魔法少女リリカルなのはStrikerS ~ Remember my heart ~   作:アルフォンス

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第12話 機動六課のある休日(後編)

ー聖王教会 本部ー

 

 

「それにしても、あなたの制服姿はやっぱり新鮮ですね」

 

「ああ、制服が似合わないって言うのは、友人どころか妻にまで言われますよ」

 

「ふふ、そんないつもの防護服姿と同じ位、凛々しくいらっしゃいますよ。クロノ提督」

 

「ありがとうございます。騎士カリム」

 

「失礼します」

 

 

クロノ提督と話をしていると、シャッハと一緒にシグナムがやってきた。

 

 

「ああ、シグナム。お帰りなさい」

 

「合同捜査の会議はもう……」

 

「ええ、滞りなく……」

 

「こっちは丁度、六課の運営面の話がすんだ所だよ」

 

「ここからは今後の任務についての話。あなたも同席して聞いておいてね」

 

「はい」

 

 

 

話を始めようとした時、はやてからの直接通信が入った。

いったい何があったんだろうか?

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

サードアベニュー路地裏

 

 

 

 

「「エリオ、キャロ!!」」

 

「フィルさん、フェイトさん……」

 

 

私達が現場に到着すると、すでにフォワード陣がそろっていて、女の子を保護していた。

 

 

「この子か……。ずいぶんまたボロボロに……」

 

「地下水路を通ってきて、随分長い距離を歩いてきたんだと思います」

 

「こんなにちっちゃいのに……」

 

「ケースの封印処理は?」

 

「キャロがしてくれました。ガジェットが見つける心配はないと思います」

 

「……うん」

 

「それから、これ……」

 

 

エリオが持っていたのは、封印処理をしたケースと同じ形のものだった。

 

 

「ケースがもう一つか……?」

 

「今、ロングアーチに調べてもらってます」

 

「……フィル」

 

「ああ……間違いないですね」

 

 

十中八九レリックだ。連中は間違いなくこれを狙ってくるはずだ。

 

 

「なのは隊長とシャマル先生、それとリイン曹長がこっちに向かっているから、俺たちはとりあえず現状を確保しつつ周辺警戒だな」

 

「「はい」」

 

「「うん」」

 

「サンダー、お前はこの子のバイタルとかを確認してくれ。今器具を取り付ける」

 

《了解です》

 

「えっ、そんなことも出来るの?」

 

「サンダーには、緊急用のメディカルウエポンが積んであるんです。シャマル先生がつくまでの、応急処置程度なら対応可能です」

 

 

 

これは、未来での経験で必要だと思い装備したオプションの一つだ。

実際、医療器具がまともになくて、助けられなかった命がたくさんあった。

 

 

 

「そうなんだ……」

 

「フェイトさん、この子に心電図用のコネクターをつけてくれませんか。その後血圧のチェックを……。俺はSpO2を調べますから」

 

「分かった」

 

 

 

フェイトさんにバイタルチェックをお願いし、俺はサンダーのシステムを使ってSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を調べていた。

酸素とか使う状態でなければ良いんだけどな。

 

 

 

 

 

*      *      *

 

 

 

 

ー機動六課、作戦司令室ー

 

 

 

 

今回の事態に対して、レリックがらみになると判断した私は、後見人であるカリムに通信を入れていた。

ちょうど、六課のことで話をしていたクロノくんとも話をすることが出来た。

 

 

「そう、レリックが……」

 

「それを小さな女の子が持ってたってのも気になる。もしかしてフィルが言っていたことと関係するのかも知れない」

 

「ええ……」

 

 

 

フィルが経験してきた事件は、この事は以前もあったらしい。

でも、今回もうまくいくとは限らない。

 

現に、ユーノくんは生きているし、少しずつ歴史は変わってきている。

 

 

 

「ガジェットや召喚師が出て来たら、市街地付近での戦闘になる。なるべく迅速に確実に片づけなければあかん」

 

「近隣の部隊にはもう……」

 

「うん。ちゃんと地上本部と市街地と海岸線の部隊には連絡したよ。でないと、後で情報の混乱が生じるからね」

 

 

 

地上との連携を無視していたら、かえって混乱を招いてしまう。

私達が出来ることにも限りがあるのだから―――――。

 

 

 

「ああ」

 

「……もしかしたら、奥の手も出さな……あかんかもしれん」

 

「そうならないことを祈るがな……」

 

「……シグナム、あなたも向こうに戻っておいた方が良いわ」

 

「はい」

 

「シャッハに送ってもらえばすぐ戻れるから……」

 

「ありがとうございます、騎士カリム」

 

 

 

私も出来るだけのことは手を打つ。

だからフィル、一人で無茶はせんでな―――――。

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

ーサードアベニュー路地裏ー

 

 

 

検査も終わり、しばらくすると隊長達を乗せたヘリがやってきて、シャマル先生が女の子の体調を調べていた。

 

 

「うん、バイタルは安定してるわね。危険な反応もないし、心配ないわ」

 

「はい」

 

「よかった……」

 

「それにしても、私がすることは殆どなかったわね。フィルが殆どやってくれていて、私は再確認ぐらいしかすることがなかったわ」

 

「いえ、ちゃんとしたことは調べられませんから……」

 

「それでも現状で出来ることは全てやれているわ。心電図なんて本当はこんな所じゃ出来ないのに……」

 

「まぁ、現段階で緊急性がなかったからよかったですけど、大怪我とかはどうしようもありませんからね」

 

 

 

サンダーに積まれているのは、あくまでも応急的なものであって、その場でどうにかしようとするものは積まれていない。

だからこの子が緊急性がある状態なら、この場では難しいのだ。

 

 

 

「ごめんね、みんな。せっかくのお休みなのに……」

 

「いえ」

 

「平気です」

 

「ケースと女の子は、このままヘリで搬送するから、みんなはこっちで現場調査ね」

 

「「「「はい」」」」

 

「なのはちゃん、この子をヘリまで抱いてってもらえる」

 

「はい」

 

「あっ、俺がやりますよ」

 

 

俺は女の子を抱えヘリに連れていく事になった。

その間、ティア達は現場調査のための準備をしていた。

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

ー機動六課、作戦司令室ー

 

 

 

 

スクリーンにガジェット反応が現れ、機影を写した。

 

 

 

「ガジェット来ました!!、地下水路に数機ずつのグループが少数。16……20」

 

「海上方面、12機単位の小グループ」

 

「……多いな」

 

「どうします? 八神部隊長」

 

「そうやな……」

 

『スターズ2からロングアーチへ。こちらスターズ2。海上で演習中だったんだけど、ナカジマ三佐が許可をくれた。今現場に向かっている。それからもう一人……』

 

 

 

別回線で、もう一人がこちらに通信してきた。

その人物とは―――――。

 

 

 

『108部隊ギンガ・ナカジマです。別件捜査の途中だったんですが、そちらの事例とも関係がありそうなんです。参加してもよろしいでしょうか?』

 

「うん、お願いや。ほんならヴィータはリインと合流。協力して海上の南西方向を制圧」

 

『南西方向ですね。了解です』

 

「なのは隊長とフェイト隊長は北西部から」

 

『『了解』』

 

 

 

これでガジェットへの迎撃はええ。

残る問題は……。

 

 

 

「ヘリのほうは、ヴァイス君とシャマルに任せてええか?」

 

「お任せあれ」

 

「しっかり守ります」

 

『ギンガは地下でスバル達と合流。道々別件の話も聞かせてな』

 

「はい」

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

「さて、みんな短い休みは堪能したわね」

「お仕事モードに切り替えて、しっかり気合い入れていこう!!」

「「はい!!」」

「それじゃ、みんな行くぞ!!」

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「「「「「セットアップ!!」」」」」

 

あたし達はバリアジャケットを装着し、地下道へ潜ることにした。

 

「「Go!!」」

 

 

 

*     *     *

 

 

 

ー地上・ヘリポートー

 

 

 

「フォワードのみんな、ちょっと頼れる感じになってきた?」

 

「うふふ、もっと頼れるようになってもらわなくちゃ……」

 

 

 

そう、それぞれが、一人前のストライカーとなってもらわなくちゃならない。

それが、未来からきたフィルの願いであり、わたし達の願いでもあるから……。

 

 

「早く事件を片づけて、また今度お休みを上げようね」

 

「うん」

 

「それはそうとフェイトちゃんも楽しめた。フィルとは少しは進展したの~」

 

「な、なのは!?」

 

 

フェイトちゃんはわたしの言葉に、顔が真っ赤になってしまった。

それじゃ、フィルと何か進展しましたって言っているのと同じだよ。

 

まったく、そんなんじゃシャーリー達に知られたら、格好の餌だよ。

 

 

「と、とにかく私達も出よう!!」

 

「はいはい……」

 

 

バリアジャケットを装着し、空に飛び上がり迎撃することにした。

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

ーへリ内部ー

 

 

 

ヴィータちゃんと合流するため、私はシャマルとヴァイス陸曹と別行動を取ることになり、シャマルにハッチを開けてもらい、今から向かうことになった。

 

 

「気を付けてね」

 

「はいです」

 

「ヴァイス陸曹もよろしくですよ」

 

「うっす」

 

「ストームレイダーも二人を守ってあげて下さいです」

 

《All right my friend》

 

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

ービル屋上ー

 

 

 

「ヘリに確保されたケースとマテリアルは妹たちが回収します。お嬢様は地下の方に……」

 

「うん……」

 

「騎士ゼストとアギト様は……?」

 

「……別行動」

 

「お一人ですか?」

 

「一人じゃない……。私にはガリューがいる」

 

「失礼しました。協力が必要でしたらお申し付け下さい。最優先で実行します」

 

「うん」

 

 

ウーノからの通信が切れ、私は行動を開始することにした。

 

 

「行こうかガリュー。捜し物を見つけるために……」

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

「ギンガさん、お久しぶりです」

 

『うん、ティアナ。現場リーダーはあなたでしょう?』

 

「いえ、現場リーダーはフィルです。今回はフィルの方が適任だったもので……」

 

「えっ、フィルがそこにいるの!?」

 

「久しぶりですね、ギンガさん。時間がないので簡単に説明します。ひとまず南西のF-94区画を目指して下さい。途中で合流しましょう」

 

『……F-94、了解。フィル後で会いましょうね』

 

 

フィル、相変わらずだね。でも、元気そうで良かった。

 

 

『ギンガさんって、スバルさんのお姉さんですよね』

 

『そう、あたしのシューティングアーツの先生で、歳も階級も二つ上』

 

『ほぇ~』

 

『ギンガさん、デバイス同士で総合位置把握と独立通信が出来ます。準備は良いでしょうか?』

 

「うん、ブリッツキャリバーお願いね」

 

《Yes sir!!》

 

 

私はブリッツキャリバーを起動させ、バリアジャケットを装着する。

フィル、あなたの作ったブリッツキャリバー、使わせてもらうね。

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

ー機動六課、作戦司令室ー

 

 

 

「スターズ1、ライトニング1、エンゲージ」

 

 

 

なのはちゃん達がガジェットを迎撃してくれているが、いかんせん数が多い。

これで終わればいいんやけど……。

 

そして今、ギンガから事故現場の状況を聞いていた。

 

 

 

「私が呼ばれた事故現場にあったのは、ガジェットの残骸と壊れた生体ポットなんです。丁度5~6歳の子供が入る位の……。近くに何か重いものを引きずって歩いた後があって、それを辿っていこうとした最中、連絡を受けた次第です」

 

「そうやったんやね」

 

「それからこの生体ポッド、少し前の事件でよく似たものを見た覚えがあるんです」

 

「私も……な……」

 

「……人造魔導師計画の………素体培養器………」

 

「これはあくまで推測ですが、あの子は人造魔導師の素体として作り出された子供ではないかと……」

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

「人造魔導師って?」

 

「優秀な遺伝子を使って、人工的に産み出した子供に、投薬とか機械部品の埋め込みで、後天的に強力な能力や魔力を持たせる。それが人造魔導師……」

 

「倫理的な問題はもちろん、今の技術じゃどうしたって色々無理が生じる。コストも合わない。だから、よっぽどどうかしている連中でない限り、手を出したりしない技術のはずなんだがな……」

 

 

でも、スカリエッティはそれに手を出した。未来で戦闘機人が出て来ていたのがその証拠だ。

そしてあいつらのせいで、みんな殺されたんだ……。

 

 

 

《動体反応確認。ガジェットドローンです》

 

「っ!! 来ます。小型ガジェット六機!!」

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

「スターズ1、ライトニング1、共に2グループ目を撃破。順調です!!」

 

「うん」

 

「スターズ2とリイン曹長も、1グループ目、撃破です!!」

 

「おしっ、いい感じだ!!」

 

「リインも絶好調です!!」

 

「ガンガン行くぞ。さっさと片づけて、他のフォローに回らないと……」

 

「はいです!! って、あれは!!」

 

 

 

リインが気付いたのは増援のガジェットだった。

だけど何かがおかしい気がする……。

 

 

「この反応……」

 

「……うん」

 

 

なのは達も何か気付いたようだな……。

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

「ふふふ、クアットロのインヒューレントスキル、シルバーカーテン。嘘と幻のイリュージョンで回ってもらいましょう」

 

 

いくら機動六課の隊長達に力があったって、この幻影には手こずるでしょうね。

さて、どういう風に動きますか。じっくり見せてもらいますわよ。

 

 

 

 

 

*    *    *

 

 

 

 

「航空反応増大!!、これ……嘘でしょう!!」

 

「なんだ……これは……?」

 

「波形チェック!! 誤認じゃないの!!」

 

「どのチェックも実機としか……」

 

「なのはさん達も目視で確認出来るって……」

 

「グリフィス君!!」

 

「はい!!」

 

 

 

嫌な予感が的中してしまったな。

もう出し惜しみしてる場合やないな……。

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

私となのはは、迎撃を繰り返しているが、このガジェット達は全部が本物という訳ではないみたいだ。

 

 

 

「幻影と実機の構成編隊……?」

 

「防衛ラインを割られない自信はあるけど、ちょっとキリがないね……」

 

「ここまで派手は引きつけをするって事は……」

 

「ヘリか地下道に主力が向かっている」

 

 

 

なのはがオーバルプロテクションを使って防戦の状態になっているが、このままじゃ状況は悪化する一方だ……。

 

 

「なのは、私がここに残ってここを抑えるから、ヴィータと一緒に……」

 

「フェイトちゃん!?」

 

「コンビでもこのまま空戦していたんじゃ、時間が掛かる。限定解除すれば広域殲滅でまとめて落とせる!!」

 

 

このままじゃ、シャマルもフィルも危ない。

早くこいつらを片付けて応援に向かわなきゃ!!

 

 

「それはそうだけど……」

 

「何だか嫌な予感がするんだ……」

 

 

さっきから胸騒ぎが止まらない。

不安がずっと収まらない……。

 

 

 

「でも、フェイトちゃん……」

 

「割り込み失礼。ロングアーチからライトニング1へ。その案も限定解除申請も、部隊長権限にて却下します」

 

「はやて?」

 

「はやてちゃん、なぜ騎士甲冑?」

 

「嫌な予感は私も同じでな。クロノ君から私の限定解除許可をもらうことにした。空の掃除は私がやるよ……」

 

 

 

限定解除って……。

はやての申請はそう簡単にはできないのに!!

 

 

 

「ちゅうことでなのはちゃん、フェイトちゃんは地上に向かってヘリの護衛。ヴィータとリインはフォワード陣と合流。ケースの確保を手伝ってな」

 

「「了解!!」」

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

ー聖王教会、本部ー

 

 

 

「君の限定解除許可を出せるのは、現状では僕と騎士カリムの一度ずつだけだ。承認許諾の取り直しは難しいぞ。使ってしまって良いのか……」

 

「使える能力を出し惜しみして、後で後悔するのは嫌やからな。私かてあんな未来はごめんやし……」

 

「場所が場所だけに、SS(ダブルエス)ランク魔導師の投入は許可出来ない。限定解除は3ランクのみだが、それでいいか……」

 

「……S(シングルエス)、それだけあれば充分や」

 

「ふう……」

 

 

僕は魔法陣を展開し、はやての限定解除を行うことにした。

確かに現状ではこれしかないが、なるべくなら使いたくはなかったな……。

 

 

「八神はやて、能力限定解除3ランク承認。……リリースタイム120分」

 

「リミット……リリース!!」

 

 

 

能力限定解除されると同時に、ベルカ式の魔法陣が強い光を放ち、力が解放された。

そしてスクリーンには、魔法陣の光が強く輝いているはやての姿があった。

 

 

 

「完全解除で無い分、許諾取り直しも幾らか優しくなるかも知れませんし……ね……」

 

「……気休め程度ですがね。地上部隊は上層部が厳しいです」

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

とうとう使ってしまった……。切り札の限定解除。

でも、ここで使わなくちゃどうしようもない。

 

 

―――――だけど。

 

 

フィルの限定解除は、出来るだけさせたくない。

限定解除したら、フィルのことや。絶対に無茶しまくるに決まってる。

 

 

だから、今は私が頑張らないと―――――。

 

 

 

 

「よし……久しぶりの遠距離広域魔法、行ってみようか!!」

 

 

 

 

こっちのことは心配せんでええよ。

だから、みんな、レリックのことは頼んだで!!

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

 

ー地下道ー

 

 

 

ガジェットと交戦している俺達は、通信やサーチャーで現状を知ることが出来た。

どうやら向こうも本格的に動いてきているな。

 

 

 

「空はどうやら大変みたいね……」

 

「うん……」

 

「ケースの推定位置までもうすぐみたいです」

 

「うん」

 

 

 

ケースの推定位置に向かおうとした時、壁が爆破し誰かが現れた。

煙が引くとそこには……。

 

 

 

「ギン姉ぇ!!」

 

「ギンガさん!!」

 

「一緒にケースを探しましょう。ここまでのガジェットは、殆ど叩いてきたと思うから……」

 

「うん!!」

 

「フィル……」

 

「うわっ……。ちょっとギンガさん!?」

 

 

再開もつかの間、いきなりギンガさんが俺に抱きついてきた。

 

 

「フィル……本当に会いたかった。私、どうしてもあなたに、直接お礼が言いたかったの」

 

「俺は約束を果たしただけですよ。ギンガさんが全力を出せるように……ね……」

 

 

約束もそうだけど、何より二度と死なせたくないから―――――。

 

 

「フィル……あたし……」

 

「ギンガさん、今はそんなことをしている場合じゃないでしょう。今は先に進まないと……」

 

「そうね、ティアナ。とにかく急ぎましょう……」

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

ー機動六課、作戦司令室ー

 

 

 

「ロングアーチ1シャリオから、ロングアーチ0八神部隊長へ」

 

「はいな」

 

「サイティング・サポートシステム、準備完了です。シュベルトクロイツとのシンクロ誤差、調整終了」

 

「うん、了解。ごめんな、精密コントロールとか長距離サイティングとか、リインと一緒やないと、どうも苦手で……」

 

 

 

今はロングアーチでサポートしてくれるからええけど、これから先、苦手なんて言ってられない。

私も、時間を見て鍛錬せんとな―――――。

 

 

 

「その辺はこっちにお任せ下さい。準備完了です」

 

「……おおきにな」

 

 

シャーリーからの通信が切れると、ガジェットを殲滅するために夜天の書を出し、シュベルトクロイツを構えた。

 

 

 

「来よ、白銀の風……」

 

「天よりそそぐ矢羽となれ!!」

 

 

 

ベルカ式の魔法陣が足下に展開され、全面にはミッド式の魔法陣が展開された。

私は、なのはちゃんとフェイトちゃんが安全域まで退避したのを確認し、撃つことにした。

 

 

 

「第1波、行くよ!!」

 

 

魔力チャージが完了し、前面の魔法陣も強い光を放っていた。

 

 

「フレース………」

 

 

「ヴェルグ!!」

 

 

五つの白き砲撃はガジェットに向かって、一直線に向かっていた。

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

ー機動六課、作戦司令室ー

 

 

 

「フレースヴェルグ、第1波発射」

 

「発射軌道……正常!!、グループEに着弾します」

 

「5……4……3……」

 

「2……」

 

「1」

 

「0」

 

 

 

カウント0と同時に光弾の一つが広域爆発を起こし、ガジェットのグループを殲滅した。

続いて第2波、3波が発射され次々とガジェットのグループを消滅させていった。

 

 

「シャーリー、消滅時のデータから幻影と実機の判別パターンの割り出しを。フィルのくれたデータがあれば必ず見分けられる」

 

「うん、全力で見つける!!」

 

 

こっちにはフィルがくれた戦闘機人のデータがあるんだ。

必ず判別パターンを割り出してやる。

 

 

 

 

 

*     *     *

 

 

 

 

 

俺たちはガジェットと交戦しながらケースの在処に向かっていた。

ギンガさんも加わったおかげでかなりの戦力アップがした為、ガジェットも全機殲滅をし、ケースの近くまで来ていた。

 

 

そして……。

 

 

 

「ありました!!」

 

 

キャロがケースを見つけたその時、何かを蹴って近づいている物音がする。

物音の正体は球体で、ケースを持っているキャロに近づいていた。

 

 

「きゃぁぁぁ!!」

 

 

黒い物体はスピードを上げ、地面に落下すると衝撃でキャロが吹っ飛ばされてしまった。

どうやら今の衝撃でケースもどこかに行ってしまった。

 

すぐにエリオが迎撃するが、手傷を負わせられたみたいね。

 

 

「エリオくん!!」

 

 

黒い物体の幻影が解けると、そこには一匹の魔物が立っていた。

違う、あれは召喚獣だ。それもかなり力がある奴だ……。

 

 

 

「あっ!!」

 

 

召喚獣に気を捕らわれていると、紫の髪の少女がケースを奪おうとしていた。

キャロが気が付いて取り返そうとしたが……

 

 

「……邪魔」

 

 

少女の攻撃にキャロはプロテクションで防ぐが、至近距離で受けてしまったためプロテクションが破られ吹っ飛ばされてしまった。

スバルとギンガさんが魔物に対応しているが、二人がかりで何とかの状態だ。

どうする……考えろ………。

 

 

今すべき事は……。

 

 

 

「こらぁ、そこの女の子。それ危険なものなんだよ!! こっちに渡して!!」

 

 

スバルの言葉にも全く介さない様子だった。

 

 

「……ごめんね。乱暴で……でもね、これ本当に危ないものなんだよ」

 

「……くっ!!」

 

 

そう、スバル達が引きつけてくれている間に、ティアはオプティクハイドを使って少女に近づいたのだ。

クロスミラージュの魔力刃を首元に近付け、動きを封じることに成功した。

 

 

(ルールー、1、2、3で目をつぶれ。いいか……)

 

(1……2……)

 

(スターレンゲホイル!!)

 

 

ティアが少女を逮捕しようとした次の瞬間、紫の炎が飛んできて強烈な爆音と閃光が発生した。

あまりの音に耳を塞ぐことになり、少女から注意をすらしてしまった。

 

その隙に逃げようとしていたが、なんとかクロスミラージュを向けたが、召還獣の攻撃に吹っ飛ばされてしまった。

 

 

「ちっ……」

 

 

今はこいつに構っていられない。

俺は吹っ飛ばされたティアに代わって、少女に威嚇用の魔力弾を撃った。

 

 

「えっ!!」

 

 

しかし、召還獣が自分の身で少女を庇い攻撃は通らなかった。

さらに、少女の使い魔なのか分からないが、赤い髪の小さな少女が現れた。

 

 

「ったく、あたし達に黙って勝手に出掛けたりするからだぞ。ルールーもガリューも」

 

「……アギト」

 

「おう、本当に心配したんだからな。まぁ、もう大丈夫だぞ。何しろこのあたし……」

 

「烈火の剣精……アギト様が来たからな!!」

 

「おらおら、お前らまとめてかかってこいや!!」

 

 

 

召喚師に召喚獣……。それに烈火の剣精と名乗るあの少女。

間違いない。あれはリイン曹長と同じユニゾンデバイス。

 

 

さて、どう切り抜けるか………。

 

皆様、現在自サイトのみで公開しています『とある休日シリーズ』になりますが、こちらでも見てみたいという方がいらっしゃいましたら、アンケートにお答えいただけたらと思います。

  • 見てみたいので公開してほしい
  • まあまあ興味がある
  • どちらでもいい
  • 興味がないので公開はしなくて良い

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