カオス・ストラトス   作:caose

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 力は願うだけではつかめない。
 自ら努力してつかみ取るものだ。


願うだけでは何もできない。

 防人と一夏が檻の中にいる少女たちを救出した後アイリスディーナ達第666部隊の女性メンバーが彼女たちを説得して施設から抜け出した後男性メンバーは研究員を頭だけ残して体を袋に詰めて(口は猿轡で封じている)トラックに載せていると1人の男性研究員が彼らにこう言い放った。

 「貴様ら自分が何をしているのかわかっているのか?我々はISの原理を解析しこの国を世界一の国にさせてやろうとしているんだぞ!!それを貴様ら凡人は何もわからず倫理とか言って正当化させている。貴様らのような奴らがこの国を弱く・・ぎゃーーー!!!」

 太った体をした中年研究者の言葉を聞いている中アイリスディーナは部下であるシルヴィア・クシャシンスカからナイフを取るとその男の太ももにそのナイフを

深く刺した。

 痛がるその男の顔を見ながら彼女はその男にこう言った。

 「我々はバーロット大尉の命に従って動いているのだ。お前たちがこうやって生きているのもな…命令がなかったら貴様ら全員痛みと言う痛みを与えてから殺しているところだぞ!!!」

 彼女の殺気を間近で受けた男は震えながら小水を出して失神した。

 その後応急処置をした後その男はそのまま荷台に乗せられほかの人間はその匂いに我慢しながら入らざるを得なかった。

 その様子を見ていた防人は辺りを見渡すと一夏がいないことに気づきカズキに頼んで辺りの(この周囲を除く)感知をさせた後その方向を防人に伝えそこに向かった。

 森を少し抜けるとそこには綺麗な泉がありその岸のすぐそばでおそらく自分で津kyったであろう十字架が刺さった墓とそこに座っている一夏を見つけた。

「こんなところにいたのか一夏。心配したぞ?」と防人が言ってもうなずくしかしなかった。

 「これあの子の墓か?何かあるんだろ全部出しちまえ。楽になるぞ?」

 防人は一夏に心の中にあるものを出させてやろうとしているのだ。

 そして一夏はこういった。

 「防人さん。俺・・・人を殺しました。」

 「そうだな。」

 一夏の言葉に防人はそう答えた。

 「あいつら憎かったしそれだけにことをしたんだってこともわかっています。でもほかに何かあったんじゃないかと思うんです。昔幼馴染の親がやっている道場で千冬姉が俺に真剣を持たせた後こういったんです(「一夏よく覚えておけ、それは簡単に人の命を奪うことができる。だからこの重みは、どういうことなのかを考えろ。それが強さだ。」)って言ってくれたんです。それに初めてあいつを手にしたときこう思ったんです。(「これで千冬姉や皆を守れる」)ってそう思ったんです。」と一夏は黒天を見た。

 返り血を浴び赤と黒の色になり手は墓を掘るときに使ったのかドロドロになっていた。

 「でも現実は違いました。なにも守れなかった。・・・あの子を助けられなかった。・・・何もできなかった。

何が・・・ナニガ・・・何が力だ!・・何が守るだ!!…何が正しくて間違いなんだ!!1・・・俺は…弱い…!!!!」

 一夏は墓の前で地面に泣きながらこぶしでたたきながらそう言った。

 そしてうずくまりながらも泣いている一夏を見て防人はこういった。

 「それでいいんじゃないのか?」

 「え?」

 防人の言葉に一夏は混乱した。

 怒られるのかと思ったからだ。

 そして防人はこう続けた。

 「俺も初めて人を殺した時や守れなかった時もそうだった。何が正しかったんだってな。でもな一夏、これだけは覚えとけ。お前は確かに人を殺した。その事実は変わらない。でもな一夏・・・そう思うんならその自分が殺した命を背負って生きろ。重ければ俺や斗貴子、カズキ、剛太、秋水、桜花みんなでお前の肩に乗っている重しを持ち上げる。それでもだめなら・・・周りを頼れ。人間っていうのは1人だとできないことも合わせればできるんだ。お前もそうやって生きたように誰かがそうだったら同じようにしろ。そして年老いて孫子に看取られて死ね。それがお前が手に掛けた人間に対してする贖罪だ。それに‥!!誰だ?」

 後ろの茂みから音が鳴り防人と一夏が構えるとそこには一夏が救ったあの銀髪の少女がいた。

 「な、なあー。あの時助けてくれたISのパイロットはお前か?」と聞いたのだ。

 防人はため息と同時にその少女にこのことに対して他言無用にするように言った後彼女は一夏を見た。

 正直言えば小さい。

 一夏の胸の高さに届くかどうかの背丈で一夏は彼女を見下ろしてこう言った。

 「えっとナニカ・・うお!」っと一夏は奇妙な声を出した。

 それは彼女が一夏を抱きしめてこういったのだ。

 「ありがとう。みんなを助けてくれて。ありがとう。」と言ったのだ。

 すると一夏はその少女の顔が救えなかった少女と一緒に重なるように聞こえたのだ。

 そして一夏は震えながら抱きしめこういった。

 「ありがとう・・・ありがとう…ありがとう。」

 防人はその光景を見た後月を見た。

 まるで死した少女たちの魂がちゃんと天国に連れて行ってくれるかのように思っていたのだ。

  

 

 その後廃村に行った防人たちは通信した輸送機に被検体になっていた子供達を乗せISは外から戦術機は開閉口から守るようにして帰還することになった。

 防人はアイリスディーナと握手を交わして今後のことを聞いた。

 そしてアイリスディーナはこういった。

 「我々はバーロット大尉が指定した基地にこいつらとこのデータを持っていく。そこの基地司令はダモンとは対立していてなそこで我々の便宜を図ってくれるらしい。・・・今回の事感謝する。手遅れだったこともあったがこの国が本当の意味で腐る前に対処してくれたことに敬意をこめたい。・・・ありがとう。」と頭を下げて

こういった。

 「いや俺達だけだったらここまでうまくいかなかった。こちらこそありがとう。」と防人も頭を下げて答えた。

 「いつかまた。」

 「いつかまた。」

 お互い再開を願い防人たちと子供たちを乗せた輸送機は村から離陸した。

 「もうすぐ夜明けか。」

 アイリスディーナは朝日を見てそう言った。

 この朝日が新たなる始まりとなるか否かと思いながら彼女らと研究員を乗せたトラックと戦車は基地へと

向かった。

  

 

 「おーわかった。じゃ作戦通り。ああ。また電話する。」

 このちょい悪親父風の男は彼女らが向かう基地司令でもあるラディ・イェーガーであり先ほど電話してきたの相手がバーロット大尉である。

 イェーガーは今回彼女らが持ってくる資料が今後のドイツを左右するものだと位置づけており準備をしていた。

 「(各軍の手回しと作戦の内容は行き届いている。後はダモンが動けばそれを口実にできる。国家らが正念場だ。)」

 イェーガーはこれから起きる戦いに備えあらゆる敵の動きを想定して迎え撃つための算段をしていた。

 これがのちに起きる「ドイツ軍部革命」が起きる少し前の話である。

 




 命を奪ったからと言ってそれを苦にして死ぬのは間違いだ。
 精いっぱい生き、泥水をすすってでも生きることこそ贖罪である。

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