やはり俺の真っ白生活は間違っている。   作:red garden

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とある男子高校生だった話。

 

 

 

 

俺、黒石(くろいし) 藍月(あづき)は普通の学生生活を送っていた。

いや、彼女なんてできない味気ないものだったが。

それでも、漫画やアニメの話で知り合いと盛り上がったり、割と楽しい日常だった。

 

 

子供を庇ってトラックに轢かれるという、まるで漫画のような終わり方をしてしまうけれど…

 

 

どうやら、運が悪いことに即死できなかったらしい。

視界の中は俺が流したであろう血。血。血で染まっていた。

不思議と痛みはない。人間許容できない痛みはシャットアウトするっていうのは本当だったらしい。

 

庇った女の子が泣いている。

せっかく助けたのに泣かれていてはこっちの締まりが悪いな…

クソっ、だんだんと感覚が鈍くなってきた…

 

目の前にいる子が笑ってくれるように、俺は精一杯笑って、動かない体にムチを打った。

傷だらけの腕を上げ、頭を数回撫でる。

なんだか、体がさっきから熱い。

 

泣き止んで欲しかったのに、さっきよりもこぼれる涙が増えてしまっている。

助かった奴が泣いて、助からない奴が笑っている。

なんだかおかしい状態だな、と笑いたい俺とは裏腹に意識はだんだんと遠のいく…

今度はなんだか寒くなってきた…

 

意識が落ちる前、最後に見えた女の子は

真っ赤な水たまりの中、真っ白なその肌を血で紅く染めていた。

最後までその薄赤色の瞳からガラス玉をおとしていた。

その姿がなんだかとても美しいと思った。

 

 

そして全てが真っ黒になった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中、そもそも本当にここが暗闇なのかわからない中で

漂ってるのか落ちているのか…はたまた回っているのか…

そんな訳の分からないこの世界がずっと続くのかと思った…

 

 

 

 

 

そんな矢先に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然光の中に出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事故の後目を覚まして17年経った。今は前と同じ高校生だ。

名前は天月(あまつき)緋惺(ひせい)になった。

ものすごく簡単に言うとTS転生だ。

前世まで男だった俺は、気づいたら、かわいいかわいい女の子になっていたってわけだ。

前世の知り合いが知ったら大爆笑だろう。

それでも別段困っているわけではない。

両親はとても優しいし、別に魔法とか異能力とかが蔓延る世界ではなかった。

ただ、女の子らしい言動ができず、両親には色々悩ましてしまったが今では普通に接してくれる。

 

「そろそろ学校に行く時間じゃない〜?」

 

1階で母がそう言った。

 

「わかったー!」

 

そう言って日焼け止めを塗り俺は制服に着替え始める。

 

小さい頃は女の子の体に戸惑ったが、今では少しは慣れた。

それでも、トイレは人気のない場所を使ったり、着替えは端っこで回りを見ないように着替えているが。

別に気にしなくてもいいのかもしれないが、なんだか中身が男なので申し訳なく感じるのだ。

スカートはいまだに恥ずかしいが制服なので我慢している。

 

一通り着替え終わり、ブレザーを着て部屋を出る。

1階に降りてリビングにいる母に声をかける。

 

「それじゃ、行ってくるね」

 

「はい。いってらっしゃい」

 

母はこちらを見て優しく微笑んでそう言った。

そして玄関で靴を履き、最後に玄関の姿見の鏡で身だしなみをチェック。

 

「行ってきまーす」

 

カバンを背負いそう言った。

 

最後に、自分で言うのもあれだが、私は美少女だ。

肌は真っ白、髪もまつげに至るまで真っ白、白くないのは真っ赤な瞳だけ。

胸は無いすらっとしたスレンダーな体形。

 

 

神様のイタズラか、助けた少女と同じ姿として転生しました。

 

 

 

 

 

 

 




のんびりと書いていきます
よろしくお願いします

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