学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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すみません。今回は、都合により若干短い構成となっています‼


第三十三話

「ねぇねぇ、沙耶ちゃん」

 

「沙耶お姉さまとお飛びと何度言ったら「静香先生は何処?」ッ⁉」

 

ありすの言葉にその場にいた全員が静香がいない事に気付いた。

 

「さっきまではどこにいたか判るか?」

 

「ベッドで座ってた気が………」

 

「ヤバいぞ‼ すぐに行くぞ‼」

 

「ちょ⁉ 待ってよ‼」

 

ありすの言葉に俊輔はすぐに静香がいた場所へと向かって行った。

 

〈きゃぁぁぁぁぁぁぁ‼〉

 

「遅かったか‼ フォートジック、セットアップ‼」

 

『Yes My Master‼』

 

俊輔はすぐにセットアップすると静香の悲鳴があった処へと向かった。

 

 

 

寝具コーナーの一角にあるベッド上で静かは先程のバンダナを付けた男に襲われそうになっていた。

 

「ちょっとそう言う事はー」

 

「良いだろう、別に。それにそこで寝ているアンタが悪いんだ。誘っているとしか見えないぜ?」

 

男はそう言うとベッドに乗り上げ、静かへと近づいて行く。

 

「なぁ、良いだろ? 一回だけだ。頼むよ」

 

「そう言うつもりじゃないんだけど………ただ、眠たかったから寝てただけなの………」

 

「理由なんてどうでも良いんだよ‼ ヤラしてくれよ………じゃないと……………」

 

男はそう言うと鉈を取り出した。

 

「これで………」

 

その時、男の後方で銃を構える音がする。

 

「俺はアンタには興味はないんdッ⁉」

 

そこには先程、コータに銃を渡された婦警が、銃を持って男に向けていた。

 

「武器を捨てて、その女性から離れなさい。これは警告であります」

 

「ハン‼ 撃てるのかよ、体が震えてるじゃねぇか」

 

「良いから、武器を捨てて女性から離れなさい‼ 最終警告です‼」

 

「撃てるもんなら撃ってみろよ。婦警さん?」

 

男の挑発に婦警は撃つ事が出来なかった。

しかし、そこに空が動き出した。男の目線は婦警に行っていたので、行動は簡単に出来た。

近くにあった100円ショップに向かうと、アルミ製のワイヤーを手ごろなサイズに切り取り、持って部分を付けた簡易的な首絞め道具が出来上がった。

空はすぐに男の後ろへと回り込むと、首絞め道具で男の首を締めあげた。

 

「もう良いでしょ?」

 

空の首絞めを緩めようと首に巻き付いているワイヤーを取ろうとするが、肉に食い込んでしまい取ろうにも取れない状況であった。

 

「無駄ですよ? 肉に食い込んでるんですから………婦警さんの言葉に従うか………僕に殺されるか、どっちが良いですか? 婦警さんの指示に従うんでしたら鉈を捨てて下さい?」

 

空の言葉に男は鉈を手放した。

 

「それで良いんですよっ‼」

 

空は力を緩めるのと同時に男の背中を蹴り倒れ込ませると俊輔がすぐにバインドで男を締めあげた。

 

「もう良いですよ、終わりましたから」

 

「えっ? えぇぇ」

 

婦警の持つ銃を優しく降ろしたコータであった。

 

「コータさん………」

 

『ッ⁉』

 

婦警がコータに墜ちた事に全員が驚くのであった。

 

 

 

 

コータは一人、屋上へ向かっていた。

 

「やっぱり何処も彼処も奴らばっかりだな………」

 

「何しているんですか?」

 

コータが状況を確認してると、先程の婦警がやって来た。

 

「周りの状況を確認しているんです。逃げ出すためにルート確認は必要最低事項ですからね」

 

「凄いですね、あっ、自己紹介がまだでしたね‼ 私の名前は中岡あさみと言います」

 

「僕の名前は平野コータです………なんか今更感が強いですけど………」

 

「気にしたら負けじゃないですか?」

 

「「ぷ……ぷくく……あはははは‼」」

 

コータとあさみは同時に笑い出す。

 

その時であった。

 

「お巡りさん‼」

 

ヘッドフォンを首に掛けていた男、平田がコータとあさみの所へと走ってくる。

 

「あの婆ちゃん‼ 調子が急に悪くなった‼ 今、あのエロい先生が診てくれているけど、直ぐに輸血をする必要があるって事だ‼ すぐに来てくれ‼」

 

その言葉にコータとあさみは走って戻るのであった。

 

 

 

 

コータとあさみ、平田が孝たちの元へと戻ってくる。

家具店に置かれていたベッドに、体調を崩したお婆さんが横たわっていた。

 

「確か……骨髄がどうとか言う病気で川島医院で診てもらっとったんです………」

 

夫であるお爺さんが静香に説明をしていた。

 

「それで輸血ですか………もしかしてRAね‼」

 

「いや、そんな名前では……」

 

「RAとは略称で不応性貧血骨髄異形成症候群とも言います」

 

静香の言葉にお爺さんは「それじゃ‼」と叫んでしまう。

 

「でも輸血するにしても……電気が切れて一日以上が経ってる……」

 

「なら」

 

孝が静香の耳元で自分の血は使えないかという質問をした。

 

「全血を―――血液をそのまま輸血するのは危険なのよ……それにあのお婆さんの血液型はO型で、血液型は気にしなくて良いのよ」

 

静香は耳元で話された事で、擽ったさに孝の顔を遠ざける。

 

「それは、O型を輸血するときじゃ……輸血を受ける場合は同じ血液型じゃないと………」

 

「違うよ、小室君。それは赤血球の話だよ。静香先生が言っているのは血漿の場合………赤血球とは逆の組み合わせになるんだ」

 

コータの言葉にあさみとありすは顔をキラキラさせていた。

 

「んで、先生的にはどうしたいってわけ?」

 

「それは………輸血を受けていた病院がすぐ近くなの。だから取りに行くとか……」

 

「なら、先生。一つだけ聞かして」

 

沙耶は静香に質問を投げた。

 

「なんで私たちが行くの?」

 

「えっ?」

 

この言葉に静香は黙ってしまう。




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