異世界はガウストとともに。   作:naogran

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##漫画版##
27話「起動、そして巨獣。」


ガウストが巣食う幽霊屋敷から冬夜を救出し、事件が終結した数日後。

 

 

 

 

ブリュンヒルド公国に珍しい客人が訪れた。

 

レリシャ「初めてお目にかかります。ブリュンヒルド公王陛下。公爵様。冒険者ギルド総括責任者ギルドマスターが1人レリシャ・ミリアンと申します。」

 

ギルドマスターでエルフのレリシャ。

 

レリシャ「エルフを見るのは初めてでしょうか?」

 

冬夜「あ、いやすいません。」

 

雄也(この世界にエルフが居たとは。)

 

レリシャ「我が冒険者ギルドの数少ない銀ランクの冒険者にして、一国の国王と公爵になられた陛下と公爵様を一同誇りにしております。」

 

冬夜「いや、たまたまそうなっただけの事で大した事は・・・」

 

雄也「そうそう。いつの間にかこうなっちゃっただけだ。」

 

冬夜(何か・・・値踏みされてる?)

 

雄也「それで、ご用件は?」

 

レリシャ「は。このブリュンヒルド公国にも、我が冒険者ギルドの支部を置かせて頂きたくお願いに参上仕りました。」

 

雄也「ブリュンヒルドにギルドの支部?」

 

冬夜「でもこの辺りにはほぼ魔獣とか居ませんよ?」

 

レリシャ「お言葉ですが。魔獣討伐だけがギルドの仕様ではございません。日々困っている国民からの依頼を受け、それを冒険者に仲介するのがギルドの本質でございます。」

 

冬夜「成る程。それもそうか。」

 

雄也(討伐系に比べると報酬はちょい少ないが、雑事系の依頼もあるもんな。)

 

冬夜「分かりました。特に問題もないと思います。建築する場所などはウチの内藤と相談して頂ければ。」

 

レリシャ「ありがとうございます。それともう1つお願いが。」

 

雄也「?」

 

レリシャ「ギルドから、銀ランク冒険者である望月冬夜様と伊狩雄也様への依頼がございます。巨獣の討伐をお願いしたく。」

 

高坂「巨獣ですと!?」

 

冬夜「巨獣って何です?」

 

高坂「その名の通り、巨大な魔獣です。突然変異種とも言いますが、稀に大きな個体が現れる事があるのです。その大きさは大きな屋敷程にもなると言われています。」

 

レリシャ「通常巨獣はその成長過程で討伐される事が殆どです。しかし稀に人の目の届かぬ所で成長し、成獣になるものがいるのです。その中には村や町へとやって来るものもいます。その場合国家を挙げて討伐せねばなりません。当然倒せたとしても、被害は甚大になります。」

 

雄也「そいつは厄介な奴だな。」

 

冬夜「その巨獣が現れたと?」

 

レリシャ「はい。場所は大樹海です。しかし観測者の情報によりますと、この巨獣はまっすぐライル王国の方角へ向かっております。進行方向にはテムの町があり、このままでは町は壊滅してしまいます。」

 

冬夜「確かに緊急事態なのは分かるけど・・・何でまたその依頼を僕と雄也の所へ?」

 

レリシャ「公王陛下と公爵様は巨大なる騎士をお持ちとか。そのお力をもってすれば巨獣をも倒せるのではないかと。」

 

雄也(ん?フレームギアを知っているのか?公開して最初に接触して来るのがギルド。これは何か裏がありそうだ。)

 

冬夜「この依頼はそのライル王国から?」

 

レリシャ「はい。報酬はかなり弾むとの事です。」

 

冬夜「マップ表示。ライル王国周辺部。検索巨獣。」

 

マップを表示させ、ライル王国周辺部の巨獣を検索する。

 

冬夜「お。見た事ないけど、検索出来たって事は一目で分かる姿をしてるって事か。」

 

雄也(冬夜。この依頼どうする?)

 

冬夜(町ひとつ潰れると聞くと、撥ね付けるのも気が引けるからね。フレームギアの性能テストにも丁度良いかも知れないし。)

 

雄也(まぁ、お前がそう言うならいいけど。)

 

冬夜「あ。すいません。報酬の方なんですけど。追加で戴きたいものがあるんですが。」

 

レリシャ「・・・何でしょうか?」

 

冬夜「そのライル王国で、えーっと・・・三ヶ所程掘り起こす許可を戴けないかと。そこに埋まっている魔石を戴ければ。」

 

レリシャ「その位ならば多分許可を戴けると思いますが、一応戦法に聞いてみます。少し時間を戴けますか?」

 

彼女は懐から、ペン型の道具と小さな端末を出した。

 

冬夜「それは?」

 

レリシャ「これは『伝文の書』と言うアーティファクトでここに書いた文章は離れた同じ『伝文の書』に届きます。我々のギルドではこれで依頼などをやりとりしているのですよ。」

 

冬夜「へぇ。」

 

雄也(俺達の世界の電子メールと同じか。)

 

レリシャ「ではその間に今回の巨獣についてですが。スコルピナスと呼ばれています。一言で言えば、尾が2つある蠍ですね。これは巨獣全てに言えるのですが、その巨体の為動きは然程素早くありません。しかしその鋏の一撃は強力で、尾の先からは毒液を飛ばして来ます。」

 

雄也「毒液。まさに蠍だ。」

 

冬夜(一応盾とか持って行った方が良いだろうな。)

 

すると伝文の書が光った。

 

レリシャ「どうやら許可が取れたようです。その場所で取れた魔石に関しては自由にして構わないそうです。ギルドもこの契約の証人となります。」

 

雄也(エーテルリキッドの量産が可能になったな。)

 

冬夜「では依頼を受ける事にします。すぐにでも向かいますので。」

 

レリシャ「宜しくお願い致します。」

 

 

 

 

 

 

格納庫。

 

モニカ「んあ?どうしたいマスター?バビロンが動いているようだけど。」

 

冬夜「モニカ。『黒騎士(ナイトバロン)』出せるか?」

 

雄也「俺の『狩騎士(ハンター)』も。」

 

モニカ「ああ。調整はしてあるから問題はねぇぜ。」

 

冬夜「よし。じゃあ指揮官機『黒騎士(ナイトバロン)』と『狩騎士(ハンター)』初戦闘といきますか!」

 

格納庫には、漆黒のフレームギアとライザークを模したフレームギアがああった。

 

雄也「どれ位の性能か楽しみだ。あ。なあロゼッタ。通信機は取り付け済みか?」

 

ロゼッタ「バッチリであります!バビロンや他の機体にも遅れるでありますし、プライベートチャンネルもあります。外部スピーカーも取り付けたでありますよ。」

 

冬夜「聞こえるかモニカ?」

 

モニカ『聞こえるぜマスター!バッチリだ!』

 

シェスカ『マスター。目的地上空です。ターゲットは前方の大樹海を抜けて、ライル王国の荒野へと侵入しました。ターゲットを追い越してから降下願います。』

 

冬夜「あいよー。」

 

雄也「よし任せろ。」

 

黒騎士(ナイトバロン)狩騎士(ハンター)を起動させた。

 

 

 

 

 

 

巨獣に迫る2機のフレームギア。

 

雄也「あれが例の巨獣か。まんま蠍だ。」

 

冬夜「だね。あれで殴られたらフレームギアと言えども吹っ飛びそうだな。挟まれてもヤバそうだ。さて、ここは先手必勝かな?」

 

雄也「よしお前ら、行くぜ!」

 

ギアレットハンターをホルダーに装填した。すると狩騎士(ハンター)の全身にガウスト達が憑依した。

 

冬夜「行くよ!」

 

雄也「おう!」

 

2機が巨獣に近付くと、巨獣が尾から毒液を噴射した。

 

冬夜「毒液か。」

 

黒騎士(ナイトバロン)が盾で防いだ。

 

雄也「クリスターシールド!」

 

クリスターの炎のシールドで燃やした。

 

冬夜「備えあれば憂いなしって・・・うえぇえ!?」

 

毒液が黒騎士(ナイトバロン)の盾の表面を徐々に溶かした。

 

雄也「あの野郎、盾を溶かす成分を含んでやがる。まるでボナコンだ。」

 

冬夜「まずいな・・・何回も受けたらその内盾が無くなってしまう。」

 

雄也「冬夜。無理はするな。」

 

冬夜「分かってる。」

 

黒騎士(ナイトバロン)がメイスを振り下ろしたが、傷すら付かない。

 

冬夜「堅あっ!?」

 

雄也「ならば!メガホエールランチャー!」

 

右腕がメガホエールの大砲に変化し、ミサイルを連射したが、傷が付かない。

 

雄也「クソッ!ミサイルも効かねえ!」

 

すると巨獣が黒騎士(ナイトバロン)を襲う。

 

冬夜「危なッ!」

 

更に再び毒液を噴射した。

 

雄也「ブリザットショット!」

 

左掌から、ブリザットタイガのブリザードを噴射して尾を凍結させた。だが巨獣が巨大な鋏で黒騎士(ナイトバロン)を襲う。

 

冬夜「しまっ・・・!!」

 

黒騎士(ナイトバロン)の盾が巨獣の鋏で破壊されてしまった。

 

冬夜「全力でやらないとまずいか。モニカ!バトルハンマー投下!」

 

モニカ『よっしゃ!バトルハンマー投下するぜ!!』

 

格納庫からバトルハンマーが投下された。

 

冬夜「魔力同調。第一スロット解放。グラビティ!」

 

雄也「メルデオスハンマー!」

 

炎のハンマーが生成され、ヘッドがメルデオスになった。

 

冬夜「ここで・・・加重!!」

 

雄也「ぶっ潰れろ!!」

 

バトルハンマーとメルデオスハンマーが巨獣を砕いて討伐した。

 

モニカ『ひゅー!やったなマスター!』

 

冬夜「思ったより手古摺った。盾もダメになっちゃったし。」

 

雄也「まぁ勝てたんだから良いじゃねえか。」

 

冬夜「そうだね。勝てたからよしとするか。」

 

 

 

 

その後レリシャが来て、討伐された巨獣を見た。

 

レリシャ「これはまた・・・まさかこんなに早く倒してしまうとは思ってもみませんでした。」

 

雄也「どうだ?俺達の力。」

 

ライザーク「もっと誉めて?」

 

レリシャ「兎も角討伐を確認しました。素材は全て売却して宜しいんですね?ではこれを。」

 

2枚の金色のギルドカードを雄也と冬夜に渡した。

 

冬夜「お。金色だ。」

 

雄也「輝いてる。」

 

レリシャ「最高ランク。ゴールドクラスのギルドカードです。現在それを持っているのは公王陛下と公爵様と騎士王国レスティアの先王陛下のみでございます。」

 

雄也「騎士王国レスティア?初めて聞くな。」

 

レリシャ「ここライル王国より東にある騎士の国でございます。騎士王が治める大国ですね。しかし・・・恐るべきアーティファクトですね。この力があれば他国を侵略する事も容易いでしょうね。」

 

冬夜(んー・・・どうも危険視されているようだな。)

 

雄也「こいつは『フレームギア』だ。古代王国の天才博士(変態野郎)が作り上げたアーティファクトでこの世界を守る為に作られた代物だ。」

 

レリシャ「・・・世界を守る為?」

 

雄也「ギルドマスターならこれ位知ってると思うんだけどな。最近世界各地で目撃されている正体不明の水晶の魔物の事を。」

 

レリシャ「ッ!・・・確かに各地の支部から報告が上がっております。剣も通じず、魔法も通じず、再生能力を持つ水晶の魔物の事が。被害はかなりのものになりつつあります。」

 

冬夜(まだフレイズによりパニックは避けたいが、ギルドの情報力は役に立つ。)

 

雄也(ここは話せる範囲で情報公開をして協力を取り付けておくのが得策か。)

 

2人はお互いを見て頷いた。

 

雄也「そいつの名はフレイズ。嘗てこの世界に存在していた古代文明を滅ぼした怪物だ。」

 

レリシャ「何ですって・・・!?世界の結界・・・異次元からの侵略者・・・水晶の魔物の報告がなければ、一笑に付していたでしょうね。」

 

冬夜「この後フレイズ達の大襲来があるかどうか僕達には分かりません。だけど、対抗手段がなければ蹂躙されるだけです。その為にフレームギアを甦らせたのですから。」

 

雄也(まぁただ乗りたいって言う俺達の願望でもあるがな。)

 

レリシャ「・・・分かりました。ギルド本部の方に伝え、なるべく情報を集めて公王陛下と公爵様の方に提供するようにしましょう。」

 

冬夜(これで何か異変があった時はすぐに教えて貰えるだろう。なるべくならそんな報告は聞かないでいたいけどな。)

 

『END』




         キャスト

      伊狩雄也:増田俊樹

      望月冬夜:福原かつみ
 エルゼ・シルエスカ:内田真礼
 リンゼ・シルエスカ:福緒唯
      九重八重;赤崎千夏
       ユミナ:高野麻里佳
        紅玉:桑島法子

     ライザーク:梅原裕一郎

 レリシャ・ミリアン:小山百代
       レイン:平山笑美
       ノルン:伊波杏樹
       ニコラ:土屋神葉
      高坂政信:竹内良太
   フランシェスカ:大久保瑠美
    ハイロゼッタ:朝日奈丸佳
    ベルフローラ:金元寿子
    フレドモニカ:花井美春

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