さて、ある程度進むとかなり広い部屋へ出た。
エントランスか。
「うひゃー‥‥‥こりゃ迷いそうだぜ‥‥‥」
「魔理沙、ウダウダ言っても仕方ないわ。アラン、何処から行く?」
「こういうのはだいたい真っ直ぐ行けばボスにたどり着くもんだ。行くぞ」
「それもそうね」
そう言って前に進もうとする。
だがその時、目の前にナイフが迫る。
「危ない!」
「shit!危ねぇな‥‥‥」
「あ、おい霊夢、アラン!前に誰かいるぞ!」
エントランスの先にある階段で待ち構えていたのは、ナイフを構えたメイド。
容姿は言わずもがな"瀟洒"。
そして、強者。
「これ以上進むようなら次は心臓を狙うわよ」
「それじゃああなたのご主人様に言ってくれない?"こんな不気味で趣味悪い霧を止めろ"って」
「それは出来ないわ」
「‥‥‥あっそ」
霊夢とメイドが会話している途中で弾丸を撃ち込む、いや撃ち込もうと"した"。
何故過去形か。
それは、瞬きをする間もなく俺の背後をメイドが取っていたからだ。
「‥‥‥テメェ、今何した」
「あなた達には一生わからないわ」
「‥‥‥霊夢、魔理沙」
「わかってる。倒すわ、あなたを」
「なら、名乗らせてもらうわ。私はここ紅魔館の主、レミリア スカーレット様のメイド、"十六夜 咲夜"。何も出来ぬまま倒してあげる」
「はぁ‥‥‥"博麗の巫女"、博麗 霊夢よ。逆に返り討ちにしてやるわ」
「"普通の魔法使い"、霧雨 魔理沙だ!行くぜ!」
「"しがないデビルハンター"、アラン。人間相手は気が引けるがやらせてもらうぞ!」
俺たちはその場から飛び退く。
俺たちが先程立っていた場所には無数のナイフが刺さっていた。
いったいどうやってあれほどのナイフを‥‥‥?
「遅い」
「おわっとぉ!?またかよ!?」
「落ち着きなさい魔理沙、相手の思うつぼよ!」
「わかってるって‥‥‥だけど相性が悪すぎるぜ、こいつ」
この時霊夢は思考を巡らせていた。
こういった状況に自分は万能に対応出来るがアランはまだスピードよりのパワーファイター。
だが一番相性が悪すぎるのは火力で押し切る魔理沙の方。
相手は恐らく瞬間移動か何かの"程度の能力"を持っていると霊夢は見た。
だが、瞬間移動するのならある程度動きに予測がつく。
それに対してあのメイドは全く予測がつかない。
攻撃をあてたかと思えばいつの間にか右側に回られ、かつナイフまでも仕掛けられている。
何か、何か手掛かりは無いものか。
─その時、霊夢は一つの仮説を立てた。
「‥‥‥まさか、"時間操作"」
「おいおい霊夢、冗談も休み休み言ってくれよ。時間を操作だなんてそんな事出来る訳が‥‥‥」
「魔理沙、忘れたの?ここは幻想郷。どんな能力があっても不思議じゃないのよ?」
「‥‥‥あ」
「なるほどな。それで霊夢、どうする?今回は俺たちが囮になるか?」
「それが一番妥当ね。お願い」
「任せろ」
行動開始。
まずはあのメイドの攻撃を回避する事に専念する。
「いったい何を考えているのか知らないけれど、今更見抜いた所で遅いわよ」
「確かにそうかもな。だが俺たちはお互いを信じてる。お前を倒すためにな」
「減らず口を!」
あれから数秒経っただろうか。
あるいは数分、数十分?
その時、あのメイドは飛び上がって無数のナイフを俺たちに浴びせる。
「shit、多すぎる!」
「霊夢、まだなのか!?」
ふと霊夢の方に目線をずらす。
すると、身体中にナイフが刺さってしまった霊夢が視界に入ってしまった。
「れ、霊夢っ!?」
「Damn it!!殺りやがったか!」
「これが博麗の巫女の実力‥‥‥案外手間がかからなかったわね」
そう、メイドが呟いた時だった。
ナイフが刺さった霊夢の身体が突如、バラバラと無数の札に変化した。
「なっ‥‥‥!!」
メイドが回避、着地したその時。
床にばらまかれた札が足を固定する。
「クッ‥‥‥このっ‥‥‥!!」
「アンタにはそれが特別な力なのかもしれない。でもね、
「博麗の‥‥‥!」
「終わりよ」
そう言って彼女の懐に飛び込み、至近距離で近接型"夢想封印"を放つ。
吹っ飛ばされたメイドは壁に衝突、そのまま床にへたりこみ気を失う。
「‥‥‥まったく、ヒヤヒヤさせるなよ霊夢ぅ‥‥‥」
「別にもういいでしょ?終わった事なんだし」
「ヒヤヒヤさせられる身にもなってくれよぅ‥‥‥」
「ま、何はともあれ終わったな。先に進むぞ」
─十六夜 咲夜、撃破。
情報『異変のメモ 其の参』
"戦っている時わかったんだが、ここは紅魔館というらしい。しかし時間操作か‥‥‥厄介な能力だったな。これ以上面倒なヤツが出てこなければ良いんだがな‥‥‥ああ、早く帰ってストロベリーサンデー食いたい"
この辺で設定を(;・ω・)
《登場人物》
十六夜 咲夜
・紅魔館のメイド長。
・レミリアとフランに仕えている。
・ただし忠誠心は鼻から出る(要は鼻血)
いかがだったでしょうか。
久しぶりの更新なのでかなり駆け足になってしまいましたが‥‥‥。
では次回の更新でお会いしましょう。
ではでは(´・ω・`)ノシ