異世界はガウストとともに。   作:naogran

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クラウド「は・・・私の名はクラウド・ゼフ・リーニエ。リーニエ王国の第二王子でございます。」

全員「え!?」

使者の正体は、リーニエ王国第二王子のクラウドだった。

雄也「アンタが第二王子・・・隔離されている母親の病気を治してくれって事か?」

クラウド「母は病気で隔離されているのではありません。幽閉されているのです!宰相ワルダックの手によって!」






彼が生まれた時、既に父親は高いしており、城から離れた小さな屋敷で母親と暮らしていた。

だが自分が王子と分かる事には、兄が何かと干渉して来るようになった。その日の気分次第で殴られ蹴られ侮辱され・・・

母親は元々は商家の娘で、養女として貴族の家に入ったと言う経緯があった。その為兄には生まれが卑しい王子として蔑まれた。

自分ならまだしも母親が侮辱されるのは我慢が出来なかった。護衛の騎士や取り巻きの貴族の子息達にと李抑えられ、殴り掛かる事も出来なかった。






クラウド「正直、あんな兄の居る国など、何度出て行こうとした事か・・・しかし母を置いてはいけません。兄はそれを見越したのでしょう。母は病気だと偽りの診断をされ、隔離されてしまいました。伝染るかも知れないので近付くなと。」

母親を盾にされ、国を出て行く事は不可能。その為兄に好きなように使われる日々を送り続ける事を余儀なくされた。そして気が付けば、完全に幽閉され会う事も出来なくなってしまったのだ。

雄也「酷い話だ・・・聞くだけでイライラする・・・」

ライザーク「ああ・・・その三十路王子を殴りてぇ・・・」

冬夜「生きてはいるんですよね?」

クラウド「はい。幽閉先の場所で母を世話している娘がおります。この娘は私が世話になっている貴族の配下の者で、母の事をそれとなく教えてくれるのです。」

雄也「なぁ、何でそこまでするんだ?出来の良い弟に嫉妬してるとか?」

クラウド「兄は弱い者を甚振るのが大好きなのですよ。」

雄也「聞くんじゃなかった・・・」

彼の怒りがまた増えた。

クラウド「今回婚約を取り付ける使者に私を指名したのも、弟など兄の近い走りに過ぎないとでも言いたかったのでしょうね。」

アルフレッド「そこまでとは・・・リーニエ国王は何も言わないのですか?」

クラウド「父は宰相のワルダックに逆らえません。変に反抗すれば殺されるかも知れないと私は思っています。父を擁護する貴族達は次々と城から追い出され、今では味方がほぼ居ない状態なのです。」

雄也「それは危険だな。宰相としてはさっさと国王の首を自らの一族の血を引く第一王子に挿げ替えたいと考えているはずだ。」

冬夜「・・・あれ?ひょっとして、今回の縁談って・・・」

クラウド「多分、結婚の発表と共に王位の継承を行うのが狙いかと。」

冬夜(婚約の相手は誰でも良かったのかも知れないな。それ所か、自分に逆らえない弱者としてスゥを選んだ可能性だってある。)

クラウド「この縁談の使者に命じられた時逆にチャンスだと思いました。オルトリンデ公爵殿下を通じて、何とかブリュンヒルド公王陛下と公爵殿下と面会してお願い出来ないかと。まさかこうも早く願いが叶うとは・・・!母を助ける為にどうかお力添え頂きたく!!」

雄也「良かったな。神はアンタを見捨ててはいなかったんだな。」

冬夜「救出自体はゲートを使えば難なく出来るとは思うけど・・・」

アルフレッド「ブリュンヒルド公王陛下と公爵殿下に申し上げます。」

冬夜「え?」

雄也「急に何?」

アルフレッド「ここはひとつ、西方同盟の緊急会議を招集すべきかと。ベルファストだけではなく、他の同盟国の意見を考慮して事にあたるのが望ましいと考えます。私はクラウド王子に決意があるのなら、他国への介入もありだと思っております。愚鈍な第一王子を廃し、クラウド王子に王位に就ける手助けをすべきかと。」

雄也「公爵様・・・!!」


21話「二人の王子、そして小さな婚約者。」

その後。同盟国の王を招集して緊急会議を始めた。

 

冬夜「・・・と言う訳なんですが。」

 

雄也「皆様方のご意見をお聞きしたい。」

 

トリストウィン「成る程な。宰相や第一王子の所業には憤りを覚える。」

 

リグ「しかしクラウド王子を王位に就けるのは良いが、それで国は纏まるのか?結局、政務に関わる者が宰相の腰巾着ばかりでは王子の言葉に耳を傾ける者が居るとは思えんが。」

 

雄也「そこんとこそうなのか?」

 

クラウド「ハッ!は、はい!宰相に疎まれ、国政から外された者たちの力を借りようと思っています。ここ十数年冷遇され不満を持っている貴族も多く、実力はあるのに遠ざけられた有能な者達も居るのです。なにしろまずは宰相に袖の下を渡さないと役職に就けない程ですから。」

 

冬夜(ユミナのマガンでクラウド王子の本質は悪い人間じゃないと見抜いて貰ったし、この場ではラミッシュ教皇猊下には嘘は通じない。宰相一味はますますもってロクな相手じゃなさそうだ。

 

トリストウィン「此方の味方になってくれそうな有力な貴族はおらんのかね?」

 

クラウド「前宰相を務めたクープ侯爵がおります。他の地方貴族の信頼も厚く、何かと陰で私を支えてくれた者です。」

 

雄也「そこら辺が纏めて味方になってくれるなら、王位に就いた後の事も安心出来そうだな。」

 

冬夜「でもその前にクラウド王子としてどうなんです?母親さえ助ければ良いのであれば、それで国外へ逃亡って手もありますが?」

 

クラウド「・・・いえ。私は今までに宰相や兄に苦しめられて来た人達を見て来ました。無力な私は彼らを助ける事が出来なかった。遅ればせながら私に出来る事があるならば、それを成し遂げたいと思います。」

 

冬夜「それは今のリーニエに反旗を翻すと言う事ですよ。例え宰相が実権を握っているとしても、父親である国王にも逆らうと言う事ですが、良いんですか?」

 

クラウド「覚悟の上です。」

 

雄也「フッ。」

 

ニヤリと笑みを浮かべる雄也。

 

冬夜「では他の方々はどうでしょうか?リーニエの、いえ。クラウド王子の申し出に対し。」

 

トリストウィン「我が国はクラウド王子を支持する!リーニエの腐敗はやがて此方にも害を及ぼしかねんからな。」

 

リグ「同じく。」

 

ジャムカ「ウム。」

 

ゼフィルス「ウム。」

 

満場一致でクラウド支持と決定した。

 

クラウド「ありがとうございます!」

 

冬夜「では西方同盟全ての国がクラウド王子を支持すると言う事で。後は如何にして宰相達を失脚させるかだけど・・・出来れば戦争とか武力制圧は避けたいですよね。どうするのが良いと思いますか?」

 

トリストウィン・ジャムカ・リグ・ゼフィルス「そこはほら。冬夜殿と雄也殿が何とか。」

 

雄也・冬夜「うおい!!」

 

クラウド「ご迷惑をお掛けします!!何卒宜しくお願いします!!」

 

冬夜「ああ・・・いや、まあ良いんだけどね・・・」

 

雄也「お!そうだクラウド!」

 

クラウド「は、はい?」

 

雄也「お前、出発前にこれを飲んだ方が良いぞ。」

 

懐から、薬が入った小瓶を渡した。

 

クラウド「これは?」

 

雄也「なぁに。備えあれば憂いなしって奴?」

 

 

 

 

 

 

その後、エルゼと八重と共にリーニエ王国の王都ニムエへ転移した。

 

クラウド「凄い・・・本当に一瞬でリーニエに・・・」

 

雄也「どうだ凄えだろ?」

 

冬夜「まずは城に行って縁談の報告を済ませましょう。インビジブル。」

 

インビジブルで、自分達の姿を消した。

 

冬夜「じゃあ案内お願いします。」

 

クラウド「凄い魔法ですね・・・何処に居るのかさっぱり分かりません。」

 

冬夜(僕等はまだ第一王子や宰相を見てもいないからな。どんな奴なのかこの目で見極めなければ。)

 

雄也「クラウド。手筈通りに頼むぜ。」

 

クラウド「はい。」

 

 

 

 

城へ戻って見張りを通り過ぎる。見張りの兵士はクラウドをチラ見した。

 

冬夜(仮にもこの国の王子様だろうに。)

 

 

 

 

クラウド「ただいま戻りました。兄上。」

 

ザブン「クラウドか。随分早かったじゃないか。愚図のお前にしては珍しい。明日は雨かな?」

 

この男こそ、第一王子で三十路のザブン王子。その格好はビカビカに煌めいてる。

 

エルゼ(悪趣味〜・・・)

 

雄也(ん?おい冬夜。あの子の首輪。)

 

冬夜(え?)

 

横に居る少女の首に、ある首輪が着けられていた。

 

冬夜(隷属化の首輪じゃないか。)

 

雄也(この国に奴隷制度はなかったはずだ。)

 

ザブン「それで、先方の返事はどうした?勿論いい返事を貰って来たんだろうなぁ?」

 

クラウド「いえ。残念ながらオルトリンデ公爵令嬢には既に許婚が居るとの事でお断りになられました。」

 

ザブン「・・・あ?すまないな。聞こえなかった。何だって?」

 

クラウド「ですから、縁談の話をお断りに・・・」

 

その瞬間、ザブンがクラウドを平手打ちした。

 

ザブン「使えないなあお前は!!だったら公爵令嬢を掻っ攫って来るとか少しは考えろよ!!連れて来て『隷属化の首輪』を嵌めてしまえば僕の奴隷になるんだからさあ!!あのガキはリーフリースのパーティーで僕を見て笑いやがったんだ!!たかが公爵の娘の癖に、一生僕に逆らえないように躾を付けてやるはずだったのにさァー!!」

 

冬夜(スゥを奴隷にだって?)

 

雄也(縁談と偽った奴隷計画か。)

 

ライザーク(あの野郎・・・子供を何だと思ってんだ?)

 

ザブン「チッ!これ位の近いも出来ないとは役立たずの弟を持つと苦労が絶えないね。それで?公爵令嬢の許婚ってのは誰だよ?」

 

クラウド「ブリュンヒルド公国公王望月冬夜です。」

 

ザブン「ブリュンヒルド・・・?ああ。最近出来たって言う成り上がりのちっちゃい国か。あんなちっぽけな国に嫁がせた所で何の得にもならないだろうに。」

 

雄也(そんな事言ってるテメェに嫁ぐ方が得にならねえだろ。)

 

ライザーク(言い得て妙。)

 

ザブン「ん?おいクラウド。お前もう1度ベルファストまで行って噂を流して来いよ。」

 

クラウド「噂?」

 

ザブン「ブリュンヒルド公王は女好きで今まで泣かされた女が沢山居るってなぁ。公爵令嬢もそこに嫁がせなんかしたら不幸になるのが目に見えてるって噂だよ。」

 

ライザーク(逆に彼奴の噂を先に流したいわ。)

 

雄也(それな。)

 

ザブン「そうすりゃ婚約解消になるかも知れないじゃないか。良い考えだろ?」

 

クラウド「その噂を流せば母上に合わせて頂けますか?」

 

ザブン「ああ?だから言ってるだろう?お前の母親は病気なんだよ。びょ・う・き。伝染ったらどうするんだ?兄のありがた〜い配慮だろうが。まあ何時死ぬか分からないからな。会いたい気持ちは分かるけどなぁ。」

 

クラウド「・・・・・」

 

自分の母親を侮辱するザブンに、クラウドが鋭い目付きで睨んだ。

 

ザブン「何だよその目はァ!!!」

 

睨まれたザブンがクラウドを蹴り倒し、倒れたクラウドを蹴り続ける。

 

ザブン「生まれの卑しいクズの癖に弁えろッてんだよ!!お前は僕の命令を黙って聞いてりゃいいんだ!!生かしてやってるだけありがたく思え!!分かってんのか!!ああ!?」

 

???「ザブン?何をしているのです?」

 

ザブン「ああ!母上!いやね、聞き分けのない弟を教育してやってたんですよ。」

 

ダキア「クラウド。あなたもいい加減身分を弁えなさいな。」

 

この女がザブンの母親のダキア王妃。

 

ダキア「あなたと違って、ザブンは何れこの国を背負って立つ身。つまらない事で煩わせないで。これも母親が卑しい血のせいかしらね。それで、縁談の方はどうなったの?ザブン。」

 

ザブン「クラウドのせいで断られたよ。全く役立たずさ。」

 

ダキア「まあ可哀想に。ベルファストは馬鹿な国だから仕方ないのよ。滅びれば良いのにね。」

 

ライザーク(逆にテメェらが滅びれば平和だわ。)

 

ザブン「僕が国王になったら痛い目に遭わせてやるさ。もう良いだろう母上。婚約なんてしなくても王位に継げるよ。」

 

ダキア「そうねぇ。ワルダックに話してみましょうか。」

 

ザブン「そうこなくっちゃ!」

 

彼等は倒れてるクラウドを捨て置いてワルダック宰相の元へ向かった。

 

 

 

 

クラウド「雄也殿。これで良かったのですか?」

 

雄也「あぁ。良い演技だったぞ。痛みは大丈夫だったか?」

 

クラウド「えぇ。何も感じなかったです。あの薬のお陰です。」

 

あの時渡された薬は、雄也がハンティングナビライザーで作った無痛薬。一定時間痛みを感じない特殊な薬。

 

エルゼ「呆れた馬鹿王子ね。」

 

八重「拙者、何度か斬り掛かりそうになったでござるよ。」

 

雄也「なぁ、あの隷属化の首輪はどうやって仕入れられたんだ?」

 

クラウド「兄がサンドラ王国の商人から買い求めたのです。我が国では奴隷は禁止されていると言うのに。」

 

冬夜「一歩間違えればスゥが奴隷にされていたかも知れないのか。あの野郎・・・」

 

雄也「・・・・・・・!!!!」

 

横で雄也が禍々しいオーラを溢れ出していた。

 

雄也「あのクソボケ三十路野郎が・・・!!今度は俺がボッコボコにしてやりてぇ・・・!」

 

八重「雄也殿の怒りが満ち溢れているでござる・・・」

 

エルゼ「余程ムカムカしてたのね。雄也。」

 

冬夜「っと・・・その前に。」

 

スマホを出して、隷属化の首輪を着けられた少女をここに転送させた。

 

少女「あ・・・え?」

 

冬夜「アポーツ。」

 

アポーツで、少女から隷属化の首輪を外した。

 

少女「取れた・・・首輪が取れた・・・」

 

首輪から解放された少女が涙を流した。

 

雄也「もう大丈夫だ。俺達の国へ避難してくれ。」

 

少女をゲートでブリュンヒルド公国へ避難させた直後、ザブンが慌てて降りて来た。

 

雄也「クソボケ三十路野郎が来たぞ。」

 

冬夜「インビジブル。」

 

急いでインビジブルで姿を消した。

 

ザブン「おい!こっちに僕の奴隷は来なかったか!?」

 

クラウド「いえ、存じませんが。」

 

???「どうしましたザブン王子?」

 

ザブン「ワルダック!!」

 

現れたこの男が、リーニエ王国の権力を掌握しているワルダック宰相。

 

ザブン「僕の奴隷が居なくなったんだ!!いきなり消えたんだよ!!」

 

ワルダック「戻って来いと命令してみたのですか?」

 

ザブン「したよ!でも戻って来ないんだ!」

 

ルナフィン(ん?)

 

ライザーク(どうしたルナフィン?)

 

ルナフィン(あの2人から、特別な何かを感じる。)

 

ライザーク(え?)

 

ワルダック「では殺してしまいなさい。そんな奴隷は必要ないでしょう?死体が見付かったら此方で処理しておきます。」

 

ザブン「ちぇッ!まだ本格的に遊んでなかったのにな!足の骨でも折っとけば良かったよ!」

 

隷属化の首輪を冬夜が潰した。

 

冬夜(なんて奴らだ・・・此奴ら他人の生命を何とも思ってないのか・・・?)

 

雄也(彼奴ら、もう人間じゃねぇ・・・)

 

ワルダック「おやクラウド王子。いつ戻られた?縁談は纏まったのですかな?」

 

クラウド「いや、残念ながら。」

 

ワルダック「ふん。まあ良いでしょう。丁度良い。その内あなたには北のパルーフ王国へ行ってもらう事になりそうですからね。」

 

クラウド「パルーフへ?一体何の為に・・・」

 

2人は2階へ上がっていった。

 

冬夜「何を企んでいるんだ・・・?」

 

雄也「何か計画を練っているな。尾行するか?」

 

冬夜「そうだなぁ・・・使い魔の中で尾行に向いてそうなのは・・・」

 

1匹のネズミの使い魔を召喚した。

 

冬夜「よし。彼奴らを追ってくれ。」

 

頷いたネズミが、ザブンとワルダックを尾行した。

 

 

 

 

ザブン「ワルダック。今度はクラウドをパルーフ王国へ使いに出すのか?あの国に僕好みの王女や貴族の娘が居たっけ?」

 

ワルダック「いいえ。縁談の使いではありませんよ。クラウド王子には宣戦布告をして来てもらうのです。パルーフ王国にね。あの国は近年国王と宰相を続けさまに亡くしたばかり。更に大冷害もあったでしょう?北のパルーフ王国の被害は相当なものだった様子。我が国との小競り合いはこれまで幾度もありましたが、今なら大打撃も与えられましょう!バルニエ島等一の時が来たのです!この時の為に準備を進めておりました!」

 

 

 

 

その会話が、雄也達に盗み聞きされている事を2人は知らない。

 

クラウド「そんな企てがあったとは・・・」

 

雄也「踏んだり蹴ったりだな・・・」

 

冬夜「しかし、宣戦布告なんて普通第二王子にやらせるか?」

 

八重「表面上は親書の受け渡しと言う事にして、中身は宣戦布告の内容。激昂した相手が第二王子をバッサリ・・・と言う筋書きでござろうか?」

 

ライザーク「随分趣味悪いシナリオだな。」

 

クラウド「あり得なくはないですね。それ自体が目的ではないでしょうが、私が斬られたとしても『第二王子を手に掛けた憎きパルーフを許すな』などとワルダックが白々しく喚くのが目に見えるようです。」

 

雄也「兎に角このまま放置すれば戦争が勃発してしまう。」

 

冬夜「だね。行動を開始しよう。クラウド王子。今一度言うけれど、ここから先は完全に宰相達と対決する事になる。良いんですね?」

 

クラウド「分かっています。母を救い、私は宰相と戦います。まずは前宰相であるクープ侯爵の元へ行き、助力を得ましょう。母の状況も知りたいです。」

 

 

 

 

 

 

彼らは前宰相のクープ侯爵の屋敷へ向かった。

 

クープ「よくぞ決意して下されたクラウド王子。しかも西方諸国の協力を得た今となっては、何も恐れる事はありません。」

 

冬夜「協力と言っても、なるべくならこの国に被害を出したくはありません。」

 

雄也「そうだ。武力制圧は避けたい方針だ。」

 

クープ「そうなるとやはり、宰相の拘束にザブン王子の王位継承権の剥奪。それが鍵となりますな。」

 

雄也「どっちかと言えば、王位継承権剥奪の方が課題だな。」

 

八重「今までの所業から廃嫡を決定する事は出来ないのでござるか?」

 

クープ「明確な証拠がありません。全て宰相が握り潰していますからな。被害にあった者も報復を恐れて証言する事もしないでしょう。となると、後は国王陛下自らがザブン王子の廃嫡を命じでもしなければ・・・」

 

冬夜「うーん・・・最悪王様を脅して王位を無理矢理クラウド王子に・・・って、これじゃこっちが悪党みたいだなあ。」

 

雄也「まぁ考えるのは後だ。今はクラウドのお袋さんを助けるのが先決だ。クープ侯爵。居場所は分かるか?」

 

クープ「エリア王妃はワルダック宰相の領地にあるガリア砦に軟禁されています。」

 

 

 

 

 

 

夜。ガリア砦に潜入。

 

クラウド「ここからはかなり厳重な警備のはずです。ですが陛下の透明化の魔法を使えば潜入出来るでしょう。母上を救出したなら一気に国外へ転移してしまえばもう安心です。」

 

雄也「そうと決まれば。ライザーク。」

 

ライザーク「オルアアアア!!!!」

 

既にライザークが警備兵を無力化させていた。

 

ライザーク「これで大体無力化出来たな。」

 

雄也「んじゃ行くとするか。」

 

クラウド「・・・・・・・」

 

状況が理解出来てないクラウドがポカーンとなってる。

 

八重「気にしたらキリがないでござるよ。」

 

無力状態の警備兵達を通り過ぎると、1人のメイドとバッタリ会った。

 

メイド「誰です!?兵士を呼びますよ!」

 

クラウド「僕はクラウド。この国の第二王子だ。ここに居る母を迎えに来た。通してくれないか?」

 

メイド「クラウド王子!?」

 

突然メイドが膝を付いた。

 

冬夜(お?ひょっとしてこの人・・・)

 

アンジェ「失礼致しました。私はエリア王妃様の世話係をさせて頂いていますアンジェと申します。クープ侯爵の命により王妃様の安全を守っておりました。」

 

クラウド「そうか、君がアンジェか。何時も母の事を知らせてくれてありがとう。心から感謝している。」

 

アンジェ「そんな、勿体無い・・・王妃様はこの上におります。」

 

兵士「何だお前達は!!」

 

だが兵士に見付かってしまった。

 

ライザーク「くそっ!見逃した奴か!!」

 

しかしアンジェが走り出し、ハイキックで兵士を倒した。

 

冬夜「凄っ!武闘派潜入メイド・・・」

 

雄也「凄えハイキック・・・当たったら痛そう・・・」

 

アンジェ「さ、行きましょう。」

 

エリア王妃が軟禁されている部屋へ向かう。

 

 

 

 

クラウド「母上!!」

 

ドアを開けると、クラウドの母のエリア王妃が居た。

 

エリア「クラウド・・・?クラウドなの?クラウド!」

 

親子が遂に再会を果たした。八重は感動で泣いてる。

 

エリア「こんなに大きくなって・・・今日まで生きて来た甲斐があったわ・・・」

 

クラウド「母上。すぐにここから脱出しましょう。陛下お願いします!」

 

冬夜「あいよー。」

 

エリア「陛下?」

 

 

 

 

ゲートを通って、クープ侯爵の屋敷へ避難した。クープ侯爵がアンジェとエリア王妃と再会を果たした。

 

冬夜「これでもうクラウド王子を縛る枷はないな。さてさて雄也。第一王子達をどう料理してやろうかねぇ。くっくっく・・・」

 

雄也「あぁ。日頃の鬱憤を晴らさせるチャンスが舞い降りそうだぜ〜。げっへっへ・・・」

 

エルゼ「冬夜と雄也が悪い顔してるわ。」

 

八重「またえげつない事を企んでるのでござろうな・・・」

 

冬夜「何だよ・・・」

 

雄也「いや待てよ?暴力以外に奴らを苦しめる方法が思い付いたかも。今後の展開だぜ。」

 

 

 

 

 

 

翌朝。ワルダック達3人は憤っていた。

 

ワルダック「ガリア砦からエリア王妃が消えただと!?クラウド王子が連れ去ったと言うのか!?砦の兵士は何をしていたのだ!」

 

ダキア「だから言ったでしょうザブン!さっさとあんな子消してしまえば良かったのに!」

 

ザブン「クラウドの奴!!飼い主に逆らってタダで済むと思うなよ!」

 

ワルダック「クラウド王子がクープ侯爵と手を組んだら面倒な事になりかねない・・・ここは急ぎ王位をザブン王子に譲るよう国王陛下に願い出ましょう。その上でクラウド王子を捕らえます。罪状は何とでもなりましょう。」

 

ザブン「バルーフとの戦争はどうするのさ。」

 

ワルダック「残念ですが後回しです。まずは反逆の芽を摘むのが先かと。」

 

ザブン「チェッ。折角バルーフの王女を手に入れられると思ったのになァ。まあやっと国王になれるから良いかあ。」

 

そんな呑気に言いながら部屋を出た。

 

ワルダック「エリア王妃を奪われたのはまずい・・・何れ国王の耳にも届くかも知れん。その前にザブンに王位を譲らせねば・・・・」

 

だがこの会話をインビジブル状態の雄也と冬夜に筒抜けだと言う事にワルダック達は気付いてなかった。

 

雄也(あら?国王やザブンを呼び捨てし始めましたぞ?このおっちゃん。)

 

冬夜(どうやら本性を現したみたいだ。ダキア王妃はまだ居るのに。)

 

ワルダック「こんな事なら、さっさと王位を継がせるべきだったか・・・クープ侯爵らを押さえ付けるのに国王の力が必要だったとは言え・・・くそっ!幸いエリア王妃を奪われた事はまだ知られてはいないだろう。認めねばエリア王妃の命はないと脅せば間違いあるまい。」

 

雄也(何?クラウドだけじゃなく国王とエリア王妃を盾にされてるのか。聞き捨てならねえ。)

 

ライザーク(コイツら、やっぱり殴らねえと気が済まねえ。)

 

雄也(落ち着けライザーク。その準備はもう出来てる。)

 

冬夜(ちょっとこれは決定的な証拠になるかも知れん。現場を押さえとこう。録画が良いな。)

 

スマホを向けて録画する。

 

ワルダック「エリア王妃とクラウドに国王の元へ行かれてはマズい。応急を完全封鎖しその間に事を済ませねば。」

 

ダキア「王位をザブンに譲らせたら国王はどうするの?」

 

ワルダック「消えて貰うさ。今すぐ死んで貰っても構わんのだが、クラウドを担ぎ上げる奴等が出て来ては面倒だからな。」

 

決定的な証拠を入手出来た。

 

冬夜(おおっと!戴きましたよ!国王暗殺計画の証拠を!)

 

雄也(よっしゃラッキー!これでクラウドは反逆者の汚名を被らないで済むな!)

 

ワルダック「どっちみち後顧の憂いを断つ為に、何としてもクラウドには死んでもらう。王家の血筋は1人たりとも残す訳にはいかん。」

 

冬夜(はぁ?王家の血筋ならザブンだって・・・)

 

ワルダック「やっと我が一族がこの国を手に入れらえるのだ。誰にも邪魔はさせん。」

 

雄也(我が一族?王家の血筋を1人たりとも邪魔させない・・・まさか!?)

 

ダキア「私とあなたの息子がもうすぐこの国の王となるのね。」

 

ワルダック「ああ。新しい王家の誕生だ。」

 

 

 

 

一部始終録画し終えてブリュンヒルドへ帰国。

 

冬夜「まさかザブンがあの2人の息子だったなんて。」

 

雄也「まあこれはこれで彼奴らと戦うのに何の躊躇もなく済むな。後は一気に畳み掛けるだけだ。」

 

冬夜「でもその前に一応きっちり裏付けを取っておくか。こう言う事なら『練金棟』で調べられるよな。2人から髪の毛でも拝借しなきゃな。」

 

雄也「そうと決まれば。ライザーク。気付かれないように3人の髪の毛を切り取って来い。」

 

ライザーク『任せろ。』

 

 

 

 

透明のまま、ライザークがダキアとワルダック、そしてザブンの髪の毛を切った。

 

 

 

 

3人の髪の毛を持ったライザークが戻って来た。

 

ライザーク「取って来たぞ。」

 

雄也「ご苦労さん。」

 

 

 

 

 

 

夜。あの一部始終の映像をクラウド達に見せた。

 

クープ「そんな・・・!?ザブン王子が、ワルダックとダキア王妃の息子だと!?ならばこれは王家の乗っ取りではないか!!」

 

エルゼ「驚いたわね!でも、2人に血の繋がりが無いのには納得しちゃったわ。」

 

八重「でござるな。」

 

クラウド「これで私は、もう躊躇する事は無くなりました・・・私は国の為、父の為、母の為に、国を乗っ取ろうとする国賊と戦います!!」

 

クープ「よくぞ申された!クラウド王子!」

 

雄也「んじゃ、最後の仕上げと行きますかな。」

 

八重「何処か行くのでござるか?」

 

雄也「まぁな。被害者達に真実を告げる。その後証拠収集。」

 

 

 

 

 

 

真実を告げた後に錬金棟へ行き、フローラにDNA鑑定して貰った。

 

フローラ「鑑定結果が出ましたのですの。マスターの言う通りで間違いありませんですの。」

 

雄也「よし。証拠がガッポリ集まったな。」

 

フローラ「うふふ。マスターの子供が生まれた時も白ベテあげますの。」

 

冬夜「おいコラどう言う意味だ?」

 

フローラ「マスターはお嫁さんが沢山居るから、子供も沢山ですの。博士が言ってたですの。」

 

雄也「あのバビロン博士が?冬夜の未来の子供まで予知してたのか?」

 

フローラ「9人のお嫁さん、それぞれに子供が居るみたいですの。子宝国王様ですのね。」

 

冬夜「うはっ!?9人も子供が居るのか!」

 

雄也「・・・ん?」

 

冬夜「・・・はい?9人!?何だそれ!?聞いてないんですけど!?」

 

フローラ「言ってませんの。」

 

冬夜「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ!?今の段階でユミナ・エルゼ・リンゼ・八重・ルーの5人だろ?暫定だけどスゥが入ったとしても6人・・・」

 

雄也「って事は、後3人の嫁が現れる事間違い無しだな。」

 

冬夜「・・・・子の話、誰かにしたか?」

 

フローラ「してないですの。」

 

冬夜「誰にもするな。余計な被害を生み出す原因になりかねん。」

 

フローラ「それはつまり、残りのお嫁さん候補に私を入れてくれると言う事ですの?」

 

冬夜「何でそうなるんだよ!!」

 

雄也「大体テメェ等子供が出来ない体だろ!」

 

フローラ「子供なんて『錬金棟』と『研究所』の技術を合わせればマスターのクローンを作る事も可能ですの。」

 

冬夜「絶対やんなよ!!」

 

雄也「クローンとか怖えよ!!」

 

冬夜「兎に角、この鑑定結果で証拠が揃った。」

 

雄也「俺達はリーニエ国王陛下の所へ行って真実を教えに行くからな。」

 

 

 

 

 

 

2日後。リーニエ王国で王位継承の儀が執り行われる。雄也達はインビジブルで姿を消している。

 

大臣「国王陛下の御成りにございます。」

 

玉座にリーニエ国王陛下が座った。

 

リーニエ国王「忙しい所集まって貰ったのは他でもない。私はそろそろ王位を譲り、退位しようかと考えている。ここで皆に次の国王を発表したいと思う。私は全ての公務をその息子に譲り王位を退く。時期王位継承者はリーニエ王国第一王子・・・」

 

 

 

 

 

 

「第一王子クラウド・ゼフ・リーニエに王位を譲る事にする!」

 

 

 

 

 

 

ザブン「なッ!?」

 

冬夜に背中を押されたクラウドが姿を現す。

 

ザブン「なっ!クラウド!お前・・・!!」

 

クラウド「謹んで御受け致します父上。これからは国王として一層の努力を惜しまぬ所存でございます。」

 

リーニエ国王「うむ。頼んだぞ。」

 

ザブン「ちょっと待てよ!!どうなってるんだよこれわぁ!!!!」

 

ワルダック「陛下!!御言葉ではございますが、国の定めに従えば第一王子たる者が王位を継ぐのが定石!!それを捻じ曲げる事は例え国王陛下でも・・・!!」

 

リーニエ国王「成る程。道理よな。だからこそ私は、クラウドに王位を譲るのだ。言ったはずだぞ?『リーニエ王国()()()()クラウド・ゼフ・リーニエに王位を譲る』と。」

 

ダキア「何を馬鹿な事を・・・第一王子はザブンですわ!!ザブンが国王になるのが筋でしょう!?」

 

リーニエ国王「フッ。ハハハハハハハハ!!」

 

ダキア「!?」

 

リーニエ国王「それが筋を申すかダキア。よくまあ言えたものだ。皆は知っておるだろうか。ベルファストとレグルスの間に出来たばかりの公国を。ブリュンヒルド公国の事を。公王と公爵は銀ランクの冒険者であり、ミスミドに現れた悪しき黒龍を屠った。更にレグルス帝国の反乱を鎮圧し、帝国をも救った人物。彼が我が国を救ってくれたのだ。」

 

クラウド「公王陛下。公爵様。此方へ。」

 

インビジブルを解除し、全員が姿を現す。

 

リーニエ国王「冬夜殿!そして雄也殿!」

 

冬夜が例の映像を見せた。

 

 

 

 

録画した例の動画を公に晒した。

 

ワルダック『エリア王妃とクラウドに国王の元へ行かれてはマズい。応急を完全封鎖しその間に事を済ませねば。』

 

ダキア『王位をザブンに譲らせたら国王はどうするの?』

 

ワルダック『消えて貰うさ。今すぐ死んで貰っても構わんのだが、クラウドを担ぎ上げる奴等が出て来ては面倒だからな。』

 

 

 

 

ワルダック「こ、これは!?」

 

この映像が流れ、ダキアとワルダックが慌て始めた。

 

ワルダック『どっちみち後顧の憂いを断つ為に、何としてもクラウドには死んでもらう。王家の血筋は1人たりとも残す訳にはいかん。やっと我が一族がこの国を手に入れらえるのだ。誰にも邪魔はさせん。』

 

慌てるワルダックが雄也達に迫る。

 

ワルダック「止めろ!!今すぐこれをやめ・・・ぐう!?」

 

だが琥珀がワルダックの前に立ち塞がる。

 

ダキア『私とあなたの息子がもうすぐこの国の王となるのね。』

 

ワルダック『ああ。新しい王家の誕生だ。』

 

映像が終わり、国民達に動揺が隠せない。

 

冬夜「これはその時の出来事を記録して、もう1度見る事が出来る僕の無属性魔法です。アンタ達2人の会話はしっかりと僕の使い魔が見ていたんだよ。」

 

雄也「まさか三十路野郎がお前と浮気相手の子供だったなんて驚きだぜ。」

 

ワルダック「馬鹿な!陛下!これは何かの間違いで・・・!」

 

リーニエ国王「間違い・・・か。30年前に気付くべきだったな。お前達の目には私をさぞ滑稽に映っていただろう。お前達の息子を何も知らずに第一王子として扱い、その所業に悩まされる私の姿は笑えたか?エリアが救出された今、お前に遠慮する事もなくなった。ワルダック。この場でお前から宰相の地位を剥奪する。国民を優先すべき国王でありながら、貴様の言いなりになってしまったこの10年・・・悔やんでも悔やみきれぬ・・・私には国王の資格はない。が、貴様にも宰相の資格はないぞ。」

 

クラウド「父上・・・」

 

ダキアは秘密がバレてしまってへこたれた。

 

冬夜「リーニエ国王陛下!この3人をどうするおつもりで?」

 

ザブン「なっ!?暗殺を企んだのはワルダックと母上じゃないか!!僕じゃないぞ!!僕には関係ない!!」

 

リーニエ国王「お前が今までやって来た事、私が知らないとでも思っているのか!罪状から考え、全員死刑だ!!」

 

ザブン「巫山戯るな!!何で僕が死刑にならなきゃいけないんだ!!」

 

雄也「今度はテメェのやって来た行為の報いを受ける番だ!」

 

冬夜「もうお前は王子でも何でもない!!ただの犯罪者だ!!」

 

ザブン「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!!!!!お前必ず殺してやるからな!!覚えてろよ!!お前の国の女もメチャクチャにしてやるからな!!!」

 

雄也「あーあ。」

 

冬夜「あ?今何て言った?」

 

銃剣・ブリュンヒルドを発砲し、ザブンの頬を掠った。

 

ザブン「ギャアアアーーー!!な、何を!?」

 

冬夜「僕の大切なものをメチャクチャにするんだろ?そんな奴を生かしておけると思うのか?」

 

雄也「お前には、ちーとばかしお仕置きが必要だな。」

 

ザブン「な、何をする気だ!?」

 

”ガシャ”

 

ザブン「は・・・?」

 

隷属化の首輪がザブンの首に巻かれた。

 

ザブン「何だこれは!?」

 

雄也「お手製のオモチャさ。お前にピッタリだな。」

 

ザブン「くそッ!!」

 

隷属化の首輪を外そうとするが。

 

ザブン「ぐああああああああ!!!!」

 

全身に電流が走った。

 

雄也「ソイツは取り付けた本人しか外せない。俺はお前を一生赦さねえ。」

 

ザブン「おい!!これを外せ!!!!」

 

雄也「あらよっと!」

 

赫色の卵をザブンに投げると卵が巨大化した。

 

ザブン「ぐああああああ!!」

 

その卵にザブンが食われた。

 

ザブン『ギャアアアーーーー!!!嫌だ!!殺さないでくれ!!!止めてくれーーーーーー!!!!!』

 

卵の中からザブンの絶叫が響く。

 

雄也「どうだ?俺お手製のトーチャーエッグ。中で俺が考案した拷問を受けてろ。」

 

ワルダック「くっ!!」

 

雄也「逃げんなゴルァ。」

 

ギアレットハンターの釣り糸で逃げるワルダックの足を捕まえて引っ張って転ばせた。

 

ワルダック「うぐうーーー!?」

 

トーチャーエッグが割れ、ザブンが倒れて失禁した。

 

八重「冬夜殿!雄也殿!」

 

エルゼ「大丈夫!?」

 

冬夜「すぅーはぁー。ごめん。少し取り乱した。」

 

雄也「心配するな。俺達は大丈夫だ。」

 

冬夜「あんたの屋敷も調べさせて貰ったよ。随分と悪どい事をしてたみたいだねえ。」

 

雄也「贈収賄に公金横領に密貿易など出るわ出るわ。けど安心しな。証拠品は既に国王に渡してある。」

 

大臣「それに追従した者も分かっておる。今更言い逃れが出来ると思うなよ。」

 

雄也「国王。少しやり過ぎてしまった。」

 

リーニエ国王「いや、ザブンは自分のした事を償う必要がある。処罰についてはクラウドに一任しよう。私はもう国王ではないからな。」

 

クラウド「衛兵!この3人を地下牢へ!」

 

兵士達がザブンとワルダックとダキアを地下牢へ連行して行った。

 

リーニエ国王「・・・情けない。全ての責任は私にある。私よりもクラウドが国王となった方が国民の為になるだろう。後始末を押し付けるようですまないが・・・」

 

クラウド「何を仰います父上。私も至らぬ所があるでしょう。その時はどうか遠慮なく叱り付けて下さい。」

 

リーニエ国王「クラウド・・・すまん・・・」

 

こうしてワルダックとダキアの計画が公になり、ザブン達は逮捕された。リーニエ王国に、新しい国王クラウド・ゼフ・リーニエ王が誕生したのであった。

 

 

 

 

 

 

そしてザブン、ダキア、ワルダックの3人は表向きは死刑とされているが、秘密裏にサンドラ王国の奴隷商に売り渡され、奴隷生活を強いられている。

 

 

 

 

 

 

リーニエ王国の事件から数日後。

 

トリストウィン「ようこそ!我々の同盟へ!」

 

新国王となったクラウドが西方同盟として迎えられた。

 

 

 

 

冬夜「さて、リーニエの件はひと段落したし。」

 

雄也「どうする?休暇取って遊ぶか?」

 

冬夜「休暇は後にして、フレームギアに本腰を入れるよ。」

 

スゥ「冬夜ああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

雄也「お?」

 

冬夜「ぐふうっ!?」

 

後ろからスゥの体当たりを受けた。

 

冬夜「またこのパターンか・・・この前より痛え・・・」

 

雄也「ようスゥ。めっちゃ元気そうだな。」

 

スゥ「うむ!父上から聞いたぞ!妾の為に馬鹿王子をやっつけてくれたのだな!!やっぱり冬夜は最高じゃ!妾の最高の旦那様じゃ!」

 

雄也「俺達はあのクソボケアホクズ三十路野郎にスゥを渡したくなかっただけだ。ってか冬夜を旦那って言うのはまさか。」

 

スゥ「父上が冬夜が認めてくれたと言っておったぞ?それとも妾ではダメか・・・?」

 

涙目と上目遣いで冬夜を見る。

 

冬夜「う・・・」

 

雄也(破壊力高い上目遣い・・・)

 

冬夜(これはやっぱり、バビロン博士の言った9人の花嫁にスゥも入ってるんだろうなあ・・・今はまだ妹みたいだけど、その中他の皆と同じように思えるようになる・・・気はする。いや、なるな絶対。ユミナの時と同じだ。皆も構わないって許可してたしな。流されてるだけかなこれ・・・はあ・・・)

 

スゥ「う・・・」

 

反応しない冬夜にスゥが泣きそうになってる。

 

雄也「おい冬夜。返事してやれ。」

 

冬夜「う、うん・・・皆と同じように僕が18になるまで結婚はしないけど、それでも良いね?」

 

スゥ「っ!勿論構わぬ!!ありがとう冬夜!」

 

笑顔で冬夜に抱き付いた。

 

冬夜(幸せにしてあげないとな。)

 

雄也(あ〜あ、俺にも未来の嫁さん欲しいなぁ・・・何れ出会えるだろう。その時まで待とう。)

 

こうして、スゥの危機は去ったのだった。

 

『END』




         キャスト

      伊狩雄也:増田俊樹

      望月冬夜:福原かつみ
 エルゼ・シルエスカ:内田真礼
      九重八重;赤崎千夏
      スゥシィ:山下七海

     ライザーク:梅原裕一郎
     ルナフィン:村瀬歩

    ベルフローラ:金元寿子
    アルフレッド:楠大典
   トリストウィン:中田譲治
      ジャムカ:稲田徹
        リグ:てらそままさき
     ゼフィルス:高瀬右光
      クラウド:土岐隼一

       ザブン:福島潤
     ワルダック:木村雅史
       ダキア:八百屋杏
        国王:宮本充
       クープ:赤城進
       エリア:森本73子

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