そしてこの戦いも後の歴史に残るだろう。
御剣重工地下研究所職員・テスター待合室
この部屋は元々は、武器のテストの際にそれを使用するテスターや担当職員が始まる前の簡単な武器説明と終了後の反省会として使用するため簡単な机といすが用意されている。
そしてそんな簡素なつくりの中でとんでもないほど集中している人間がいた。
そう彼女こそ今回の新型機の対戦相手となった織斑 千冬である。
しかし彼女がなぜここまで考えているのかというと無論今回の対戦のこともあるがもっと大切なことを考えていたのだ。
それは数日前・・・
「えっ、転勤ですか?」
「すまない千冬君。こちらも急なことでな。」
さてさて皆さん覚えていますか? 現在織斑家を管理しており仮保護者になっている原村夫妻のことを。
一夏のファースト幼馴染の和の両親は父親は弁護士、母親は検察といった相対する
仕事をしているためか織斑家を一種の隠れ家として扱い仕事をしていたことを。
本来二人の仕事は、あまり転勤というか人事異動をしないようなタイプだったのだが今回は何か事情があるそうだ。
「実はとある法律相談所に新人が来てね。その人の教育係として選ばれてしまったんだ。そしたら妻も転勤が決まってね。この家の管理が難しくなったんだ。」
千冬は恵から聞いた言葉に一瞬頭が真っ白になるも一夏のことを思い出し、恵にそれとなく聞いた。
「あの・・一夏も一緒ですか?」
そう千冬はもうすぐ日本軍の寄宿舎に入るため一夏も一緒なのかと聞くが恵が言った言葉は、「すまんがそれは無理らしい。学校は1人が限度だと言ってね。
本当に済まない。」
千冬はその答えを聞いた途端また悩みが出た。このまま一夏を1人にすると危険があり、また道場でお世話になっていた篠ノ之家は大会で優勝した後家族の安全を最優先に守るという政府の最重要人物保護プログラムで家族は散り散りになった(束が行方をくらましたことも原因)どうすることもできないという八方ふさがりの状況になったのだ。
そしたら恵は千冬に対してこう言った。
「いっそ一夏君を国連軍に預けないか?」といったので千冬は、頑として拒否した。
その後千冬は軍の教官に何とか説得しようとするも却下され続けたのだが、長い話し合いの末「もし今度の新型兵器の模擬演習で勝ったら考えよう。」と降参したように提案しそれを飲んだ。
そして現在にいたる。
(「この演習は、絶対に勝つ。絶対にだ!!」)と千冬は相手を下手すれば殺しかねないほどの殺気を出していた。
そして「織斑 千冬さんピットまで来てください。」とアナウンスが流れた瞬間
千冬は、急ぎ足でピットにある自身の愛機「暮桜」にまで向かい乗り込んだ。
周りでは倉持技研のスタッフが千冬が乗った瞬間全員離れた。
本人の気迫に押されてかどうかは別だが。
「織斑 千冬、暮桜参る。」
千冬はピットから飛び出した後地下から地上にある旧校舎から作ったアリーナに出た。
そして自信と反対方向から出た機体を見た瞬間びっくりするも平静を保ち相手を見た。
(「相手は全身装甲のISというより一夏が昔見ていたロボットアニメに出てくるやつみたいだな。あの腰についているのがスラスター、右手はおそらくマシンガン左手は間違いなく盾、後ろは剣か。ほかにもまだ武器があるかもしれないがこいつを速攻で倒す!」)
千冬は、相手はISと同タイプであろうと考えたうえで自身が得意とする一撃決殺で仕留めると考えたのだ。
それぞれのディスプレイ(撃震は頭部ヘルメットの中)で
カウントダウンが始まった。
数字が若くなるうちにそれぞれの得物(千冬は雪片を中段に構え、
相手は銃口を向け)カウントが3になった瞬間空気が変わりそして・・試合が始まった。
先行を切ったのは千冬のほうだった。
千冬は、剣筋を中から上向きにして上段切りをしようとするも相手は盾を斜め上にして構え剣筋をそらした。
「なっ!」
千冬は盾が丸みを帯びていると気づいたとき相手は銃口を千冬の足に向けて撃った。
「くっ。」
千冬は衝撃で体勢を崩された瞬間相手は間髪入れず肩部後ろについていたミサイルを3発発射した。
千冬はその前に機体を立て直し、ミサイルを回避させた。
(「相手もなかなか強いな。これは本気でやらねば!」)
千冬は一度自分を落ち着かせた後距離を取って分析しなおした。
(「武装はさっきのミサイルを除いてもまだあるかもしれんな。だが真正面がだめなら!!」)
千冬は少し後ろに下がった後さらに相手の頭上のはるか上に飛んだ後相手はそれを追おうとした瞬間突如急速で来たので相手はもう一度盾で止めようとするも手ごてがないと感じた瞬間後ろに何かの気配を感じた。
(「もらった!!」)
千冬はあの時「瞬時加速(イグニッションブースト)」で急接近した後スラスターを弱めた後相手の後ろにつくようにしたのだ。
(「貴様の弱点は後ろ。そこさえ突けば!!」)
勝ったと思った瞬間ドンと鈍い音がした。
ナニカと思うと後ろにも銃があったのだ。
千冬はすぐに退避するも何発か被弾した。
(「まるで針山のようだ。どうやって攻めたものか。」)
千冬がどうするのか思考を巡らしていたころ相手が突然下に降りたのだ。
何をするのかと思えば相手は遠距離武器をすべてパージしたあと背部につけていた剣を取って再び空にへと飛んだ。
そのあと千冬の目の前まで来て剣を肩に担いでもう片方の手で挑発するような仕草で千冬に挑みをかけた。
千冬はそれを知った後剣を構えなおして答えた。
そしてどれくらいの時間がたったのだろう。どちらも動かなかったのだ。
そしてどこからか散った木の葉が2人の前を横切った瞬間斬りあいが始まった。
千冬の機体はさっきまでのダメージもあってSEの残量が少なくなっており相手のほうも斬りあうほど装甲の1部分が切られたり、曲がったりしてお互い一進一退の攻防を繰り返した。
そしてそれは別のところからライブ映像で見ていた関係者や一夏たちも同じように目に焼き付けるように見ていたのだった。
しかしそれも限界が来ていた。
お互い少し離れるも肩が上に上がるようになるくらい疲労困憊した。
そして千冬は残り少ないSEを攻撃力に変換できる単一能力「零落白夜」を使い相手に切りかかった。
相手もそれにこたえるように剣を構え、お互いが交差した。
そして撃震のフェイスマスクが右半分われたと同時に暮桜のアンロックユニットのスラスターが爆発した。
そしてISが解除された千冬がそのまま真っ逆さまに落ちていったのだ。
このままでは間に合わないと悟った研究者は、一夏の目をふさいだ。
千冬自身ももうあきらめていた。
(「ああーせっかくここまでやってきたのに、こんなところで終わるとはなー。
すまん一夏。恵さん一夏の事よろしくお願いします。」)と思いながら地面に落ちるのを待った瞬間何かのエンジン音が聞こえた。
目を開けるとそこには、「うおおおお!!!」とこっちに来る撃震が見えたのだ。
そのまま撃震は千冬を捕まえると残ったスラスターの燃料を使ってスピードを落とした。
周りには土煙がたちこみ見ていた人たちは全員地上に向かった。
そして地上のアリーナに向かった彼らが見たのは・・・「えっ?」
お姫様抱っこされている千冬とそれをしている撃震がいた。
千冬は自分はまだ生きているのかと疑っていた。
そんな時撃震の胸部が頭部とくっついたまま開き、そこには自分と同じくらいの年齢の男性がいた。
「よっ、大丈夫か?」
活発そうな感じがして自分よりも背が低そうな男がいたのだが現在の状況を把握すると千冬は顔が真っ赤になっているのが分かるくらい緊張していた。
その時その男性は千冬の目の前まで来て自分の額を千冬の額につけた。
マー本人からしたら親切なのかもしれないが千冬からすれば・・・「きゅう。」
と失神するくらいの衝撃であった。
え、何このカオス?
出会いとはどこから来るのかわからない
そしてその出会いは自分すらも変わるだろう。