その日俺は久し振りに楽しんだ。
夕ご飯が終わった後は唯依と一緒に話したり裕也さんの部屋に入って勉強を教えて
もらったり、この家に隣接している職員も入ることができる大浴場(男女別)に入ってゆっくりと過ごした。(防人さんたちは夕ご飯を食べた後京都市内のホテルに泊まっているので帰った。)
そして次の日朝起きると唯依が部屋に入ってきてこう言った。
「一夏君。ちょっと一緒に来ない?」
そういわれてついていくと家の隅に平屋式の道場があった。
「ここはね私たち篁家が鍛錬する場所で昔は京都を守るための武器を置く場所よ。今は私と兄様と父様が使っているのよ。」
「へーー。」
唯依は一夏にそう言うとそのまま一緒に道場に入った。
そこには道着を着た裕也が何やら精神を落ち着かせるように正座をしていた。
暫くすると目を突然開かせて右隣にあった真剣を鞘から抜いた。
その後一夏たちに気づいたのか一夏たちの方に向かってこういった。
「おー一夏か、おはよう。唯依と一緒に体を動かしに来たのか?」
そう言うと裕也は真剣を収めて聞いた。
「ねー一夏君。一夏君って剣道してたからさ。感覚を思い出させるついでに
朝ご飯まで体を動かそうと思って。」
「まー確かに戦術機もISも人間が動かすから体を鍛えるのも大事だよな。」
確かにその通りだ。千冬姉と一緒に軍の施設に入った後たまに防人さんが特訓をしてくれるが主に体づくりだけしかしていないから鍛えるのも大事だなと
一夏はそう思った。
「よし、唯依一緒に何本かするか。」
「いいよ。負けたら今日の朝ご飯のおかず一品もらうから。」
何やら賭け試合になったが唯依と一夏は道着と武具を身に纏ってお互いの位置まで移動した後礼をして竹刀を出した。
裕也は審判として中央に立ってしばらくし・・・「試合、開始!!」と同時にお互い前に出た。
ちなみにこの試合最終的に唯依が勝ったためおかず一品取られた。
そして朝食を済ました後廃校舎の地下に入り一夏たちは黒天がある実験用の地下競技場のところまで移動した。
「さてと一夏君。今日は黒天の武装と機動チェックをすることになっているからね。
この機体の固定武装は日本刀の「羽彫り」と銃剣「黒焔」。それと君用の換装武装が2つって言ったところだよ。」
一夏は自分の機体のデータを見た後黒天に乗った。
「さてと一夏君先ずは機体を歩かせることから始めようか。ゆっくりと歩いて
慣れたらPICを使って飛行の練習だよ。」
一夏はそれを聞いた後機体を歩かせ始めた。
(「ISって歩くのは大変なんだな。こりゃ慎重にやらないと大変だ。」)
何故ISを歩かせるのかというとどんな機体でもまずはどのくらいの力を
必要とするのかを把握してからのほうが良いからだ。
しかしそれを探知した人間がいた。
そこは何かの部品やケーブルがそこら中に乱雑しておいていたのだ。
そしてその中心には立体スクリーンというどう考えてもSF映画のようなものの前に一人の女性がいた。
その女性は紫の髪を腰の位置まで長くし、目元はどれくらい寝ていないのかというぐらい隈ができており垂れ目になっていたがそれよりもその女性の着ている服がどう見ても普通じゃない。
胸元は大胆に開けており何やらお菓子のような杖を隣において短いスカートを着てキーボードを叩いていると何やら音が聞こえた。
「おやおや、またこの反応だ。昨日も反応したから気になっているんだよねー?
よし、行ってみるか。」
何やら嫌な予感がする。
そんなこともつゆ知らず一夏たちは地下で機体のチェックをしていた。
「うん。だいぶ慣れてきたようだね。次は機体を浮かせてみよう。イメージ的なのは何でもいいから。」
佑唯は一夏に浮かすよう指示すると一夏はあるイメージをした。
姉がISを纏って飛ぶようなイメージをした。
そしたら機体が浮き始めたので一夏は嬉しそうだった。
すると
「緊急警報!! 緊急警報!!職員はデータをメインからセカンドに移したのち脱出路まで退避。繰り返す…」
突然アラームと同時に放送が鳴ったため職員全員がすぐに行動した。
そして一夏もこれを聞いて驚愕した。
「防人さんこれは一体?」
「わからん。しかしお前を狙ってか、佑唯さんを狙ってかのどっちかわからない以上迂闊に行動するな。俺と当直の警備員が戦術機を使う。お前はISを待機状態にしてそれを持って千冬さんと一緒に脱出しろ!」
一夏はその言葉に対し自分がまだ半人前であること。そしてまだ戦えないということに腹を立てた。
「防人さん。俺だって戦えます!」
「馬鹿か!!お前まで出ると誰が職員を守る。お前はその人たちを守れ!今お前がやるべきことはそういうことだ。」
一夏はそれを聞くと恥ずかしくなった。
防人は万が一を考慮して一夏をそこに置いたのだ。
そして一夏は黒天を待機状態(剣の鍔のような指輪)にして佑唯のところに向かった。
一方防人は戦術機の待機所に行って機体を纏った。
運よく撃震が残っていたこともあり彼らは体育館から出た。
そしたらそこにはすでに誰かがいた。
「はっ、何で千冬さんがいるんだ。」
そこには紫焔を纏っていた織斑 千冬がいた。
「あんたも早く避難するんだ。」
「生憎だがそうはいかん。手は多いほうがいいし。それにお前には一夏を助けてくれた借りがあるしな。」
防人は千冬の参加した理由を聞くと少しため息も出るが確かに水際で止めたほうがいいしあっちには斗貴子がいるから何とかなる。
すると撃震のレーダーから反応が来た。
「敵機急速接近!52秒後に接敵!!総員構え!!!」
戦術機は担架ユニットにある機関銃を、千冬も機関銃をコールして対応した。
少しずつだが何かがはっきりした。
「はっ?」
「えっとあれは・・・ペロペロキャンディ?」
それは誰もが知っているあのペロペロキャンディだった。
その時千冬がこう言った。
「あー、あれは知り合いがいる」
「はっ知り合い?」
防人は千冬のため息が出そうな顔を見て何だと思った。
そしたらそれはいきなり止まり…割れた。
「ちーーちゃーん!!」
その中にはさっきの女性がいた。
「サーサーちーちゃん。久しぶりの再会だよ。ぎゅーーってぐぺ。」
「お前、何しに来た。」
千冬はそのハイテンションな女性の頭を掴んで聞いた。
「あのーもしかして?」
防人は頭が痛くなりそうな感じで聞いた。
「あー思っての通りだ。こいつは篠ノ之 束ISの生みの親だ。」
「「「「「えーーー!!!1」」」」」
世界を変えた天災が何で来るのと防人は不安がよぎった。
悪い予感って当たると胃が痛いよねーー