だがこの出会いは、運命を変えるものである。
市川都知事と狭間少将からの願いを聞き防人、火渡、楯山の3人は、犯人が人質と一緒にいるであろう試合会場から少し離れた資材置場のある倉庫(既に廃業済み)に向かっていた。
彼等がその地点まで行くときに火渡が2人に秘匿通信で今回のことについて疑問を投げかけた。
「しかし何で誘拐なんて面倒くさいことをするんだろうな連中は?
何が目的なんだ。」
「おそらく目的は今回の大会におけるIS学園の建設における莫大な寄付金と例の団体の忠誠を示すことでしょう。」
「それが何で誘拐なんだって話なんだよ?」
「IS学園は各国から様々な人間や設備などが集まるからな。各国は自国の人間100%守ってほしいしな。それに見合う力を示すという意味ではモンド・グロッゾはその縮図といってもいい。そして誘拐はおそらくその団体の指示だろう。それに琴野議員は、
都知事選の時に大敗したからな。ここで何かあれば警備ミスの責任を市川氏に擦り付ければ最悪議員辞職して彼女が都知事になれる。仕返しと同時に自分がトップになれるという1石2鳥の最悪な方法だ。」
火渡が出した疑問を楯山は簡単に、防人は詳しく教えた。
「くそあのアマ後でぶん殴ってやる。」
「それはそうとそろそろ目的地よ。」
火渡は、琴野議員に対して何かしらの誓いを立てたと同時に楯山は、目的地周辺に来たことを2人に伝えた。
3人は、倉庫近くにある空きビルの頂上に集まった。
「それで衛、作戦はどうするか決めた?」
楯山がそういうと防人は、2人に倉庫周辺のマップデータを出した。
「まず俺が奴らに先制攻撃を仕掛ける。だが犯人たちが何かしらの行動をしたらそれぞれの判断に任せて動く攻撃が終わったら火渡は、裏からミサイルを使って壁を破壊、そのあと楯山が「天啓」を使って犯人を威嚇して奴らを無力化する。もしも敵が人質を取ったら俺が戦術機から出て遠ざかる。その時戦術機はオートモードにして楯山がそれを動かす。そして俺たち2人で取り押さえる。これでどうだ?」
「「異議なし!!」」
「それじゃみんな頼むぞ。」
防人は、2人に作戦の説明と段取りを確認した後それぞれ予定ポイントに入った。
一方そのころ誘拐された一夏はというと・・・
(くそ、動けない。)
椅子に座らされたまま身動きが取れないように縄で手足を縛られ口にはさるぐつわを付けられた状態になっていた。
(なんでこうなったのかな?)
今から遡ること20分前
「ふーすっきりした、」
その時一夏は、トイレで使用を澄まして手洗い場から出たときであった。
「織斑一夏さんですね?」
目の前には何人かの黒服の男たちがいた。
「はいそうですが。」
一夏は、何かあると悟って身構えりながら答えた。
男たちは、少し近づきながらこう言った。
「少し一緒に来てもらうぜ。」と後ろからスタンガンを持った男が一夏に向かって
仲間にあたったのだ。
「がっ」
一夏はあの時後ろからくる人間が分かっていたようにしゃがみ込んで男を転倒させたのであった。(ちなみにスタンガンは、その時に当たったのだ。)
そのまま一夏は、開いたところから脱出したのだが、男の一人が麻酔銃を使い一夏を眠らせ、ここに連れてきたのだった。
「そーいやあいつらは?」と男が一夏の地下で見張りをしている男がきいた。
「あーあいつらなら車の中だよ。まだしびれて痛いらしい。」
どうやらあいつらとは自分が倒した2人だろうと直感した。
「しかしこの仕事聞いたときは楽勝だって思ったけど実際大変だぜ。あのガキ強いじゃねーか。」
「ま、この仕事が入ったら金がたんまり入るしな。」
男たちは愚痴と報酬についての話をするとテレビを見ていた男から
メッセージが来た。
「織斑 千冬が出た。」
このメッセージを見た後リーダー格の男が一夏に近づいてこういった。
「織斑 千冬が決勝に出た。」
しかし一夏はそれを聞いても嘘だというが、猿轡をされて言葉が
できないのであった。
そして男は、一夏の腹を蹴って転ばせこう言った。
「お前のおかげでやられたやつがいるからなその分をお前の体をサンドバッグして返してもらうぜ。」と男が一夏に向かって殴りかかろうとした瞬間ドンと爆発音が壁ごと破壊されて聞こえた。
「な、なんだ?」と男がそれを見ると無残にもばらばらになった仲間の死体があり、1人が吐き気を感じた瞬間それが表れた。
全身装甲のISのようなナニカが。
「ア、ISだ、逃げろ!!」と男たちは我先にと逃げようとした瞬間後ろからも爆発音と共に同じ機体が現れ、同時に両腕に持っている機関銃を犯人達に向かって打ち込み犯人たちは絶命していった。
リーダー格の男が一夏を人質にしようと近寄った瞬間上から銃撃してきたのでそれを見ると「IS」といって上から来たISが自分と一夏の間に入ってきたため、人質はできず、仲間はほとんど殺されているため助けがなくなり男がとった行動は「ま、待て俺と手を組まないか?お前たちが来ればなんでもできるし金も払うし今回の仕事の分も全部やるからどうだ?」と命乞いをしていたのだが防人は、その男の足に向かってにその機体が持っていた大剣で斬った。
男は、そのまま声を出し言葉にもならない悲鳴を上げた。
防人は、戦術機で一夏のもとに来た。
周りには、先ほどの戦いで浴びた男の返り血を浴びて、おびえていた。
防人は、戦術機から降りててを差し伸べてこういった。
「もう大丈夫だ。」
一夏は、助かったことの安心感と緊張で気を失った。
一夏が目をお覚ましたのは、それからしばらくしてのことだった。
周りには警察の車両と両足を切られさびた鉄条網で体を動けなくさせた男と
彼らがいた。
一夏は、彼らのもとに駆け寄りこう言った。「ありがとうございます。」
それと同時に防人は、2人の許可を得て今回の事件の真相と織斑 千冬が助けてこなかった理由を話した。
「じゃー千冬姉は、俺を捨てたわけじゃなかったんですね。」
「当たり前だろ、優勝のスピーチじゃお前のこと言っていたし、たった2人の姉弟だぞ。それぐらい信じろよ。」
「はい!」
一夏は、防人の話を聞いて恥ずかしくも誇らしく答えた。
「衛、ちょっと。」
防人は楯山から何か話があるような態度があったためその場を引いて少し後ろからその話を聞いた。
「あの子、私たちと同じモノを持っているわ。」
「なっ!!」
楯山の言葉を聞き防人は一夏のところに戻った。
「なあ一夏君、君変わった特技とかないかい?人とは何か違うこととか。」
「あ、はい。俺、集中すると後ろの景色も見えるようになるんですよ。それが何か?」
防人が聞いた問に対して出した答えは普通ではない答えであり、
楯山もそばにいた火渡も同じ答えを出していた。
「一夏君、君は俺たちと同じ能力者なのかもしれない。」
「能力者?」
防人は、自分たちのこと、そして国連軍がこれまで秘匿されていたとある部隊の秘密を話した。
「俺たちの部隊は、第0部隊って呼ばれていてね。君みたいな能力者を保護して各国の治安を守るための暗部、まあ早目に言えば汚れ仕事の担当なんだけれどもね。自分たちの能力をコントロールするための組織なんだ。
俺は身体強化、あそこにいる楯山って女の人は能力感知、君を見つけたのもそれさ。
そしてもう一人の火渡って男は熱感知。そして君のは草食動物以上の視野を持つ広域感知お類だと思うんだ。
一夏君、俺たちと一緒に来ないか?君さえよければ俺たちは君を鍛えることができるが?」
一夏は、防人の話を聞いた後自分は、普通じゃないことと知り愕然し、自分はどうしたらよいのかという悩みが出てきたのだ。その時.
[一夏ーー!!」
と空から聞いたことのある声が聞こえ空を見ると
「千冬姉!!」
と、織斑 千冬がISを纏った状態で来たのだ。
そしてISを解除して一夏のもとに駆け寄ってきた。
「一夏、大丈夫か?どこもけがをしてないか?」
「う、うん大丈夫だよ少しおなかが痛いだけだし。それにあの人たちが助けてくれたし。」
「そ、そうか・・一夏を助けてくれてありがとうございます。」
「いえいえ、それは、市川都知事に言ってください。我々は依頼を遂行しただけですし。」
千冬は、一夏のことを気に掛けた後防人たちにお礼を言った。
その後防人は、一夏のことと彼を軍に入れることの相談をしたとき千冬は、怒気を放ちながら反論した。
「一夏はまだ子供です。それにあの子には苦労させないようにしているんだぞ!!」
「千冬さん。こういっちゃ何だが、あなたとあなたの保護をしている家族だけではダメなんです。それにあなたは近々軍の施設に入るんでしょう。正直に言うとこれがばれればあの子を実験材料にされるのが目に見えているし拉致される可能性だってあるんですよ。周りの人たちのことを考えればこれしか方法がないんです。」
防人が言っているのもまた真実だろう。現状だと人質になる可能性も視野に入れると国連軍に入るのが最善な方法だというのだが、千冬はそれでも食い下がって反論していた。
そして一夏は、千冬の前に入ってこう言った。
「千冬姉、俺国連に入るよ。」
一夏の言葉は、千冬を驚愕させるのに十分な言葉だった。無論防人たちも同じだった。
「一夏、そこに行くのがどういうことかわかっているのか。」
「千冬姉、前に同道場で真剣を持たせたときこう言ったよね。」
「(一夏よく覚えておけ、それは簡単に人の命を奪うことができる。だからこの重みは、どういうことなのかを考えろ。それが強さだ。)」
一夏は千冬がかつて言ったことを思い出し、そして面と向かってこう言った。
「俺はこの力を使って誰かを助けたい。あの人たちのように守りたい。千冬姉も、和も、箒も守りたい!」
一夏の覚悟を見た千冬は、最後にため息交じりにこう言った。
「一夏、これだけは覚えておけ。お前に何かがあると悲しんだり、
泣いたりする人がいることをわすれるなよ。」
「うん!!」
千冬が言ったのは何があってもちゃんと帰ってくるようにという言葉であり約束の言葉であった。
一夏は、その約束に答え防人たちの前でこう言った。
「これからよろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそ」
一夏の言葉に続くように防人もそれに答えた。
「ああでも始めるのは中学に入ってからな。」
「えええ・・・・・・」
前途多難であった。
ここからが始まり。
そしてここから彼らの物語が始まった。