カオス・ストラトス   作:caose

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 闇が・・・迫る。


暗雲が広がる

「あれから俺は堕天使のアザゼルさんに匿われてな、その後はまあ皆の

知っての通りだ。」

 「・・・其れは分かったけどどうして貴方が恨まれるのかは本当に

理解できないわ、貴方の追放も含めてね。」

 「それはさっき言った通り俺があの時皆を」

 「違うよ刃更!」

 「かんちゃん!?」

 どうしたのと本音が簪に向けて驚いているが簪はこう続けた。

 「私・・・機体が暴走していたとき僅かだったけど覚えてるの!刃更が

私を助けてくれる時に前に立っていたことも!!刃更が私を守ってくれたことも

全部全部覚えてるから!?それに勇者の里であの時助けなかったら多分・・・

もっと多くの人達が死んでいて大変だったと思うから私は刃更が悪いことしている

なんて・・・思えないよ。」

 それを聞いて刃更は恥ずかしくて頬を掻いていると澪もこう答えた。

 「私からも言うけどあんたが気に病む必要はないと思うわよ、アンタが

動いてなかったらもっと多くの犠牲が出たってのも真実。寧ろその人が危ないって

分かっててほっといてた上層部が悪いのにそれの追及恐れてあんたを

人身御供にしたんだからあんたが気に病む必要は無し!だからあんたは自分を

そんなに悪く思う必要はないし寧ろあんたのおかげで助かったことを

何とも思わないあいつらに何考えたとしても文句いう奴らの事考えないで売られた喧嘩は買うわよ!」

 こっちは死にたくないしと言っていると確かになと刃更はそう思っていると

楯無が刃更に向けてこう提案した。

 「刃更君、私達もその戦いに参戦して良いかしら?」

 「楯無さん!これは俺達の」

 「それじゃあ駄目なのよ、あいつらは何もしていない澪ちゃんを

ターゲットにしている以上私も無関係じゃないわ。生徒会長である以上、

そして何よりもこの国の暗部でもある私は彼らの行動を賛同しないわ、

この戦いは私も参加する理由するわ。そして・・・簪ちゃんも。」

 それを聞いて刃更は簪に目を向けると簪はこくりと力強く頷きそして本音と

虚も賛同した。

 彼女たちも同じ意見だという事が理解してしまいはああと溜息付いて

こう言った。

 「一つ言っておきますけど俺達勇者の戦い方は厳しいですよ。」

 「侮らないで、私はロシア国家代表。簪ちゃんは日本の代表候補生。互いに

自分の身を守る術を持っているから気にしないように。」

 そう言って刃更は・・・分かりましたと言ってこう続けた。

 「1週間・・・その時が戦いの時だ、今のうちにやれることをしましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその夜

 『う~~ん、やっぱり都会だと良い場所は早々ないなあ。高志君そっちは

どうだい?』

 「・・・こっちもだ、通常の結界でどうにかするのは諦めたほうが

良いかもな。」

 高志が携帯電話のコードレスイヤホンから聞こえる斯波の声に

高志は淡々と応えた。

 刃更と澪との戦いに備えて決戦の舞台の選定をしていた、単純に人的被害が

出ない事だけを考えれば学園島にある港の倉庫街がうってつけだと初期は

考えていたがあそこは背後に海を背にして戦った際に追い詰められてしまう。

それに白虎の属性は風だが潮風における問題と・・・武偵校のSSRの存在によってばれてしまい下手してあっちと戦う事になれば問題が大きくなるだけだから

学園島以外で事を済ましたかったが今や弦神島同盟条約で逸れ悪魔対策が

本土にまで浸透しているため結界が発動すればレーダーが反応し

こちらでも戦闘になる。

 そうなれば後は・・・一つしかない。

 『そう言えばだけど爺様たちがこっちに送ってきたあれ、悪魔の

レーティングゲームをベースにして造った結界システムがあったけど・・・

どうする?』

 使う?と聞くと高志はちっと言ってこう続けた。

 「・・・何時使えます?」

 『何時でもだよ、レーティングゲームで使われる結界システムには

魔術的ジャミングシステムを導入しているからばれる時間をそうだねえ・・・

大体だけど4時間はカバー出来るよ。』

 「分かりました、でしたら・・・****で行いましょう。」

 『良いの?あっちのホームグラウンドじゃないの?』

 「構いません、どうせあいつの実力は前よりも弱くなってますからそれに・・・どうせ結果は変わりませんから。」

 そう言って通信を切ると高志はこう思っていた。

 「(昔っから俺は刃更には追いつけなかった、同じスピードタイプなのに

どんだけ息切らしてもあいつは何もなかった。だがあれから5年、

俺は強くなった。胡桃も柚希も強くなったんだ、厳しい修行を経て強くなったし

その理由もある。

 柚希は刃更への想い、胡桃はそんな姉の手伝い。俺はあの時の様な悲劇を

繰り返させねえために強くなったのにあいつは・・・打倒すべき魔王の娘を

守ってやがる・・・!音族の指名を忘れて感情任せの正義感に酔ってんなら

思い出させてやる・・・あの時救われることのなかった皆を・・・

俺は絶対に忘れねえ・・・!!)」

 そう思っているが高志は分かっていなかった。

 あの時救われなかった皆は仲間によって・・・自分の兄貴分によって

命を落として死んだことに。

 彼は省みようともしない、自分がやっていることが兄貴分と

同じ穴の狢である事。

 そして自らの弱さを刃更のせいにして自分の力の無さを・・・

見て見ぬふりをしていることを。

 そして彼に対する絶対的な殺意が・・・心の中で渦巻それが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・自分の中でファントムが生まれ育ち今でも・・・

強くなっていることを。

 そして彼の陰が映った瞬間に・・・化け物の如き見た目になっていることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やれやれ、これは厄介だな。だけど爺様達は何か隠してる、もしそれが

僕達勇者にとって害があるとするなら・・・それを止めないとね。」

 斯波はそう言いながら町の裏道で壁の向こうにいる人影に向かってこう言った。

 「それじゃあ・・・情報頼むよ情報屋。」

 「ああ・・・任せな。」




 次回は特訓。

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