魔法少女リリカルなのはStrikerS ~ Remember my heart ~ 作:アルフォンス
この物語は、if ending ヴィヴィオのアフターストーリーになります。
「うーん……。なんか違うんだよね~」
今日は2月14日、地球で言う所のバレンタインデー。
わたしはママに教えてもらいながら、手作りチョコを作っている。
フィルさんと本当の意味で恋人同士になってからの初めてのバレンタインデー。
今までも、頑張ってチョコを渡してはいたんだけど、今までは妹的な存在だったから……。
だから、今回のバレンタインデーは今までとは違って特別な意味があるんです。
「ヴィヴィオ、いったい何が違うの? どのチョコも美味しくできてるよ?」
「うん、ママが丁寧に教えてくれたから、どれも美味しいのが出来たんだけど……」
確かにどれも美味しくは出来ている。
生チョコに動物の形をしたチョコ、定番のハート型に、トリュフチョコ。
だけど……。
「どのチョコも、わたしの想いが……上手く伝えられない」
「どういう、こと?」
わたしがフィルさんに食べて欲しいのは、チョコだけじゃない。
わたし自身の想いを伝えたい……。
フィルさんのことが大好きって想いと、感謝の気持ちを。
「ただ手作りのチョコを渡してたんじゃ、今までと何も変わらない。フィルさんなら美味しいよって食べてはくれるけど……」
「……何となく分かるかな、今のヴィヴィオの気持ち。うん、こうなったらヴィヴィオが納得するまでママと一緒に頑張ろ」
「うん!!」
その後も、いっぱい作ったんだけど、やっぱり納得いくのが出来ない。
たくさんのチョコを作っていたら、いつの間にか夕方になっていました。
バレンタインデーが終わるまでもう時間はないのに……。
その後ユーノパパが帰ってきて、パパにも相談してみたら……。
「なるほどね……。だったら、こんな方法があるよ」
そう言ってパパは、自分の部屋から一冊の本を取ってきました。
「これはね、僕の故郷スクライア一族に古くから伝わっている魔法。自分の気持ちを相手に伝える簡単なおまじないみたいな物かな」
「おまじない?」
「うん、おまじない。口下手な男の子が、好きな子に伝えようとして必死になって伝えたのが始まり。今のヴィヴィオみたいに、どうにかして伝えようとしてね」
「パパ……」
わたしはパパからその本を受け取り、何度もその本を読み返した。
そこには、今のわたしが求めていたヒントがあった。
「ありがとう!! わたし、頑張ってみる!!」
これなら、きっとわたしの気持ちを上手く伝えることが出来るから……。
もう、いてもたってもいられない。
早速わたしは、その本を参考にもう一度チョコ作りをし直すことにした。
思った形にするのに、何度も作り直し、そして……。
「出来たぁぁ!!」
やっと自分が思い描いていたチョコレートを作ることが出来ました。
でも、時間はもう22時を過ぎてしまっている。
ここから、自宅に戻るまで、どんなに急いでも30分はかかる。
だけど、絶対に間に合わせてみせる!!
わたしは、後片付けをなのはママにお願いして、急いでロードサンダーにまたがりエンジンをかける。
「ロードサンダーお願い!! 全速力で飛ばして!!」
《言われなくても全開でかっとびますよ!! しっかり運転してくださいね》
「うん!!」
スロットルを全開にし、わたしはフィルさんが待っている『家』に戻る。
大切な二人の『家』に……。
* * *
「ええっ!? もう、23時なの!? こんな時間になっちゃうなんてッッ!!」
あれから、急いで戻ろうとしたんだけど、交通事故があって家までの道のりが混雑で動けなくなってしまい、しかも、回り道しようにも迂回路がない所で嵌っちゃったため、この時間まで立ち往生してしまった。
わたしは急いでドアを開け、慌てて靴を脱ぎすてる。
靴を下駄箱にしまうのは後でも出来る!!
「ただいまッ!! こんなに遅くなって本当にごめんなさいッッ!!」
「おかえり。さっき、なのはさんから電話あったから大丈夫だよ。それより……」
フィルさんはそっとわたしの頬に触れ……。
「外は寒かっただろ。いま、温かいスープ用意するからな」
「……うん」
フィルさんは、そう言って台所に行ってスープを温め始めた。
テーブルを見ると、そこにはフィルさんが作ってくれたたくさんの手料理が。
「こんなにいっぱい作って、くれたんだ……」
フィルさんだって、執務官の仕事で本当に忙しいのに、それなのに……。
『恋人同士になって初めてのバレンタインだから、できたら一緒に過ごしたいな……』
わたしが言った我が儘なのに、それを叶えてくれるために、フィルさんがこんなにもしてくれたのに……。
―――――ばかだ、わたし。
結局、いつもフィルさんに甘えてるだけじゃない。
二人でいられる時間は貴重な物なのに……。
「おまたせ、さぁ、冷めないうちに召し上がれ」
わたしは、温めてくれたスープを一口食べると……。
「おいし、い……。あったかくて、やさしい……」
一口食べるだけで、心も身体も温めてくれるような優しい味。
このスープはフィルさんの真心そのもの。
「いま、料理も温め直すからな。少しだけ待っててくれ」
「ううん、このままで良い」
「そっか……。じゃ、一緒に食べようか」
こうやって二人で食べる食事は、とってもあたたかくて美味しい。
例え冷めてしまった料理でも、作ってくれた人の心は伝わるから……。
料理が食べ終わった頃には、バレンタインデーはあと15分になってしまった。
「……今日は、本当にごめんなさい。わたしからお願いした我が儘だったのに」
「我が儘なんて思ってないよ。こうして一緒にいたいのは俺も一緒だから……」
「ありがとう、フィルさん……」
いつも、自分よりも周りの人のことを優先してしまうフィルさん。
そんな優しい人あなただから、わたしは大好きなんです!!
だから……。
「バレンタインデー……。もうすぐ終わっちゃうけど、これ……」
自分の想いの全てを込めて、このチョコを貴方に送ります。
「ありがとな、ヴィヴィオ。あけても良いかな?」
「もちろんです!! フィルさんのために一生懸命作ったんですから!!」
フィルさんがラッピングの包装紙をとり、箱を開けると……。
「トリュフチョコか。すごく綺麗に出来てるな」
箱の中には3つのトリュフチョコレート。
でも、これはただのチョコレートじゃない。
ユーノパパから教えてもらったおまじないが込められたチョコレートなんだよ!!
「それじゃ、いただくね」
「あっ、待ってください!!」
フィルさんがチョコレートをとろうとするのをわたしは止め、代わりにわたしがチョコを取り……。
「はい、あーんしてください~♪」
「え、えっと……」
あいかわらず、フィルさんはこの手のことをすると恥ずかしがるけど、恋人同士なんですからそろそろ慣れてください!!
それに、このチョコは、おまじないの効果を伝えるために、こうして食べてもらわなきゃダメなんです。
だから、絶対にこれだけは譲れません。
* * *
普段から積極的なヴィヴィオだけど、今日はいつもと違う。
いつもはスキンシップでしてくることだけど、瞳がそうでないことを言っている。
俺は口を開けて、ヴィヴィオにチョコレートを食べさせてもらうと……。
「!!」
ふと頭に浮かんだ光景は、いままでのヴィヴィオとの記憶。
―――――ゆりかごでヴィヴィオと戦ったこと。
その時のヴィヴィオの悲痛な悲しみ。
―――――初等部でのヴィヴィオやアインハルト達との思い出。
中等部に入ってからも、俺を一生懸命励ましてくれたこと。
そして……。
この、心を内側から温めてくれる優しい感じ。
「……伝わりましたか? わたしの……想い」
「ああ……。いっぱい伝わってきた」
このあたたかいのは、ヴィヴィオの優しい心。
その想いが、俺の荒んだ心を癒してくれるようだ……。
* * *
「これ、実はちょっとだけ魔法をかけて作ったんです。わたしの想いが伝わるおまじないをこめて」
「おまじない?」
「はい、ユーノパパから聞いたスクライア一族に伝わるおまじないだそうです。こうやって自分の想いを伝えるときに使ったりするんだそうですよ」
「……それで、すごく優しい気持ちになれたんだな」
よかった。少しでもフィルさんの心を癒すことができて……。
「わたしは、小さいときからずっと、なのはママやフィルさんにいっぱい愛情をもらいました。ママからは家族としての愛を、そして……」
わたしは、フィルさんの後ろからそっと抱きしめ……。
「……フィルさんからは、人を好きになるってことを教えてもらいました」
色んな男の子から告白とかもされたけど、付き合いたいって思うことはなかった。
だって、わたしはゆりかごでフィルさんとなのはママに助けてもらってから、ずっとフィルさんのことが大好きだったんだから……。
「今でも思うんだけどさ。本当に俺にはもったいない女の子だよ、ヴィヴィオは」
「そんなことないです。フィルさんがいたから、わたしはこうしていられるんですから……」
フィルさんがいなかったら、今頃はゆりかごのキーにされて、大好きな人たちを傷つける道具としてされていたから……。
「それを言ったら俺だってそうだよ。ヴィヴィオの優しい心が、俺の心を溶かしてくれたんだから……。本当に、ありがとう」
「フィルさん……。もう一つ、チョコ食べませんか?」
今度は、わたしがチョコを咥えて、そのままキスをして口移しで食べさせる。
「……んっ、んんっ」
もちろん、ただ食べさせるだけじゃ足りない。
いつのまにか、わたしとフィルさんと何度も求め合うキスを繰り返す。
息継ぎで離れたときに、銀色の糸が出来上がったのがその証。
そして、もう一度キスをし直そうとしたとき……。
時計が午前0時を指し
バレンタインデーの終わりを告げた。
「バレンタイン……終わっちゃいましたね」
「そう、だな……」
バレンタインデーは、終わっちゃいましたが、恋人同士の時間は終わった訳じゃありません。
「チョコは無くなっちゃいましたけど、もう一つ、デザート……食べませんか?」
「デザート?」
「あ、あの……。そ、その、ですね。ヴィヴィオという……デザート、なんですけど……」
普段なら、こんなこと言うのはずかしいけど、このまま終わりにはしたくなかったから。
フィルさんは、一瞬きょとんとしたけど、すぐに……。
「じゃ、その甘いデザート、遠慮無く食べるからな」
フィルさんは、わたしを自分の方へ抱き寄せて……。
「いっぱい……いっぱい食べてください、ね」
そのまま、わたしの上着の下から手を入れ、胸に触れて……。
「んっ……。ふぁ、フィル、さん、もっと……わたしのこと……食べて、ください」
「今日は、遠慮しないからな」
「遠慮なんか、しないで……くだ、さい」
遠慮なんかされる方がイヤ。
もっと、いっぱいわたしのことを求めて欲しいから……。
その言葉が切欠となり、フィルさんも遠慮無くわたしのことを求め始める。
互いの衣類を全て脱ぎ去り、わたしの身体をフィルさんの舌で隈無く愛されていく。
その度に、身体に電気が走ったような快感の海が奔る。
その快感にわたしは身も心も溺れていく。
そして、わたしもフィルさんの身体を求め、同じ様に全身を隈無く愛する。
フィルさんもわたしも、一つになる準備ができ……。
「……きて、ください。いっぱい……いっぱい、愛して」
―――――こうして、わたし達は互いを何度も求め合い。
わたし達は快楽の海へと身も心も委ねていった。
* * *
「いっぱい……食べられちゃいました、ね」
「すまない……」
「もう……。何度も言いますが、そこは謝る所ではないです!!」
わたしの身体には、フィルさんが付けてくれたキスマークがたくさん付いている。
胸や首筋だけでなく、太ももやその……わたしのはずかしいところまで。
でも、これはフィルさんがわたしのことを愛してくれた証だから。
「それは、わかってるんだけどな。しかし、俺、こんなに節操なしだったかな?」
「フィルさん、節操なしとは違うと思います。愛し合う者同士なら、当たり前なんじゃ……ないですか」
愛し合う二人が、互いを求め合うのは、自然の摂理。
時には、快楽に身を任せても良いんじゃないですか?
フィルさんの場合、普段から、自分に厳しすぎるんですから……。
「……そっか」
「そういうことですよ。ですから、これからも、いっぱいわたしのこと……愛してください」
わたしはフィルさんに抱きついて、自分の胸をしっかりと押しつけて甘え……。
「……ああ、その言葉に甘えさせてもらうよ。大好きだよ、ヴィヴィオ」
そして、フィルさんはわたしの髪をそっと撫でながら、耳元でささやいてくれた。
普段なら絶対に言ってくれないような愛の言葉。
フィルさんに分からないように、顔を見ると、言った言葉で照れてるのがよく分かる。
もしかして、チョコにかかっていた魔法が、フィルさんの心を少しだけ大胆にしてくれたのかな?
「わたしも……。わたしも、フィルさんのこと、世界で一番大好きです!!」
何度でも言えるよ。
フィルさんのこと、世界の誰よりも愛してるって!!
それだけ、フィルさんのこと大好きなんだから。
これからも、いっぱい頑張って女の子としての魅力をつけますから。
ですから、ずっとわたしのそばにいてくださいね。
恋する女の子は、好きな人がそばにいてくれることが一番なんですからね~♪
皆様、現在自サイトのみで公開しています『とある休日シリーズ』になりますが、こちらでも見てみたいという方がいらっしゃいましたら、アンケートにお答えいただけたらと思います。
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見てみたいので公開してほしい
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まあまあ興味がある
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どちらでもいい
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興味がないので公開はしなくて良い