学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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書き上げてやったぞ‼ 夜中のテンションで書いているので、おかしいです。(いつもの事か)
漸く単行本一巻が終了です。そして、今回はいつもより長く書けた気がする。
区切る所が無いんで、一巻を終わらせる気持ちで書いたら、終わっちゃいました。


第十五話

孝達を乗せたバスは学校から脱出後、順調に走っていた。俊輔達はバスの後方で追尾する形で付いて来ており、上空で飛行しているシグナム達五人は、いつでも戦えるようにスタンバイしていた。尚、シグナム達は認識障壁を展開している為、索敵に引っかからない様にしていた。

しかし、順調に走っていたバスだったが、内部では分裂し始めていた。

 

「なんで小室達と一緒に行かなくちゃならないんだよ‼ 小室達だけで町に行けば良いだろ‼ 他にも隠れる場所位思いつくだろうが‼」

 

一人の生徒がバス内部で孝達と一緒に行動する事に異議を申し立てる輩が出た。紫藤と一緒にマイクロバスに乗り込んだ角田である。

 

「そうだよ、このまま進んだってどこもかしこも、あんな奴らばっかりなんだ。さっき、コンビニを見付けたんだ。そこで籠城すれば良かったんだよ」

 

それに便乗する形で、もう一人の生徒黒川が口を出した。

 

「俺達はこのままバスで逃げるから、小室達だけで逃げろよ‼」

 

角田が、自分勝手な言い分を申し立てた。鞠川は我慢の限界となり、バスを路肩に止めた。

 

「いい加減にしてよ‼ こんな雰囲気で運転なんて出来ないじゃない‼」

 

「なに⁉」

 

鞠川の言葉に角田がキレ始めた。

しかし、そこで待ったを掛ける者がいた。

 

「では、君はどうしたいのかね?」

 

冴子である。冴子は角田にどうしたいのか、静かに尋ねる。

 

「俺は小室(コイツ)と一緒なのが嫌なんだよ‼ 偉そうにしやがって‼ お前に何が出来るんだよ‼」

 

角田の言葉に孝は歯を食いしばる。又、コータは手に持つ改造して持ち易い様にした釘銃を角田に撃とうとしたが、沙耶がコータの手を押さえ付けられてしまう。そして永に至っては、俊輔から渡されたベレッタを取り出そうとしたが、ここで銃を出す事の危険性を考え、時期が来るまで見守る事にした。

 

「何がだ? 俺がいつ、どこで、お前に言ったかよ?」

 

孝は歯を食いしばっていたが、我慢が出来ず口を出してしまう。

 

「テメェ‼ ッ⁉」

 

角田が孝に殴り掛かろうとしたが、麗がモップの柄で造った簡易的な槍で角田の鳩尾を殴り倒れ込ませた。

 

「最低、孝」

 

倒れ込む角田に冷やかな目線を向けたかと思うと、孝には笑顔で名前を呼ぶ。

その時、バスの後方から、静かに拍手する人物がいた。

 

「いやぁ~、素晴らしい。実に素晴らしい‼ 小室君、宮本さん。見事なチームですね」

 

紫藤である。だが、その表情は優し気な表情をしていたが、目は笑っていなかった。

 

「しかし、こうして争いが起きてしまう。では、どうするべきか? 答えは簡単です」

 

そう言うと紫藤は麗と孝に顔を近づける。

 

「リーダーを作るのですよ、我々にはね‼」

 

この時の紫藤の表情は、歪んでおり先程とは違い、完全に何かに憑りつかれたような風陰気を出していた。

 

「で? その候補がアンタと言う訳?」

 

「そうです、私しかいません‼ この中で教師であり男性と言う事で、リーダー候補は私です。何かご不満でも?」

 

沙耶の言葉に紫藤は高らかに、自分がリーダーに相応しいと謳い始める。

 

「どうです? 皆さん。私なら、私なら、問題も起こさず死ぬ事も無い様に手を打つ事も可能なのですよ?」

 

この言葉を受け、孝や麗、コータ、冴子、沙耶、鞠川、永以外の生徒が、拍手をした。実質、リーダーは紫藤となってしまった。

 

「と、言う訳で。多数決の結果、私がリーダーとなりました。これから、よろしくお願いします」

 

紫藤は業とらしい演技で、会釈をする。

 

「先生‼ ここで降ろしてください‼」

 

「でも~」

 

紫藤の言葉に麗は我慢できず、バスから降りようとした。だが、鞠川としては止めたい気持ちであった。紫藤の言動などは、鞠川にとっても受け入れ難い物である。だが、ここで降ろすと言う事は、奴らになってしまう危険性も考えられるのだ。

 

「ッ‼」

 

麗は鞠川の止める声も聞かず、助手席からバスを飛び降りた。

 

「麗‼」

 

孝は窓を開けて麗の名前を呼ぶ。

 

「困りましたね~。行動を共に出来ないと言う事であれば、致し方が無いですね」

 

「何言ってんだ‼ テメェ‼」

 

紫藤の言葉に孝はキレ、殴ろうとバットの柄を強く握りしめた。だが、ここで殴ってしまうと、後方で待機している角田達が黙っていない。復讐として、孝を袋叩きにしてしまうのは目に見えているからである。又、コータが持っている釘銃や永の懐に隠しているベレッタを出したところで、意味があまりない。逆にそれを取られてしまう危険性があった。

 

「チッ‼」

 

孝は麗同様、助手席からバスを飛び降りた。

 

「麗‼ 冷静になれ。街までの我慢だろ」

 

「いやよ‼ あんな奴。私は一緒に行動出来ないわ‼」

 

「だけど「孝‼ 麗‼」なんだ‼ 俊s⁉」

 

麗の手を取り、バスに連れ戻そうとした孝だが、俊輔の声で振り向くと、一台の大型バスが道路にフロントを出している乗用車を避けようとしていない事に気が付く。

 

「何してんだ‼ ぶつk⁉」

 

孝はバスの運転手席に奴らが迫っている光景が目に入った。運転手は奴らから身を護るだけで精いっぱいなのか、前方を見ていなかった。

結果、バスは乗用車に衝突し、左フロントを破損、スピードも出ている為、衝突の影響でバスが右側へと浮かび、タイヤが右側へ向いていた。では、着地した時、どうなるのか? 答えは簡単だ。右のタイヤが着地と同時に破損し、ショックを和らげずそのまま横転してしまう。そして、運悪く衝突された乗用車から衝突時にエンジン部からオイルが漏れだし、バスが横転した時に出た火花に引火し、大爆発を起こした。

 

孝はバスが乗用車に衝突する寸前に麗を壁際に誘導していた為、爆発に巻き込まれずに済んだ。だが、爆発が起きたのはマイクロバスとの間でだった為、マイクロバスへ戻る事が出来なくなってしまった。

 

「小室君‼ 大事は無いか‼」

 

炎上しているバスの先から冴子の声が聞こえる。

 

「こっちは大丈夫です‼ でもバスに戻る事が出来ません‼ 警察署‼ 警察署で落ち合いましょう‼」

 

「時間は‼」

 

「午後の五時に‼ 今日は無理な可能性が高いので、明日でお願いします‼」

 

「判った‼」

 

冴子の声がした後、マイクロバスの扉が締められる音がし、バスが発進するのが判った。だが、俊輔達の乗るバイクの音がしていなかった為、孝は俊輔達に声を掛ける。

 

「俊輔‼ 空‼ 聞こえたら返事してくれ‼」

 

「聞こえている‼ 俺達はバスを追う。お前たちは警察署に向かえ‼ それと、ヴィータ‼ 孝達と一緒に行動しろ‼ 何かあれば念話を送れ」

 

「判った」

 

俊輔に言われた通りにヴィータが孝達の前に降り立つ。だが、服装が先ほどとは異なっていた。ゴスロリ衣装から、Tシャツに半ズボンとラフな格好になっており、ハンマーの様な武器が無くなっていた。

 

「ヴィータ‼ 孝達と一緒に行動しろ‼ なるべく魔法は使うな‼ それと、こんな状況下だ。暴漢が出るかも知れん‼ その時はセットアップして対応しろ‼ 止むを得ない状況以外は、極力殺生はするな‼ 良いな‼」

 

そう言うとバイクの音が二つ聞こえ遠ざかって行くのが判る。

 

 

 

「先を急ぐぞ‼」

 

「うん‼」

 

「判った」

 

孝の言葉で麗は喜んで頷き、ヴィータに至っては仕方が無さそうに返事をした。だが、その時、壁の上から奴ら特有のうめき声がし、孝達三人は上を見るとそこにはバイクのヘルメットを被った奴らが一人立っていた。そして、孝の服の襟を掴むと噛み付こうとした。しかし、バイクのヘルメットを被っている所為か、噛む事が出来ず頭突きをする結果となる。だが、奴らの力は強く、頭突きだけでも相当な威力になる。

だが、奴らはヴィータのアイゼンによって頭と体を離れさせられ、首だけになってしまうのであった。

 

「た、助かった。ありがとう、ヴィータ……さん?」

 

「ヴィータで良い」

 

孝の慣れないさん付けにヴィータは顔を背けながら、呼び捨てにするように言う。

それを見た孝と麗に、笑顔が取り戻された。だが、ヴィータは笑われた事に腹を立て、地団駄を踏むのであった。

 

「あいつ、メットを被っていたよな。と言う事は………あった‼」

 

ヴィータの地団駄を微笑みながら見ていた孝と麗であったが、先程の奴らが置いたであろうバイクが近くにあると思い、周囲を見渡すと案の定、バイクが一台、転がっているのが見えた。バイクにはエンジンが掛かった状態で、マフラーから排気ガスが出ていた。

孝はバイクを起こして跨る。

 

「免許って持ってったけ? 孝」

 

「無免許運転は、高校生の特権だ‼」

 

それを受け、麗は孝の後ろに乗り込む。

 

「ヴィータちゃんは、どうするの?」

 

「私は空を飛ぶ。この状態でも飛行は出来る(懐かしいなちゃん付けされるのも……なのはの奴は元気にしてっかな)」

 

麗にちゃん付けされた事に、腹が立たなかったヴィータであったが、アポロニアスによって俊輔の元へと送られる前までにいた世界で、最初に戦いそして共に戦った仲間の事を思い出していたヴィータであった。

 

「じゃぁ、行くか‼」

 

「「おう/ええ」」

 

孝の掛け声と共に三人は、俊輔達と合流する為に動き出すのであった。

 

 

だが、この時。俊輔や孝達には判っていなかった。本当にこの世が終わっているのが……




誤字脱字、感想、指摘、質問等お待ちしております。

次回位に、全話の最後で出たキャラを出そうと思います。リリカルなのはから出す予定です。誰を出すのかは、お楽しみに‼

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