俊輔達がショッピングモールに戻って二日が経った。
既に俊輔達は次にどう動くのか、作戦会議を行うのだが…………
「ところで………なんであさみさんもいるんですか?」
「本官は皆さんと一緒に行動しようと思いましたので‼」
コータの質問にあさみは敬礼をしながら答えるが、俊輔達にとっては問題の種にしかならなかった。
「いや、それは良いんですけど………アナタの本職は警察官でしょ? なら、そう言う行動をすると言う選択肢は無かったのですか?」
「ありません‼」
俊輔の言葉にも即答で答えるほどであった。
「ワン‼」
「ジーク? どうかしたのか?」
ジークは何かに反応し、窓から外へ向けて咆えていた。
「なっ⁉ 人が空を飛んでいる……怪奇現象ですか⁉」
「シグナム達か………一人連れているな………空、屋上に行くぞ」
「はい」
俊輔はすぐに誰が向かって来ているのか判ったので、空を連れて屋上に向かって行く。
「………」
その姿を見ていたあさみは、何かを決断したかのように俊輔達の事を尾行するのであった。
シグナム達は屋上に降り立つと、抱えていた女性を降ろした。それと同時に、俊輔と空が屋上へと到着した。
「シグナム達、ご苦労様」
「主、ただいま戻りました。東署から戻る際に生存者がいた為、保護しました」
「そうか……初めまして。俺の名は山本俊輔です。こっちは、山城空です」
俊輔はシグナム達が保護した婦警に自己紹介をする。
「初めまして。私の名前は松島由香里です」
「それで、松島さんは何処へ向かわれている最中でシグナム達に助けられたのですか?」
「私は東署へ行こうとしていたのですが、ゾンビに驚いて悲鳴を上げてしまったんです。その時に助けられました」
「そうですか………「松島先輩‼」ッ⁉」
由香里が助けられた経緯を教えてもらった瞬間、俊輔達が出て来た扉からあさみが飛び出してきた。
「ついて来たのかよ………面倒な事になった」
俊輔はあさみがこちらに来ているのを見ながら呟く。確かに、俊輔や空たちの魔法の存在を知っているのは孝達、高校から一緒に逃げて来た者達だけである。
「どうしてここにいるのですか⁉ 東署に応援を呼びに行ったのでは無いのですか‼」
「それについてだけど、東署には誰もいないと言う事らしいの」
「どう言う事ですか?」
「シグナムさん達に教えてもらったのよ。東署には誰もいないってね。居たとしても化け物になった者達だけ…と言う事らしいわ」
由香里があさみに説明したが、あさみはそれを受け入れられない様子であった。
「じゃぁ、誰見助けに来ないと言う事ですか………そんな…………」
「だが、俺達が居る」
「え?」
あさみの絶望の言葉を言った瞬間、俊輔は自分達が居ると言う。だが、あさみにはただの高校生に何が出来るのかと噛み付く。
「たかが高校生である貴方達に何が出来ると言うのですか‼ 私達を、全員を助けてくれるとでも言うのですか‼」
「確かに俺達はあさみさんが言う様に、高校生でした………でもね、俺にはいや、俺達には皆さんを助けられる力を持っています」
「どう言う事ですか?」
「言葉で言っても納得しないでしょうから………空、孝達を呼んで来てくれ」
「判りました」
俊輔に言われて、空は孝達を呼ぶために戻った。
「孝達が来てから俺達の力をお見せしますよ」
俊輔はそう言うと獰猛な笑いを浮かべるのであった。
「俊輔君、お連れしました」
「どうかしたのよ、俊輔」
「いや、なに。俺に力を見せようと思ってな」
『あっ』(察し)
俊輔の言葉に孝達は察した様子であった。
「でも、戦車を出すんですか?」
「いや、アレも一つだが………俺の本気を出そうと思ってな………」
俊輔はそう言うと懐に仕舞っているデバイスを取り出した。
「まさかと思うけど…………駐車場にいる奴らを消滅させる気?」
「そうと言ったら?」
「…………やっておしまい‼」
沙耶に尋ねられ俊輔はニヤリと笑うと、沙耶は諦めた様子で俊輔に殲滅する様に指示を出した。
「了解しました、我がお姫様」
「ッ⁉」
俊輔にお姫様と言われた沙耶は顔を真っ赤にした。
「さてと、あさみさん。松島さん。これが俺の力です。フォートジック、セットアップ」
『All right My Master』
俊輔の声でフォートジックはバリアジャケットを展開する。
「本気の本気で行くぞ………スターダスト・スパークル・ブレイカァァァァァ‼」
俊輔の本気の砲撃により駐車場にウヨウヨいた奴らは文字通り、消滅した。
「すっきりすっきり………ん? どうかしたのか?」
俊輔の本気の砲撃に孝達は驚いていた。以前に見た砲撃よりも威力が増しており、駐車場は地面を抉られていたからである。
「やり過ぎではないのか?」
「そうか? やるんだったら本気でやる。これが俺の流儀だ!」
俊輔はそう言うとサムズアップするが、力が抜けたのか膝から崩れようとした。だが、直ぐに沙耶が駆け寄り俊輔の体を支えたのである。
「スマン」
「ほんと、バカね。本気のアンタが力を出したらこういう事になるって前にもあったでしょうが………」
「…………そう言えばそう言う事もあったな………気を付ける」
俊輔は沙耶にそのまま身を預けるのであった。
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