それは誰かと共有することができるからだ。
その日の夕食後の自由時間中の寮の食堂。
「織斑君、クラス代表就任おめでとー!」
「「「「「おめでとー!!!!!」」」」」
周りには1組だけではなく他のクラスも混じっていた。
如何やら敵情視察も兼ねてきたらしい。
「いやー、これでクラス対抗戦も盛り上がるねー。」
「それにあんなに強いんだもん。これは確実に我がクラスがトップに・・・」
「それはどうかな?」
1組の誰かが勝てると思っていたところ他のクラスが遮った。
「我が2組にも代表候補生クラスがいるのよ。」
「それなら我が3組も。」
「4組も負けてないんだからね。」
そう言ううちに周りで本人の与り知らぬところで火花が散っていた。
「こりゃ責任重大だな一夏。」
「お前、他人事だと思ってるだろ。」
刃更が一夏に他人ごとのように言っていることに一夏は少し怒り交じりで答えた。
するとどこからか2年のネクタイと眼鏡とを付けた少女がカメラを持ってやってきた。
「はいはーい、私新聞部副部長兼学園島情報部所属の黛 薫子だけど話題の新入生、織斑一夏くんと東城 刃更君をインタビューしてきました。」
学園島には各学校ごとにお互いの新聞部で情報交換をしそれを新聞として島全体に発表するという仕組みが出来ているのだ。
「では織斑君!クラス代表になった感想をどうぞ!!」
「えーと、選ばれた以上は頑張りますし、なった以上は・・・
頂点を目指してやります!!」
「おおー、男の子だねー。それじゃ東城君、何か言うことは?」
一夏のインタビューを終えた後薫子は刃更にも聞いた。
「そうですねー。一夏には頑張ってもらいたいと思いますが・・・このままじゃ終われねえからな一夏!来年は俺が勝つ!!」
「望むところだ刃更!!」
刃更はインタビュー中に一夏に宣戦布告すると一夏も同じように返した。
「ほほう、男の子同士の友情ですなー。これは良い物が書けるわ。」
すると刃更の後ろに誰かがこっそりと近づいてきて・・・
「刃更くーーん・・・ぷぎゃ!」
その人間の顔面に何処からかあったパイを顔に押し付けた。
するとパイから顔が出てきたのだがそれはなんと・・・
「何するのよ刃更君!!」
「あんたこそ何してるんです。」
そこにはクリーム塗れになった楯無がそこにいた。
するとパシャっと音がしたので楯無がその音があったほうを見ると・・・笑いをこらえながら撮影した薫子がいた。
「薫子ちゃーん。それどうするのかな?」
楯無が良い笑顔(少しマジ顔)で聞くと薫子は回れ右をして・・・
脱兎の如く逃げた。
「待てー!黛!!」
「あばよ、楯ナッシー!!」
どこぞの大泥棒とそれを追う警官のように走り去る光景を見た後全員は
宴会を再開した。
因みに写真はその次の日の新聞の1面に小さく写真付きでこう書かれていた。
『更識 楯無、下級生に1本取られる。』と言う記事がある事に怒り、またもや斧ごっこが始まったのは言うまでもない。
泥棒と警察の鬼ごっこは永遠に不滅だ。