学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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本編の前に、まず初めに今回の災害で被災された方々に対して、早く復興が成される事を心より祈っております。
また、お亡くなりになられた方々に対して、お悔やみを申し上げます。



第三十九話

俊輔達が下へと行くと、そこにはショッピングモールに避難していた人たちが集まってくる。

 

「さっきの光は何だ⁉」

 

「助けが来たのか‼」

 

「わしらは助かるのか‼」

 

全員が俊輔達に詰め寄ろうとした。その時、一発の銃声が響いた。

 

「皆さん、落ち着いてください?」

 

『あっはい』

 

銃を放ったのはあさみであった。あさみはニコヤカな笑顔で全員に言葉を掛けると、その場にいた全員が頷いた。

 

「あれは全員が頷くな………」

 

「はい………」

 

俊輔と空はその光景を見ながら呟く。

そして孝達はと言うと“おっとりとした人を怒らしてはいけない”と“俊輔以上の迫力”と思っていたのである。

 

「さて、皆さんに一つの朗報です。駐車場にいたゾンビ擬きはいなくなりました。と言っても、先程の光で消え去ったのですけど……」

 

あさみは孝達以外の人達に説明する。その言葉にその場にいた全員が驚くのだが、先程の光を見た事により納得する。

 

「それで、儂らはこれからどうするのだ‼ このままここで留まっているつもりか‼」

 

「それについてはホンカンには関係の無い話です」

 

『なっ⁉』

 

この言葉には孝達も驚く。まさか警察官であろう者が職務放棄をしたからである。

 

「警察官が何を言ってるんだ‼ 俺達を護る為にいるのだろうが‼ それをなんだ……関係の無い話だと……ふざけるんじゃないぞ‼」

 

「ふざけてなどいません。ホンカンの任務はここで終わったのです。あとは皆さんで決めて行動してください」

 

まさかの無責任を感じさせる言葉である。だが、今の世界は秩序など存在しない世界と言っても過言では無いのである。警察官に頼るだけでは生き残れないのである。

 

「ホンカンもホンカンなりの考えで行動します………ですから、いままで未熟なホンカンに付いて来てくれた事に感謝します‼」

 

そう言うとあさみは敬礼を送った。

 

「ふ、ふざけるな‼ 無責任にも程度っていうもんがあるだろうが‼ それを何? 自分達の考えで行動をしろだと…………ふざけんじゃねぇぞ‼」

 

一人の青年が包丁を片手に走り出した。

 

「お、オイ‼ 待ちやがれ‼」

 

一人の男が青年を追いかけに走り出した。

 

「まさかのこう言う形になるなんてな………だが、仕方が無い事だな」

 

「仕方が無い事だと? お前達は何をっているのか判っているのか‼ お前たちの親の顔を見てみたいものじゃ‼」

 

「残念ながら、俺達はその親を探しに行くのです。俺達は今すぐにでもここを脱出します。後は皆さんのご武運を祈ってます」

 

そう言うと孝は歩き出し、それに釣られる様に永達もついて行った。

 

「俊輔さん…どうしますか?」

 

「どうするもこうするも……俺達は孝達について行く。空、お前はどうするつもりだ?」

 

「決まってるじゃないですか。僕もあなたについて行きます」

 

空の言葉に俊輔は静かに笑いだした。

 

「それじゃぁ、動き出しますk「入って来やがった‼」なっ⁉」

 

俊輔が動き出そうとした瞬間、先程の青年を追った男性が走りながら戻って来た。だが、その後方には多くの奴らの姿が見受けられた。

 

「なんでだ‼ さっきの光で消えたんじゃなかったのか‼」

 

「まさか……奴らは立体駐車場にいた奴らか………こいつはめんどい事になったな…………」

 

俊輔は奴らを呑気に眺めていた。

 

「呑気に言ってるんじゃねぇぞ‼ どうするんだよ‼」

 

「………孝、命令権を俺に寄こせ」

 

「判った。頼むぜ、リーダー代理」

 

俊輔は孝にリーダーとして代理を申し出ると、孝もこの場合では俊輔の方が良いと感じ、リーダー代理を頼む。

 

「それじゃぁ、命令するぞ。孝、永、コータはすぐに得物を取りに戻れ‼ 沙耶、麗、毒島先輩は孝達の援護だ‼ ヴィータ、シグナムも付いて行け‼」

 

『了解‼』

 

俊輔の指示で孝達は動き出した。

 

「俺とシャマル、リインフォース、ザフィーラ、空はここから攻撃する。ザフィーラと空は近距離攻撃。俺とリインはユニゾンするぞ‼ シャマルはザフィーラと空に魔力供給だ‼」

 

『了解‼』

 

俊輔の指示は的確であった。ザフィーラと空はすぐに下へと降り立つと迫りくる奴らに攻撃を仕掛けて行き、その数を減らしていく。

 

「行くぞ、リイン‼」

 

「はい、我が主‼」

 

「「ユニゾン・イン‼」」

 

俊輔とリインはユニゾンすると、上空に飛び立った。そして、フォートジックを掲げると夜天の書が俊輔の手に収まった。

 

「さてと、ド派手にいきますか‼ 空、ザフィーラ上がれ‼」

 

「御意」

 

「判った」

 

二人が上がるのを確認すると、俊輔は夜天の書のページを捲り一つの箇所で止めた。

 

「カートリッジ、フルロード‼」

 

俊輔の声にフォートジックはスライドを十五回もブローバックさせる。それに合わせて魔力が空となった薬莢が吐き出されて行く。

 

「咎人達に、滅びの光を……星よ集え、全てを撃ち抜く光となり貫け、閃光‼」

 

≪Starlight Breaker≫

 

「「スターライト………ブレイカァァァァァァァァァァッ‼」」

 

フォートジックの銃身から放たれた法撃は、地上階に屯っていた奴らを跡形も無く消し去ってしまった。先程まで聞こえていた奴らの呻き声は、数が少なくなったのである。

 

「あっ、やり過ぎた」

 

「「「やり過ぎだ‼/です‼」」」

 

俊輔の呟きにシャマルとザフィーラ、空がツッコミを入れた。だが、それだけでは終わらなかった。第二波が迫っていたのである。だが、その時には俊輔達も各々の得物を手に取っており、狙撃戦へと転じていた。

 

「俊輔‼」

 

俊輔はリインフォースとのユニゾンを解き、地上へ降り立つと沙耶が俊輔に迫っていた。

 

「あれほど無茶はしないでって言ったでしょうが‼」

 

「今回はシャマルからの供給があったから問題ナッシングだ。だが、疲れたな」

 

俊輔はフォートジックをフォートレスモードへとチェンジさせると、狙撃へと入った。

 

「数は減らしてるんだ………許して」

 

「………それなんかい聞けば済むのかしら?」

 

「どうすれば許してくれる?」

 

「後で私と寝なさい」

 

「判りました」

 

俊輔と沙耶は狙撃をしながら会話していたのである。だが、奴らの数も既に少数となり、コータ、孝、永の三人の手によって全て消えたのである。

 

「さて、脅威はなくなったな…………俺達はすぐにここから出ます。皆さんは屋上に行ってください」

 

「お、俺達もついて行ったらダメなのか‼」

 

「皆さんを運べられるほどの足はありません。ですから、救助を待って下さい。それと、出口は頑丈にバリケードを張ってください。奴らの力は途轍もないので」

 

そう言うと、俊輔達はショッピングモールを後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俊輔達が外へ出ると、先程の青年がバンの上で助けを叫んでいた。

 

「た、助けてぇ‼ ごめんなさい…ごめんなさい」

 

青年を一目見た俊輔はコータに銃を差し出す様に言う。

 

「コータ、銃を寄こせ」

 

「えっ? でも………」

 

「楽にしてやるだけだ………どうせ助けたとしても奴は死ぬ。だったら、ここで楽にさせた方が良いだろう?」

 

「…………」

 

コータは一悩みしたが、俊輔に銃を渡した。

 

「ありがとう…………これは、俺達の恨みでは無い。お前を楽にしてやるだけだ。あの世で神様に懺悔でもするんだな」

 

俊輔はそう言うと、引き金を引く。放たれた銃弾はバンの上で助けを呼んでいた青年の頭にヒットし、頭の中身を撒き散らしたのであった。


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