異世界はガウストとともに。   作:naogran

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ある日。雄也と冬夜はある場所へ訪れた。

スラス「いらっしゃいませ!」

ウェンディ「読書喫茶・月読へようこそ!」

冬夜「どうも。」

雄也「よっ。」

ウェンディ・スラス「あ!オーナー!マネージャー!」

レベッカ「冬夜殿。雄也殿。」

雄也「よう。レベッカ、ローガン、ウィル。」

冬夜「どうです?お店の調子は。」

レベッカ「かなり順調だ。彼女達も、働き口が見付かって活き活きしている。」

少女達は給仕として、客達にお茶を出してる。

ローガン「勿論俺らもな!」

ウィル「バッチリ警備しています!」

冬夜「うん、ありがとう。」

雄也「毎日ご苦労様。」

冬夜(何となく思い付いた商売だったけど、正解だったようだな。)




工房で自転車を大量に複製し、公益省のオルバが高額に買い取ってくれた。




雄也(お陰で色々揃った。)

レベッカ「特に、リンゼ殿が買って来てくれた本が常連客に人気なんだ。」

冬夜「へぇ〜。」

ウィル「皆楽しそうですよ!」

冬夜「良かった!本は買うと高いからね。」

雄也「入店するのに金は掛かるけど、こうやって気軽に読めて、食事を提供出来れば良いかなと思ったんだ。」

ウィル「ここにある設備って、冬夜さんと雄也さんが作ったんですよね?」

冬夜「え?うん。」

雄也「それがどうしたんだい?」

ウィル「良いなぁ〜!はぁ・・・ウチの亡くなった祖父ちゃんは無属性魔法を使えたんですけど、俺は何の属性も無いから羨ましい。」

雄也「祖父さんの無属性魔法ってどんな魔法なんだ?」

ウィル「触った物を重く出来る『グラビティ』って魔法です。」

冬夜「グラビティ・・・!?」

ウィル「まぁ、ほんの少し重くなるだけで、正直使い所のない魔法ですよ。あははは。」

冬夜「それは違うと思う!」

ウィル「え?」

冬夜「その魔法、使う物によっては最強クラスの魔法かも知れない!」


16話「本収集、そして読書喫茶。」

ベルファスト王国・ギルド。

 

ユミナ「討伐デート!楽しみですね!」

 

冬夜「ず、随分殺伐としたデートだけどね・・・」

 

雄也「サイコ的だな・・・」

 

ユミナ「いいんです!冬夜さんを独り占めなんて嬉しいですし、それに、ギルドカードも早く皆さんと同じ赤にしたいんです!」

 

冬夜「そっか。」

 

雄也「でもいいのか?デートっつっても俺まで同行して。」

 

ユミナ「大丈夫です!冬夜さんと2人きりだと思えば大丈夫ですから!」

 

雄也「それでいいんですかい・・・じゃあ俺は2人を守る護衛役で。」

 

ライザーク「んで、どのクエストにするんだ?」

 

冬夜「えっと・・・ブラッディークラブ?カニか?」

 

ユミナ「大きな鋏を4本持っていて、とても硬い甲羅が特徴の赤いカニの魔獣ですね。甲羅は防具の素材として売れますし、肉も高値で売れるそうですよ。」

 

冬夜「ふ〜ん。取り敢えずこれを受けようか。」

 

雄也「カニかぁ。蟹味噌美味そうだろうなぁ。」

 

ブラッディークラブ討伐のクエストを受ける。

 

 

 

 

その依頼書を受付嬢に渡し、ギルドカードも渡す。

 

受付嬢「っ!?・・・・」

 

冬夜と雄也のギルドカードを見て、2人の顔を見る。

 

受付嬢「あのぉ・・・望月さんと伊狩さんって、読書喫茶・月読のオーナーさんとマネージャーさんなんですよね?」

 

冬夜「はあ。そうですけど。」

 

雄也「何かご用で?」

 

プリム「私、プリムって言います!」

 

冬夜「プリムさん。」

 

プリム「それであの、リーフリース皇国の本で、薔薇の騎士団って言うシリーズがあるんですけど、入荷する予定とかありますか?」

 

雄也「薔薇の騎士団・・・それって完結してる本か?」

 

プリム「はい!全15巻で完結しているはずです!」

 

冬夜「完結しているなら・・・はい。じゃあ仕入れておきますね。」

 

プリム「ありがとうございます!凄く凄く楽しみにしています!」

 

 

 

 

受付を終え、討伐場所へ向かう。

 

冬夜「プリムさん、メチャクチャ喜んでたなぁ。」

 

雄也「凄いファンなんだな。」

 

冬夜「本好きなのかな?」

 

雄也「本好きなんて幾らでも居るからな。」

 

ユミナ「・・・・・冬夜さん、雄也さん、薔薇の騎士団ってどんな話か知ってます?」

 

冬夜「いや、知らないけど。」

 

雄也「名前だけなら聞いた事ある。でもストーリーは知らないな。ユミナ知ってるのか?」

 

ユミナ「ええ、まぁ・・・ある国の騎士団の物語で、男性のみ薔薇の騎士団と女性のみの百合の親衛隊との確執。それを背景として繰り広げられる騎士団内での恋愛を描いたシリーズで・・・」

 

雄也「へぇ〜。騎士団内での。・・・へ?」

 

2人が立ち止まる。

 

冬夜「騎士団内の?」

 

雄也「男だらけの騎士団内って事・・・?え?親衛隊の誰かと恋愛する話じゃないの?」

 

ユミナ「はい・・・」

 

雄也(マジか・・・まさかのBL作品かよ・・・)

 

冬夜「それって、リンゼがどうしてもって大量に購入した種類の本・・・と同じかな・・・?」

 

ユミナ「うん・・・」

 

冬夜「そっかぁ・・・でも約束しちゃったし、買って来ないとマズいよねぇ・・・」

 

ユミナ「そうですね・・・」

 

雄也「にしてもユミナ。薔薇の騎士団の物語を知ってるんだな。」

 

ユミナ「あー、いえ・・・えっとですね・・・実はその本の著者を知っています・・・それで作品の事を知ってた訳で・・・」

 

雄也「え!?作者知ってんの!?」

 

冬夜「それって誰なの!?僕達も知ってる人とか?」

 

ユミナ「いえ!冬夜さんと雄也さんは多分知らないお方です!有名な方ですから、実名で出版する訳にもいかず、リル・リフリスと言う偽名を使っているんですが・・・誰にも言っちゃダメですよ?」

 

雄也「あ、ああ。」

 

ユミナ「リリエル・リーム・リーフリース様は・・・リーフリース皇国の第一皇女です。」

 

冬夜「なっ!?へ!?」

 

雄也「それ、マジ!?」

 

ユミナ「マジです。リーフリース皇国とベルファスト王国は、昔から王家同士家族ぐるみの付き合いでもありますから。リリ姉様の事も昔からよく知っています。まぁ、そう言う趣味に何時の間にかなっていて、最終的にはご自分で書くように・・・」

 

冬夜「あ、何か頭痛が・・・」

 

雄也「ウッ、頭が・・・」

 

ライザーク「まぁ、その話は後にしてカニ倒しに行こうぜ?」

 

雄也「っと、そうだな。」

 

 

 

 

 

 

ブラッディークラブが生息する荒野に到着。

 

雄也「アレか。」

 

目の前にブラッディークラブが現れた。

 

冬夜「あれがブラッディークラブ・・・デカいなぁ。」

 

雄也「けど美味そうだな。早く蟹味噌食いたい。」

 

ユミナ「土よ絡め!大地の呪縛!アースバインド!」

 

アースバインドがブラッディークラブを束縛した。

 

雄也「奴の動きが止まっている。今が好機!チャイドラン!」

 

チャイドラン「おう!」

 

雄也「マグネライズ!!」

 

ギルガドランのガウストギアをギアレットハンターに装填してリールを回した。チャイドランがギルガドランに進化した。

 

雄也「ライザーク!彼奴を茹でるぞ!」

 

ライザーク「おっしゃあ!!」

 

雄也「ギルガニックボイル!!」

 

ギルガドラン「ウオオォォォォ!!!」

 

ライザーク「ライトニングシャワー!!!」

 

火炎放射のギルガニックボイルとライトニングシャワーが重なって熱湯になり、ブラッディークラブを茹でる。

 

冬夜「アクセル!」

 

アクセルを発動して、茹でられてるブラッディークラブの甲殻の上に移動した。

 

冬夜「グラビティ!!」

 

グラビティでブラッディークラブの重量を更に重くした。重さが倍になったブラッディークラブが、茹でられて赤くなりながら倒れた。

 

ユミナ「何をしたんですか?」

 

冬夜「魔法でコイツ自身の重さを何倍にもした。体が重過ぎて動けなくなっているんだよ。この魔法は、触った物の重さを変化出来るんだ。ウィルのお祖父さんが少ししか重く出来なかったのは、恐らく魔力量のせいだと思う。」

 

ユミナ「でも冬夜さんの膨大な魔力量なら・・・」

 

倒れたブラッディークラブが腕を振り上げたが、グラビティの効果が続いてる為再び倒れた。

 

雄也「こうなるよな。」

 

 

 

 

 

 

ギルドに戻った。ユミナのギルドカードが赤に昇格した。

 

プリム「おめでとうございます!このポイントでユミナ様のギルドランクが上がりました!」

 

ユミナ「これで皆さんと同じランクですね!」

 

冬夜「うん!さて、後は・・・」

 

雄也「プリムさん。」

 

プリム「はい。何ですか?」

 

雄也「さっき言った本をこれから買いに行こうと思うんだが。」

 

プリム「え!?」

 

雄也「良ければだが、同じようなジャンルで人気ありそうな作品をピックアップしてくれるか?」

 

プリム「そ、それってその本を入荷するって事ですか!?」

 

雄也「向こうに在庫があればだけど。今回の討伐で金が儲かったから心配ないし。」

 

プリム「ち、ちょっと待って下さいね!」

 

彼女は、他の受付嬢達と人気の本の聞き込みを始めた。

 

ライザーク「聞き込みをしてるな。」

 

雄也「戻って来た。」

 

プリム「本当に良いんですか?」

 

冬夜「あ、はい。」

 

プリム「で、ではここに書いてある・・・薔薇の騎士団全15巻。執事の秘密全5巻。落ちた王子。霊獣の誓い全8巻。檻の少年全6巻・・・」

 

雄也「ラインナップが多い・・・しかもどれもBL臭が凄い・・・」

 

ライザーク「受付嬢の皆、目がキラキラしてる・・・」

 

プリム「・・・を、何卒宜しくお願いします!!」

 

冬夜「えっと・・・前向きに検討致します・・・」

 

受付嬢達「ワアアァーーーー!!」

 

雄也「・・・ユミナ、リーフリースの皇都ベルンに行きたいから、冬夜に記憶を渡してくれるか?」

 

ユミナ「勿論です!」

 

冬夜「あは、あははは・・・はぁ。」

 

 

 

 

 

 

後日。2人はリーフリース皇国へ訪れた。

 

雄也「ここがリーフリースかぁ。初めて来たけど、結構長閑な国だな。」

 

 

 

 

本屋。

 

冬夜「すみません。本を探しているんですが。」

 

雄也「このメモに書かれてる本なんだが、在庫はある?」

 

リクエストの本が書かれたメモを店主に渡した。

 

ベルエ「はい!承りますね!う〜ん・・・」

 

メモを見て険しい表情をした。

 

雄也「あ、えっと・・・リクエストされた本を探してるだけで。」

 

ベルエ「えぇえぇ!はい!分かっております!完璧に揃っておりますので、少々お待ち下さいね〜!」

 

目をキラキラさせながら、リクエストの本を探しに行った。

 

冬夜「絶対分かってないだろ、あれ・・・」

 

雄也「それな・・・」

 

待ってる間、2人は他の本を見る。

 

雄也「本が結構あるもんだな。」

 

冬夜「これは冒険物。」

 

雄也「こっちは戦記物か。」

 

冬夜「ジャンルはなるべく、偏らないようにしないとな。」

 

雄也「このままだと、あの本に溺れちまう。」

 

???「う、売り切れー!?」

 

雄也・冬夜「ん?」

 

1人の女性が欲しかった本が無い事に声を上げてる。

 

ベルエ「申し訳ありません。こちらが最後の在庫でございまして・・・次の入荷は未定となっております。」

 

女性「そ、そんなぁ〜!」

 

雄也「あの人めっちゃ泣いてるな。」

 

カゴに入れた本をレジに置いた。

 

ベルエ「あ、お客様!ご注文の品が全て揃いました!こちらもお求めですか?」

 

冬夜「あ、はい。一緒にお願いします。」

 

女性「ん!?え!?薔薇マジ買ったのってこの人達!?・・・?」

 

冬夜「一体どうしたんです?」

 

雄也「俺達に何か?」

 

ベルエ「お客様が注文された薔薇色マジカルの最終巻なんですが、こちらが最後の在庫になっておりまして、そちらの方もこちらをお買い求めに来たのかと。」

 

冬夜「あ〜。」

 

雄也「そゆ事。」

 

女性「あの!すみません!薔薇色マジカルの最終巻、譲ってくれませんか!?」

 

冬夜「あいや・・・こっちもコレを買いに来たんで・・・」

 

女性「ここが最後なんです!他の書店でも全部売り切れてて!」

 

雄也「と言われても・・・」

 

女性「ん?」

 

すると、2人が購入したある本に女性が気付いた。

 

女性「薔薇の騎士団も買ったんですか?」

 

雄也「あ、まぁな・・・」

 

女性「ほぉ〜!おぉ〜!」

 

2人が購入する他の本をじっくり見る。

 

冬夜「あのぉ・・・」

 

女性「中々目の付け所が多いようですね!」

 

雄也「違う。勘違いしてるみたいだな。これは頼まれた物で俺達にそんな趣味は皆無だ。」

 

女性「えぇ!分かってます分かってます!」

 

冬夜(絶対分かってないだろ!)

 

雄也(それな!)

 

女性「成る程ねぇ〜。うんうん。ん〜・・・」

 

少し考え、女性が2人に手招きした。

 

雄也・冬夜「ん?」

 

冬夜「何ですか?」

 

女性「取引です。もし薔薇マジの最終巻を譲ってくれるなら、薔薇の騎士団の全巻にサインを書きますが。どうでしょう?」

 

冬夜「はぁ?」

 

雄也「アンタのサインを貰って俺達に何の得があるんだ?って言うか、アンタさっきから何なんだ?」

 

女性「それは、私が薔薇の騎士団の作者!リル・リフリスだからです!!オーッホッホッホッホ!」

 

冬夜「へぇ〜。」

 

雄也「そうなんだ。」

 

リル「あー!信じてませんね?」

 

雄也・冬夜「・・・・」

 

リル「むぅ〜〜〜!」

 

冬夜(雄也。鎌をかけてみるか。)

 

雄也(よし、実行せよ。)

 

冬夜「と言う事は、あなたがリリエル皇女様ですか。」

 

リリエル「へ?」

 

雄也「まさかここで皇女様と出会えるとは、光栄な事でございます。」

 

リリエル「え?」

 

冬夜(やっぱり騙りか。)

 

雄也「ん?」

 

リリエル「ど・・・どどどどど・・・どうしてそれを・・・!?」

 

冬夜「あれ?」

 

雄也「ど、どしたの?」

 

リリエル「お、お父様でさえ知らないはずなのに・・・」

 

雄也「え!?マジかよ!?本当に本人!?」

 

リリエル「わ、私の正体を突き止めて何を!はっ!私を脅し、踏み台にして次期国王である幼い弟に近付き、その純血を奪ってこの国を我が物にぃー!」

 

雄也「バカ野郎!」

 

リリエル「あっ!」

 

暴走するリリエルのおでこにチョップした。

 

リリエル「いったぁ・・・な、何を!!」

 

雄也「五月蝿(うるへ)え!ユミナから話を聞いてなかったら完全に無視してたぞ俺達!」

 

冬夜「これが第一皇女とか・・・大丈夫なのか?この国は・・・」

 

リリエル「ユミナ?ユミナってベルファストの?あなた達一体・・・」

 

雄也「俺は伊狩雄也。冒険者でユミナの仲間だ。んでコイツは。」

 

冬夜「僕は望月冬夜。ベルファスト王女、ユミナ姫の婚約者だよ。まだ非公式だけど。」

 

リリエル「え!?こ、婚約者!?婚約者って・・・あの子結婚するの!?え?でもユミナは女の子で・・・えっと・・・あれ?偽装結婚?本当の目当ては国王陛下とか!?」

 

雄也「大馬鹿野郎!!」

 

再び暴走したリリエルのおでこにチョップした。

 

雄也「この子色々大馬鹿過ぎる・・・」

 

冬夜「だなぁ・・・こりゃあユミナに説明を頼むしかないなぁ。」

 

 

 

 

 

 

外に出て、ゲートでユミナを呼んだ。琥珀も一緒だ。

 

リリエル「ユミナ!」

 

ユミナ「お久し振りです!リリ姉様!」

 

冬夜「ホラ。薔薇色マジカル最終巻。」

 

雄也「色々悪かった。お詫びに。」

 

リリエル「え!?あ、ああ・・・」

 

薔薇色マジカル最終巻を震えながら受け取った。

 

ユミナ「冬夜さんこれは?」

 

冬夜「工房に行って複製して来た。」

 

雄也「これで文句は無いな?本屋には複製分の代金を支払い済みだしな。(複製した本って、モロ海賊版だな・・・)」

 

リリエル「いいの?欲しかったんじゃ?」

 

冬夜「だから違うって言ってる!!そもそも店の入荷の為に買いに来たんだよ!!」

 

雄也「そうだ!俺達は興味無し!」

 

リリエル「はぁ・・・それはそれで勿体無・・・はっ!」

 

雄也「おい。」

 

チョップを構える雄也に再び恐怖した。

 

リリエル「な、何でもないわ!」

 

 

 

 

 

 

夕方。読書喫茶・月読。リクエストされた本が無事入荷された。

 

プリム「し・・・至福の極み〜〜〜〜!!!」

 

受付嬢達が一斉に本を読み始めた。

 

冬夜「あはは・・・」

 

雄也「もう腐女子の楽園になってるな・・・」

 

プリム「ありがとうございます望月さん!伊狩さん!1日お仕事頑張ったご褒美になります!」

 

冬夜「いえいえ。」

 

雄也「喜んで貰えて何よりだ。」

 

リンゼ「中々のラインナップ・・・流石です冬夜さん!雄也さん!」

 

冬夜「流石・・・なのか?」

 

雄也「褒められてる気もしない・・・」

 

女性客「あの。『灼熱の夜想曲、戻れない2人』は?」

 

ウィル「え!?えっと・・・」

 

警備中のウィルが尋ねられて困ってる。

 

リンゼ「その本はこちらです。最新の5巻だけは、あちらのオススメ棚に。」

 

冬夜「熟知してるなぁ。」

 

ライザーク「こりゃあ、オーナーの地位をあの子に譲ってあげたらどうだ?」

 

冬夜「うん。僕も思った。」

 

ウィル「すみません・・・まだ本の場所を覚えられなくて・・・」

 

雄也「気にすんなよ。ウィルは警備が仕事なんだし。尋ねられて困るのも無理はない。」

 

冬夜「そうだ!グラビティを教えてくれたお礼をしたいんだけど。」

 

ウィル「え?」

 

冬夜「何かない?欲しい物とかしたい事とか。」

 

雄也「何でも良いぞ。何か希望はあるか?」

 

ウィル「ん〜・・・あの、俺!」

 

冬夜「ん?」

 

ウィル「強くなりたい、です!守りたい人が居るんです!俺!その為にもっと強くなりたい!力だけじゃなくて、色んな物から守れる男になりたい!あ。」

 

雄也・冬夜「ん?」

 

ウェンディ「あ。」

 

2人の目が合い、お互いに頬を赤くして恥ずかしがる。

 

雄也「成る程。」

 

冬夜「守りたい人を・・・ね。」

 

 

 

 

 

 

2人はウィルを練兵場へ連れて行った。

 

冬夜「と言う訳で、ウィルの事をガッツリシゴいてやって下さい。」

 

ニール「ウム。我々騎士団が責任を持って鍛えてやろう。存分に強くなると良い。」

 

王国騎士団副団長のニール。

 

ウィル「は、はい!」

 

ニール「では早速。」

 

雄也「ウィル、頑張れ。」

 

ニールと一緒に練兵場へ行くウィルを見送った。

 

冬夜「ん?」

 

そこにエルゼがやって来た。

 

エルゼ「あれ?冬夜に雄也?どうしたの?ここに何か用?」

 

雄也「ああ。ウィルが強くなりたいって言ってな。ニールに頼んで貰った所だ。」

 

冬夜「紹介は済んだから、もう帰る所。」

 

エルゼ「ふ〜ん?あのさ、冬夜・・・」

 

冬夜「ん?」

 

エルゼ「これからゲートで帰るなら、銀月に行かない?汗掻いたし、温泉入りたい。」

 

冬夜「うん、いいよ。行こっか。」

 

エルゼ「やったー!」

 

 

 

 

 

 

銀月の温泉でエルゼが汗を洗い流した。

 

 

 

 

 

 

雄也「どうだ?何か困ってる事とかないか?温泉の不具合とか。」

 

ミカ「無いね〜。客の入りもかなり良いし。正直、宿よりも入浴料の方が儲かってるんだよ〜。」

 

ライザーク「それは何よりだ。」

 

ミカ「このままじゃ風呂屋銀月になっちゃいそうだよ〜。」

 

ザナック「おや〜!久し振りですね〜!」

 

冬夜「あれ?ザナックさん!来ていたんですね!」

 

ザナック「いやぁ〜、ここが出来てからと言うもの、朝夕入らないと調子悪くてね〜!常連になってしまったよ〜!」

 

ミカ「ザナックさんったらさ、ファッションキング・ザナックに来たお客にもここの温泉をススメてくれてるんだって!」

 

雄也「それはありがてぇな。」

 

ザナック「だっはっはっは!斡旋料でも貰おっかなぁ〜!そうそう!君に貰ったデザインの服がまた1つ出来たんだよ!」

 

冬夜「え?」

 

ザナック「中々良い出来だと私は思ってるんだがね。丁度今日、試作品を持って来てるんだが。見てみるかい?」

 

冬夜「・・・そうですね!見るだけじゃなくて。」

 

ミカ・ザナック「ん?」

 

 

 

 

 

 

温泉から上がったエルゼは。

 

エルゼ「っで、これ?」

 

チャイナドレスを身に纏ってる。

 

冬夜「そう!僕からのプレゼント!」

 

雄也(まさかこの世界でチャイナドレスが誕生するとは。)

 

冬夜「うん!似合ってる!可愛い!」

 

エルゼ「な、何言ってるのよ!!」

 

雄也「おやおや?エルゼさん照れ隠しですかい?」

 

エルゼ「そんな訳ないじゃない!勝手に服を取り替えたりして!もう・・・!」

 

冬夜(本当は可愛い服を着るのが好きなのに、自分では似合わないと思い込んでるんだな。だから、この位無理矢理着ざるを得ない状況にしてあげた方が良いかと思ったんだけど。)

 

エルゼ「うぅ・・・」

 

冬夜「どうかな?受け取って貰える?」

 

エルゼ「・・・あ!」

 

冬夜「危ない!」

 

バランスを崩したが、冬夜が支えた。

 

冬夜「歩き難い?靴だけでも履き替えようか?」

 

エルゼ「いい・・・このままで・・・冬夜、これプレゼント、ありがとう。」

 

冬夜「あ!・・・」

 

雄也(色々あったが、終わりよければすべてよしだな。良い1日過ごしたな。冬夜。)

 

 

 

 

 

 

翌日。邸のテラスでティータイム。

 

冬夜「平和だなぁ〜。」

 

ユミナ「ですねぇ〜。」

 

雄也「平和だねぇ〜。」

 

ライザーク「だなぁ〜。」

 

噴水に浮かびながら寝てるライザーク。するとテラスにリンゼが駆け込んで来た。

 

リンゼ「あ、あの!冬夜さん!雄也さん!」

 

冬夜「どうしたのリンゼ?」

 

雄也「ん?その本は何だ?」

 

リンゼ「はい。これ、リル・リフリス先生の新シリーズです。」

 

冬夜「え?」

 

リンゼ「先日、第1巻が発売され、来月には2巻が発売予定です。」

 

雄也「もう2巻が出るのか。」

 

渡された本を読む。

 

リンゼ「そのお話がその・・・万能の能力を持った男がある国を乗っ取る為に、その国の騎士、美しい姫、その弟の王子と次々と毒牙に掛けて行き、のし上がって行くと言う話なんです。」

 

雄也「え?この挿絵・・・」

 

挿絵に描かれてる男は冬夜をモデルにした人物。

 

リンゼ「急に降りて来たらしく、凄い勢いで書き綴っていると言う噂で・・・」

 

 

 

 

 

 

リリエル『キタキタキタ〜〜〜〜!!!』

 

 

 

 

 

 

雄也「マジかぁ・・・」

 

ユミナ「リリ姉様・・・もしかして・・・」

 

冬夜「今度会ったら・・・あの腐った頭に・・・グラビティチョップをお見舞い!!!してやるしかないな。」

 

雄也「物足りなかったら、メルデオスで根性叩き直すしかないな。」

 

冬夜「はぁ・・・・・・」

 

リリエルの新作のモデルになってしまい、冬夜は憂鬱になってしまったとさ。

 

『END』




         キャスト

      伊狩雄也:増田俊樹

      望月冬夜:福原かつみ
 エルゼ・シルエスカ:内田真礼
 リンゼ・シルエスカ:福緒唯
       ユミナ:高野麻里佳

     ライザーク:梅原裕一郎
    チャイドラン:比嘉久美子

      リリエル:久野美咲
      レベッカ:ブリトカットセーラ恵美
      ローガン:駒田航
       ウィル:田中あいみ
      ザナック:鈴木琢磨
        ミカ:原紗友里
       ニール:宇垣秀成
       プリム:荻野葉月
     ウェンディ:西尾桃子
       スラス:伊駒ゆりえ
       ベルエ:白田千尋

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