「さあ、織斑一夏さん。私と踊りましょ・・・戦と言う舞を」
夜架がそう言うとキャノン砲を背面に折り畳み背部とアンロックユニットの
スラスターを噴かして一夏のもとに行くと腕から青白い光を放ち始めた。
「!!なっ!!」
一夏は腕についているチェーンブレイドを出した後〈守の岩戸〉を起動させ
迎え撃った。
するとその光はチェーンブレイドに当たると火花が飛び散った。
「その武器は・・・プラズマブレードか!?」
「ご名答ですわ・・・これはあなた達がドイツにあった試作第3世代機の武装の1つでしてよ。」
当時ドイツから接収した資料と機材の中にはプラズマブレードが存在していたが一夏自身の精神状態から開発を見送ったのである。(現在は新しい装備の1つに加える
予定である。)
「私がいることも忘れてないですよね!」
マシュはそう言いながら夜架に近づこうとすると夜架は動じることなく左手のハンドライフルをマシュめがけて発砲するとマシュは前よりも速いスピードで回避した。
「あらあら速いですね。」
「このくらい早くなくては魔族に対抗できませんからね。」
魔族の中には獣型のB種と吸血鬼のD種等と言った種族が存在し彼らの身体機能は
人間を凌駕しているため彼らと戦うため基本、ISや戦術機は高機動性主体の
機体が多いのだ。
更に言えば【Xブレイブ】は「アヴァロン・ヴェール」のスラスターも使っているため機動性ならB種には遅れをとるどころかそれ以上の速さを身についているのだ。
「ならばこれならどうです?」
夜架はそう言うと背面部に搭載されているキャノン砲の間から穴が開くとそこから
ミサイルが出てきたのだ。
「!!この!!」
マシュはミサイルをある時は躱し、切り裂こうとすると周りにあるミサイルが
突然起爆したのだ。
「ぐわーー!!」
「マシュ!!」
一夏は叫ぶと夜架を蹴り倒そうとした瞬間ニヤッと笑ったのを見てそのままスラスターを噴かした瞬間先程足があった場所から青白い光があった。
よく見ると足にも同じ武装がされていたのだ。
そして両腕にも同じように展開した。
「如何ですか一夏さん?これがわたしのIS〈黒刀〉の武装【刃人】の感想は?」
「ははは、まるで大道芸だな・・・・。」
一夏は少し笑うがそれはやせ我慢であった。
「(ヤバいな。あばら骨が内蔵に刺さっているせいでそう長い間戦えないし、それにマシュの事も気になるし・・・それなら一か八か!!)」
一夏はチェーンブレイドを両腕同時に展開すると〈守の岩戸〉を起動させ
真っ向勝負に持ち込もうとしたのだ。
「あらあら真っ向勝負とは愚策ですね。・・・それとも何か
秘策があるんでしょうか?」
そう言うと夜架はプラズマブレードを消して背面部にあるキャノン砲と腕部に内蔵されているガトリング砲とハンドライフルを出してこう言った。
「この攻撃に耐えられますかね?」
そう言うと一夏に向かって一斉砲撃すると一夏は何も動かず・・・
全弾命中してしまった。
「あらあらもう幕引きでしょうか?」
夜架がそう言うと着弾した所に何かの・・・膜が見えたのだ。
「!?」
夜架はそれが何なのか気づいて後ろを見るとマシュの機体に搭載されていたビットがいつの間にか分離されていたのだ。
「なるほどそういうことですか。ですが最早貴方は機体を動かすこともままならないので・・・あなたから始末しましょう。」
夜架はそう言ってガトリング砲をマシュに向けるとマシュは少し笑みを
浮かんでいた。
「?何ですその笑みは・・・まさか!!」
「今です!!」
「うおおおおお!!!」
一夏はバスターソードを夜架目掛けてイグニッション・ブーストで突撃した。
夜架はもう一度一斉射撃しようとするとあの時使ったビットの内の1本が一夏のバスターソードの先端にくっ付いていたのだ。
リーチが長くなった攻撃にターゲットリンクする前にその攻撃が当たる瞬間両腕の
銃器がパージされた瞬間爆発が起き速度を下げさせると両腕の【刃人】をクロスさせて受け止めたのだ。
当たった瞬間火花が飛び散ったのだがそれでも受け止めきれず夜架は両腕も
パージしたスラスターを横向きに吹かして脱出したのだ。
脱出した夜架はアリーナから出ようとすると他の機体反応が出たのだ。
そこには教員用の戦闘IS「戦風」が周りを囲んでいた。
教員の1人がこう言った。
「両手を上げろ侵入者!!お前は完全に包囲されているぞ!?」
更によく見るとアリーナの席から専用機持ちである刃更や楯無、鈴音が武器を持って待ち構えていた。
夜架は周りを見てため息交じりにこう言った。
「これでは逃げようがありませんわね。」と両手を上げた後背面部のキャノン砲をパージしようとした瞬間夜架が笑ったところを見て一夏は叫ぶように
全員にこう言った。
「全員伏せろーーー!!!」
そう言うとパージしたキャノン砲が光を発した瞬間プラズマの電撃が全員を襲った。
「きゃああ!!」
モニタールームにいる山田先生達にも被害が起き次の瞬間システムが停止すると予備電力が働こうとした瞬間それも停止したのだ。
そしてアリーナでは全員が機体に異常が起き最早使うことも出来なくなっていた。
そして刃更は周りを見渡すとこう言った。
「おい、一夏とマシュは?」
「全くあれ程の光を発するとは予想外でしたわ。」
夜架の機体には今回の作戦を想定して対プラズマ装甲が使用されていたのだ。
「ですがこれで任務は終了ですわね。彼にも会えましたし。」
夜架は嬉しそうに言うと何処からか声が聞こえた。
「へー、それって誰だろうな。」
「詳しく聞かせてもらいましょうか?」
「あらあらしつこいですわね2人とも?どうやって
プラズマから回避したのでしょうか?」
夜架は追ってきた2人、織斑一夏とマシュ・キリエライトに質問した。
「簡単ですよ。私にビットで簡単なフィールドを形成した後ヴェルンド・システムで
それを補強したんです。」
マシュは自身のISに内蔵されている対魔族用支援兵器〈ヴェルンド・システム〉で
簡単な結界を作ったことを説明すると夜架はこう言った。
「そう言いながらもあなたのISそろそろ限界じゃないんですか?」
夜架はマシュの機体をみてそう言った。
結界を作るため〈アヴァロン・ヴェール」は殆ど使えなくなり装甲も
破損状況がひどいのだ。
結果を言えば一夏達は戦いに勝ち勝負には負けたのである。
すると一夏は夜架にこう聞いた。
「夜架、1つ聞きたい・・・あいつらもお前と同じところか?」
「いえ一夏、残りの2人は別の組織に入っていますわ。そして彼女達はあなたの所に現れますわ。きっとね。」
そう言うと夜架は反転してさらにこう言った。
「織斑一夏、また踊りましょ。今度は2人っきりで・・・最後まで。」
そう言うと夜架は今度こそ立ち去った。
そして残ったのは何なのかと考えるマシュと嘗て出会った彼女達と刃を突き合わせるのかと考えた一夏であった。
戦いで最も気を付けるのは引くのがうまい人間である。