カオス・ストラトス   作:caose

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 もう一度立ち上がる勇気はあるか?


再起の狼煙

 あれから重傷となった一夏は医療室に運び込まれ長谷川先生による治療をして何とか命は取り留めたが長谷川先生は沈痛な面持ちで千冬達にこう言った。

 「全身裂傷と火傷が幾つかあるが問題は腹部だ。内臓破裂が3か所、あばら骨も半分以上が折れている。これで生きているのが奇跡レベルだがここでは満足な治療ができにくいから一刻も早く学園島に送還することを薦める。」

 そう言った後千冬は全員に向かってこう言った。

 「先程軍が出動したという連絡が入った。我々は万が一に備えて待機するよう言われたので全員はそれに従うように。」

 千冬がそれを言った後それぞれが格納庫に戻ろうとした。

 そう・・・作戦に参加したメンバーを除いては・・・。

 彼らは痛々しい姿になり呼吸器を付けて包帯姿になった一夏を見ていた。

 刃更は拳を力強く血が出るぐらいに握っているこういった。

 「俺がもう少し早く準備していたら・・・。」

 「刃更さんのせいじゃないですよ。私だってあの時油断していなければ

こんな事には・・・」

 マシュも力なくこう言った。

 唯一言葉を発していない箒は一夏の方を見ながら力なかった自分を責めていた。

 

 一方指令室にいる千冬はある女性の資料をくしゃくしゃにするように握りながら見ていると山田先生が入ってきた。

 「織斑先生、報告があります。」

 「何だ・・・」

 「はい、密漁船のクルーは如何やら昨日の深夜の内に出港した中国船というのがわかりました。彼らは外務省経由で中国総領事館に引き渡される予定です。・・・

それとあの周辺の警備を担当していた〈鹿平 刺花〉先生の〈戦風〉はIFFを遮断していて居所がつかめないようです。」

 「そうか・・・わかりました。」

 そう言うと山田先生はそそくさと去って部屋から出ると同時に持っていた紙を破って床に散乱させた。

 そして千冬は崩れるように倒れると小さな声でこう言った。

 「・・・一夏・・・。」

 千冬は今にも泣き出しそうな声で言うと扉の向こうから誰かが走っていく音が少しずつ強くなってきたので千冬は目に溜まり始めた涙を拭きとるとやってくる人間を見た。

 「ちーちゃーん!!!」

 「何だ束か。」

 千冬は束が来たことに落胆した様子で言うと束は千冬にこう言った。

 「軍の衛星データをハッキングして〈シルバリオ・ゴスペル〉が見付かった場所がわかったよ!!」

 「何!!」

 千冬は驚くと束がパソコンを打ち込んでその座標を表示した。

 「場所はここから30キロ離れた沖合上空!!今から行けば軍と途中で合流できるはずだよ!!」

 然し千冬は少しため息交じりでこう言った。

 「束、我々はここで待機するように言われているんだぞ。それに行ったところで連中がどういう顔をするか・・・。」

 「大丈夫だよちーちゃん。束さんがさっきいっ君の所属している隊長さんに伝えておいたらね・・・許可するように捗ってくれたって。」

 「・・・防人さん。」

 千冬は防人に感謝の声を出すと束はこう続けた。

 「ここは束さんに任せて行ってきてよちーちゃん。機体は既に束さんがチューンしておいたから。」

 「束・・・ありがとう。」

 千冬は束に感謝を述べると颯爽と機体が置いてある場所にへと向かった。

 「・・・さてと箒ちゃんにも伝えておくか。」

 そう言うと束は胸の谷間から携帯を取り出してメールを送った。

 

 一方箒達は未だ一夏のいる病室から動いていない中箒の機体の待機状態である鈴のついた簪を見るとそこには「シルバリオ・ゴスペル」の現在地とこう綴られていた。

 『ちーちゃんにも伝えてるから今から行けば間に合うよ(^_-)-☆。』

 箒はそれを刃更とマシュに見せると刃更だけではなくマシュも喜んでこう言った。

 「あんにゃろーは1発叩きらなきゃー気が収まらねえ!!」

 「リベンジし甲斐がありますね!!」

 そして箒はこれを待機中である鈴音達に伝えるためにそこに向かった。

 

 一方千冬は束がチューンした「戦風」を見た。

 外見はそのままだが接近戦用にスラスターをぎりぎりまで強めていて近接兵装を取り付けられておりいつでも発進する準備が整っていた。

 既に千冬はISスーツを身に纏い髪もポニーテールに纏めていた。

 「この髪型にするのも何年ぶりかな?」

 そう言って「戦風」に乗ろうとすると箒達がISを纏って現れたのだ。

 「織斑先生、付き合うぜ。」

 「あたし達だって一夏の敵討ちしたいしね。」

 「私の相棒を手に掛けた罪、その身に刻み付けなければね。」

 「友達の親友をあのような姿にされて行かないわけにはいきません。」

 「あの機体にはお返しをしなければいけませんしね。」

 刃更、鈴音、ロラン、ヴィシュヌ、マシュはそれぞれ自分が戦う理由を告げた後箒は千冬に近づいてこう言った。

 「・・・千冬さん。・・・行きましょう!!」

 そして千冬は呆れながらもこう言った。

 「全く揃いも揃って・・・ありがとう。」

 千冬は感謝を述べると全員に向かってこう言った。

 「それでは全員・・・戦闘開始だ!!」

 「「「「「「おう!!!!!!!」」」」」」




 敵は破壊の権現只1つ!!

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