いです………後はあの方に託すことにしましょう」

 

そう言うと、紫藤はけん銃を自身の米神に当てる。

 

「さらばだ」

 

紫藤は引き金を引き、自ら命を絶ったのであった。


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