魔法少女リリカルなのはStrikerS ~ Remember my heart ~   作:アルフォンス

76 / 81
この物語は、if ending ティアナのAfter storyになります。



Wedding Story ~ June Bride ~

「これで、ようやく執務官としてやっていけるな」

 

「そうね。本当に辛かったわよ。この一年……あんたに会えなかったこと……」

 

「……ティア」

 

「フィル……」

 

 

 

あたしは、この一年、執務官試験を突破するために、フィルはクロノ提督の元で、あたしはフェイトさんの元で執務官補佐をして、執務官に必要なことを猛勉強した。

 

その苦労のかいがあって、あたしたちは何とか一発で合格することが出来たのよ。

 

 

 

「フィル、六課解散の日に約束したこと……覚えてる?」

 

「ああ……俺たちが執務官になったら、一緒にコンビを組むことだろ」

 

「それじゃない!! もっと……大切なことあったでしょう……」

 

 

ねぇ、本当に忘れちゃったの……。

あたしはあの約束だけが、心の支えだったのよ――――。

 

 

 

「忘れてないよ……。大切な約束だもんな」

 

「ばか……。本当に忘れちゃったと思ったわよ」

 

 

からかうのは止めてよね。本当、こいつって人をからかうのが好きなんだから……。

 

 

「ごめんな。ちょっとふざけすぎたな……。今度はちゃんというよ。ティア……」

 

 

フィルは、さっきとは違って真剣な瞳で……。

 

 

「……結婚……しよう」

 

「……うん」

 

 

 

六課解散の日……。

あの時二人で、約束したことは二つ……。

 

 

一つは、一緒にコンビでやっていくこと。

 

 

そして、もう一つは……。

 

 

――――結婚して、ずっと一緒になる。

 

 

それが、フィルとの大切な約束だった。

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「それにしても、結婚式をするのも大変なのね」

 

「ああ、こんなに準備が大変だと思わなかったよ。特に招待客の選別……」

 

「そうね……」

 

 

 

俺たちは、半年後の六月の結婚式のための準備に、四苦八苦していた。

式場とかは、良いところが取れたので、そう問題じゃないのだけど……。

 

 

 

「こうして、リストを作ってみると、あたし達って、とんでもない知り合いばっかよね」

 

「そうだよな……。しかも、みんな絶対招待してねって、言われているからな……」

 

 

 

単純にあげられる人だけでも、なのはさん、フェイトさん、はやてさん、そしてフォワードのみんな。

さらに、親代わりとして色々してくれた、レジアスの親父さんとオーリス姉……。

 

 

 

「でも、どうしよう。このメンバーじゃ、絶対全員はそろわないわよね」

 

「だよな。どうしようか……」

 

 

 

そんなことを考えていたら、通信が入ってきた。

 

 

 

『ご機嫌はいかがかな。フィル、ティアナ』

 

「親父さん!?」

 

「おじさん!?」

 

「親父さん、いったいどうしたんだよ。いきなり通信してきて?」

 

 

親父さんの忙しさは半端じゃない。

それこそ秒単位でスケジュールが決まってるのに……。

 

 

 

『いきなりはなかろう。儂はお前達が執務官試験が受かったと聞いて、お祝いの言葉をかけようとしただけなんだがな……』

 

「あ、ありがとう。親父さん……わざわざ」

 

「本当にすみません。わざわざ……」

 

『なあに、二人とも儂にとって、子供みたいなものだ。子供のことを心配しない親なんて………いないだろ』

 

 

 

親父さんの言葉は、本当に嬉しかった。

俺たちの事を、本当に思ってくれたんだ――――。

 

 

 

『そういえば、お前達。半年後、結婚するんだったな。どうするんだ、メンバー集めは?』

 

「その事なんだけど……どうしようかと思って」

 

『と、言うと?』

 

「俺の知り合いって、かなり有名人が多いから、みんなの都合を合わせるのが上手くいかないんだ」

 

 

 

実際、今回の日取りを決めるのだって、かなり難航した。

六課解散前から、執務官試験に合格したら、その年の六月に結婚することは、みんなに言ってあったから、六課メンバーは何とかなるんだけど……。

 

 

 

『フィル、ティアナ、その心配はないわよ』

 

「オーリス姉!?」

 

「姉さん!?」

 

『あなたたちが、執務官試験を一発で受かることは信じていたから、スケジュールを調整するときに、六月のこの日は空けられるようにしてあるわよ』

 

 

 

そんなこと言っているけど、レジアスの親父さんは今では、地上の統括をしている重要人物だ。

その人のスケジュールに、穴を空けるのはかなり困難なはずなのに……。

 

 

 

『そういうことだ。だから、儂らも是非、お前達の結婚式に出させてもらうぞ』

 

『フィル、ティアナ、結婚式の前に、一回こちらに顔見せに来てね。色々語り合いたいしね』

 

「はい、フィルと二人で必ず伺います!!」

 

『楽しみにしてるわ。その時は事前に連絡してね。どんなことしても暇をつくるから……』

 

 

 

そう言って、二人からの通信は切れた。

親父さん……オーリス姉……。

 

本当に……ありがとう。

 

 

 

*    *    *

 

 

三月某日

 

 

「フィル、式の参加者リストは何とかまとまったけど、式での料理とかはどうするの?」

 

「そうだな……」

 

 

 

六月の式まであと三ヶ月。

俺たちは、殆どのことは決まっていたけど、最後の問題として、式場で出す料理とウェディングケーキのことで悩んでいた。

式場はかなり雰囲気の良い所なんだけど、料理の方が普通で、これをどうにかしたかったのだ。

 

 

 

「一応、式の前日に俺が、料理関係を用意しようと思っているんだけど……」

 

「確かにあんたの料理なら、みんなに喜んでもらえると思うけど、正直あんたの負担が、かなりかかって来ちゃうわよ……」

 

「でも、一生に一度だからな……。これで手抜きをしたくはないんだよな……」

 

「そうよね……あれ? 通信が入ったわね」

 

 

 

通信を開いてみると、それははやてさんからだった。

 

 

 

『フィル、ティアナ、久しぶりやな』

 

「はやてさん!!」

 

「お久しぶりです。お元気でしたか」

 

『フィル、相変わらず堅いな。でも、そっちも変わっていないようで何よりや。遅れてしまったけど、二人とも執務官合格おめでとう』

 

「「ありがとうございます!!」」

 

『それとなのはちゃん達から聞いたで。フィル、結婚式の料理で頭悩ませているらしいな……』

 

 

 

実は、結婚式のことで、なのはさんに相談にして、その時に式場で良いところがあると、なのはさんが見つけてきてくれたのだ。

 

 

 

『あそこは、確かにロケーションは最高なんやけど、料理に関しては普通レベルやしな……』

 

「そうなんですよね……。それでフィルが作るって言ってるんですよ。でも、そうなると、かなり負担になってしまうんです……」

 

『そんなことだと思ってたわ。そこでや!!』

 

 

はやてさんがポンと手を叩き――――。

 

 

『今回の結婚式の料理、私に任せてもらいないやろうか……』

 

「「えっ……?」」

 

『一生に一度の大切な事や。特にフィルにはかなり助けてもらったし、ここで少しでも恩返しをさせてほしいんや』

 

「だけど、はやてさんもかなり忙しいのに……申し訳ないです」

 

 

捜査官の任務は執務官以上に忙しい。

ましてや、はやてさんは司令官を務めることもある。

 

忙しさは半端じゃない――――。

 

 

 

『そんなこと心配しなくても平気や。私らの有給はかなり余っているんやで。こんな時に使わなくて、いつ使うというんや。二人は余計な心配はせず、思い出に残る式を挙げてや』

 

「はやてさん……」

 

『ほなら、今度会うのは式前日やな。料理の方は任せておいてや!!』

 

 

 

はやてさんは、笑顔で手を振りながら通信を切った。

 

 

 

「フィル……あたし達って本当に、色んな人に支えられていたんだね……」

 

「ああ……はやてさんになのはさん、そしてオーリス姉……。みんな俺たちの結婚式のために……」

 

「絶対……良い式にしようね」

 

「そうだな……」

 

 

 

*    *    *

 

 

 

五月 某日

 

 

俺たちはレジアスの親父さん達に、自宅に招待された。

結婚前に、どうしても俺たちと話をしたかったらしい。

 

 

 

「いらっしゃい、フィル、ティアナ」

 

「お邪魔します。姉さん」

 

「遠慮しなくて良いわ。さあ、上がって」

 

 

 

俺たちを出迎えてくれたのは、オーリス姉だった。

ティアも、オーリス姉のことは姉さんといって慕っている。

 

オーリス姉に案内されて、入った部屋には親父さんが待っていた。

 

 

 

「よく来たな。フィル坊、ティアナ嬢ちゃん」

 

「その呼び方……久しぶりですね。親父さん」

 

「まあな。もうお前達は立派な社会人だからな」

 

「お久しぶりです。レジアスおじさん」

 

「ティアナ……本当に大きくなったな……」

 

「はい……おじさんや姉さんが、あたしのことを陰から支えてくれたから、あたしはここまでやってくれたんです」

 

「そう言ってくれると嬉しい……。そうそう、オーリスがお前と話がしたいから、部屋に来てくれと言っていたぞ。儂もフィルと少し語り合いたいからな」

 

「分かりました。じゃ、フィル後でね」

 

 

そう言ってティアはオーリス姉の部屋に行くことにした。

俺も、親父さんと語り合いたかったからな。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「それにしても……お前も結婚か。しかも、ティアナ嬢ちゃんと」

 

「ええ……俺が結婚なんてするとは、思ってなかったですけどね」

 

 

 

俺と親父さんは、親父さん秘蔵のブランデーを飲みながら、小さかったときのことや六課に入ってからのこと。

 

 

 

そして――――。

 

 

未来で経験してきたことなどを話していた。

 

 

 

「フィルよ……お前は未来で、ティアナ嬢ちゃんを失ってから、自分は人を好きになってはいけない。そう思っていたな」

 

「はい……でも、ティアがそれを取っ払ってくれたんです。ティアの一途な思いが……」

 

「あの子は一度思ったら、それに全力を出すからな。スバル嬢ちゃんとまた違った一途さがある……」

 

「ええ……本当に……」

 

「フィル……あの子を幸せにしてやるのが、お前の役目だ。そして……」

 

 

親父さんが俺の肩に手を置き――――。

 

 

「儂は、お前にも、幸せになって欲しい。それが儂とオーリスの心からの願いだ。お前達は儂の自慢の息子と娘なんだからな……」

 

「親父さん……」

 

 

 

俺は親父さんの前で、涙を流していた。

小さいころの俺たちにとって、レジアスの親父さんはたった一人の理解者だった。

 

その親父さんに、少しでも恩返しをしたかった。

 

 

親父さん……。

 

 

本当にありがとう……。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「今頃、あの二人かなり飲んでいるわね」

 

「そうですね……。フィルも久しぶりにおじさんに会ったんですものね」

 

「ティアナ、あなた、そんなに飲む口だったかしら?」

 

「普段はそんなに飲みませんよ。でも、あたしも久しぶりに姉さんに会ったんだもの」

 

「そうね……」

 

 

 

あたしは別室で姉さんとお酒を酌み交わしている。

そこではフィルの話せないことや、オーリス姉さんの昔話をしていた。

 

昔姉さんは、兄さんと付き合っていた。

本当なら、兄さんと結婚するはずだったんだけど、結婚直前あの事件が起こってしまい、姉さんは今でも独身を貫いている。

 

本当に兄さんのことが好きだったんだな……。

 

 

 

「ティアナ……」

 

「はい」

 

「私は……残念ながらティーダと結ばれることがなかった……」

 

 

姉さんの悲しみに満ちた目を見れば、兄さんのことをどれだけ思っていてくれたかよく分かる。

 

 

「そんな思いはわたし達だけで良いわ。だから、必ずフィルと幸せになってね。私とティーダの分まで……」

 

「はい……ありがとう……姉さん……」

 

 

 

兄さん……姉さん……。

 

 

あたし、絶対フィルと幸せになるからね……。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

六月 結婚式前日

 

 

「ほら、そこ!! 材料が違っているよ!! 明日の式まで時間がないんやから、急いでな!!」

 

 

 

結婚式前日、はやてさんが先に会場入りをしていて、そこで会場のスタッフとパーティー用の料理の下準備と特大のウェディングケーキを作っていた。

 

 

 

「フィル、来てたんか!?」

 

「ええ、どうしても気になりましてね」

 

「相変わらず心配性やね。でも、それがフィルやもんね……」

 

「そういうことです」

 

「ティアナはどうしてる? 宿泊先でしっかり休んでいるか?」

 

「大丈夫です。体調も万全ですよ」

 

「そっか……それならええんや。フィルも明日のために、ホテルに戻って休んでや。ここは私の仕事やからな。当日楽しみにしててや♪」

 

 

 

はやてさんの言葉を受け、俺はホテルに戻っていった。

はやてさんは、俺たちのために今一生懸命料理を作ってくれている。

 

俺たちは、明日の式を良いものにすることが、はやてさんに恩返しをすることになるんだ。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

「いよいよ……明日ね」

 

「ああ……なんか緊張するな」

 

 

 

ホテルに戻ってた俺は、ティアとベッドに座って外の景色を見ていた。

明日のことを考えると、何か眠れなかった。

 

 

 

「そうね……。でも、戦う訳じゃないんだから、もっと肩の力を抜きましょう……ね……」

 

「そうだな……。ありがとう、ティア」

 

「だから……」

 

 

 

そう言って、ティアは俺をベッドに押し倒し……。

 

 

 

「今日は、独身最後の夜……なんだから……。いっぱい抱いて欲しいな……」

 

「ティア、今日は明日のために止めようと思っていたけど、お前から誘ったんだからな。いまさら止めは無しだからな」

 

「そんなこと……言わないわよ。いっぱい……してね」

 

 

 

俺たちは、キスをしながらお互いの服を脱がし合い……。

 

 

俺は、ティアの身体のありとあらゆる所を愛し尽くす。

女性特有の甘い匂いと喘ぎ声が、俺の心を獣に変える。

 

 

俺たちは結局、当日の朝まで何度も身体を重ねた。

 

 

 

*    *    *

 

 

 

結婚式 当日

 

 

俺とティアは、式場の入り口で受付をしていた。

朝早くから、色んなメンバーが来てくれた。

 

まず最初に来てくれたのは、スバルとゲンヤさんに引き取られたナンバーズの面子だった。

スバルは俺たちを見るなり――――。

 

 

「おめでとう!! ティア、フィル!!」

 

 

と大声で泣きながら、俺たちに抱きつこうとしたけど、ギンガさんとチンクがそれを止めてくれたおかげで、衣装を守ることが出来た。

 

 

次に来てくれたのは、なのはさんとフェイトさん、そしてヴィヴィオの三人だった。

相変わらず、仲の良いことで手をつないでやってきた。

 

俺たちも、こんな家族を作っていけたらと思う。

 

その後も、エリオ達やヴァイス陸曹達も来てくれて、最後にレジアスの親父さんとオーリス姉が来てくれた。

 

 

 

「ええ……ただいまより、フィル・グリードとティアナ・ランスター、両名の結婚式を始めたいと思います。まず最初に、レジアス・ゲイズ様よりご挨拶をお願いいたします」

 

 

実は今回の結婚式の司会は、ヴァイス陸曹がしてくれることになった。

本当は式場の人に頼むつもりだったけど、ヴァイス陸曹が俺がやってやると言ってくれたので、遠慮なくお願いすることにしたのだ。

 

 

司会の声で親父さんが、壇上に上がり俺たちのためのスピーチをしてくれた。

でも、いつもと違ってすごく緊張していて、マスコミに会見するときと全く違っていた。

 

 

 

「えっと……フィル・グリード君、ティアナ・ランスターさん、ご結婚おめでとうございます。二人には色々話したいことがいっぱいあるのですが、どうにも上手く言えなく……申し訳ない」

 

「だから、儂からは一言だけ言わせてもらいます。二人とも、お互いのことを信じ、幸せな家庭を作ってください……儂からは以上とさせてもらう」

 

 

 

親父さんのスピーチが終わり、会場のみんなから拍手がおこり、俺たちも嬉しさで涙が出そうになっていた。

言葉は短いものだったけど、本当に親父さんが自分の言葉で話してくれたのはよく分かった。

 

 

 

「レジアス・ゲイズ様、ありがとうございました。続きまして……」

 

 

 

親父さんのスピーチの後、ウェンディとノーヴェが壇上に立った。

 

 

 

「二人とも、今日は本当におめでとっす!! ティアナ、本当に綺麗っすよ!! フィル、この幸せ者♪」

 

「おい!! もうちょっと真面目に話せ!! ったく……フィル、ティアナ、今日は本当におめでとう」

 

「ノーヴェ堅いこと言いっこなしっすよ。こういうときは明るくするのが良いんすから♪」

 

「あほか!! だからといってこんな挨拶の仕方があるか!!」

 

「はは~ん、ノーヴェ、あたしに言いたいこと言われて、妬いてるんすね」

 

「んなわけあるか!!」

 

「あはははは!!」

 

 

 

この二人がそろって、堅い雰囲気になるとは思っていなかったけど、本当に予想通りとはな。

でも、こういう方が俺たちの結婚式らしいしな……。

 

その後、収拾が付かなくなりそうだったので、ギンガさんとチンクに止められて、スピーチという名のどつき漫才は終了した。

 

これ、ビデオに撮っているから、後で見たら、俺たち絶対腹抱えてそうだな……。

 

 

 

「……あ、相変わらずだな……。えっと、仕切り直しまして……」

 

 

ヴァイス陸曹が、仕切り直しで次のプログラムに進めたのは、エリオとキャロ、そしてルーテシアのお祝いの歌だった。

 

 

 

「フィルさん、ティアさん、ご結婚おめでとうございます。僕たちは皆さんみたいに、上手く言葉に出来ないと思い、キャロとルーと三人で歌を送ることにしました」

 

「わたし達も、そんなに上手い訳じゃありませんが……」

 

「一所懸命練習したので、聞いてね♪」

 

「曲は……『まぶしくてみえない』です」

 

 

 

曲が流れ始めると、三人は一生懸命歌ってくれた。

それは、三人がこの日のためにいっぱい練習して、覚えて、俺たちのためにしてくれてたというのがすごく伝わった。

 

曲も友情をテーマにしているもので、エリオ達らしい選曲だと思った。

 

 

 

歌が終わった後は、今日来られなかった人たちの祝電をヴァイス陸曹が読んでくれた。

その中に、ユーノさんとクロノさんのがあったときはびっくりしたけどな……。

 

 

 

「残すところ、誓いの言葉と口づけをするのみとなりましたが、その前に……」

 

「二人の師匠でもある、高町なのはさんとフェイト・T・ハラオウンさんから、それぞれ一言ずつお願いします」

 

「「ええっ!!」」

 

 

 

これは、ヴァイス陸曹のサプライズだった。

なのはさんもフェイトさんも急だったので、焦っているけど、でも、二人とも壇上に来てくれた。

 

 

 

「ったく……ヴァイス君、こういう事は先に言っておいてね」

 

「そうだよ……いきなりでびっくりしたんだからね」

 

「へへ、すみません。でも、こいつらにお祝いの言葉をかけてやってください。きっと二人とも喜びますから……」

 

「そうだね……。えっと、フィル、ティアナ、結婚おめでとう。いきなりだったから、ちゃんとしたコメントは用意してないから、わたしとフェイトちゃんがそれぞれに一言ずつ贈るね」

 

「まず、わたしからね。わたしはティアナに贈らせてもらうね。ティアナ、六課の時からみんなのまとめ役として、そしてフィルの支えとして頑張ってきたね。これから二人は色んな困難にぶつかると思います。でも、一人でなく、二人でなら必ず乗り越えられると信じてます」

 

「二人で駄目なときは、わたしやみんなに頼ってください。決して抱え込まないでくださいね。そしてティアナ、あなたはわたしの大事な一番弟子なんだから、これからも頑張ってね♪」

 

「なのはさん……はい……」

 

 

 

なのはさんの言葉に、ティアは涙をポロポロ流していた。

嬉しさから来ていたので、押さえることはしなかった。

 

 

 

「じゃ、私からはフィルに贈らせてもらうね。フィル、今日は本当におめでとう。ここにいるメンバーはフィルのことを知っているから、未来のこと言わせてもらうね。フィルは未来であんな辛いことがあって、自分の幸せは二の次にしていたね……」

 

「でも、ティアナのおかげで、やっと自分の幸せを考えてくれた。フィル、自分が幸せになってはいけないなんて、二度と考えないでね。フィルにはティアナという、大切なパートナーがいるんだからね。なのはも言ったけど、二人には私達が付いているんだから、困ったときは遠慮なく相談してね」

 

「フィル……幸せにね……」

 

「フェイトさん……」

 

 

 

俺もティアと同様、フェイトさんの言葉で嬉しくなってしまい、声を殺しながらだけど、涙があふれてきた。

俺たちは、本当にいい人達に恵まれているんだな……。

 

 

 

「なのはさん、フェイトさん、ありがとうございました。そして、今日のメインイベント、二人の誓いの儀式です」

 

 

 

俺とティアは、神父の前に来て、誓いの言葉をたて……。

 

 

 

「汝、フィル・グリード、汝はいかなる時もティアナ・ランスターの事を愛し続けることを誓いますか?」

 

「もちろん、誓います」

 

「汝、ティアナ・ランスター、汝はいかなる時もフィル・グリードの事を愛し続けることを誓いますか?」

 

「はい……誓います」

 

「では、誓いの口づけを……」

 

 

 

 

俺とティアは、みんなの見守る中……。

 

 

誓いの口づけを交わした……。

 

 

 

その後、みんなで記念撮影をしたんだけど、カメラのタイマーをセットしに行ったウェンディが、お約束のボケをしてしまい、結局二回取り直してしまった。

 

 

 

そして……。

 

 

 

「それっ!!」

 

 

 

ブーケトスをするティアは、幸せにあふれた表情をしていた。

そんな、ティアを見て、みんな笑顔で祝福してくれていた。

 

 

 

 

これから俺たちは、様々な困難にあうと思う。

 

 

でも、なのはさん達の言葉にあったように、一人で駄目でも、二人でなら乗り越えられる……。

 

 

それが、夫婦というものだから……。

 

 

ティア――――。

 

 

一緒に、幸せになろうな。

 

皆様、現在自サイトのみで公開しています『とある休日シリーズ』になりますが、こちらでも見てみたいという方がいらっしゃいましたら、アンケートにお答えいただけたらと思います。

  • 見てみたいので公開してほしい
  • まあまあ興味がある
  • どちらでもいい
  • 興味がないので公開はしなくて良い

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。