学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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第四十話

俊輔達がショッピングモールをでたすぐに、陸上自衛隊のヘリが数機、飛行していた。

 

「無人偵察機のデータ通りだ……前方距離400のショッピングモール屋上にサインあり‼ 付近にも人影も視認‼」

 

「またアレじゃないのか?」

 

「………」

 

ヘリの操縦席に座る二人は、今までも同じ事があり、今回も同じではないのかと思っていた。

 

「一応、FLIRで確認してみる…………体温が高い‼ 生きているぞ‼」

 

「今回は当たりだな‼ すぐに僚機に伝える‼ こちらランサー6 ランサー6。シーカ―1だ‼ 3名の要救助者を発見‼ 目標に追い詰められている‼ 危険だ‼ 送レ‼」

 

「ランサー6より全機へ告げる‼ これより要救助者の救出作戦を開始する‼ 目標を速やかに駆逐せよ‼」

 

『了解‼』

 

隊長機であるヘリからの通達に全機が答える。すると、直ぐに隊長機から各機へ指示が送られる。

 

「6より全機へ‼ 目標は要救助者の至近にあり‼ 繰り返す。目標は要救助者の至近にあり‼ 先頭挺団は屋上にいる目標に対してガンで対応‼」

 

「先頭挺団、了解‼」

 

指示を受けたヘリは、屋上で生存者に襲い掛かろうとしている奴らに対して、30㎜チェーンガンが掃射され、奴は文字通り、木っ端微塵となった。

しかし、屋上にすべての奴らが集まっているかと思われたが、非常階段から数体の奴らが登っている姿を発見する。

 

「シーカ―1よりランサー6。非常階段にも目標多数、屋上に接近中‼ このままでは要救助者に危険あり‼ 繰り返す‼ 目標多数、屋上に接近中‼ このままでは要救助者に危険あり‼」

 

「ランサー6よりランサー1‼ 非常階段をミサイルにて破壊しろ‼」

 

「ランサー1、了解‼ ミサイルを非常階段に設定………発射‼」

 

ヘリから放たれたミサイルは、非常階段を屋上に繋がる部分に着弾し、非常階段を破壊する。これによりショッピングモール内にいる奴らは、屋上に上る手段は内部階段からしか無くなったのであった。

 

「シーカ―1よりランサー6‼ 非常階段は破壊された。しかし、屋上には目標多数あり‼」

 

ヘリはすぐに動きだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上では、孝達の助言もありバリケードが敷かれていた。しかし、奴らに対してあまり効果は無かった。奴らはバリケードを無理やり上から登ろうとしていたのである。

 

「なぜ、儂がこんな事をしなくちゃならんのだ‼」

 

一人の男が剪定バサミで登ろうとしていた奴らの首を斬る。これにより奴らの動きが止まった。

また、他の生存者達もスパナやレンチを持って奴らと戦っていた。

しかし、一人の女性が出刃包丁を片手に、陸上自衛隊に批難する。

 

「何、ノロノロしてるのよ‼ このままじゃ、殺られるじゃないの‼」

 

「良いから、お前も戦え‼」

 

批難していた女性に、レンチを持つ男性がツッコム。

すると、二機のヘリが屋上上空に停空すると、一機のヘリからブローニングM2重機関銃が火を噴き、バリケード外にいる奴らを殲滅させると、もう一機のヘリからロープが降ろされた。

 

「ま、まさかアレを登れと言うのか⁉」

 

「ち、違うわ‼ あれを見て‼」

 

剪定バサミを持っていた男性が、ロープを使って自分達で登れと勘違いするが、出刃包丁を持つ女性は、指でヘリから降下する自衛隊を指す。

屋上に降り立った自衛隊は、89式小銃を生存者達に向けたのである。

 

「動くな‼」

 

「どういう展開⁉」

 

女性は武器を床に落とし、抵抗しないと意志を見せたが、自衛隊には関係が無かった。女性に向けて引き金を引いたのである。

 

「ヒッ⁉ あれ?」

 

女性は自分が撃たれたと勘違いしたが、そうでは無かった。後ろで女性を襲うとしていた奴らを撃ったのである。

これに続く様に、他の自衛隊も89式小銃を使い、奴らを撃って行く。

 

「危険ですから、その場に伏せて下さい‼ 屋内に誰か生存者は残っていますか‼」

 

「残ってないわ…誰もいないわ‼」

 

自衛隊の一人が女性に、ショッピングモール内に生存者がいるか尋ねたが、既に孝達は脱出した後の事であり、屋内には誰もいないのである。

他のヘリからも自衛隊が降下し、奴らを殲滅していく。しかし、奴らの数が減る様子が無かったのであった。

すると、一人の隊員が何かを発見した。

 

「隊長‼ 目標は屋上階段口から入って来ています‼」

 

「……あそこか。ドック6よりランサー6。支援を要請する‼ 屋上階段口をガンで破壊してくれ‼ 屋内には生存者はいない‼ 繰り返す。屋内には生存者はいない‼

 

『了解‼』

 

一機のヘリが動き出すと、30㎜チェーンガンで屋上階段口にいる奴らを木っ端微塵にしていく。これにより、屋上階段口は瓦礫の山と化し奴らが入ってくることは不可能となったのである。

自衛隊はすぐに89式小銃で奴らを殲滅し、屋上の脅威は去ったのである。

すると、一人の隊員がアーマーの一部を外した。

 

「お疲れ様でした」

 

「いや、どうも……」

 

これには、生存者達も驚きであった。てっきり強面の男性が出て来るのかと思いきや、優し気な風貌を持つ男性だったのである。

 

「すぐに脱出します。ですが、今は脅威が去ったので少し休憩をします。皆さんもお疲れですからね」

 

「はぁ~………でもすぐに来れたもんだな」

 

「沖合の輸送艦からこちらへ飛んで来たのです。無人偵察機が貴方方を発見したので……命令であれば、どこへでも駆けつけますよ」

 

優し気な風貌を持つ自衛隊が空を指さすと、無人偵察機が自分はここだと言わんばかりに、機体を揺らして太陽の光を使って自己アピールをした。(無人偵察機ってこんな事出来る筈が無い)

 

「いや、そう言う話じゃなくて………ほら……なんだっけか……そう‼ EMPとか言う攻撃で機械が全ておじゃんになったはずと言う話で………」

 

「お詳しいですね。核弾頭は洋上で爆発しましたから、無傷だった地域も多いんです。目標はどこで湧きだすか判りませんから、安心できませんが………ですが、一般人である貴方がEMP攻撃を知っているのはなぜですか?」

 

自衛隊の疑問は当たり前の話である。目の前にいる男性は極普通の一般時にしか見えていなかった。また、軍ヲタでなければ、詳しい内容は判らない筈であった。

 

「あ、あたしたちじゃないわ‼ とんでもない高校生達がいて………」

 

「まさか、貴方方はその高校生たちを‼」

 

「違うよ……脱出したんだよ………」

 

この言葉にその場にいた自衛隊員は驚く。大人達でも協力して脱出する事が出来るかどうか判らない状況で、高校生たちが脱出できるとは思っていなかったのである。

 

「脱出? 自力でですか? 貴方方、大人の力も借りずにですか?」

 

「いや、彼らは………」

 

「何と言うか…………」

 

剪定バサミを持っていた男性と、出刃包丁を持っていた女性は孝達の事を思い浮かべたのである。

 

「彼らは非常階段を使って降りて行ったんです……その時に見たのが………何だっけな? 戦時中に使われていた戦車二台で脱出したんだ………」

 

「戦車ですか? それは自衛隊や軍しか持っていない筈……一般人がましてや高校生が戦車を持っているなんて信じられませんけど………」

 

「俺達は見たんだよ‼ ああ‼ 何だったか思い出せねぇ‼ なんかのアニメで登場していたんだよな‼」

 

「戦車………アニメ………平口‼」

 

「はい‼」

 

優し気な風貌を持つ男性が、一人の隊員を呼び出した。

 

「隊長、何でしょうか?」

 

「ヲタクであるお前なら判る筈だ。最近のアニメで戦車が出るアニメと言えばなんだ?」

 

「戦車が出るアニメ………戦車だけですか?」

 

「いや、美少女も出ていた………高校生ぐらいの………」

 

「………ガルパンですね」

 

「ガルパン? そう言えば茨城に陸上自衛隊の10式等が展示されるために行っていた気がするが………」

 

「そうですよ。隊長。ガルパン。正式名称はガールズ&パンツァ―と言うアニメです」

 

「そうだ‼ それだ‼ そのアニメで登場する黒森峰とか言う学校の隊長が乗る戦車と劇場版に出て来る緑の戦車だ‼」

 

この言葉で隊長は平口を見ると、合点が行ったかの様に手を合わせる。

 

「一両はティーガー1ですね。もう一台はパーシングとチヤーフィーですけど……「パーシングだ‼」名前だけでよく判りましたね?」

 

「あのアニメは何度も見てたからな‼」

 

「ですが、高校生が第二次世界大戦で使われていたドイツ戦車とアメリカ戦車を持っているとは……」

 

「自分も信じられません……」

 

二人は男性の言葉を信じようとはしなかった。だが、後に俊輔達とあった際に、本当に戦車を見る事になるとはこの時、自衛隊員は誰も思いもしなかったのであった。


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