緋弾のアリア TAKE YOUR HEART   作:Million01

8 / 9
大変長らくお待たせしました。
この小説、若干スランプ状態でした。(-_-;)


サヨナキ·パレス

二人の視界の歪みが収まると先程まで森だった場所は血に塗られたような赤い監獄だった。

 

「おいおい、どうなってんだこりぁ……」

 

モルガナの言う通り驚くのも無理もない。

 

ここ異世界 パレスはメメントスの支配への反逆の意思を持つ脱走した特に強い欲望を持つ人間が独自に形成した空間である。

現実の施設がベースとなっており、パレスの主がその施設をどう認識しているかで内装が決まるだが、この場合、小夜鳴は紅鳴館という館を監獄として見ているのだ。

 

 

「アイツ、ただの管理人だろ?なら、どうしてここを監獄として捉えられているんだ?」

 

モルガナの問いにジョーカーは答えられなかった。

 

「まあ、分からないもんは分からねぇか」

 

「さて、この監獄どうやって侵入する?」

 

ジョーカーはモルガナの言葉を聞き、侵入口を探すように促す。

 

とりあえず二人は監獄の外を一周した。

 

「ダメだな、侵入口がない。門から入るか?」

 

暁はモルガナの言葉に首を振る。流石に真正面から入るのは捕まりに行くようなものだ。

 

「今、シャドウは監獄の門の前に一体、外をグルグル徘徊しているのが一体、計二体か…」

 

二人はシャドウに見つからないようにしながらまた、監獄の周りを探索する。

 

「このままだと入ることもできないぞ?」

 

ジョーカーが何かを見つけたかのように足を止めた。

 

そうとある塀に接しられている一つの木箱だった。

 

「どうした?」

 

>何度もずらした跡がある

 

ジョーカーがサードアイを使って探索をしていたらこの木箱に違和感を感じていた。

そしてよく見ていると木箱をずらしたかのように地面が少し削れていたのだ。

 

「何!?早速ずらしてみようぜ!」

 

ジョーカーが頷きながら木箱をずらした。

木箱をずらしてみるとそこには人一人がぎりぎり入れそうな穴があった。

 

「穴?なんでこんな所に?」

 

「けど、これはいい侵入口になるかもしれないぜ!ワガハイは今から穴の様子を調べてくる。見張りは頼んだぞ!」

 

ジョーカーが頷くとモルガナが即座に穴に入った。それを見たジョーカーはこの穴がバレないように木箱を戻した。

 

そして、待つこと数秒木箱からモルガナの声が聞こえた。

 

「ビンゴだ、ジョーカー!中に繋がってる!」

 

ジョーカーがその声を聞き素早く木箱をずらし、穴に入り、木箱をなんとか戻した。

ジョーカーがサードアイを使用しながらモルガナの後を追うと少しだけ明るい所に出た。

明るいと言っても先程の暗闇よりは少しだけ明るいだけだ。近くに敵がいても殆ど気付かないだろう。

 

「多分、朽ちてもう使われてない牢屋だせ」

 

ーーーギギギィィィィ

 

錆びてあまり開かない鉄の扉をジョーカーがなるべく音を出さないようにゆっくりと開ける。

開けるとちゃんと明るい場所に出た。赤い石畳、赤い煉瓦の壁、長い通路の先には石の螺旋階段。

 

「シャドウがいない?」

 

モルガナが不審に思う。よく見れば通路にある牢屋の扉か錆びており、中には誰もいなかった。

 

「警備する必要がないって事か…。まあ、こっちとしては好都合だ。行こうぜ」

 

ジョーカーが頷くと長い牢屋を進み、石の螺旋階段を上る。上っていくとどこかへ続く通路が見えた。

 

ジョーカーは聞き耳を立て外に誰かいるか確かめる。

 

タッタッタッ、と足音が聞こえるが音の大きさからして遠ざかっていた。

 

ジョーカーがゆっくりと扉を開けた。開けた少し先には警備員みたいな服を着たシャドウがジョーカーに背を向けていた。

 

ジョーカーは不敵に笑い敵の背後からシャドウの肩の上に乗る。

 

 

 

ーーーグシャ!

 

ジョーカーがシャドウの上空から仮面を剥ぎ取る。

ジョーカーが飛び降りるとシャドウの体が解け、別の体となった。

勾玉のような形をした黒い化物 クシミタマだ。

 

 

「ペルソナ! 」

 

 

暁が叫ぶと背後に二つの頭を持つ狗が現れた。

 

「燃やせ!オルトロス!!」

 

オルトロスと呼ばれたペルソナは二つの頭の口から火の玉をクシミタマに放った。

 

ーーーボウッ!

 

クシミタマは難なくオルトロスの火の玉に吹き飛ばされた。

 

「よし、どうする?」

 

>総攻撃

 

即座に答えると素早い動きでジョーカーがナイフで、モルガナがブレードで幾度となく斬りつけた。

 

The show's over.(ショーは終わりだ)

 

ジョーカーがそう言うとクシミタマが黒い霧を体から噴き出しながら消えていった。

 

「次、行こうぜ」

 

モルガナがそう促すとジョーカーが奥へ進む。

少しだけ長い廊下を進むと、ジョーカーとモルガナの耳に突如、犬のような鳴き声が聞こえた。

 

「な、なんだ!?」

 

モルガナが驚きながらあたりを見渡す。ジョーカーもそれに気になり、声のした方向に向かった。

鉄の扉、恐らくここの囚人だろうと思われた。

ジョーカーが恐る恐る鉄の扉の覗き口を覗いた。

 

「!?」

 

暁が目を疑った。ワンワン、と犬のように鳴いている人の姿だった。

 

「お、おい……どうしたんだ?」

 

少しの間、体を硬直させているジョーカーを不審に思い、モルガナが問いかける。

ジョーカーが意識を取り戻し、モルガナに今見た光景を説明した。

 

「……てことはサヨナキとか言うやつは人を犬としか見てないってことになるぞ?」

 

この世界は認知によって作られた空間。このように人が犬のように吠えているのが当たり前となっているとそれは本人が本心では人を犬としか見てないということになる。

また、この犬のように吠えている人は認知の人間であり、本当の人間ではない。

 

確かにこれが本当ならモルガナの言っていた事が本当になる。

ここは理子に連絡しようかと思ったが、ジョーカーはその考えを止めた。

ここで理子に連絡して下手に何かしてブラドを呼ばれるとまずい。

 

「先に進もうぜ。そうだな……セーフルームを見つけるまで」

 

ジョーカーは頷くと長い石畳の通路を歩いた。

 

「にしてもこの通路、いつまで続くんだ?」

 

ジョーカー達はこの長い廊下の中、凸部分を利用して隠れなんとかシャドウを倒しながらも先へ進むがそれも時間の問題だった。

 

ジョーカー達が歩いていると広間に出た。広間からは四方の通路があり、その一つのジョーカー達が来た通路だった。

 

「4つの通路……上へと続く階段に地下へ続く階段か」

 

「この感じ……セーフルームだぞ!」

 

モルガナが広間の一つにあるとある扉を指差してそう言った。

セーフルームとはパレス本人の認知が低い場所をさし、認知が低いためシャドウもおらず安全圏である休憩所みたいなものだ。

 

ジョーカーが扉を開けて中に入る。そこは認知が薄いため、現実の空間と重なっているようにも見える。

 

「なんの部屋だ?」

 

よく見ると現実の方では壁に執事服がかけてある。恐らく執事の部屋だろうと思われる。

 

「ここの世界に来て、初めてのパレスだぜ」

 

「けど、人間を犬としか見ていないサヨナキのオタカラか……気になるな」

 

確かに、とジョーカーはそう思いながら少し考えた。

 

だが、あまりにもサヨナキという人物が分からなくなっていき思いつかなかった。

 

「さて、どこから行く?」

 

>上へと続く階段

 

モルガナにそう言われまずはそう答えた。他の通路にも行きたいのは山々だったがジョーカーの考えでは恐らく何も無いと考えてしまう。

そして、地下となるとあまりいい感じはしないと思ってしまい、消去法で上へと選んだ。

 

「じゃあ、そろそろ行こうぜ」

 

モルガナに促され、ジョーカーは扉を開き、階段を上る。

上ると、恐らく二階へ続く扉があった。

その扉は見る限り鍵穴がついており鍵が掛かっている様子だった。

 

「キーピックで開けられるか?」

 

モルガナにそう言われ、ジョーカーは鍵穴を覗く。

中の構造としてはキーピックで扉を開けるのは無理であった。中の構図では普通の鍵穴よりも少しばかり奥行きが長かった。

 

「鍵を探すしかねぇか……」

 

モルガナの言葉に頷きジョーカーは階段へと降りる。

 

「にしても看守長も面倒なことをするな……」

 

降りる途中、広場の入り口から声が聞こえ、ジョーカーは足を止める。

 

「だよなぁ。この通路から鍵を四つとって、地下の扉を開けて、そこからまた鍵を取って、上の扉を開けるんだろ?」

 

話し声からして数は二体だった。

なるほど、とジョーカーは今の言葉を聞いた。

シャドウ達は話し終えるとどこかへ行った。

 

「やることは決まったな」

 

ジョーカーが頷くとまずは最初に四つの通路にある鍵を目指した。

 

 

それほど四つの鍵は全て突き当りの所で見つかり難なく手に入った

ジョーカー達は広場に戻ると早速、地下の扉を開けて中に入った。

奥へ奥へと進み、最下層。そこは薄暗く空間が歪んでいるような感じを醸し出す不気味さがあった。

 

「あれが鍵か……」

 

モルガナが遠くでっ立っているシャドウ達四体を遠目で見た。

 

「四体か……分が悪いな。どうする?」

 

>行ってみよう

 

ジョーカーがそう言いながら敵に近づいた。

 

ーーーグシャ!

 

ジョーカーが近づくと四体のシャドウはそれぞれ別の化物と変わった。棍棒を持った一本角のオニ、二本の槍の柄が連結された得物を持った青い化物 フウキ、こちらは二本の棍棒を連結させた化物 スイキ、そして金色の化物 キンキだ。 その中で鍵を持っているのはキンキであった。

 

「コイツラ……厄介だぞ!」

 

モルガナがそう言いながら武器を構えた。

 

「ペルソナ!」

 

ジョーカーは女性とも思わせる桃色の髪のペルソナを呼び出した。

 

「パールヴァティ!」

 

パールヴァティが腕を広げると謎の力が発生しキンキを吹き飛ばし、オニ、フウキ、スイキは一歩、後退った。

 

「モルガナ!」

 

「おう!ペルソナ!!」

 

ジョーカーがすかさずモルガナにバトンタッチすると、モルガナがゾロを呼び出した。

 

「やれ!ゾロ!!」

 

ゾロはオニの目の前に人間大の拳を具現させるとそのまま殴りつけた。

 

どっ、とあたりどころが良かったのかオニも吹き飛ばされた。

 

 

「くっ…流石に二対四は分が悪いか…!」

 

モルガナはそう言いつつスイキが振り下ろす攻撃を躱してみせる。

 

>逃げるぞ

 

ジョーカーはそう言うと懐から煙幕を取り出しその場で放った。

ボウッ、と地面に着弾すると中から煙が噴き出し、辺りの視界を奪った。

 

「ジョーカー!アレはあるか!?」

 

モルガナの言葉にジョーカーは頷きながら懐からとある物を取り出した。

カエレール。名前の通りここから帰れるという意味を持つアイテムだ。

ジョーカーが頭上に掲げるとカエレールが輝き、あたりを閃光に包んだ。

 

「なんとか帰ってこられたな……」

 

モルガナが少しだけ息を荒くしながら隣の暁に呟いた。

 

「ヤツの鍵をどうにかして手に入れないと…」

 

「普通に近づこうとしても他の敵に邪魔されるし」

 

「かと言って倒そうとしても苦戦を強いられる…何か方法はないのか?」

 

>あてはある

 

暁の頭の中からとある一人の少女が思い浮かぶ。

 

「あてがあるんなら、問題ないな……」

 

 

 

 

 

その二日後、暁は強襲科(アサルト)棟の屋上に来ていた。

 

「今、来ました!」

 

屋上の扉が開きそこから現れたの暁より一回り背が低いあかりだった。

 

 

「にしても、珍しいですね。暁先輩から私を呼び出すなんて」

 

「今日は何をするんですか?」

 

幼さが残る顔でキョトンと首を傾げるあかり。

その顔は少し赤くなっていたが暁にとって今は関係なかった。

 

>今日は技を教えて欲しい

 

「……ええっ!?」

 

何かと勘違いしたのだろうか一瞬だけあかりの顔が固まった。

 

「……分かりました。鳶穿(とびうがち)を先輩に教えます」

 

あかりから『鳶穿(とびうがち)』を教えてもらった。

 

 

>今日はすまない

 

「いえ、私も先輩と一緒に入れてよかったです」

 

ニコッと天使の微笑みかのように笑みを見せるあかり

 

>ありがとう

 

と、暁がそう答えた。

 

>何か困ったことがあれば連絡しろ

 

「はい!」

 

暁がそう言うとあかりが嬉しそうな顔をしながら返事をした。

 

あとは、サヨナキ・パレスを攻略するのみ……と暁が不適な笑みを浮かべた。

 




とある短編小説を書いていてペルソナ5のキャラをカルデアに召喚させたらどうなるか考えてみたんですが……こいつら、どうやって呼ぶんだ?

あ、ちなみにこの小説ほとんど出来ていましたがあかりの登場らへんで手が止まりました。m(_ _)m
次回の話は頭の中でできているので案外早く出来上がると思います。時間があれば……
では、またお会いしましょう

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