カオス・ストラトス   作:caose

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 終わりです。


過去語り3

5年前・・・座敷牢

 「・・・大丈夫か?少年。」

 「・・・貴方は・・・誰?」

 幼かった刃更は目の前にいるその人物を見てそう聞いた。

 男か女か分からない風貌

 全身を白のローブで覆い顔部分にはオレンジ色のフェイス部分が見える。

 指には幾つもの指輪が付けられておりその風貌は正に・・・魔法使いであった。

 「私はウィザード、お前の中にある魔力を感じてここに来た。」

 「魔力・・・けどここは・・・結界が」

 「私の言う魔力と言うのはお前の知っているそれではなくもう一つの・・・

今もお前の中で感じるそれだ。」

 「!・・・何で・・・それを。」

 刃更がそう聞くも食事は自分の中にいるナニカによって喉が通ることなく

食べることが出来なかったがために衰弱状態であると察知したウィザードは指輪を

付けてドライバーに翳すと音声が流れた。

 『ポケットナウ!』

 それが聞こえた瞬間に魔法陣が現れて出てきたのは・・・生理的食塩水が入ったペットボトルであった。

 「口に含んでおけ、今から話すことは真実だから失神しないための対処法だ。」

 それを聞いて刃更は力なくなされるが儘飲むとウィザードはさてとと言って

こう続けた。

 「さて、先ずは何故魔力を感じたについてだがお前の中にあるのは魔力の中でも

異質だからだ。」

 「異質・・・?」

 「そうだ、知っての通りと思うが勇者は魔法を使う際己の魔力に自然界の

精霊の魔力を上乗せすることで力を発揮する。それは知ってはいるな?」

 「うん知ってる、先生から基礎だって教わった。」

 「そうだ、対して悪魔や天使・堕天使は自分の中にある魔力を使って戦う。そして生きた年齢=魔力の総量となっており稀に眠り病と呼ばれる特殊なものがあるが

まあそれは今は関係ないから除外する。」

 ウィザードはそう言うがそう言えばと刃更はこう思っていた。

 「(眠り病って確か父さんの聞いた話だけど体内にある魔力を水、自分自身を

器とする場合その器の中にある魔力が多すぎたり逆に少なすぎると体がその状態に耐えきれなくなって体と内包されている魔力が一致するまで眠るって

聞いたことあるな。)」

 何で知っていたんだろうなと刃更はそう思っているとウィザードはこう続けた。

 「だが魔力はその人の心ひとつで変容してしまう、そして今お前の中にある

其れは・・・絶望を糧にして成長する魔力生命体・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・『ファントム』だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「魔力生命体『ファントム』・・・其れは初めて聞きましたね。」

 万理亜が刃更の言葉を聞いてそう呟くと刃更はそれはそうだろうなと言って

こう続けた。

 「『ファントム』は魔力を持つ人間が絶望した際に顕現する奴で普段は体内に

潜んでいるからな。」

 見えづらいんだよ言うとそれじゃあ私はと澪が聞くと刃更はこう答えた。

 「多分だがお前の場合は・・・復讐心が防波堤になってるんだと思うんだ、『ファントム』は魔力を有する人間の絶望から放たれる-エネルギーに

反応するからな。」

 「そう・・・何だ。」

 それを聞いて澪の復讐心とは何だと簪・本音はそう思っていると楯無が刃更に

向けてこう聞いた。

 「続けて刃更君。」

 「はい、俺は『ファントム』の存在をウィザードから聞いて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5年前・・・座敷牢

 「『ファントム』・・・こいつが。」

 刃更は自分の中にあるそれを見て絶望を思い出そうとするとウィザードは

待てと言ってこう続けた。

 「思い出すのはやめとけ、思い出せば『ファントム』は更にお前から

絶望しようと甘い言葉をかける。」

 そう言って止めさせるとウィザードは刃更に向けてこう言った。

 「少年、此の儘『ファントム』が力を付ければやがてお前はその体を・・・

魂を食われて『ファントム』はお前を乗っ取るぞ。」

 「!?」

 それを聞いてそんなと思っていた、此の儘だと自分は自分で

なくなってしまうのかと恐怖するとウィザードはそれでだと言ってこう提案した。

 「だからお前に提案する、その力を使いこなす気はないか?」

 「へ?」

 それを聞いて何でと思っていた、それほどの力ならば消したほうが

良いんじゃないかと思っているとウィザードはこう続けた。

 「先ほども言ったように『ファントム』は自分の魔力から絶望と言う

-エネルギーを食らって生まれた存在、つまりはもう一つの自分・・・

闇の側の自分と考えるんだ、消せば最後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お前は魔力を失って勇者としての力も失う。」

 「そ・・・そんな・・・!」

 刃更はそれを聞いて驚愕した、消せば自分は何もかもなくなるんだと思って顔を俯くとウィザードはこう続けた。

 「だからこそ使いこなすのだ、それを使いこなすことが出来れば

お前は魔法使いに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・『指輪の魔法使い』としてこれからお前と関わるであろう

大勢の人々を守ることが出来るはずだ。」

 「守る・・・けど俺はあの時。」

 刃更はそう言って自分が消してしまった多くの人達を思い出そうとすると

ウィザードはこう言った。

 「確かにお前は彼らの亡骸を消した、その事実は変わらない。」

 「・・・・」

 「だがお前は生きている、生きているのならばその罪を抱えて前に進みそして

それ以上の多くの人達を守るために・・・力を付けろ東城 刃更。」

 そう言ってウィザードは・・・消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そして俺は勇者の里を親父と一緒に出ました、里からの条件で。」

 それを聞いて全員が・・・暗い表情をしているのは分かりきっていた。




 その話は全員に何を思うのか?

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