やはり俺の真っ白生活は間違っている。   作:red garden

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感想ありがとうございます
とても励みになります

今回は比企谷視点となっております


腐った目から見た白い彼女。

 

 

 

 

 

平塚先生にレポートの件でお説教を食らった後。

俺は平塚先生を追いかけて職員室から出た。

ついてこいと言った平塚先生はどうやら保健室に向かっているようだ。

そう言えばうちの高校の七不思議の一つに保健室があったな…

教室で寝たふりをしている時、聞いた話だが。

保健室に出る真っ白な幽霊だったか…

そんなことを考えながら、俺は尋ねる。

 

「奉仕活動って保健室での手伝いかなんかですか?」

 

「いや、違うぞ」

 

平塚先生はこちらも見ずに歩きながら答えた。

結果は謎がさらに謎を呼んだだけだった。

 

「じゃあ、なんで保健室のほうに…」

 

「いいから黙ってついてきたまえ」

 

平塚先生は謎を解明させてくれない。

そんなことを言い合っていれば、気付けば保健室の前。

ガラガラッと扉を開けて平塚先生が入っていった。

中から入るぞ、平塚先生の声。

そして、そういうのは入る前に…と答える少女の声。

あ、これしばらく出てこなければ逃げられるんじゃね?

と思っていると、平塚先生に続いて一人の少女が保健室から出てきた。

 

 

ぎょっとした、たぶん顔にもでてしまっただろう。

まぁそれは向こうも俺に気付いてぎょっとしたしお相子だろう。

ていうか俺なんかしました?初対面の人にぎょっとされるほど何かしました?

 

まずその少女は高校生にしては大きかった、平塚先生とほぼ変わらない身長だ。

すらっとしていてどちらかと言えばスレンダーな体形、平塚先生とは違い胸もスレンダーだ。

ただ俺が驚いたのはそんなことではない。

その少女が美少女、しかも真っ白な美少女だったからだ。

肌も血が通っていない幽霊なんじゃないかと思うぐらい、髪の毛の先や睫毛にいたるまで白い。

そんなことを思いながら彼女の人形のような顔をまじまじと見てしまっていた。

彼女の唯一白くない真っ赤な瞳が、こちらを見ているのに気づく。

さっと目を逸らす。

うっわガン見してるの気付かれた…これ絶対キモイと思われたよ…

 

そんな風に目と心を腐らせていると平塚先生が俺を指さす。

 

「ああ、言っていなかったな天月。こいつは比企谷、これから長い付き合いになるだろう生徒だ」

 

「うっす、比企谷 八幡です」

 

俺は目も合わせずそういった。

 

天月(あまつき)  緋惺(ひせい)です、ひせいと言いづらかったらひせーと伸ばして読んでください。」

 

天月は頭を軽く下げ

 

「ところで、比企谷さんって同学年ですよね?」

 

首をかしげて続けるように尋ねきた。

俺は質問の意図がわからなかったが頷いた。

 

「なら敬語は無しにしません?」

 

彼女は大人しそうに見えて、まるで男同士のようにぐいぐいくる。

 

「ま、まぁそっちがいいなら…」

 

俺は勢いに押されてか、そう答えてしまった。

 

「よし、それじゃあよろしくな八幡!」

 

天月は男らしく笑いながら右手を出しそう言った。

 

「お、おう」

 

いきなりさっきよりも勢いの増した天月に若干引き気味になる。

いや、いくらなんでも急に変わりすぎだろ…なに?多重人格?

あとその手は何の手だ?

俺みたいなボッチに美少女がよろしくするために握手を求めることなんてない。

どうせこの手を握ろうとしたところで

 

「えっ何?本当に握手してもらえると思ってたの?ばっかじゃないの~キャハハ」

 

とからかわれるに違いない。

ふっ、百戦錬磨のプロボッチを舐めないことだな。

 

「そーい!」

 

「うおっ!」

 

ポケットに入れていた右手を天月に引き抜かれ、さらに彼女の手に重ねられる。

女の子特有の柔らかい手に心臓が跳ねる。

 

「これから付き合いも長くなると思うし、仲よくしようぜ?」

 

そんなことを言われ天月のほうを見てしまう。

目が合った彼女はヘヘッと口から笑いを漏らした。

そんな彼女の顔を見ながら、この先面倒くさいことになると本能が告げる。

そんな俺の心情を読み取ったのか彼女は少しむっとした顔になった。

そして何か思いついたかのような顔をした後ニヤリと笑い

 

「あと、もっと女の子のお尻や胸、脚を見るのなら気を付けたほうがいいぞ?」

 

天月はそういった。

 

 

 

 

 

 

 

俺の中の時間がようやく動き出す。

すでに顔面から血の気は引いている。

人に弱みを握られたときに俺のとる行動は一つ…!

 

「い、いや見てない。断じて見てないから通報とか勘弁してくださいお願いします!」

 

そうまくしたて頭を下げる。

通報され社会的に終わるぐらいなら靴でも何でも舐めたほうがましだ。

俺は頭を下げたまま犯した罪の宣告を待つ。

 

「ぷっ、あははっ!はははははは!」

 

顔を上げると彼女は腹を抱えて笑っていた。

どうやら俺はからかわれていたらしい。

…絶対に許さないリストに天月の名が刻まれるのはそう遠くない未来かもしれない。

 

 

 

 

 

 




明日投稿できないかもしれないです
楽しみにしている方がいらっしゃいましたら
すみません

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