その日の国連軍日本支部
一夏の生体サンプルとISデータを持ち込まれた後各分野のエキスパートに委託し
徹底的に解析をするも出た答えはいずれも御剣重工地下研究所の医療データと同じ結果しか出なかった。
そしてそのデータを坂口隊長達にも届いた。
「やはり同じ結果でしたか。」
坂口は諦め半分の口調でそういった。
「じゃー何なんですか。まさかこいつ2つも能力を持ってるってことっすか?」
火渡はその資料を見た後仮説を述べた。
「いえそれはないでしょう。我々も能力の発現がどのようかはまだ
分かっていませんが人間1人が持てるのは1つぐらいなものです。それ以上は体の負荷が尋常ではありません。」
楯山は火渡の仮説を否定した後現在分かっていることを説明した。
彼ら能力者は脳や神経などに関連することが多く2つ以上能力を持つとその能力における反動で体にダメージを蓄積し最悪脳が損傷したり体に何らかの障害が残るのである。
(ちなみにこの世界に来る転生者は神に対抗するときそういうことなどつゆ知らず強力な能力使うため体が自壊したりすることがたまにある。)
「そんなことよりも一夏の処遇をどうするかです。各国にばれることなく過ごすという意味ではこれが重要でしょう?」
防人は一夏の身の安全を考えどのように行動するかを考えようといった。
「そのことですが。一夏君についてですが少々問題が起きました。」
「「「はっ???」」」
坂口が一夏のことである問題が出たと聞き3人とも疑問を持ちながら聞いた。
「一夏君をどの企業のテストパイロットにするかについてですよ。普通なら御剣重工が適任でしょうが倉持がそれに納得していないんですよ。」
坂口の言葉に3人は唖然としたが同時に納得した。
現在世界で唯一の男性IS操縦者である一夏を手に入れることは企業にとってみれば
手つかずの宝箱にある金銀財宝を手にするのと同じなのだからだ。
「でもよー一夏が動かしたISってよ御剣のなんだろう。だったら御剣だろ。普通。」
「普通ならね。でも今回は異例中の異例。彼らからすれば何が何でも手に入れたいはずよ。」
「それに姉弟を一緒にすれば世間に対して良いプロパガンダになるしな。」
火渡の言ったことは正論だろう。だが楯山や防人の言うメリットを考えればそっちのほうが受けが良いだろう。
「しかしそれでは御剣財団を敵に回すことになりますしこの意見は倉持の1部のあの時見た技術者達の意見ですので聞く必要などないと倉持の所長が直々におっしゃっていましたし、彼らは厳重注意と減給、今回のことを話したら政府からもきついお咎めを受けることになると警告したらしいですよ。」
坂口は彼らの意見を聞いた後倉持の所長が今回の件から手を退いたことを言った。
「まだ本決まりではありませんが、一夏君は京都にある御剣重工・篁技術研究所に在籍することが決まりそうですよ。」
「よかった。あそこならそう悪いようにはしないし表向きは戦術機のパイロット候補生とすればよいですね。」
坂口が言った言葉に防人は安堵と隠れ蓑になるというメリットがあるということを
説明した。
「では防人君、長期休暇の時に一夏君と千冬くんを京都に連れて行ってあげてください。それまでに彼の機体を整備させるように進言させておくので。」
「わかりました。」
物語は少しずつ進む。
戻らぬ時計の針のように少しずつ変わる。