熱意、誇り、野心、理想。どちらもあるが、本当に大切なのは時世を見抜き、国益をどう確保できるかといった計算と人脈が必要なのである。
今回の事件は赤穂副総理自身が地下研究所にある外部との連絡ができる(研究者にはスパイ対策用に自分のIDと質問{これは本物の答えと同時に偽物の答えを
職員に教える}で使用できる)特殊電話にて報告した。
流石に最初は信用どころか少し早いエイプリルフールかと思っていたが、自身が用意した隠しカメラ付きの携帯電話のデータ(今回の演習結果を報告するため地下に入るときに預けた携帯とは違うものを用意しており御剣重工業が偽の報告データが来ても良いように備えたもの)を首相官邸にある首相専用のPCに送信(このネットワークは民間とは違う独立したネットワークを使っている。)してその時の映像を流した。
その後赤穂副総理自身も一刻も早く戦術機の量産に対する臨時予算委員会の開会と一夏の今後を総理たちと話し合うためできるだけ早く戻ることを伝えた後回線を切った。
その後首相は、官房大臣を呼ぶように秘書室に伝言を伝えその後の予定をすべてキャンセルにさせ誰もこの部屋に入らないようにするようにと頼んだ。
その後官房長官である久我 又幸が公用車ではなく自身の自動車を官邸から離れた駐車場に止めた後SPを首相官邸の前まで一緒に歩いた後1人で首相官邸に行った。
首相官邸のドアを開けると現在の首相の妻である網江夫人がいた。
「久我さんすみません主人が急ぎで来るように伝えたのでお仕事大変だった
でしょう。」
「いえいえ奥さん。私の仕事は首相に比べれば少ないほうですしそれにあの総理が
早急にとなると厄介な事案ですのですぐに解決しないといけません。それとほかの方々はすでに?」
「いえいえあなたと赤穂さんだけが来ると主人は申していましたが?」
網江夫人のねぎらいの言葉に対して社交辞令として答えた後ほかの人間は来ていないかという質問に対しての答えが久我氏の心にとげみたいな何かが引っ掛かった。
(おかしいな。緊急といったのに呼んだのは私と今新型兵器を見に行った赤穂さんとなると今回のコンペについての事かな?)
そう思いながら総理の自室に入った。
「やぁ久我君。待っていたよ。もうすぐ赤穂君が来るからそれまでコーヒーでも飲むといい。」
この人のよさそうな男こそ現在の首相 田部 緊道である。
その後久我は疑問を持ちながらコーヒーを飲み2敗目を飲もうとした瞬間「遅れて申し訳ありません。」と赤穂本人がもう一人眼鏡をかけた神経質そうな男と一緒に来た。
「赤穂さん彼は?」
「彼は検察庁管理官の徳地監察官だ。」
「徳地です。」
検察庁は、警察庁と同じくこの国の方を守ると同時に警察官を監視する存在でも
あった。
「ではこの度緊急で来てくれてありがとう。まあ、弱冠1名入っているが赤穂君
報告を」
「はい、本日10時丁度御剣重工が開発した新型のパワードスーツ「戦術機」を視察
その際の模擬戦の際(ブリュンヒルデ 織斑 千冬)と試合を行い1時間もの激戦の末
戦術機の勝利で終わりました。」
「な、あの織斑 千冬に勝ったと。」
「それでは私は何のために呼ばれたのです?」
赤穂の報告に久我は驚くと同時に1筋の光を見た。これで軍備を縮小売ることなく対応できるといったのだからだ。
だがその後の徳地の疑問に確かにと思った。これは検察庁には関係ないからであるが赤穂のその後の言葉はその後も続いた。
「徳地君、ここからが君を呼んだ理由だ。なおその後の隊長機用の戦術機と第2世代ISのお披露目の際、織斑 千冬の弟織斑 一夏がISに触れた途端反応、ISを纏った。」
「「はあああああああああああ!!!!!!””」」
その後の赤穂の報告には2人とも絶叫するしかなかったのだ。
そして数分後2人とも落ち着いたところで徳地は懐から飴の入った缶を開けそれを噛み砕きながら食べた。
「これは想定外という話ではありません。下手をすれば世界が大混乱しますよ。」
「その前に女性権利主張団体が何かしらの騒動を起こしますよ。あいつら琴野議員の後おとなしくしていますが何をしでかすか。」
久我は世界を徳地は国内それぞれの問題点を出した。
「それで君たちだけに報告したんだ。彼のこれからについて。」
一夏の今後の身の振り方についてである。
「現状このままを維持するにしてもそこにいたスタッフはどうしたんです?」
「彼らは一夏君が乗った機体の専属整備士にすることになりました。給料も大幅UPしたとのことです。」
「情報はどうします?壁に耳ありという言葉がありますが?」
「すでに御剣財団が情報統制したとのことです。」
赤穂は彼らの質問にその後も答えた。
「小学校卒業までは良いとして、その後はどうします?」
久我は中学生になったときどうするのかを聞いた。
「かつての篠ノ之家のように要人保護プログラムの対象にするべきか?」
要人保護プログラムとは外国で行われている制度で凶悪な組織犯罪の情報の提供者の命を守るために戸籍を消して新しい戸籍と名前などを与える制度である。
「しかしそれでは各省庁にも内容を説明しなければならない。
結局ばれるだけです。」
久我の提案は徳地の言ったデメリットによって没となった。
その後もいろいろ案があったがこれといったものがないまま
夜の7時近くになっていた。
「取り敢えずこの内容は国連の日本支部も相談してるらしい。彼らの意見を聞いたうえでもう一度討論しよう。今日は忙しい中ありがとう。」
田部首相はこの場で解散させ、また後日話し合うこととなった。
この日日本で起きた事件は終わりもないまま終わった。
あらゆることを論じることは良いことだが、本当に大切なことはごく一部の人たちによって議論して決めることもある。