異世界はガウストとともに。   作:naogran

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ある日の朝。

冬夜「んう・・・?」

ベッドに眠ってる冬夜が目を開けると、横にユミナが添い寝してる。

冬夜「・・・何だユミナか・・・」

二度寝しようとしたが、すぐに起きた。

冬夜「ふぉわぁあああぁぁああぁぁっ!?」

ユミナ「う・・・ん・・・?あ、冬夜さん・・・おはようございます・・・」

眠ってたユミナが起きた。

冬夜「な、何でユミナがここに居るんだ!?」

ユミナ「あら。夫婦が同じベッドで眠るな可笑しい事じゃないですよ?最近冬夜さんが雄也さんと一緒に国の事ばかりで私に構ってくれないんですもの。これ位はして貰わないと。」

冬夜「・・・まだ夫婦ではないから。」

ユミナ「じゃあ前から約束通り、今日はベルファストのお城へ行きましょうね。支度して来ます。」

その前に冬夜の頬にキスをして支度しに行った。


20話「格納庫、そしてフレームギア。」

昼間。雄也と冬夜と琥珀とライザークが木陰で寛いでいる。

 

冬夜「あぁ・・・大胆だったなユミナさん・・・」

 

琥珀「5人の奥方に主は1人。先々大変でありますね。」

 

雄也「起きたらユミナが隣に寝てるとは。」

 

ライザーク「全く。お前は好かれてるのか女難なのか分からねえな。」

 

紅玉「主!」

 

クリスター「雄也様!」

 

斥候に向かったクリスターと紅玉が戻って来た。

 

雄也「ようお前ら。」

 

紅玉「先程斥候の1羽から報せが来たのですが。」

 

冬夜「お。何か見付けたか?」

 

クリスター「それが判断出来ないのだそうです。奇妙な材質で出来た真っ黒い四角錐だそうです。」

 

雄也「エルフラウ王国にあったバビロンの転送陣もそんな素材だったな。コイツは当たったかも。」

 

冬夜「それで場所は?」

 

紅玉「場所はここより南南西の海に浮かぶ小さな小島です。」

 

雄也「よし。クリスター。皆を招集してくれ。」

 

クリスター「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

庭園へ移動し、例の小島を確認する。

 

リーン「聞いた事もない島ね。情報が集まらなかった訳だわ。」

 

冬夜「4つ目のバビロンか。さて、格納庫か蔵なら良いんだが。」

 

リーン「『図書館』でも良いわよ。」

 

八重「拙者は『塔』じゃないかと思うでござるよ。」

 

リンゼ「わ、私は『研究所』じゃないかと・・・」

 

エルゼ「じゃあ私は『城壁』に賭けるわ。」

 

雄也「賭けの対象にすんな。」

 

 

 

 

 

 

森林。4つ目のバビロンへ向かう。。

 

紅玉「ここからまっすぐ行った森の中にその遺跡はあるようです。」

 

八重「しかし、本当に誰も住んでいないんでござるか?」

 

冬夜「検索した限りではね。」

 

雄也「少なくとも人間は居ない模様だ。それだけ他の動物や魔獣が多くのさばっているのかも知れねえけど・・・」

 

するとそこに、1頭のサイの魔物が姿を現した。

 

八重「早速何か変なのが来たようでござるよ。」

 

ライザーク「団体様のお出ましか。」

 

サイが突進し始めた。ユミナが銃を発砲し、サイの左目を潰した。

 

リーン「氷よ絡め!氷結の呪縛!アイスバインド!」

 

凍結魔法でサイの身動きを封じた。ルーシアの双剣、エルゼのガントレット、八重の刀でサイが倒された。

 

雄也・冬夜・ライザーク「うおう・・・」

 

八重「大した魔物ではなかったでござるな。」

 

リンゼ「ランク緑って事でしょうか?」

 

エルゼ「どうかしら?フレイズの武器だからこうだけど、普通の武器なら手古摺るんじゃない?ランク青はあると思うけど。」

 

ルーシア「確かに。この皮膚凄く堅そうですわ。」

 

ユミナ「素材として何かに使えるかも知れませんね。」

 

冬夜「出る幕が無かったなぁ。僕・・・」

 

雄也・ライザーク「俺の出番なしか・・・」

 

リーン「見た事がない魔獣ね。後で調べたいから『ストレージ』に仕舞っておいて。」

 

 

 

 

サイの魔物討伐後。

 

冬夜「お。これだな。」

 

遺跡を発見し、雄也と冬夜が入った。

 

雄也「バビロンの転送陣発見。」

 

 

 

 

 

 

2人が転送された。

 

???「とあーーーーーーー!!!」

 

突然何者かがデカイ武器を振り下ろしたが、2人が左右に避けた。

 

???「よく躱したな!俺の必殺の一撃を躱したのはお前達が初めてだぜ!まあお前達しかここに来た事がないがな!」

 

雄也「オレっ娘?」

 

冬夜「・・・えーっと、君は?」

 

???「俺はフレドモニカ!モニカって呼べ!このバビロンの管理者だ!」

 

管理者・フレドモニカ。

 

モニカ「お前達は?」

 

冬夜「あ。望月冬夜。」

 

雄也「伊狩雄也だ。」

 

冬夜「えーっと、『庭園』、『工房』、『練金棟』のマスター・・・なのかな?」

 

モニカ「『庭園』・・・シェスカ達か。成る程。既に複数のバビロンを手にしているって訳だな。ならその実力!見せて貰うぜ!」

 

突然攻撃を仕掛けたが。

 

冬夜「スリップ!」

 

モニカ「ふぎゃん!」

 

スリップでモニカがすっ転んだ。転んですぐスカートを抑えた。

 

モニカ「み・・・見たな・・・?」

 

雄也「ほえ?」

 

冬夜「あー・・・黒はまだ早いんじゃないかな?」

 

雄也「大人になってから穿いたほうが良くね?」

 

モニカ「・・・ってやる・・・ぜ・・・」

 

雄也・冬夜「え?」

 

モニカ「記憶を消してやるゼェーーーーーーーー!!!!!!!」

 

怒りが爆発したモニカが武器を振り上げた。

 

雄也「そいっ。」

 

ギアレットハンターから釣り糸を射出して、モニカを拘束した。

 

モニカ「ナッ!?」

 

雄也「ほいっと!!」

 

リールを高速で回してモニカをベーゴマのように回した。

 

モニカ「ワワワワワワワワ!!!」

 

目を回したモニカが倒れた。

 

雄也・冬夜(また見えた・・・)

 

モニカ「ちくしょう!俺の負けだ!お前達を適合者として相応しいと認めてやる!!これより機体ナンバー28!個体名『フレドモニカ』はお前達に譲渡される!!うっ!うっ!」

 

泣きながら2人を適合者と認めた。

 

冬夜「凄い罪悪感がするんだけど・・・」

 

雄也「子供のスカートを捲りあげて泣かせてるクズ男になっちゃったじゃねぇか・・・」

 

モニカ「起こしてくれマスター!」

 

仕方無く起こそうとすると。

 

モニカ「ガッ!」

 

冬夜「むぐっ!?」

 

突然モニカに抱き付かれ、キスされた。

 

モニカ「登録完了!マスターの遺伝子を記録したぜ!」

 

冬夜(やられた!)

 

雄也「恒例のキス・・・はぁ。じゃあ俺も。」

 

そして雄也にもキスして登録完了させた。

 

モニカ「これより『格納庫』の所有者はマスターに移譲されるからな。」

 

冬夜「格納庫!?」

 

雄也「ビンゴ!もしやフレームギアがあるのか!?」

 

モニカ「ん?フレームギアか?あるぜ。こっちだ。」

 

 

 

 

 

 

格納庫へ行き、1機のフレームギアを見た。

 

雄也「凄え!」

 

冬夜「これがフレームギアか・・・!」

 

モニカ「これは初期のフレームギアで旧型機だけどな。5000年前あのまま戦争が続いていたら量産される予定だったんだぜ。」

 

雄也「他のタイプがあるのか?」

 

モニカ「タイプ別に何機かあるぜ。指揮官用とか高機動型とかな。それの上位機体もあるんだが、作られなかった。設計図は『蔵』に入ってるはずだぜ。」

 

冬夜「落下したかも知れない『蔵』か・・・無事に残っていると良いけど。これ乗れるかな?」

 

モニカ「乗れるだけなら乗れるぜ?まあ動かないけどな。」

 

雄也・冬夜「・・・・・え?」

 

冬夜「・・・何で動かない?」

 

雄也「不具合でも起こったの?」

 

モニカ「燃料がねぇから。」

 

雄也・冬夜「シンプルな返事!」

 

ライザーク「なぁ、燃料って何だ?魔力か?」

 

モニカ「違うぞ。コイツの燃料は『エーテルリキッド』だぜ。特殊な加工がされたエーテル鉱石に魔力を加えて抽出した燃料だ。ま、燃料って言うよりかは触媒なんだけどよ。そいつと搭乗者本人の魔力を連動させて動かす訳だな。」

 

冬夜「エーテル鉱石・・・聞いた事ないな。」

 

雄也「なぁモニカ。お前燃料の作り方は熟知してるのか?」

 

モニカ「分かんね。魔法畠じゃねぇんだよ俺。」

 

冬夜「でっかいロボットの置物を手に入れただけか・・・」

 

雄也「来て損した・・・」

 

ライザーク「ガッカリした。」

 

モニカ「き、気を落とすなよマスター!フレームギア以外にもここにゃ色んな物があるんだぜ?空飛ぶ小型艇とか、フレームギア運搬用の自動馬車とか!」

 

冬夜「へぇ〜!自動車みたいなものもあるって事か!僕も前に作れないかと考えたけど止めたんだよな。」

 

雄也「えっと、因みにその乗り物の燃料は何だ?」

 

モニカ「・・・・エーテルリキッド・・・・」

 

雄也「あのエロドクター!!!!」

 

冬夜「何で燃料満タンにしておかないかなあ!!!!」

 

モニカ「エーテルリキッドは時間と共に魔力が消えて効果が薄れていってしまうんだ!それでも十分何年も持つ物なんだが、何しろ5000年だから・・・」

 

ライザーク「なぁ。エーテルリキッドを作れる奴は誰か居ないのか?」

 

モニカ「あー・・・『研究所』の管理人なら作れると思うけど、俺彼奴苦手なんだよなあ。」

 

雄也「今度は『研究所』を探す作業か・・・」

 

モニカ「ああ!でもひょっとしたらフローラが知ってるかも知れねえな!」

 

冬夜「え?」

 

雄也「フローラが?何で?」

 

モニカ「『練金棟』と『研究所』は密接な関係にあるからな。持ちつ持たれつ互いに必要な素材のやりとりもあったみたいだし。」

 

雄也「有力な情報が手に入ったな。」

 

冬夜「よし!フローラに聞いてみよう!」

 

 

 

 

 

 

練金棟へ行き、フローラに聞いてみる。

 

フローラ「エーテルリキッドですの?出来ない事はないと思いますの。」

 

冬夜「よっしゃあ!」

 

雄也「流石だぜ!!」

 

フローラ「『研究所』の管理人が作るものよりは、劣化したものになると思いますが。」

 

冬夜「多少は問題ないだろ!これでフレームギアが動かせる!」

 

フローラ「それで、エーテル鉱石はありますの?」

 

冬夜「え?エーテル鉱石?」

 

エルゼ「エーテル鉱石なんて聞いたことないわ。」

 

リンゼ「珍しい鉱石なんでしょうか?」

 

フローラ「エーテルリキッドは、エーテル鉱石に刻印魔法の処理をした後、特殊な魔法液に浸して魔力反応させる事で完成するんですの。これ位のエーテル鉱石があれば刻印を彫る事が出来るんですけど。」

 

雄也(自分の胸で大きさ教えんな。)

 

フレーム「魔力を増幅、蓄積、放出出来る性質を持つ透明感のある鉱石です。5000年前にはそれなりに入手出来たのですが。」

 

リンゼ「・・・あのう、それって『魔石』の事じゃないですか?」

 

袋から魔石を出した。

 

冬夜「属性を調べる時にも使った石か。」

 

雄也「シルエスカ姉妹と出会った時以来だな。」

 

フローラ「間違いありませんの!これがエーテル鉱石ですの!」

 

雄也「嘘!?」

 

冬夜「おお!成る程!5000年の間に名称が変わっていただけなんだな!じゃあ問題解決・・・」

 

だが女性陣の表情が曇ってる。

 

雄也「お前らどうした?」

 

エルゼ「いやだって・・・そんな大きな魔石、ハッキリ言って無いわよ?」

 

冬夜「え?」

 

雄也「希少なのか?」

 

リンゼ「はい。魔石は結構貴重なものなんです。これ位の小さな欠片なら問題なく入手出来ますが、そんなに大きいものとなると・・・」

 

ユミナ「ベルファストお受けの宝物殿にかなり大きな水の魔石がありますが、それでもこれ位ですね。」

 

雄也「リンゴと同じサイズか。」

 

冬夜「因みにそれって幾ら位・・・」

 

ユミナ「さあ・・・値段なんか付けられないと思いますが。」

 

冬夜「そんな・・・」

 

雄也「またガッカリした。」

 

八重「冬夜殿と雄也殿の検索魔法で大きな魔石を見付けられないのでござるか?」

 

冬夜「え?どうだろ。取り敢えずやってみるか。検索。」

 

検索魔法で魔石を検索。すると魔石の場所を示す印が表示された。

 

冬夜「出来た!あるもんだな!お!うちの国内にも1つある!」

 

雄也「んじゃ、次は魔石発掘だな。ギアレットハンターで探し当てるか。」

 

 

 

 

 

 

魔石を発掘した。

 

フローラ「あらまあ!かなり大きのですの!」

 

雄也「探すのに苦労したぜ。」

 

ライザーク「いやぁ〜、かなりの地中にあったからな。」

 

フローラ「この大きさなら2つに分けて、失敗した時の予備が出来ますの。一月ほどで完成すると思いますの。」

 

冬夜「じゃあ後は任せるよ。」

 

 

 

 

格納庫へ。

 

ロゼッタ「およ?マスターでありますか?」

 

モニカ「ん?マスターか?」

 

雄也「ようロゼッタにモニカ。」

 

冬夜「どうしたんだ?2人して。」

 

ロゼッタ「5000年も経っているから、軽く整備しようと思ったでありますよ。『格納庫』の中では腐食や劣化はしないでありますが、埃などは溜まるでありますから。」

 

モニカ「だから埃なんてねえって言ってるだろうが。ちゃんと俺が管理したんだからな。」

 

ライザーク「仲良いな。あの2人。」

 

ロゼッタ「起動は出来ないでありますが、操縦席に座ってみるでありますか?」

 

 

 

 

フレームギアの操縦席。

 

ロゼッタ「操縦は基本的な動きを会得すれば後は慣れであります。細かな補助や補正は、搭乗者の思考を読み取って、機体自体がするでありますから。慣れれば子供でも動かす事が出来るのでありますよ。」

 

雄也「結構高性能なんだな。」

 

モニカ「つっても基本は乗り手の思考や経験が左右される事が大きいから、歴戦の戦士ならより強く。そうでない奴はそれなりの動きしか出来ねえけどな。」

 

冬夜「ならやっぱり、パイロット候補は騎士とか戦士の方が良いのかな?」

 

ロゼッタ「そこら辺は機体によりであります。魔法使いの方が向いている機体もあるでありますよ。」

 

冬夜「早く動かしてみたいなあ。慣れるのだって時間が掛かるだろうし・・・」

 

ロゼッタ「こんな事もあろうかと!実はこっそり作っていたものがあるのでありますよ!」

 

 

 

 

別室へ移動した。

 

ロゼッタ「これこそが!フレームギア訓練用のシミュレーションシステム!『フレームユニット』でありますよ!」

 

雄也「凄え!」

 

ロゼッタ「動力はエーテルリキッドではなく、普通に魔力だけであります。」

 

冬夜「これを何台か複製したら、他の皆にも訓練して貰えるな!」

 

ロゼッタ「そしてマスター雄也には専用のフレームユニットを作ってありますよ!」

 

雄也「え?俺専用?」

 

その横に雄也専用のフレームユニットがあった。

 

ロゼッタ「元々は同じフレームユニットで、マスターの持ってる端末が使用出来るように改良したのでありますよ!」

 

雄也「こりゃあ良いな!お?成る程。コイツはギアレットハンターを挿入出来るホルダーか。ガウスト達を強化出来そうだ。」

 

冬夜「オルバさんに頼んでおいた鋼材も届いたし。量産型フレームギアの方もりょさんを始める為に『工房』へ移して・・・しかし、『量産型フレームギア』って呼び難いな。正式名称はないのか?」

 

ロゼッタ「FG-09であります。」

 

雄也「型式番号かよ。」

 

冬夜「名前を付けるか。んー・・・『シュバリエ』とでもしておくか。『騎士』って意味だし。早く本物を動かしたいなあ〜。」

 

 

 

 

 

 

格納庫を後にし、ブリュンヒルド公国へ帰国。

 

冬夜「後は量産はロゼッタに、燃料はフローラに任せておけば大丈夫かな。」

 

雄也「何とか一段落したな。フレームギア起動までそう遠くはないかもな。」

 

冬夜「あぁ。楽しみだ。」

 

するとそこに、珍しい客人が。

 

スゥ「冬夜あああああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

冬夜「ぐふぅっ!?」

 

走って来たスゥが突然雄也に飛び込んだ。

 

雄也「スゥ!?」

 

冬夜「何時の間にブリュンヒルドに・・・!?」

 

スゥ「冬夜!妾もお前の妻にしてくれ!結婚しよう!」

 

冬夜「はあ!?」

 

スゥ「冬夜は年下好きなんじゃろ!?メイドのシェスカに聞いた!だったら妾は1番若い!問題ない!」

 

冬夜「あのバカメイド!何を吹き込んでやがる!?」

 

雄也「ありもしない話をしやがったな!?」

 

スゥ「冬夜がダメなら雄也!お前でも構わない!結婚しよう!」

 

雄也「俺に振った!?ちょっと待てスゥ!話が見えねえんだが!?」

 

レイム「お嬢様。そこまでになされませ。公王陛下と公爵様が戸惑っておられます。」

 

冬夜「レイムさん・・・」

 

雄也「レイムさん。スゥが俺達に結婚を持ち込んで来たんだ。話が見えないんだが・・・」

 

レイム「実は・・・スゥシィお嬢様に縁談の話が持ち上がりまして。」

 

スゥ「妾は冬夜と雄也以外と結婚なぞせん!お断りじゃ!」

 

雄也「縁談だと・・・?」

 

冬夜(急な話だけど・・・公爵令嬢の立場ならあり得ない事じゃないのか?)

 

雄也「それで、縁談の相手は誰だ?」

 

レイム「リーニエ王国の第一王子・ザブン殿下です。」

 

雄也「リーニエ王国。リーフリースの北にある国か。レグルス帝国の横でもあるな。」

 

レイム「西方で1番大きな島パルニ島を二分する南の方の王国です。北のパルーフ王国とは小競り合いをしていますが、リーフリースやレグルスやベルファストとも貿易取引がある国ですね。」

 

冬夜「そこの第一王子・・・話だけ聞くと悪くない縁談のような気もするけど。」

 

スゥ「何処がじゃ!訳の分からん男に嫁ぐなどゴメンじゃ!」

 

ライザーク「まぁその気持ち分かるぞ。雄也が訳分からん男だったら俺相棒辞めるし。」

 

雄也「どう言う意味だおい?」

 

冬夜「公爵殿下は何と?」

 

レイム「まだ返事はしておりませぬ。国の事を考えると悪い話とも言えませんので。」

 

冬夜「しかしよくレイムさんもスゥをここまで連れて来ましたね。公爵はこの事を知っているんですか?」

 

レイム「置き手紙と言う形ですが、お伝えしてあります。なにぶんお嬢様が飛び出してしまったので・・・それに私個人としては、この縁談反対でございますれば。」

 

冬夜「反対?何でです?」

 

レイム「ザブン王子の評判があまり宜しくございません。特に女性関係が。」

 

ベルファストの諜報部隊『エスピオン』の情報によれば、何名かのリーニエ貴族の息女や城のメイドが手籠めにされたと。

 

レイム「その為、30過ぎた今でも王位を継げないとのもっぱらの噂です。」

 

雄也「成る程なぁ〜。・・・って、え!?30!?三十路かよ!」

 

冬夜「そんなに離れてるの!?」

 

ライザーク「って事はあれか?今は婚約と言う形にして、スゥが大きくなったら嫁に貰うと言う計画か?」

 

レイム「いいえ。今すぐにでも結婚をとの事でございました。」

 

雄也「婚約じゃなく即結婚?どうして?」

 

レイム「リーフリース皇国での親善パーティーでスゥシィ様を見初められたとかで。」

 

スゥ「妾はお断りじゃ!!」

 

冬夜「そうかあ・・・」

 

雄也「一目惚れで結婚を計画とは・・・」

 

スゥ「だから冬夜!雄也!お願いじゃ!どちらでも良い!妾を貰ってくれ!ユミナ姉様と同じでなくても良い!傍に置いてくれるだけで良いのじゃ!・・・ダメか冬夜・・・?雄也・・・?」

 

冬夜(確かに。話の聞いた通り、スゥが幸せになれる縁談とは思えない。けどベルファストの国としての問題でもあるだろうし、僕達の一存では・・・)

 

雄也「スゥ。相談してくれてありがとう。でもその前に皆も相談してみる。そこから考える。」

 

 

 

 

 

 

皆を招集して、スゥの事で相談した。

 

エルゼ「別に良いんじゃない?今更だし。」

 

リンゼ「さして問題はないかと。」

 

八重「拙者、何となくこうなるような気がしてたでござるよ。」

 

ルーシア「お仲間が増えるのは嬉しいですわ。」

 

ユミナ「ほら冬夜さん。言った通りになったでしょう?」

 

冬夜「ま、まあその話は一先ず置いといて。」

 

雄也「本題はザブン王子と言う三十路のおっさんとの縁談をどうやって断るかだ。」

 

スゥ「じゃから冬夜か雄也の所に嫁に行くのでと断れば良かろう・・・」

 

レイム「ベルファスト王国としては、少々面倒な事になりかねませんな。ザブン王子は執念深い性格と聞いております。国王になった暁には、我が国と国交断絶などと言い出されては大打撃です。」

 

冬夜「振られた腹癒せにそこまでするような人物なんですか・・・?」

 

雄也「おっさんの癖にやり方が卑怯だな・・・」

 

冬夜「とんでもない奴に目を付けられたなぁ・・・」

 

雄也「まぁどの道断ると言う方向なんだけどな。国の事を考えると部外者の俺達が差出口を聞いて良いものかどうか・・・」

 

冬夜「何か良い手はないもんか・・・」

 

するとシェスカが手を挙げた。

 

雄也「ん?シェスカ、何か案が?」

 

シェスカ「その王子の息の根を止めれてしまえば万事解決ですが。」

 

冬夜「物騒だな!!」

 

雄也「大問題発展不可避!!」

 

シェスカ「良い歳して我儘ばかりのバカ王子など百害あって一利なし。サクッと殺ってしまえば良いのですよ。」

 

雄也「お前そのおっさんに恨みでも持ってんの?」

 

ロゼッタ「スナイパーライフルを作るであります!」

 

フローラ「シアン化カリウムでイチコロですの!」

 

モニカ「バイブレンチで一撃だぜ!」

 

雄也「バカ共の意見は聞き流そう。」

 

冬夜「兎も角まず公爵の所へ行こう。スゥの気持ちを伝えて何とか方法を考えて貰うんだ。」

 

雄也「俺達にも出来る事があるかも知れない。」

 

スゥ「・・・うむ。」

 

 

 

 

 

 

リーニエ王国第一王子・ザブン王子から縁談を持ち掛けられたスゥを助けるべく、彼女の父親のアルフレッド公爵の元へ。

 

アルフレッド「この問題には私も頭を抱えていてね・・・スゥの幸せを願うなら、こんな縁談など糞食らえだ。目の前にそのバカ王子が居たら間違いなく殴ってるね。所が我が国にとっては大いに利益を生み出し得る申し出でもある。貴族の縁談には政略結婚も含まれる。この場合見事にそれだ。」

 

雄也「成る程・・・」

 

冬夜「ユミナが婚約している事はまだ他国へは知られていないんですよね?普通こう言う話はユミナの方へ来るんじゃ?」

 

アルフレッド「今の所王位継承権第一位はあの子だからな。他国へ嫁ぐ訳にはいかないだろうと向こうも考えたんだろう。実際はとっくに嫁いでいるのも当然なのにな。」

 

雄也「じゃあ何でリーフリースのパーティーでスゥを見初めたとか。」

 

アルフレッド「忌々しい。パーティーなんぞに出すんじゃなかったよ。これが三十男であると品行方正な人物ならまだ検討の余地はあった。だが調べれば調べる程、どうしようもない問題児である事が分かったんだ。とてもスゥを幸せに出来る人物だとは思えない。」

 

 

 

 

ザブン王子の愚行。

 

1・貴族の娘やメイドを弄び、それを諌めた騎士をなんだかんだと理由を付けて地方へ追放。

 

2・商家から金を強引に奪い、遊び放題の上にその金を踏み倒す。逆らえばその商家は取り潰し。

 

3・夫のある妻にまで手を出して、その夫は失意のあまり翌日自決。

 

 

 

 

雄也「・・・・・・・」

 

アルフレッド「果たして自殺だったかどうか・・・」

 

冬夜「よくそんな王子が廃嫡にならずにういられますね。」

 

ライザーク「普通なら国王に握り潰されてるはずだろ?その三十路王子。」

 

アルフレッド「リーニエ宰相のワルダックの力だよ。リーニエの権力はほぼこの男に掌握されていて、国王は飾りに過ぎないとの噂だ。ザブン王子の母ダキア王妃とこのワルダックは従兄妹関係でね。それを盾にやりたい放題って訳さ。ダキア王妃はザブン王子を溺愛し、何でも与えた結果そのようなバカ王子が誕生したって訳だ。」

 

冬夜(成る程。ひとつの一族が力を持ち過ぎるとロクな事がないな。国王様は王妃に頭が上がらないとかなのかな・・・ウチはそうならないようにしよう。)

 

雄也「公爵様。この縁談はどう思う?」

 

アルフレッド「・・・どうしたら良いと思う?」

 

雄也・冬夜「・・・殺りますか?」

 

アルフレッド「冗談だろうけど、そうしたくなるよ。冬夜殿か雄也殿がスゥを嫁に貰ってくれればやりようはあるんだが。」

 

雄也「その場合はどうするんだ?」

 

アルフレッド「バカ王子の振られた憎しみは全てブリュンヒルドへ。」

 

雄也・冬夜・ライザーク「タチ悪いな!!」

 

アルフレッド「ダメかね?」

 

雄也「いや、ダメって言うか・・・」

 

冬夜「確かにウチはリーニエ王国とは何の交流もないから、あまり被害はないと思うけど。スゥは妹みたいなもんで、まだそう言う感情は持てませんよ。それに今でさえ5人も婚約者が居るのに。」

 

ライザーク「そこの公爵様はまだ0人だけどな。」

 

雄也「五月蝿えぞテメェ。」

 

アルフレッド「まだって事は、将来的にはアリって事かな?それに一国の王なら、複数の妻が居るのはべつに問題ないぞ?ミスミドの獣王陛下やリーフリースの皇王陛下だって妾が居るし、南のサンドラ王国の国王なんか26人も妻が居るぞ?」

 

雄也「多いなぁ・・・」

 

アルフレッド「逆に全く妾や個室にも持たないと、ウチの国のように次代で困る事になる。」

 

雄也「そうかも知れないけど・・・」

 

冬夜(多過ぎるのも王位継承問題とかで揉めそうな気もするんだけどなぁ・・・)

 

アルフレッド「縁談を潰すには・・・後は・・・そうだな・・・思いっきり他国へ内部干渉する事になるが・・・第二王子を王位に据えてしまうって方法がある。」

 

冬夜「第二王子?バカ王子の他にも王子が居るんですか?」

 

アルフレッド「妾腹の子だがね。応急でも離れに住まわされ、肩身の狭い思いをしているらしいが、これが中々の人物と言う話だ。」

 

雄也「ほえ〜。」

 

冬夜「母親が違うって事は、ワルダック宰相の一族の血を継いでいないって事か・・・」

 

ライザーク「そいつが優秀な王子なら『第一王子なんかより第二王子を次期国王に!』なんて話が出てるのか?」

 

アルフレッド「事実そう言い出す貴族も居たらしいが、宰相が握り潰した。第二王子は母親が病気で隔離されているらしいし、後ろ盾もない。そんな王子に何が出来ると殆ど飼い殺し状態だとか。」

 

雄也「んで、その第二王子を王位に据えて第一王子を廃嫡に追い込もうと?」

 

アルフレッド「ま、そう言う考えもあるって事だがね。」

 

冬夜「国王陛下は何て言ってるんです?」

 

アルフレッド「即刻断れと。国の利益などあの国に頼らずとも上げてみせると啖呵を切ったよ。」

 

冬夜「流石はベルファストの国王陛下。じゃあお断りの返事をするんですね?」

 

アルフレッド「うむ。やはりそうする事にするよ。やいのやいの言って来る貴族も居るだろうがな。」

 

”コンコン”

 

ドアをノックしたレイムが入って来た。

 

レイム「旦那様。リーニエからの使者の方がお越しになられてますが。」

 

アルフレッド「痺れを切らして来たか。丁度良い。正式に断ってやる。通してくれ。」

 

レイム「畏まりました。」

 

冬夜「じゃあ僕達は退席しますね。」

 

アルフレッド「いや、2人も残ってくれ。」

 

リーニエ王国の使者を通した。

 

使者「オルトリンデ公爵殿下。この度はご縁談のお返事を頂きたく、失礼ながら罷り越しました。」

 

アルフレッド「わざわざのお越し痛み入る。此度の縁談、まことに光栄ながらお断りさせていただく。」

 

使者「・・・理由を伺っても宜しいでしょうか?」

 

アルフレッド「実は、娘が嫁入りする相手が別に決まりましてな。」

 

冬夜「!?」

 

使者「・・・どなたに嫁入りするか伺っても?」

 

アルフレッド「ここにいらっしゃるブリュンヒルド公国公王、望月冬夜陛下です。そして隣におりますのが、ブリュンヒルド公国公爵、伊狩雄也殿下です。」

 

冬夜(ハメられた!!)

 

雄也(俺まで巻き添え!?)

 

使者「この方々がブリュンヒルド公国の公王陛下と公爵殿下・・・!?」

 

突然使者が2人に土下座した。

 

使者「まさかここで公王陛下と公爵殿下にお会い出来るとは・・・精霊の導きに感謝します!」

 

雄也「お、おいおい。」

 

使者「お2人のご活躍は色々な所から聞いております。失礼ながら陛下は転移魔法を使えると言うのは真でしょうか?」

 

冬夜「え?あ、うん。使えますけど。」

 

使者「おお・・・ならば・・・ならばどうか我が母をお救い下さい!!」

 

冬夜「え、え?母?最初から話してくれますか?どう言う事です?」

 

使者「は・・・私の名はクラウド・ゼフ・リーニエ。リーニエ王国の第二王子でございます。」

 

全員「え!?」

 

使者の正体は、リーニエ王国第二王子のクラウドだった。

 

『END』




         キャスト

      伊狩雄也:増田俊樹

      望月冬夜:福原かつみ
 エルゼ・シルエスカ:内田真礼
 リンゼ・シルエスカ:福緒唯
      九重八重;赤崎千夏
      スゥシィ:山下七海
       リーン:上坂すみれ
      ルーシア:高木美佑
        琥珀:甲斐田ゆき
        紅玉:桑島法子

     ライザーク:梅原裕一郎

   フランシェスカ:大久保瑠美
    ハイロゼッタ:朝日奈丸佳
    ベルフローラ:金元寿子
    フレドモニカ:花井美春
    アルフレッド:楠大典
      クラウド:土岐隼一
       レイム:西村知道

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