学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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書いていると時間を忘れるwwww
仕事が休みで助かった‼


第三十二話

孝達が銃を隠した丁度その時、男性の声が響く。

 

「そこを動くな‼」

 

バンダナを付けた男が俊輔達に鉈を持って、対峙していた。

 

「待ってくれ、俺達は今着た所なんだ‼」

 

俊輔が手に武器を持っていない事を示すために、両手を上げながら男に言う。

 

「じゃぁ、なんでそこでコソコソしていやがる‼」

 

「ええ~と………それは………」

 

俊輔自身もあまり言いたくない事であった為、言葉を濁していた。

 

「やましい事をしようとしたんだろ‼」

 

「ちげぇよ‼ いや、合ってるか?」

 

「真面目にしなさい‼」

 

俊輔が迷っている時に沙耶が俊輔の頭を殴る。

 

「痛いじゃないか‼」

 

「アンタが真面目にしないからでしょ‼」

 

「なんだと‼」

 

「何よ‼」

 

俊輔と沙耶のケンカが始まろうとした時、また新たに女性の声が響く。

 

「ケンカはダメです‼」

 

「「グウェ」」

 

女性の手で俊輔と沙耶の顔は潰れ、おかしな声を上げる結果となる。

 

「ホンカンの前でケンカはご法度です‼ 良いですか‼」

 

「だけど‼」

 

「こいつが‼」

 

「良いですね?」

 

「「あっはい」」

 

俊輔と沙耶のケンカを止めた女性警官のニコヤカな笑顔に、俊輔達はケンカを止める事になる。

 

「凄いな、あの警官」

 

「ホントだねぇ~」

 

永とコータは警官の手腕に驚いていた。

 

「では、ここで暮らすためのルールをお伝えしますね‼」

 

女性警官のルール説明に俊輔達は真剣に聞いていた。

問題を起こすつもりは無いが、何かの拍子に問題が起きては遅いと言う感覚があった為、静かに聞いていた。

 

「でありますので、基本的な事は皆さんと共同して生活をして下さい。先程のケンカはダメですからね?」

 

『はい‼』

 

「よろしいです‼ では、私は他の方達と話をしないといけないので、失礼します」

 

女性警官はそう言うと俊輔達から離れて行く。先程のバンダナを付けた男も一緒に警察官とと一緒に離れて行くのであった。

 

「冷や冷やしたわ~」

 

「流石に本職の人間とやりあう気は無いわね」

 

「確かにな」

 

先程までのケンカは嘘の様に沙耶と俊輔は話し込む。

 

「さてと、無事に入れた事だし、荷物を纏めるか」

 

「そうね。私達女性陣は服を見繕うわ」

 

「俺達男共は何か使える物はないか調べるわ」

 

「「じゃ」」

 

俊輔と沙耶の会議は終了すると、それぞれの行動へと移していくのであった。

 

 

 

 

「何か使える物と言ってもな………武器になる物なんて工具とかしかないしな」

 

「まぁ、音の出る物を改造したりしたら結構使えるものになるんじゃないか?」

 

「確かにそうかもね………でも、使えると言っても一時的な物だよね?」

 

「だが、一時的な物かもしれないが、使える物は使わないと損だろ?」

 

「そうですね。僕達だけで対処できるのにも限度がありますからね」

 

永、孝、コータ、俊輔、空の順番でそれぞれの意見を出していく。

 

「だが、どこで手に入れる? 工具店は基本的に一階にしかないだろ?」

 

「ところがそうでも無いんだよね~」

 

『?』

 

俊輔の言葉に全員が頭に?マークを出した。

 

「ここの二階の一角に工具店があるんだよ。それもとびっきりのな」

 

「じゃ、そこへ行くか」

 

俊輔の言葉を受け永が声を上げるのであった。

 

 

〈いつまでここにいりゃいいんだって言うんだよ‼〉

 

孝達が行動を起こそうとした時、どこからか大声が聞こえ出した。

 

「さっきの声って」

 

「言い争っているな………何も無い事を願うぞ」

 

「行きましょう」

 

俊輔達は声のする方へと向かって行った。

 

向かった先には女性警官を責め立てる大人たちの姿があった。

 

「すぐに助けが来るって話だったろ‼ なぜ助けが来ないんだYO‼ おまけに電気もケータイも繋がらないじゃんかYO‼」

 

首にヘッドフォンを掛けた男がラップ風に警官を責め立てる。

 

「私の事は良いんです。でも妻は週に一度、病院へ行って輸血を受けないといけないんです‼」

 

初老であろう男性が、肩に頭を乗せた妻の事を心配していた。

 

「私だって一刻も早く、本社に連絡を入れないといけないんです‼」

 

天辺禿の男性が机を叩きながら叫び出した。

 

「でも、その……松島巡査は助けが来るまでここで待てと言いました‼」

 

女性警官は上司の言葉をそのまま伝えたが、それは逆効果であった。

 

「アンタに、俺達を止める権利は無いだろうが‼ 権利があるのは護るだけだろうが‼」

 

「ひっ⁉」

 

先程までラップ口調だった男が女性警官の言葉を否定した。

 

 

 

「ヤバいなこりゃ……」

 

「確かにね。もう駄目な大人ばかりだ。現実を見ようとしていない………それに………」

 

俊輔達の目線には、包丁を手にして体を震わせている男の姿があった。

 

「アレ、確実に人を刺すね」

 

「不味いな………基本的に集団行動している者達は、それぞれに目的があって集団行動しているけど………」

 

「ここの人間たちはそれが無いと言う事だな?」

 

コータの言葉に永が言葉を続ける。

 

「それに、警官という権威に寄って縋っているだけの集団だ。いつか、爆発するぞ」

 

「永の言う通りだな………だが、どうするっていうんだ?」

 

「僕に良い考えがあるんだ」

 

『あっ、これダメな奴や』

 

コータの言葉に孝達はフラグが建ったと思ってしまった。

徐にコータは女性警官の元へと進んでいく。

 

「あの~ちょっと、良いですか?」

 

「今大事な話をしているんだぞ‼ ガキは大人しくしていろ‼」

 

「いえいえ、そうでも無いんですよね~これが………落とし物を届けたいんですよ………コレをね」

 

コータはそう言うと前に孝達から渡された拳銃を女性警官に手渡した。

それを見た全員がそれで勝てると言う確信を持ったが、そこでコータは言葉を続けた。

 

「因みにですけど………あの化け物たち。音に敏感で銃声なんて聞いたら………」

 

この言葉に誰もが、口を閉ざしてしまうのであった。

そしてコータは俊輔達の許へと戻ってくる。

 

「良いのか? 銃を渡しちゃって」

 

「良いんだよ………」

 

「確かにな。ある伝手で聞いた話だが、昔のイギリス軍の曹長はマスケット銃じゃなくて槍を持っていたらしいんだ。今の軍隊も同じで、槍じゃないけど戦場では役に立たない銃を持っている。これの意味が判るか? 孝、永、空」

 

コータの言葉の意味を理解した俊輔は孝、永、空に質問を投げつける。

 

「身を護る為か?」

 

「自殺する為?」

 

「………そう言う事か」

 

孝と空の回答は違っていたが、永だけは子の質問の意味が理解できていた。

 

「永は、判った様だな」

 

「ああ、集団を維持する為だろ? 命令に従わない奴を刺したり、射殺する事が出来ると言う立場を表している。これが正解だろ?」

 

「「正解‼」」

 

永の回答に俊輔とコータが声を揃えて肯定した。

 

「だったら良いけどね‼」

 

「沙耶?」

 

しかし、ここで口を入れて来たのは沙耶であった。

 

「あそこの連中、相当追い詰められているわ。それに銃を渡したところであの婦警に撃てるかしら?」

 

「流石に銃の撃ち方は習っているだろ?」

 

「あそこの連中が、撃てないと知ったら? どうなる?」

 

この言葉に孝達は何も言えなくなるのであった。




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