異世界はガウストとともに。   作:naogran

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ある朝。

リンゼ「本の仕入れですか?」

冬夜「うん。月読に入荷依頼が来ててさ。」

リンゼ「レグルス帝国の本ですね?」

雄也「ああ。初めて行く国だが、ラピスさんから記憶を貰っている。」

冬夜「リンゼはこの後どうする?」

リンゼ「私は、もう少し読んで行きます。」

雄也「そっか。にしてもお前、ずっと月読に住んでいるように思えるんだが。」

リンゼ「そうでしょうか?物足りない位なんですが。」

雄也・冬夜「読み足りないんだ・・・」

ライザーク「あんまり根詰め過ぎるなよ?目が悪くなるから。」

リンゼ「はい!」

冬夜「よし!じゃあパパッと買いに行きますか!」


17話「帝都動乱、そして帝国の姫。」

レグルス帝国・帝都ガラリアに着くと、人々が逃げ惑い、軍と騎士同士の戦いが繰り広げられていた。

 

冬夜「な・・・何だこりゃあ・・・!?」

 

雄也「内戦か!?」

 

チャイドラン「いや、何処か違和感があるチャイ・・・!」

 

???「ぐああああ!!」

 

後ろに男の断末魔が聞こえた。

 

冬夜「グラビティ!」

 

グラビティで浮遊した。

 

雄也「よっと!」

 

ホバーボートに乗って浮遊する。

 

冬夜「ブースト!」

 

雄也「加速!」

 

ブーストと加速で断末魔が聞こえた場所へ向かう。

 

雄也「この前ローガンが、帝国が可笑しいって言ってたな。」

 

冬夜「そうだったな。軍の勢力が強化しているらしいって話だったけど・・・」

 

雄也「まさかこんなドンパチを繰り広げているとは思わなかった!」

 

 

 

 

1人の騎士が、2人の軍兵に追い詰められていた。

 

冬夜「ッ!!」

 

雄也「おりゃああああああ!!」

 

軍兵A「ぐはっ!?」

 

軍兵B「ぐふっ!?」

 

ガンブレードのゴム弾と、雄也の飛び蹴りで2人の軍兵を戦闘不能にした。

 

雄也「おいアンタ!大丈夫か!?」

 

急いで冬夜がキュアヒールで騎士を回復させた。

 

冬夜「一体何があったんですか!?」

 

雄也「内戦にしちゃあ、ちょっと派手なパーティになってんぞ?」

 

騎士「軍部が・・・軍部が・・・謀反を・・・」

 

冬夜「謀反・・・?」

 

雄也「クーデター・・・これがチャイドランの言ってた違和感の正体か。」

 

 

 

 

騎士を安全な場所へ避難させた。

 

雄也「ここに居れば、見付からずに済む。」

 

 

 

 

屋根の上を走る。

 

冬夜「取り敢えず皇帝を見付けてゲートで逃そう。」

 

雄也「だな。倒す相手が居なけりゃ、戦闘がストップするだろう。」

 

 

 

 

 

 

帝城に潜入。

 

ライザーク「兵共が倒れてるな。相打ちが殆どか。」

 

雄也「にしても、皇帝の部屋が分からねえ。」

 

皇帝を探している3人。すると。

 

???『キャーーーー!!!!』

 

雄也・冬夜「ッ!」

 

ライザーク「何じゃ!?」

 

少女の悲鳴が聞こえた。

 

雄也「ルナフィン!悲鳴は何処から!」

 

ルナフィン「こっちだ!」

 

悲鳴が聞こえた方へ向かう。

 

 

 

 

少女「あっ!」

 

軍兵「うおおおおお!!」

 

少女の首を掴み、ナイフで刺し殺そうとした時。

 

雄也「待て!!」

 

ドアを蹴り破った雄也が現れた。

 

軍兵「なっ!?誰だ!」

 

雄也「俺に質問するな!!」

 

咄嗟の判断で軍兵の顔面に飛び蹴りして気絶させた。

 

雄也「そこで夢でも見とけ。」

 

冬夜「大丈夫かい?」

 

少女「・・・は、はい。」

 

雄也(歳はユミナと同じ位か。こんな小さな子を殺そうとするなんて・・・)

 

少女「・・・・!」

 

冬夜「光よ来たれ。安らかなる癒し。キュアヒール。」

 

キュアヒールで、少女の傷を治した。

 

雄也(かなり震えてる。余程怖かったんだろう。)

 

怯えてる少女を、冬夜が手を伸ばした。少女は冬夜の手を握って立った。

 

冬夜「もう大丈夫だよ。」

 

身体を起こした少女が冬夜の顔をジッと見る。

 

冬夜「・・・何か?」

 

少女「はっ!な、何でもありませんわ!わ、私・・・あまり殿方と触れ合う機会がなかったのですから・・・ちょ、ちょ、ちょっと緊張致しまして・・・」

 

雄也「そう言う系か。」

 

???「姫様!!」

 

そこに、女性騎士が現れた。

 

姫「キャロル!」

 

キャロル「ご無事でしたか。」

 

姫「はい。危ない所をこちらの方々に助けていただきました。」

 

キャロル「あなた達は・・・?」

 

冬夜「僕達はベルファストの冒険者です。」

 

雄也「ちょっとここでショッピングしに転移して観光してたんだが、派手なパーティに出会しちゃって。」

 

キャロル「転移魔法が使えるんですか!?」

 

雄也「ああ。コイツが転移魔法を持ってる。」

 

キャロル「ならお願いします!皇帝陛下と皇太子様、姫様を安全な場所へ転移させて下さい!」

 

冬夜「あ、はい!」

 

キャロル「いいんですか!?」

 

冬夜「はい。元からそう言うつもりでしたので。」

 

キャロル「取り乱してしまい申し訳ありません。私はキャロライン・リエット。帝国第3騎士団所属の騎士です。キャロルとお呼び下さい。」

 

姫「私は、レグルス帝国第三皇女、ルーシア・レア・レグルスですわ。」

 

冬夜「僕は望月冬夜。宜しく。」

 

雄也「俺は伊狩雄也。宜しくな。姫様。」

 

ルーシア「望月冬夜様・・・伊狩雄也様・・・」

 

冬夜「どうします?ルーシア姫だけ先に逃しますか?」

 

キャロル「はい!お願いします!」

 

ルーシア「いえ、私は後で構いません!冬夜様!お願いです!私よりも先に、お父様とお兄様を助けて下さい!」

 

冬夜「わ、分かりました。でも・・・(この状況で、皇帝陛下と皇太子が無事で居る可能性は・・・)」

 

ルーシア「覚悟は出来ていますわ!それでも、1人だけ先に逃げる事は出来ません!お父様とお兄様の所へ連れて行って下さい!」

 

雄也「どうする冬夜?」

 

冬夜「・・・分かりました。行きましょう。」

 

キャロル「私が案内致します。」

 

 

 

 

皇帝陛下の部屋へ向かう。

 

雄也「酷え有様だ。」

 

 

 

 

皇帝陛下の部屋の前。

 

冬夜「この先が・・・」

 

キャロル「はい。皇帝陛下の寝室です。」

 

雄也「俺が開ける。ライザーク、ルナフィン、行くぞ。」

 

ライザーク「おう。」

 

ルナフィン「うん。」

 

 

 

 

寝室のドアを開ける。謎の男と2人の騎士の前に、皇帝陛下が倒れている

 

ルーシア「お父様!!」

 

冬夜「やはり遅かったか・・・!」

 

男「ん?」

 

キャロル「バズール将軍!!皇帝陛下を手に掛けるとは・・・何を考えているのですか!!」

 

バズール「ルーシア姫とリエット家の馬鹿娘。まだ生きていたのか。」

 

雄也「一応質問したい。アンタは何をしたいんだ?」

 

バズール「お前ら、何者だ?」

 

雄也「俺達はベルファストの冒険者。まぁ部外者に値する。」

 

冬夜「状況が分からないまま、一方の味方をして良いのか判断が出来ない。だから理由を訊かせてくれ。」

 

バズール「皇帝陛下お心を病んでしまわれたのだ。不可侵条約を破棄し、一気にベルファストを侵略するのは今をもってないと言うのに、それを躊躇うとは。」

 

雄也「不可侵条約の破棄。もしや、国を手に入れて戦争でお遊びしたいって事か。」

 

バズール「だとしたらどうする?」

 

雄也「生憎、ベルファストには近隣のミスミド、リーフリースと同盟結託済みなんでね。その3国に勝ち目あると思ってるのか?」

 

バズール「勝てるさ。不可侵条約後の20年もの間、我等がただ手を拱いていたとでも思ったか?」

 

するとバズールが魔法を発動した。

 

雄也「っ!?魔力がデカ過ぎる・・・!!今まで出会った魔法使いよりもデカ過ぎる・・・!!」

 

バズール「闇よ来たれ。我が求むは悪魔の公爵。デモンズロード!」

 

壁に大穴を開けた。外に現れたデモンズロード。

 

ルーシア「あ、悪魔・・・!」

 

冬夜「何でアンタがあれ程の悪魔と契約出来る!?」

 

バズール「生贄だよ。帝都で収容された犯罪者を生贄に捧げたのだ。」

 

ライザーク「じゃあ、その魔力は何だ?」

 

ルナフィン「並外れた魔力を持っている・・・それも悪魔の仕業なの?」

 

バズール「魔力は・・・」

 

右の袖を捲り、装着している腕輪を見せた。

 

冬夜「あれは・・・アーティファクトか!」

 

雄也「彼奴、あんな物を・・・!」

 

バズール「これは『吸魔の腕輪』。他人から魔力を吸い取る効果がある。」

 

冬夜「魔力を吸い取る!?それでさっきから身体がしんどいのか・・・」

 

ルーシア「か、身体が・・・」

 

キャロル「クッ・・・!」

 

魔力を吸い取られ、ルーシアとキャロルが倒れる。デモンズロードが魔力を吸い込んでる。

 

雄也「おいおい、俺達が居たら強力な魔力を吸い取ってしまうぞ。」

 

冬夜「こうなったら、アポーツ!!」

 

アポーツで引き寄せようとしたが、アーティファクトがバリアを張って妨害した。

 

冬夜「何!?」

 

雄也「ならば!!」

 

ギアレットハンターの釣り針を射出し、釣り針でアーティファクトの宝石を破壊しようとしたが、またしてもアーティファクトがバリアを張った。

 

バズール「貴様ら、まだ魔力があるのか!」

 

雄也「ダメか!」

 

冬夜「何故魔法が効かない!?」

 

バズール「あの悪魔の特性は『魔法無効化』だ。魔法の攻撃は効かない。そして契約者であるこの私にも同じ特性が宿っている。」

 

雄也「ゲームだったらBAN確定のチートアイテムみたいなの使いやがって・・・」

 

冬夜「となると!」

 

ガンブレードを出して、実弾を連射。だがバリアで防がれてしまった。

 

雄也「ガンブレードでもダメか。」

 

バズール「残念だったな。魔法が効かなければ直接攻撃を考えていたんだろうが、そうはいかん。」

 

左腕にもう1つの腕輪を見せた。

 

冬夜「もう1つ!?」

 

バズール「これは防壁の腕輪。凡ゆる物理攻撃から我が身を守る。」

 

雄也「成る程。防壁を張りながら魔力を吸い込み、更にデモンズロードの特性で魔法攻撃を拒否るって訳か。もう永久BAN確定だな。」

 

バズール「これぞ無敵の防御!!何人足りとも、私に傷1つ付ける事は出来ぬ!!」

 

雄也(ああもう、これが現実のゲームだったらBANしてえ・・・)

 

皇帝「ぅぅ・・・」

 

雄也・冬夜「ッ!?」

 

冬夜(生きてるのか!?)

 

雄也(だが皇太子の姿は無い。仕方無え、人命優先に切り替えよう。)

 

冬夜「(だね。)ゲート展開!対象・帝国皇帝、ルーシア姫、キャロルさんの3人。転移先は自宅の庭!」

 

スマホ『了解。ゲート発動します。』

 

すると対象3人の真下にゲートが展開され、そこから冬夜の屋敷へ転移された。

 

バズール「貴様!転移魔法の使い手か!」

 

冬夜「正解。今日の所は一旦引くけどな。絶対アンタの思い取りにはさせないぞ。」

 

雄也「けどその前に。」

 

ギアレットハンターを構える。

 

バズール「馬鹿め!『防壁の腕輪』がある限り、私に傷を付ける事は出来ぬと言っただろうが!!」

 

雄也「そうだな。アンタに傷を刻むのは不可能だ。だが、アンタのプライドを傷付ける事は可能かもな。」

 

バズール「何?」

 

雄也「ほい!」

 

ギアレットハンターから卵型の小さなアイテムを投げた。そのアイテムがバズールの足元に落ちた。

 

バズール「何だこれは?」

 

”ボンッ!”

 

そのアイテムが爆発したが、何も起こらなかった。

 

バズール「・・・フンッ。子供騙しが。そんな事で傷付けるなど・・・うおわ!?」

 

突然バズールが滑って転んだ。

 

雄也「ナッハッハ!!そこで永遠に転び続けてゲロでも吐くが良い!」

 

さっき爆発したアイテムは雄也がハンティングナビライザーで製作したスリップエッグと言う罠アイテム。相手を数時間転ばせる姑息なアイテムである。

 

冬夜「序でに置き土産を置くか。ミラージュ!」

 

ミラージュを発動。

 

バズール「むっ!?今度は何をした!?」

 

冬夜「さらばだ諸君!君達には何れバビロンの鉄槌が下るだろう!」

 

雄也「それまで首を洗って待っているがいい!!」

 

冬夜・雄也「フハハハハハハ!!いかん、これ癖になりそう。」

 

バズール「うわあああああ!!!!」

 

軍兵A「ひぃ!!ひえええ!!」

 

軍兵B「虫が!虫があああ!!」

 

虫の幻影がバズール達を取り囲んだ。

 

雄也・冬夜「ハハハハハ!いかん、これ癖になりそう。」

 

2人はゲートでその場を去った。

 

 

 

 

 

 

屋敷に帰還。

 

冬夜「皇帝には回復魔法を使っておいた。」

 

雄也「今は医者が診察してくれている。後は本人次第。」

 

エルゼ「全くもう・・・何だって冬夜と雄也はこう面倒事に首を突っ込むのかしら?」

 

雄也「好きで首を突っ込んでると思ったら大間違いだぞ。」

 

リンゼ「帝国がそんな事になっているなんて・・・」

 

冬夜「検索してみたら、軍人は1万人以上。」

 

雄也「比べて近衛騎士団は1000人未満。ほぼ10倍の差だ。」

 

八重「これはとんでもない事件でござるぞ。帝国がその悪魔を使って、ベルファストに攻めて来たら・・・」

 

ユミナ「その前に何とかしないとですね。」

 

エルゼ「でも、魔法攻撃が効かない。物理攻撃も通らないじゃん。手の打ちようがないわ。」

 

八重「冬夜殿。雄也殿。何か策はないでござるか?」

 

冬夜「うん。まぁ行けるかも。」

 

雄也「朝飯前。」

 

エルゼ・リンゼ・八重・ユミナ「へ!?」

 

冬夜「あんまり痛ぶるのは趣味じゃないが、まぁ仕方無いかぁ。」

 

雄也「その後の展開が楽しみだなぁ。」

 

不敵な笑みで何かを企んでる冬夜に、4人が引いた。

 

エルゼ「うわぁ・・・」

 

リンゼ「冬夜さん・・・雄也さん・・・」

 

八重「まだ悪い事を考えてるでござるな・・・」

 

ユミナ「ですね・・・」

 

 

 

 

 

 

皇帝はベッドで安静にしている。

 

雄也「このまま寝てれば大丈夫だってさ。」

 

冬夜「良かったね。ルーシア姫。」

 

ルーシア「ありがとうございます!ホッとしましたわ!あ、あの・・・」

 

冬夜「ん?」

 

ルーシア「私の事はルーとお呼び下さいませんか?」

 

冬夜「分かったルー。これで良い?」

 

ルーシア「はい!嬉しいですわ!」

 

ドアの隙間からユミナが覗いてる。

 

冬夜「うお!?ビックリした!!ユミナか!!」

 

雄也「怖えよ!覗くなよ!(シャイニングじゃねぇんだから!)」

 

部屋にユミナが入る。

 

ユミナ「お初にお目にかかります。ベルファスト王国国王トリストウィン・エルネス・ベルファストが娘、ユミナ・エルネア・ベルファストでございます。」

 

ルーシア「ハッ!初めまして。レグルス帝国皇帝ゼフィルス・ロア・レグルスが第三皇女、ルーシア・レア・レグルスですわ。」

 

ユミナ「この度は大変でしたね。ご無事で何よりです。」

 

ルーシア「はい。冬夜様と雄也様に助けて頂いて、窮地を脱する事が出来ました。」

 

ユミナ「それは良かったです。私も冬夜さんのフィアンセとして嬉しく思いますわ。」

 

ルーシア「え・・・フィアンセ・・・そ、そうなのですか・・・?」

 

雄也(あの子落ち込んでる?まさかこれは・・・)

 

冬夜「ユミナ。今からお城へ行って、帝国の事を報告して来るよ。」

 

ユミナ「分かりました。」

 

雄也「行って来まーす。」

 

2人が城へ向かっている間。

 

ユミナ「ルーシア様も冬夜様がお好きなのですね?」

 

ルーシア「へ?」

 

ユミナ「うふふ♪」

 

ルーシア「ええええ!?そ、そんなーーー!!冬夜様は私の命の恩人で、それ以上の事は・・・も、勿論とても格好良くて頼りになって素敵な方だと思っていますが・・・いえですからあの・・・」

 

テンパってるルーシアに、ユミナが手を握った。

 

ユミナ「分かります!」

 

ルーシア「え?」

 

ユミナ「冬夜さんの魅力は一言で表せません!私達やはり気が合いそうですね!」

 

ルーシア「えと、あの・・・」

 

ユミナ「ルーシア様、その事でちょっとお話がございます。ここでは皇帝陛下のお邪魔になりますので。私のお部屋へ!」

 

 

 

 

 

 

王城。

 

トリストウィン「帝国がそのような事になってるとは・・・良い知らせと悪い知らせを聞く事になるとは・・・」

 

冬夜「へ?」

 

雄也「良い知らせ?」

 

トリストウィン「あー・・・ユミナに弟か妹が出来た。」

 

雄也「え!?」

 

何とユミナに兄弟が生まれるのだ。

 

冬夜「おめでとうございます!」

 

雄也「何時か出産祝いをさせて下さい!」

 

トリストウィン「少々複雑ではある。冬夜殿が継いでくれたらと思っていたのでな。」

 

冬夜「いやいや。男の子が生まれたら、やっぱりその子が継ぐのが筋でしょう?」

 

トリストウィン「と言う事は、女の子ならこの国を継いでくれると言う事かな?」

 

雄也・冬夜「いや、その理屈は可笑しい。」

 

トリストウィン「まぁ冗談はさておき、バズール将軍とやらを倒す策は理解した。冬夜殿と雄也殿に負担を掛けてすまぬが、頼むぞ。」

 

 

 

 

 

 

工房にて。

 

冬夜「ストレージ。」

 

ロゼッタ「準備は終了でありますか?」

 

冬夜「うん。」

 

雄也「これでOKだ。」

 

ロゼッタ「しかし、『吸魔の腕輪』に『防壁の腕輪』でありますか・・・」

 

雄也「何だ?心当たりありか?」

 

ロゼッタ「確か、バビロンの蔵にそのような能力を持ったアーティファクトがあったような気がするんでありますよ。」

 

冬夜「何だって!?じゃあ何か!?蔵から流出した腕輪が巡り巡って、将軍の所に行ったってのか?」

 

ロゼッタ「はいぃ。そして他にも色んな物が地上に落ちている可能性が・・・」

 

雄也「おいちょっと待て。イーシェンの山本完介が使っていた不死の宝玉・・・持ち主に不死の属性を与え、アンデッドを操る宝玉ももしや・・・あの蔵から流出した代物なのか!?」

 

ロゼッタ「ああ、そんな物も蔵にあったような気がするでありますよ。」

 

雄也「やっぱりかよおい!!」

 

冬夜「イーシェンでの騒動も蔵絡みだったのか!」

 

雄也「座布団1枚。」

 

冬夜「蔵が墜落していて、色んなアーティファクトが流出している可能性が出て来たな・・・蔵を管理している子はどうなったんだろう?」

 

ロゼッタ「蔵の管理者はうっかり屋の粗忽者なのです。」

 

雄也「何だその残念ロボ子・・・」

 

 

 

 

 

 

夜。屋敷に戻った。

 

ルーシア「冬夜様!雄也様!お父様がお目覚めに!」

 

雄也「お!」

 

安静にしていた皇帝陛下のゼフィルスが目を覚ましていた。

 

ユミナ「先程お目覚めになりました!」

 

冬夜「良かった・・・」

 

雄也「安心した・・・」

 

ゼフィルス「そなた達が望月冬夜殿と伊狩雄也殿か?」

 

冬夜「はい。」

 

雄也「そうだ。」

 

ゼフィルス「余の命とルーシアの命を救ってくれた事、感謝してもし足りぬ・・・」

 

雄也「いや、気にしないでくれ。偶然帝都で観光しに来た所を遭遇しただけだ。」

 

ゼフィルス「そう言って貰えると助かる。此度の騒動は、余の不徳の致すところだ。」

 

冬夜「それで、これからどうします?」

 

ゼフィルス「バズール将軍を倒さねば・・・なるべく早く対策を整え・・・」

 

雄也「明日にでも帝都を奪還する事は可能だが。」

 

ルーシア・ゼフィルス「っ!?」

 

ユミナ「流石冬夜さんと雄也さんです!」

 

ルーシア「あの、冬夜様。雄也様。」

 

冬夜「ん?」

 

雄也「ルーどうした?」

 

ルーシア「バズール将軍を何とかする前に、お兄様を探す事は出来ますか?」

 

冬夜「皇太子様か。」

 

ルーシア「せめて生きているかどうかだけでも・・・」

 

冬夜「出来なくはないんだけど・・・皇太子様って何か特徴とかある?」

 

ルーシア「特徴ですか?えっと・・・髪は銀髪で、えっと・・・特徴?特徴・・・」

 

雄也(特徴無しとか、皇太子可哀想・・・)

 

冬夜「ルー。ちょっと手出して?」

 

ルーシア「え?はい。」

 

彼女の手を握る。

 

冬夜「目を瞑って、お兄さんの事を思い浮かべて?なるべく最近のを。」

 

ルーシア「は、はい。」

 

すると冬夜が、ルーシアの額に顔を近付ける。

 

ルーシア「ひゃああ!?」

 

冬夜「集中して。」

 

ルーシア「は、はい!!」

 

冬夜「リコール!」

 

リコールを発動し、ルーシアの兄の記憶を貰う。

 

冬夜「あれ?」

 

雄也「どした冬夜?」

 

冬夜「雄也。コレ。」

 

記憶を雄也に共有した。

 

雄也「え、マジ?」

 

ルーシア「ど、どうされましたか?」

 

冬夜「この人・・・僕達会った事あるぞ!?」

 

ユミナ・キャロライン・ゼフィルス「え!?」

 

雄也「ヤベェ・・・置き去りにしちまった・・・」

 

ルーシア「ええー!?」

 

冬夜「あ、いや!まさか皇太子だとは思わなくて!け、検索!帝国皇太子!」

 

スマホ『了解。検索終了。表示します。』

 

マップに皇太子の居場所を特定した。

 

冬夜「場所が分かりました。」

 

ゼフィルス「何だこれは?」

 

冬夜「僕の無属性魔法です。便利でしょ?っで、そこは何処です?」

 

ゼフィルス「ロメロ将軍の屋敷だな。将軍はバズールと敵対していた。恐らく、ここで匿って貰っているのだろう。」

 

雄也「そっか。なら安心だ。」

 

ルーシア「お兄様はご無事なのですね!良かったぁ・・・ありがとうございます!」

 

冬夜「役に立てて良かったよ。」

 

雄也「んじゃあ明日の朝イチに帝国へお邪魔しますか。」

 

ルーシア「へ?」

 

ゼフィルス「ちょっと待ってくれ!今更だが、本当に大丈夫なのか?相手は1万以上の軍隊と悪魔だぞ!?それをまた2人で・・・」

 

冬夜「何とかなりますよ。」

 

雄也「それに、俺達には力強い仲間が居るからな。」

 

ユミナ「うん!」

 

 

 

 

 

 

翌朝。レグルス帝国。

 

冬夜「珊瑚、黒曜、琥珀はエルゼと八重に従って軍を制圧してくれ。」

 

雄也「ルナフィンとクリスターはエルゼと八重に従ってくれ。」

 

ルナフィン「任せとけ!」

 

クリスター「分かりました!」

 

チャイドラン「やってやるチャイよ!」

 

雄也「降伏した兵士は攻撃するな。」

 

冬夜「ユミナとリンゼは魔法や銃で援護射撃。」

 

雄也「チャイドランもユミナとリンゼに従ってくれ。」

 

冬夜「僕と雄也はデモンズロードと将軍を叩く!」

 

雄也「マグネライズ!!」

 

チャイドランをギルガドランへ進化させた。琥珀と珊瑚と黒曜も元の獣の姿に戻った。

 

冬夜「それじゃあ皆、行こう!!」

 

雄也「ここからが俺達のターンだ!」

 

ライザーク「腕がなるぜ!」

 

 

 

 

 

 

軍隊を次々と制圧する。

 

 

 

 

 

 

バズール「来たようだな。」

 

 

 

 

雄也「ッ!?」

 

デモンズロードが現れた。

 

ライザーク「将軍のペットのお出ましか!」

 

冬夜「勝負だ!デモンズロード!」

 

デモンズロードから複数の光線が放たれた。

 

雄也「スピナーロッドカウンタ!!」

 

ライザーク「おりゃあああああーーーー!!」

 

スピナーロッドカウンタと高速回転で光線を跳ね返す。

 

雄也「冬夜!!」

 

冬夜「よし!アクセル!ブースト!」

 

アクセルとブーストの二重発動で、デモンズロードの真正面に移動しミスリルの剣を振り上げる。

 

冬夜(頭に打ち付ける瞬間、加重魔法で剣の重さを増加させれば!!グラビティ!!!!)

 

ミスリルの剣をグラビティで加重させ、デモンズロードの頭部に叩き付けた。デモンズロードはグラビティを付与されたミスリルの剣で叩き付けられて落下して倒れた。

 

冬夜「ふぅ。上手く行ったな。」

 

雄也「1・2・3!デモンズロードKO!」

 

冬夜「魔法無効化かだろうが何だろうが、本人を対象としていなければ効果はない。魔法の効果を加えたのは剣だけだからな。」

 

エルゼ「冬夜!雄也!」

 

そこにエルゼ達が駆け付けた。

 

雄也「皆、怪我はないか?」

 

ユミナ「えぇ!大丈夫です!」

 

八重「冬夜殿!雄也殿!流石でござる!」

 

エルゼ「あっと言う間に倒しちゃったものね!」

 

リンゼ「格好良かったです!」

 

冬夜「ありがとう。」

 

雄也「だが誉めるのは後だ。あの我儘坊ちゃんの説教が残ってる。」

 

 

 

 

バルコニーにジャンプして乗り込んだ。

 

冬夜「さて、お仕置きの時間だよ。」

 

雄也「ここで俺達とママゴトしましょうかな?」

 

バズール「お・・・お前達は何者なんだ!?あれは上級悪魔だぞ!2人で倒す事など出来るはずが・・・!!」

 

雄也「彼奴倒せな〜い!なんて一言も言ってねえけど?」

 

バズール「くっ・・・!私にあの手は通じんぞ!デモンズロードが倒されようとも、魔法無効化の特性は消えていない!そしてこの防壁の腕輪と吸魔の腕輪があれば怖いものは何も!!」

 

雄也「そう喚いていらっしゃいますが、どうひまひょか?」

 

冬夜「仕方ありませんね。ストレージ!」

 

ストレージから、巨大なガラスの正方形を出した。

 

バズール「な、何だそれは!?」

 

冬夜「これはヘドロスライムと言って、水を綺麗にしてくれるありがたいスライムさんなのです。」

 

バズール「スライム?」

 

冬夜「ただ1つ欠点がありまして、死んで1時間程経つと、とてつもない悪臭を放つんですな。」

 

雄也「んで、このヘドロちゃんは1時間前に楽園へ旅立って逝っちゃってね。」

 

バズール「ま、まさか・・・!!」

 

雄也「そのまさか。」

 

冬夜「ゲート。」

 

ゲートを展開し、バズールをガラスの正方形の中へ放り込んだ。

 

バズール「・・・・・・・ッッッ!!!!!!」

 

あまりの悪臭にバズールが悶絶した。

 

冬夜「やっぱ工房で作った強化ガラスは凄いなぁ〜。」

 

雄也「臭いが全然しな〜い。」

 

バズール「ぐおぉ・・・・・・!!!」

 

雄也・ライザーク「ギャハハハハハハハハハ!!!!!」

 

その横で雄也とライザークが腹抱えながら爆笑してる。

 

冬夜「お。耐えてる耐えてる。」

 

鼻と口を塞ぐバズールに、冬夜が変顔攻撃。

 

バズール「ブッ!おぐええええええええ!!!!!」

 

変顔に吹いてしまい、臭いに耐え切れず倒れた。

 

雄也「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・あぁ〜、笑わせて貰ったぁ〜・・・」

 

ライザーク「は、腹がまだ痛えよぉ・・・」

 

 

 

 

 

 

バズール撃退後。

 

冬夜「では、準備は良いですか?」

 

ゼフィルス「ああ。頼む。」

 

冬夜「帝都中央上空に動画を再生。」

 

スマホ『了解。再生します。』

 

 

 

 

帝都中央上空。

 

ゼフィルス『帝都の民よ!余はレグルス帝国皇帝、ゼフィルス・ロア・レグルスである!此度の騒動は、一部の軍が暴走した事が発端である。しかし、反乱の首謀者は捕えられ、帝都は我らの手に戻った。皇帝として、軍の暴走を止められず、皆に迷惑を掛けた事を深くお詫びを。すまなかった。』

 

 

 

 

奪還後、ルーシアは皇太子と再会を果たした。

 

 

 

 

 

 

事件は終息し、雄也と冬夜が屋敷に帰還。

 

エルゼ「冬夜!雄也!やったわね!」

 

冬夜「皆も無事で良かった!」

 

雄也「お疲れさん!」

 

ルーシア「冬夜様!雄也様!本当にありがとうございました!」

 

エルゼ・リンゼ・八重・ユミナ・ルーシア「うっ!」

 

突然彼女達が雄也と冬夜に険しい表情を見せた。

 

冬夜「ん?どうしたの?」

 

雄也「俺達に何か付いてる?」

 

ユミナ「あの・・・何か臭いが・・・」

 

雄也「臭い?・・・あ!」

 

冬夜「腕輪を回収した時、バズール将軍に触ったから・・・」

 

雄也「近くに居たせいか、臭いが付着しちまってる・・・」

 

ユミナ「冬夜さん・・・雄也さん・・・」

 

リンゼ「本当にあのスライムを使ったんですね・・・」

 

八重「あんな悍ましい作戦、よく思い付くでござるな・・・」

 

エルゼ「才能よね。ある意味・・・」

 

冬夜「いやいやいや!僕だってやりたくなかったよ!?」

 

雄也「俺も最初拒否したんだぞ!でもしゃーないからやっただけだ!しゃーないから!」

 

ライザーク「本当お前ら臭えよ・・・」

 

雄也「お前も近くで大爆笑したせいで臭いが付着してるだろ!!エルゼ達側に着くんじゃねえよ!」

 

ライザーク「え〜?俺から臭いは全くしませんけど〜。」

 

雄也「生意気言うんじゃねえよ!」

 

何はともあれ、バズール将軍によるクーデターは潰えた。レグルス帝国に再び平穏が訪れた。

 

『END』




         キャスト

      伊狩雄也:増田俊樹

      望月冬夜:福原かつみ
 エルゼ・シルエスカ:内田真礼
 リンゼ・シルエスカ:福緒唯
      九重八重;赤崎千夏
       ユミナ:高野麻里佳
      ルーシア:高木美佑

     ライザーク:梅原裕一郎
    チャイドラン:比嘉久美子
     ルナフィン:村瀬歩

    ハイロゼッタ:鈴木愛奈
   トリストウィン:中田譲二
     ゼフィルス:高瀬右光
    キャロライン:松田利冴
      バズール:田所陽向
        兵士:馬場惇平
        軍人:内野孝雄

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