異世界はガウストとともに。   作:naogran

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ある日、雄也達を乗せた馬車が谷の中を進んでいた。しかしその中で、冬夜と琥珀以外の少女達は嫌そうな顔をしていた。雄也とライザークは前方を探知する。

冬夜「どうしたの?嫌そうな顔して。折角琥珀も入って皆でやる最初の依頼なのに。」

琥珀「楽しみです!」

八重「今回の依頼は気が乗らないのでござる・・・」

エルゼ「魔獣の調査って、まさかスライムの事だったなんて・・・」

リンゼ「しかもスライム研究家の城を調査するなんて・・・嫌な予感しかしません・・・」

琥珀「そんなに嫌なのですか?たかがスライム如き。」

ユミナ「生理的に受け付けなくて・・・特に服を溶かして来るグリーンスライムは・・・」

冬夜「ユミナもかぁ。確かに服を溶かして来るなんて素晴ら・・・いや屈辱的だけど。」

雄也「おい何かアホな事言ったか?」

ユミナ「10年も前から姿を見せていないんですよね・・・」

リンゼ「それなら放置しておいても良い気がしますけど。村には危害を加えていないのですし。」

ライザーク「う〜ん・・・リンゼの言葉に一理あるな。」

冬夜「不安の中で日々を過ごす村人たちを放っておくのか!?それで僕らは一人前の冒険者と言えるのか?いや言えまい!」

八重「それはそうでござるが・・・」

雄也「お前それ皆を元気付けようと言ってるが、俺が聞いたら何か卑猥な雰囲気しか感じねえぞ。」

冬夜「もしもスライムが近隣の村を襲ったら、僕らは絶対に後悔するだろ?」

ユミナ「まさか冬夜さん、良からぬ事を考えてはいませんか?」

冬夜「ま、まさか。やだなぁユミナ。考えてる訳ないだろ(少ししか・・・)。」

少し卑猥な事を考えてた冬夜であった。


5話「スライムキャッスル、そして新機能。」

数分後、スライムの城に到着した。雄也と冬夜が扉を開ける。

 

雄也「ここがスライムの城かぁ。如何にも不気味な感じが漂う城だなぁ。」

 

冬夜「ちょっと薄気味悪いけど大丈夫だ。さぁ!皆も入って・・・だぁっ!?」

 

雄也「どうした?ゲファ!?」

 

真上からタライが、冬夜と雄也の頭に落ちた。

 

八重「冬夜殿!?雄也殿!?」

 

冬夜「いったぁ・・・!!!」

 

雄也「いってぇ・・・!!!」

 

エルゼ「全然大丈夫じゃないじゃない!」

 

冬夜「いや大丈夫、ちょっと痛かったけど・・・」

 

ライザーク「普通だったら気絶してるレベルだぞ。」

 

するとギアレットハンターが何かを感知した。

 

雄也「っ!冬夜!タライを見ろ!」

 

冬夜「え?」

 

落ちて来たタライが、銀色の物体に変貌した。

 

冬夜「スライム?」

 

物体の正体はスライムだった。銀色のスライムは何処かへ去った。

 

リンゼ「でも見た事も聞いた事もないスライムです。」

 

八重「新しく作り出したのでござろうか?」

 

冬夜「何の役に立つんだ?」

 

リンゼ「何処かに研究資料があるかもしれませんし探してみましょう。」

 

 

 

 

 

 

一行は書斎に入って調べる。

 

ユミナ「革表紙しかありませんね・・・中身はスライムが食べてしまったのでしょうか?」

 

冬夜「グリーンスライムの餌になったんじゃないかな?」

 

雄也「そうかも知れねえな。」

 

リンゼ「これは食べられてませんよ。」

 

冬夜「ノート?」

 

食べられてない本を見る。

 

リンゼ「研究成果の記録みたいです。色んなスライムの性質が書かれています。」

 

冬夜「そのノートは持って行こう。何かの役に立つかもしれないし。」

 

ユミナ「1階は調べ終えましたし、一度ホールへ戻って2階へ上がりましょう。」

 

雄也「ん?エルゼ、八重、どうした?」

 

リンゼ・八重「もう帰りたい・・・」

 

ライザーク「帰りたい気持ちが人一倍だな。」

 

 

 

 

 

 

ホールに戻って、2階へ向かう途中。

 

リンゼ「あの・・・冬夜さん・・・雄也さん・・・」

 

冬夜「ん?」

 

雄也「どした?」

 

途中でリンゼが何かを見て怯えた。その理由は。

 

 

 

 

 

 

緑色の物体が居たからだった。

 

 

 

 

 

 

冬夜「うわ!何だこれ・・・?」

 

エルゼ「グリーンスライム!」

 

ライザーク「此奴らがグリーンスライムか!」

 

リンゼ「炎よ来たれ、赤の飛檄・・・」

 

冬夜「リンゼ待った!建物が燃えるかもしれない!」

 

エルゼ「燃やしちゃいましょうよ!」

 

雄也「どんだけ苦手なんだよ。」

 

するとグリーンスライムがエルゼに向かって飛んで来た。

 

エルゼ「え!?私!?」

 

雄也「よっと!!」

 

前に出た雄也が右手でパンチしてグリーンスライムを飛ばした。

 

エルゼ「助かったわ雄也・・・」

 

雄也「良いって事よ。おっと、俺の服の袖が食われたな。」

 

服の右の袖が溶かされてしまってた。

 

冬夜「琥珀!」

 

琥珀「お任せを!」

 

すると琥珀が元の白帝に変身し、グリーンスライムに向けて衝撃波を放った。しかしグリーンスライムに効果は無かった。

 

エルゼ「ちょっとちょっと!近付いて来るわよ!」

 

雄也「ライザーク!」

 

ライザーク「任せろ!ライトニングシャワー!!!」

 

今度はライトニングシャワーでグリーンスライムの大群に攻撃した。しかしこれも無効化だった。

 

ライザーク「くそっ!効果無しかよ!」

 

冬夜「2階だ!2階に避難しよう!」

 

全員が階段を上がる。グリーンスライムの大群は階段を上がって来なかった。

 

八重「どう言う事でござろうか?」

 

ユミナ「ひょっとしたら、縄張りとかがあるのかもしれませんね。」

 

雄也「成る程。テリトリーか。」

 

エルゼ「兎に角助かったー・・・早く2階へ上がりましょ?あんなのからはさっさと、うわあ!!」

 

突然エルゼが転んだ。

 

雄也「どうしたエルゼ!?」

 

エルゼ「痛った・・・わぁっ!何これ!?ヌルヌルする・・・」

 

右手がヌルヌルしていた。

 

ライザーク「おい!上を見ろ!」

 

上を見ると、銀色のスライムが液体を垂らしていた。

 

冬夜「何だあのスライム・・・」

 

リンゼ「調べてみます!・・・ローションスライム、危険を察知すると潤滑油のような体液を分泌する人体に害はない失敗作。」

 

雄也「ローションかぁ。慎重に進まねえとな。」

 

八重「失敗作でござるか。」

 

冬夜「ってか、わざと失敗したんじゃ・・・」

 

転んだエルゼが立った瞬間。

 

エルゼ「うわっ!」

 

ユミナ「うわっ!」

 

冬夜「うわっ!」

 

八重・リンゼ「うわっ!!」

 

雄也「のわっ!!」

 

ローションで滑ってしまい、冬夜達が巻き込まれて階段を滑り降りる。

 

雄也「くそっ!!」

 

ギアレットハンターから釣り糸を射出し、天井に突き刺して、リールを回して脱出して回避した。そして冬夜は琥珀に助けられた。しかしエルゼ達がグリーンスライムの大群が居る1階に落ちてしまった。

 

ライザーク「雄也、大丈夫か?」

 

雄也「ああ。間一髪だったぜ。」

 

冬夜「助かった・・・ありがとう琥珀。」

 

琥珀「いえ。しかし奥方達が・・・」

 

 

 

 

一方エルゼ達は、グリーンスライムによって服を溶かされ中。

 

エルゼ「もお!何これ~!」

 

リンゼ「冬夜さん!」

 

 

 

 

ライザーク「女の子の服を溶かすだけのスライムかよ!」

 

雄也「待ってろお前ら!今助ける!」

 

ギアレットハンターの釣り糸でエルゼ達を絡ませて、リールを巻いて4人を救出した。一緒に絡まったグリーンスライムはすぐに1階の方へ移動した。

 

冬夜「やっぱり。此奴らにはそれぞれのテリトリーがあるんだな。」

 

雄也「ふぅ・・・皆、大丈夫・・・か?」

 

 

 

 

ユミナ「お気に入りの服だったのに残念です・・・」

 

リンゼ「スカートが半分以上溶けてしまいました・・・」

 

八重「拙者は晒が切れてしまったでござる・・・ちょっとマズいでござるよ・・・これ・・・」

 

エルゼ「このヌルヌルのせいで下着も透けて見えちゃうじゃないの!もう嫌!」

 

 

 

 

服が溶かされてしまったエルゼ達を見て、雄也とライザークは後ろに向いてる。冬夜は顔を赤くしながらエルゼ達を見てしまっている。

 

エルゼ「キャーーーーーーーー!!!こっち見るなーーーーー!!!」

 

冬夜「ちょっ!不可抗力!」

 

しかしエルゼの腹パンを喰らってしまった。

 

雄也「何か代わりの服は無えか?」

 

ライザーク「さっき書斎にローブがあったぞ。」

 

雄也「それ持って来てくれ。」

 

ライザーク「おう。」

 

 

 

 

 

 

冬夜「ん〜・・・グッジョブ!」

 

グリーンスライム達「グッジョブ!」

 

 

 

 

 

 

その後ローブを羽織ったエルゼ達。2階の廊下を歩く。

 

エルゼ「次にグリーンスライムを見付けたら、確実に潰していくわよ。」

 

リンゼ・八重・ユミナ「うん!」

 

雄也「もう皆本気だなぁ・・・」

 

冬夜「何か特殊なスライムを生み出そうとして、失敗作を量産したような感じなんだよな・・・」

 

リンゼ「そうですね。新種のスライムはその特性が生まれるまでは分からないようですし。」

 

エルゼ「やっぱり城ごと燃やした方が良いわ。浄化よ浄化するのよ。」

 

八重「それには賛成でござるが、勝手にそんな事をして良いのでござろうか?」

 

ユミナ「既に放棄された砦ですからね。お父様も文句は言わないと思いますけど。」

 

冬夜(物騒な話してるな・・・)

 

雄也(これじゃあ過激派集団だな・・・)

 

目の前に、複数の像があった。像の胸が露出している。

 

ユミナ「あれは何でしょうね?」

 

冬夜「いや、僕に聞かれても・・・」

 

雄也「ただの像じゃね?」

 

冬夜「ん?」

 

すると冬夜が、像を凝視する。

 

八重「どうしたでござる?」

 

冬夜「いや、今胸が動いたような・・・」

 

5人・ライザーク「はぁ?」

 

エルゼ「何言ってんの?」

 

雄也「像の胸が動く訳無えだろ?」

 

冬夜「いや、本当だって。」

 

像の胸を触って確かめる。

 

冬夜「柔らかい・・・!」

 

4人「ええ!?」

 

雄也「柔らけえの!?」

 

すると胸が”ボトッ”と落ちた。

 

冬夜「ええ!?」

 

その胸は、色違いのスライムに変貌した。

 

雄也「またスライムか?」

 

リンゼ「バストスライム。女性の胸に取り憑き擬態する。より小さい胸に取り憑く習性を持つ。もう一歩だが失敗作・・・」

 

冬夜「何がだよ!」

 

ライザーク「その研究書はエロい事しか頭に無えのかよ!」

 

するとバストスライムが、ユミナに向かって飛んだ。

 

雄也「ユミナ!危ない!!」

 

ユミナ「風よ切り裂け、千の風刃!サイクロンエッジ!」

 

襲って来るバストスライムを跡形も無く消し去った。

 

ユミナ「成長期・・・成長期ですから。」

 

冬夜「あ、あぁ。そうだね・・・」

 

雄也・ライザーク(怖えぇ・・・・・)

 

 

 

 

 

 

その後1つの部屋に入る。雄也がギアレットハンターで室内を調べる。

 

雄也「OK。異常無しだ。」

 

この部屋には、白骨化とした遺体があった。

 

ユミナ「ここに居たスライム研究家でしょうか?」

 

冬夜「多分ね。」

 

机にある日記を見る。

 

冬夜「えっと・・・「完成だ。遂に私の、いや男の夢が叶った。もう思い残す事はない。あぁ天国が見える」・・・何だこりゃ。」

 

雄也「何だこのエロ日記は。」

 

ユミナ「冬夜さん!雄也さん!あれ!」

 

冬夜「ん?」

 

雄也「何じゃ?」

 

そこにスライムが現れた。

 

八重「何かに形が変わるでござるよ!」

 

そのスライムは、エルゼ、リンゼ、八重、ユミナの4人の形になった。

 

雄也・冬夜・ライザーク「えっ!?」

 

エルゼ・リンゼ・八重・ユミナ「きゃーーー!」

 

男性陣が驚き、女性陣が悲鳴を上げた。

 

雄也「何だよ此奴等!」

 

ライザーク「エルゼ達を形作りやがって!」

 

懐から布を取り出し、目隠しして凌いだ。冬夜はスライムを困惑しながら見ている。

 

ユミナ「ちょっ!何見てるんですか!冬夜さん!」

 

リンゼ「ダメ、ダメです!」

 

八重「冬夜殿あっちを向くでござる!」

 

無理矢理冬夜を外方向かわせる。

 

エルゼ「見るなーーーー!!」

 

そしてエルゼのパンチを受けた。

 

雄也「見えなくても状況が見える・・・」

 

ライザーク「この城はもうダメだな・・・」

 

 

 

 

 

 

そしてその日の夜。少女達はスライムの城を燃やした。

 

エルゼ「浄化よ。」

 

リンゼ「浄化、です。」

 

八重「浄化でござる。」

 

ユミナ「浄化ですね。」

 

真顔で浄化と言う。

 

雄也「あばよスライム。地獄で安らかに眠れ。」

 

ライザーク「お前らの事は忘れないぜ。半日だけ。」

 

心が篭ってない別れの言葉で冥福を祈った。

 

冬夜「(あの研究家の書いていた男の夢ってのは、綺麗な裸の女性を侍らせてウハウハハーレムしたいって事だったのか。しょーもな。)何か、散々だったね。」

 

琥珀「主よ。次は人間の街を見学してみたいのですが。」

 

冬夜「良いんじゃない?でもその前に・・・スライム研究家、ありがとう。」

 

スライム研究家に向かってお礼を言った。

 

 

 

 

 

 

翌朝、琥珀を連れて街を見学する。女性達は琥珀を見て『可愛い』と言ってる。

 

琥珀「中々賑わってますね!」

 

冬夜「一応この街の中心だからね。」

 

雄也「ってか琥珀、女性達からの人気が高えな。」

 

琥珀「主殿、雄也殿、彼処におられるのは八重殿では?」

 

冬夜「え?」

 

雄也「本当だ。」

 

目の前に八重が居た。隣には泣いている少女が居た。

 

冬夜「八重、その子は?」

 

八重「冬夜殿!雄也殿!それがどうも迷子らしいのでござるよ。」

 

雄也「迷子?」

 

八重「先程から名前とか聞いてるのでござるが、全く答えてくれないでござるよ・・・」

 

雄也「子供はそう言うもんだから大目に見てやってくれ。」

 

そこで冬夜が、少女の前に琥珀を置いた。

 

琥珀「お前の名前は何と言う?」

 

少女「っ!・・・リム。」

 

琥珀「そうか。リムと言うのだな。」

 

雄也「琥珀で泣き止んだ。凄ぇ。」

 

冬夜「サーチ。リムの家族。」

 

リムの家族をサーチする。

 

八重「どうでござる?」

 

冬夜「ダメ。少なくともサーチの有効範囲内には居ない。」

 

雄也「ガチ迷子かよ・・・」

 

冬夜「あ。」

 

何か閃いた冬夜が、内ポケットからスマホを取り出した。

 

冬夜「エンチャントサーチ。」

 

スマホにサーチを掛けた。するとリムの母の居場所が判明した。

 

冬夜「よし成功!」

 

雄也(万能過ぎるスマホだな・・・)

 

冬夜「お母さんの所へ行こうか。」

 

 

 

 

 

 

リムを連れて、母の居場所に到着した。

 

雄也「交番か。ん?誰か居るぞ。」

 

リム「あ!お母さーん!」

 

リムの母「はっ!リム!」

 

再会して、リムを抱いた。

 

雄也「これで任務完了か。」

 

八重「で冬夜殿、今度はそのスマートフォンを使って何をしたでござるか?」

 

冬夜「サーチって色々細かく検索出来るけど範囲が狭いだろ?これは広範囲で探し物を見付けられるけど、建物の名前とかじゃないと検索出来ないんだ。」

 

八重「ほほう!つまりエンチャントの魔法でサーチとスマートフォンの長所をくっ付けたのでござるな。」

 

冬夜「そう言う事。これなら世界中何処でも何だって検索出来る。」

 

雄也(チートにも程があるなおい・・・)

 

八重「それは凄いでござ・・・ん?なら拙者の兄上を検索してほしいでござる!」

 

冬夜「お兄さん?」

 

 

 

 

 

 

近くの店に入る。

 

雄也「っで、何故八重の兄貴を検索したいんだ?」

 

八重「拙者が旅立ってから兄上にしばらく会っていないので、ずっと気になっていたでござるよ。」

 

雄也「恋しいんだな。」

 

冬夜「じゃあまずは八重の家について詳しく聞かせてよ。」

 

八重「そうでござるな、近くに神社があって庭に大きな桜の木があるでござるよ。」

 

冬夜「んー、ハシバってとこ?」

 

八重「そこでござる!それで兄上は!?」

 

冬夜「待って待って。お兄さんの特徴とかは?」

 

八重「頬に傷跡があるでござる。」

 

雄也「情報少ね!それだけで検索出来んのか?」

 

冬夜「道場に居るね。動き回ってるから試合中なのかな?」

 

雄也「分かんのかよ!」

 

八重「兄上らしいでござるな。兄上は本当に剣が好きで、食事を忘れる程でござった。」

 

冬夜「八重はお兄さんの事大好きなんだね。」

 

八重「そうでござるな。強くて優しくて人の良い兄上が拙者は大好きでござる。」

 

雄也(琥珀、八重に撫でられて幸せそうだな。)

 

八重「そう言えば何処となく冬夜殿も兄上に似ているでござるよ。穏やかな所とか人の良い所とか。」

 

冬夜「大好きな兄上に似てるとは光栄だね。」

 

八重「そうでござるな、大好きな兄・・・」

 

しかし途中で赤面した。

 

八重「拙者はただ冬夜殿と兄上が似てると言う事を言いたかったのであって、大好きとかそう言う事が似てるとかそう言う訳ではなく、ただあの何処となーく・・・」

 

雄也「おい八重、琥珀が締められて苦しんでるぞ。」

 

 

 

 

 

 

その後冬夜は部屋に戻った。

 

冬夜「エンチャント、ロングセンス。」

 

ロングセンスを発動し、スマホのカメラアプリをタップした。

 

冬夜「これも成功・・・ってえぇっ!?」

 

映ってたのは、着替え中のリンゼだった。すぐに止めた。

 

 

 

 

”トントントン”

 

 

 

 

リンゼ「冬夜さん、良いですか?」

 

冬夜「にゃ、にゃんですか?」

 

ノックした人物はリンゼだった。リンゼがドアを開けた。

 

リンゼ「どうかしました?」

 

冬夜「いや、何でもないけど!?そ、それより何か用?」

 

リンゼ「今日、新しい魔法を習得しようと骨董屋に行ったんです。」

 

冬夜「え?何でまた?」

 

リンゼ「先日のスライム城では室内でしたので炎魔法が使えませんでした。ですからこれを機に色んな覚えようと。」

 

冬夜「あぁ、成る程。」

 

リンゼ「それでこれを見付けて・・・」

 

懐から巻物を取り出した。そこにライザークが壁を擦り抜けて来た。

 

ライザーク「よう。2人さんお揃いで。」

 

冬夜「ライザーク。」

 

ライザーク「ん?それ何だ?」

 

リンゼ「骨董屋に見付けた巻物です。」

 

早速その巻物を見る。

 

冬夜「何これ?」

 

リンゼ「魔法のスクロールです。ただ文字が古代魔法言語で一部しか読めなくて・・・」

 

ライザーク「俺でも読めねえな。」

 

冬夜「うーん・・・じゃあ。モデリング。エンチャント、リーディング古代魔法言語。」

 

グラスと白金貨3枚をメガネにモデリングして、古代魔法言語が読めるように魔法を掛けた。

 

ライザーク「凄えなおい。」

 

リンゼ「冬夜さんこれは?」

 

冬夜「これで読めるようになるはずだよ。」

 

早速メガネで巻物を見る。

 

リンゼ「はっ!凄い!本当に読めます!」

 

ライザーク(チートの領域を超えてやがる・・・)

 

冬夜「で、何が書いてあるの?」

 

リンゼ「バブルボム。攻撃系の魔法です。冬夜さん、ライザークさん、すぐに試してみたいです。付き合ってくれますか?」

 

ライザーク「OK。雄也も誘うから待ってろよ。」

 

 

 

 

 

 

その後北東の森に移動して魔法を試す。

 

リンゼ「水よ来たれ、衝撃の泡沫バブルボム!」

 

すると水が1つに集まって、水の塊が出来た。

 

リンゼ「やった!」

 

雄也「おお!凄え!」

 

しかしすぐに砕かれてしまった。

 

雄也「ああ砕けちゃった・・・」

 

リンゼ「よし!もう1回やってみます!」

 

ライザーク「頑張れ!」

 

その後もバブルボムを試すが、何度も砕かれるばかりだった。

 

 

 

 

 

 

あれから数分が経ったが、上手く出来なかった。するとリンゼが倒れ始めた。

 

冬夜「リンゼ!」

 

倒れる寸前で冬夜が受け止めた。

 

冬夜「大丈夫か!?」

 

雄也「休憩した方が良いぞ?」

 

リンゼ「大丈夫です・・・ただの魔力切れ・・・ですから・・・」

 

そのまま眠ってしまった。

 

冬夜・雄也・ライザーク「・・・・」

 

 

 

 

その後部屋に戻って、リンゼを寝かせた。

 

雄也「このまま無茶させたら、リンゼの身体に悪影響が出そうだな・・・」

 

ライザーク「すぐに習得出来れば助かるんだが・・・」

 

 

 

 

 

 

あれから数日が経ち、リンゼはまだバブルボムの練習をしていた。

 

リンゼ「水よ来たれ、衝撃の泡沫バブルボム!」

 

しかし中々上手く出来なかった。リンゼの目の下にクマが出来ている。

 

雄也「おいリンゼ、ここ数日寝てねえだろ?ぐっすり寝たらどうだ?」

 

リンゼ「いえ・・・まだまだ大丈夫です・・・まだ行けます・・・」

 

ライザーク「だけどお前、これ以上やったら体に毒だぞ?」

 

するといきなり冬夜がリンゼの左腕を掴んだ。

 

リンゼ「な、何でしゅか!?」

 

冬夜「トランスファー!」

 

魔法を掛けた。するとリンゼに異変が。

 

リンゼ「魔力が回復していきます・・・そんな一瞬で!?」

 

魔力が回復し、目の下のクマが消えた。

 

冬夜「昨日教えてもらったんだ。他人に自分の魔力を譲渡する無属性魔法トランスファー。」

 

 

 

 

シャルロッテ『まあ!冬夜さんが!?全ての属性を使える冬夜さんが!?お任せ下さい、この大魔法使いシャルロッテしっかりご教授いたします!』

 

昨日シャルロッテに教えてもらったのだ。

 

 

 

 

雄也「シャルロッテさん流石やの〜。」

 

リンゼ「ありがとうございます!よし!水よ来たれ、衝撃の泡沫バブルボム!」

 

再び試すが、また砕かれてしまった。

 

ライザーク「ああ・・・」

 

リンゼ「やっぱり難しいです。どうしてもこの魔法の概要が掴めなくて・・・せめてバブルボムって意味が具体的にイメージ出来れば・・・」

 

冬夜「はい?」

 

雄也「はい?」

 

ライザーク「はい?」

 

リンゼ「はい?」

 

冬夜「バブルボムの意味?」

 

リンゼ「魔法の固有名詞には意味があるんです。詠唱の際に意味をイメージする事で・・・」

 

冬夜「だったらバブルってのは泡、ボムってのは爆弾の事だよ。」

 

リンゼ「爆弾?」

 

冬夜「・・・爆発する物の事だよ。」

 

雄也「単純に英語翻訳したのか。」

 

リンゼ「爆発する物・・・やはり全くイメージ出来ません。」

 

冬夜「じゃあシャボン玉を想像してみたら?多分、あれが一番近いんじゃないかな?」

 

ライザーク「成る程。リンゼ、やってみろよ。」

 

リンゼ「シャボン玉・・・はい。水よ来たれ、衝撃の泡沫バブルボム!」

 

出来た水の塊を前に投げると、水の塊が爆発した。

 

リンゼ「出来た・・・」

 

雄也「凄え!!出来たぞ!!」

 

ライザーク「成功だぜ!!」

 

リンゼ「はい!冬夜さんのお陰で完成させる事が出来ました!ありがとうございます!」

 

冬夜「いや、リンゼの努力が実を結んだんだよ。僕は少し手伝っただけで。」

 

 

 

 

 

 

銀月に戻ると、エルゼが悩んでいた。

 

エルゼ「うーん、参ったなぁ・・・どうしよ・・・」

 

悩んでる理由は、戦闘の時に使ってるガントレットに罅が入っていたからだった。

 

 

 

 

 

 

それは先程、クエストでガーゴイル討伐をしていた時だった。

 

冬夜「硬いな・・・!」

 

雄也「釣り糸が上手く引っ掛けれねえ!」

 

リンゼ「私が行きます!水よ来たれ、衝撃の泡沫バブルボム!」

 

バブルボムでガーゴイルにダメージを与えた。

 

ライザーク「ライトニングシャワー!!」

 

今度はライトニングシャワーを浴びせた。

 

エルゼ「はああああああ!!!」

 

今度はエルゼがアームでガーゴイルにパンチした。しかしその瞬間に罅が入ってしまった。

 

エルゼ「あああ!!」

 

 

 

 

 

 

そして現在に至る。

 

エルゼ「買い替えるしかないか・・・」

 

冬夜「そうしたら?治してもまた壊れれるかもしれないし。」

 

雄也「それしかないな。」

 

エルゼ「じゃあ冬夜、雄也、王都に連れて行ってよ。この街じゃ代わりになりそうなのないし。」

 

 

 

 

 

 

王都の武器屋で新しい武器を買った。

 

女性店員「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」

 

エルゼ「やっぱり王都ね!良い物が揃ってるわ!その分高かったけど・・・ん?」

 

雄也「まあ白金貨はまだあるんだし大丈夫だろ。あれ?」

 

冬夜「ガントレット意外と重いなぁ・・・エルゼそこの路地からゲートで・・・あれ?」

 

しかしエルゼが何かを見てキラキラしていた。赤いドレスを見てキラキラしていた。

 

冬夜「欲しいの?」

 

エルゼ「うわあ!!と、冬夜!雄也!」

 

雄也「買おうか?」

 

エルゼ「あ、あのこれはね・・・そう!リンゼ!リンゼに似合うかと思って!あの子、こう言う服好きそうじゃない?私と違ってさ・・・」

 

冬夜「でもリンゼに似合うなら、エルゼにも似合うと思うけど。」

 

雄也「確かに。」

 

エルゼ「な!何言ってるのよ!私とリンゼじゃ比べ物にならないわよ!」

 

冬夜「そうかな?どっちも可愛いんだし。」

 

エルゼ「可愛い・・・」

 

雄也(チョロいな、エルゼさんよ。)

 

エルゼ「気を遣わなくて良いわよ!私の事は私が一番分かってるから!私はああ言うのが似合う子とは違うタイプだし・・・」

 

冬夜「じゃあ着てみれば分かるって!試着させてもらおう!」

 

雄也「このまま食わず嫌いなままで居たら後々後悔するぞ!」

 

冬夜が無理矢理エルゼを引っ張り、雄也が後ろからエルゼを押して服屋に入る。

 

エルゼ「ちょ!冬夜!!雄也!!」

 

 

 

 

店内。

 

冬夜「おおお!」

 

雄也「ウッヒョー!」

 

さっきエルゼが見ていたドレスを試着させた。

 

エルゼ「ほら似合ってないでしょ・・・だから言ったじゃない・・・」

 

冬夜「え?何言ってるの!滅茶苦茶似合ってるじゃないか!」

 

雄也「可愛いじゃねえかエルゼ!普段強気なお前でも似合ってる!まさにギャップ萌え!」

 

エルゼ「そうかな・・・?」

 

冬夜「この服貰えますか?」

 

店員「はい。」

 

エルゼ「え!?ちょっと冬夜!私買う気ないわよ!」

 

冬夜「違うよ、僕が買うんだ。エルゼにプレゼントするよ。」

 

エルゼ「え・・・?」

 

雄也「おぉ。見事な口説き上手。」

 

 

 

 

 

 

その後銀月に戻った。ドレス姿のエルゼを皆に見せた。

 

リンゼ「わああ!お姉ちゃん!」

 

エルゼ「やっぱり・・・変?」

 

リンゼ「とっても似合ってる!」

 

八重「可愛いでござるよエルゼ殿!」

 

ユミナ「えぇ!お似合いです!」

 

エルゼ「そ、そうかな?冬夜に買ってもらったんだ。」

 

ユミナ「あら。皆の分も買ってもらいましょう!」

 

冬夜「え!?」

 

雄也「ほえ!?」

 

八重「良いでござるな!」

 

リンゼ「良いですね!何時買いに行きます?」

 

雄也(此奴ら、金を無駄遣いする気か・・・?)

 

ライザーク(無くなったら洒落になんねえぞ・・・)

 

ミカ「ユミナちゃん。王宮から手紙が来てるわよ。」

 

ユミナ「王宮から?」

 

冬夜「ん?」

 

雄也「王宮?」

 

王宮から来た手紙を読む。

 

ユミナ「冬夜さん、王宮の方へ来ていただきたいそうです。」

 

冬夜「何でまた?」

 

 

 

 

 

 

ユミナ「例の事件を解決した謝礼として、冬夜さんに爵位を授与したいと。」

 

 

 

 

 

 

4人・ライザーク「爵位!?」

 

雄也「爵位ってマジかよ!」

 

冬夜「それって辞退出来るの?」

 

4人・ライザーク「辞退!?」

 

雄也「勿体無え!」

 

ユミナ「ええ可能です。けれど公式の場で理由を挙げていただく必要があります。」

 

冬夜「結局行くのか・・・」

 

ユミナ(少し早い冬夜さんとの里帰りですわ。)

 

爵位を授与された冬夜であった。

 

「END」




         キャスト

      伊狩雄也:増田俊樹

      望月冬夜:福原かつみ
 エルゼ・シルエスカ:内田真礼
 リンゼ・シルエスカ:福緒唯
      九重八重;赤崎千夏
       ユミナ:高野麻里佳
        琥珀:甲斐田ゆき

     ライザーク:梅原裕一郎

        ミカ:原紗友里
        リム:雨宮夕夏
      リムの母:中村桜
    シャルロッテ:桑原由気
        店員:多谷結衣

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