独自設定過多なのと、研究メモの抜粋である仕様上、読みにくくなっているかもしれませんが、どうかよろしくお願いします。
【ライス・バンセルの研究メモ(抜粋その2)】
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――トータスの魔法――
トータスにおいて魔力と呼ぶエネルギーを運用する事で、求める事象を引き起こす技法を魔法と呼ぶ。
魔法は一般的に“属性魔法”と“神代魔法”、そして“固有魔法”の三つに大別される。
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――属性魔法
属性は、火、水、土、風、闇、光の六種類に分けられる。
水・風の属性には上位属性である氷・雷属性が存在する。
上位の属性魔法発動には、通常の上級魔法を超える魔力が必要であり、本来は複数人での使用が基本である。
古代においては、先に挙げた五種類の他に植物操作を可能にする“草属性”が認識されており、“祈祷師”の詠唱にその名残を垣間見ることが出来る。
――神代魔法
神代魔法とは、文字通り“神代”において神々が使用したとされる魔法の事で、七種類に分類される。
魔法式が特殊かつ複雑であるため、魔法陣が非常に巨大なものになり、必要な魔力量も膨大で、高度な魔法適正の持ち主でなければ通常運用自体が困難であるのが普通。
・変成魔法
神代魔法の一つ。基本となる特徴は以下の通り。
1.生物の魔物化;野生の魔物が発生するのに必要な条件を、変成魔法によって再現、あるいは省略する事で、獣の体内に魔石を形成させて魔物とする。
2.魔物の服従と使役;魔力を注ぎ込む事で魔物を服従させ、使役できる。
3.魔石への干渉と強化;体内で形成された魔石に魔力を注ぎ込み、魔物を強化する。
+強化段階;上記の三点を順に一段階、二段階、三段階として、更に強化を重ねることが出来る。ただし、強化段階が上がるごとに変成魔法の難易度が高まり、失敗すれば対象の肉体を崩壊させてしまう。
また、基本となる魔法式を抜き出して再構築し、運用のハードルを下げた魔法に“成増”、“彩変”、“補成”等がある。その使用は魔物に限らず、生物であれば獣や人、植物にも効果がある事が判明している。
この魔法は、魔物の肉に残る変質した魔力を無毒化するのにも応用が可能。
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――固有魔法
一般には、魔物が使用する魔法であると認識されている。
一種類の魔物につき、一つの魔法を無詠唱かつ魔法陣無しで使用できる為、“固有”魔法と呼ばれる。
※【魔導形質研究】、【魔導機能形態学】においては“固有魔法”と“技能”とを区別しない。
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――魔道具とアーティファクト――
トータスにおいて生活に欠かせない必需品に、魔道具とアーティファクトが存在する。
――魔道具
魔石や類似の性質を持つ鉱石から魔力を取り出して動力とし、何らかの機能を発現させる道具。特に普及している緑光石を始めとする発光性を持つ鉱石を用いた照明器具は、魔石との接続を切り替えるだけで魔法陣や詠唱も必要としない。
――例外的な魔道具
・烙却のこて
見た目は木材などに焼印をつけるための焼きごて。
極めて高度な魔法陣が使用され、対象の記憶を抜き取り、痛みを齎す呪いに変換する。ただし、記憶を呪いとして植え付けれるのは、記憶の元の持ち主か比較的近い血縁者のみ。
元々は内通者に使う拷問用として製作されている。
この魔道具は、棒の空洞に溶解させた高純度の魔石が流し込まれているため、使用時に魔力の消耗が無い。また、魔法陣には“転写魔法陣”と言う技術が用いられ、これによって複雑な効果を再現している。
“忘却”;印面を正面に見える魔法陣による。闇系魔法“脱魂”を応用した、記憶の抜き出しを行う。
“烙印”;柄の終わりと印字となった魔法陣による。魂を“痛み”としての固定し、対象の意識に働きかけ、苦痛を与え続ける。
闇の賢者ミーヤクによって製作された烙却のこては、一見するとアーティファクトと区別がつかない。
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――アーティファクト
神の御業が込められているとされる神秘の宝具。現代において普及しているのはステータスプレートそのものや、ステータスプレートを複製する器具が代表的。
その多くは、刻まれた魔法陣に必要な詠唱により魔力を注ぐことで起動させることが出来る。まれに魔法陣の無いアーティファクトが発見され、通常の方法では使用できない為、改めて魔法陣を刻む事がある。
・ステータスプレート
最も身近に存在するアーティファクトであり、トータスにおいて身分証明に活用される。
使用者の血液を塗布する事で個人専用のアーティファクトととなり、それ以降は他者のステータスを表示することは出来なくなる。起動用のワードは短く、“ステータスオープン”の一言だけ。
その機能は、個人の能力を数値化し、才能を可視化するもの。
表示される項目は氏名、年齢、性別、レベル、天職、職業、筋力、体力、耐性、敏捷、魔力、魔法耐性、技能と多岐に渡り、技能名等に触れることで、その技能の情報を参照できる。
“鑑定”系の派生技能を使用することで、鉱物や植物等の特性を表示させる事も可能。
また、各項目を任意で非表示にする機能も備わっている。
※ステータスプレートの限界
“神の御業”を超えた“魔導”に対して、ステータスプレートは正確な情報を表示することが出来ず、説明が抽象的な表現になったり、そもそも表示されない事例が確認されている。
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――“天職”と“職業”――
ステータスプレートで表示される項目に“天職”と“職業”がある。それぞれ“職”として認識されているが、その扱いは大きく異なっているのが実際である。
――“職業”
主に賃金を得ることを目的とした“職”の事を指す。社会生活を送る上では、仕事によって金を稼ぐことを逃れるのは現実的に難しい。世知辛いのじゃ……。
――“天職”
その者が持つ“天賦の才”に基づいて示される“職”。“天職”をもって産まれない者の方が圧倒的に多数であり、殆どの場合、“天職”持ちの方が基礎ステータスや成長率も高い。
“天職持ち”はその才能を活かした“職業”に就くのが普通。
・戦闘系天職
“戦士”、”剣士”、“治癒師”、“結界師”等、戦闘に必要な才能を示す“天職”の事。
トータスでは“天職持ち”の中でも戦闘系天職を持って産まれることは稀であり重宝されるが、より危険度の高い兵士や傭兵、冒険者と言った仕事に従事する者が多い。
・非戦闘系天職
“錬成師”、“書士”、“裁縫師”、“吟遊詩人”等、生産や事務あるいは芸術分野等に必要な才能を示す“天職”の事。トータスで“天職持ち”と言えばこちらの方が多い。“非戦系”と略されることも。
中には非常に珍しく高度な才能を示す“非戦系”も存在し、代表的なもので“作農師”が例に上がる。
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――トータス世界の自然――
・オソレの荒山
大陸北西にあり、全体が火山岩で成り立っている山。火山ガスが山の所々から噴き出しているため、古くから“霊媒師”の一族がこの場所を管理している。
活火山であるが、現代の姿になってからは一度も噴火していない。
・風の渓谷
大陸北西の樹海にほど近い位置にある渓谷。
渓谷の底に向かって猛烈な風が吹き抜けるのが特徴で、強風の中でも飛び続ける鳥型の魔物が多く存在する。
峡谷の崖で“風の大賢者”の庵と墓が発見された。
・大樹
【ハルツェナ樹海】に存在する距離感が混乱する程の巨樹。“大樹ウーア・アルト”ととも呼ばれ、亜人族にとって聖地である。
“解放者”達の遺した石碑があり、ここに大迷宮がある事が判明した。
更に古い時代には”世界樹”と呼ばれ、大陸のどこに居てもその天辺を見ることが出来たのだと言う。
・黒死の洞窟
大陸南側、魔人族領に存在する真っ暗な洞窟。泥状の黒い物体は、少し触れただけで忽ち力を失ってしまう事が魔人族達に知られており、“黒穴”と呼んで立ち入りを禁じられている。
・零山
魔人族領で最も標高の高い山。斜面を登り進むと魔力の産生が不安定になり、詠唱しても魔法を使えなくなる等の異常が発生すると知られている。
魔人族の子供達は「魔法がへたっぴになる」と教えられているが、実際に山から下りても暫くの間、この異常が続いてしまう。
・シュネー雪原
魔人族領と樹海に挟まれた位置にある雪原地帯。この奥地には大迷宮の一つ、【氷雪洞窟】が存在する。
ここ最近、美しい羽を持つ小鳥型の魔物が発見され、魔人族達から“死つつき”と呼ばれ恐れられるようになっている。
・癒しの泉
北大陸中央にある四つの山で目撃されている泉。この泉には傷を治す効果があるとされ、それをもって“癒しの泉”と呼ばれるようになった。
山々には合計で八つ建築された年代の異なる小屋があり、その小屋の近くに泉が出現するが、出現のタイミングに規則性は無い。
実地調査の結果、その泉の成分は【神水】を硬水によって希釈した物に近い事が判明している。
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――トータスの生態系――
魔力に満ちるトータスでは、程度の差こそあれ、あらゆるものが魔力の影響を受けている。影響の結果が特に顕著なのが魔物だが、体内で魔力を産出しない生物であっても、その生態は魔力の存在を前提としたものであることが通常である。
――魔物以外の動物
・キッチェル;地球のバンビに似た獣。非常にか弱い草食動物だが、その分布は大陸全土の山岳地帯に広がっている。警戒心が強く、険しい崖も軽快に飛び跳ねて逃げる事が出来る。
・クチバシミズバシリ;地球のカモノハシによく似た獣。見た目からは予想できない程に移動速度が速く、水かきがある短い脚が持つ“バネ”は驚異的。大陸中央の山々が主な生息場所で、多くの個体は川や泉などの水辺に巣を造って過ごしている。雑食性。
・へルルナ;地球の
・ヴォグー;地球の牛に近い生物で、その多くが家畜化している。ヴォグーの肉は脂身が少なく、旨味が豊富な赤身を楽しむもの。ヴォグーのミルクには不思議と乳糖が含まれておらず、乳糖不耐症であってもお腹を下さない事が分かっている。
・ヴルコ;地球の豚に近い生物で、その多くが家畜化している。ヴルコの肉は脂の“さし”がきめ細かく、甘味が強い。特有の臭みがあり、好き嫌いがハッキリ分かれる食肉でもある。
――トータスの植物
・アーチェブ;地球の楓の木に似た植物で、樹海に多く自生している。アーチェブの樹液は甘く独特な香りがあり、亜人族の間で甘味料として活用される。
・ファリヴ;地球の麦に近い植物で、多くの農家がこれを栽培している。トータスのパンや麺は、これを素材にしているものが殆ど。
・ピーシェ;地球の桃や李に近い果物で、大陸北西ではよく見られる。保存性が低く流通しにくいため、ジャムやお酒などに活用されている。
・コヴォロ;地球のキャベツに似た葉物野菜。生のままでも良し、火を入れても良しで重宝される野菜の一つ。
・メレットゥ;地球の人参に似た赤い根菜。様々な料理に使用されるが、酸味を活かしたゼリーは暑い日にうってつけ。
・シイドダケ;地球のシイタケによく似たキノコ類。肉厚なキノコで、ソテーにしても食べ応えがあると大陸中央ではよく食卓に上る。天日干しにしたモノを一晩水で戻してから煮出した出汁は、芳醇な香りと上品な旨味が特徴。
――古代の“魔獣”――
“神降り”以前に大陸の外から現れ、トータスの生態系に影響を与えた五体の生物を“五大魔獣”と呼ぶ。その多くは精霊達や、その精霊と関係の深い人々によって退けられている。
その独特な在り方から“魔獣”と呼ばれているが、分類上はあくまでも“魔物”の一種。
・やまつみ;北の海から現れた。巨大な竜のような姿で、体の殆どが頭部。山を“食べた”とされる。
・どろうみ;東の海から現れた。ヘドロのような姿で、森の木々を溶かし、毒をまき散らしたとされる。
・とりこみ;南の海から現れた。ぶよぶよした風船のような体で、二息歩行の巨大な“魔獣”。あらゆる物理衝撃、魔法による攻撃を“取り込む”事からこの名で呼ばれた。攻撃が通じない為、“氷の精霊”と“光の精霊”が協力して雪原地帯に封印したとされる。
・うわばみ;西の海に現れた。スライム状の“魔獣”であり、食い意地が悪く、触れたもの全てを飲み込む事からこの名で呼ばれるようになったと言う。
・けんのみ;突如として大陸中央に現れた。全長十から十五センチ程の人に似た姿で、背中に蝙蝠のような羽を持つモノと、蝶のような羽を持つモノがいた。何故か他の生物に対して悪戯をすると言う生態があり、特に人里で暴れ回ったと言う。
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――トータスの社会――
――村や町
・クドバン村
樹海の最北に近い村であり、傍には“風の渓谷”がある。
【ハイリヒ王国】との直線距離はさほどではないものの、実際に陸路で赴くとなれば相当の時間を要するド田舎。
樹海の奥から潮風が僅かに吹き込み、村全体に潮の香りが漂う。“風の渓谷”を辿った先で渓流釣りが盛んに行われており、新鮮な川魚が村の自慢。
観光客を求めて“風の大賢者最期の地”として村おこしを行ってきたが、最近になってそれが真実であると判明し、歴史家や魔法研究の学者達、そして“聖地巡礼”を目的とする物好きが集まり始めたらしい。
・ダンディーン
【ライセン大峡谷】に近い町。町でありながら砦が並び、丈夫な防壁に囲まれているのが特徴。それらの特徴は【ヘルシャー帝国】の影響によるものである。
他の町に比べて傭兵くずれや素行の悪い冒険者、亜人族の奴隷が多く、治安はあまり良くない。
大小二つの教会があり、小さい方の教会で行われる歌を捧げる集会が巷で話題になっている。
・露店街道
大陸中央南寄り、山々の谷間を通る五叉路に続く広い街道の事。アリナミ総業と言う商業組合が管理しており、多数の露店が並び、早朝から多くの人が訪れる。
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――魔人族の社会
人間族と比較し全体の人口が少ない魔人族は、その多くが【王国ガーランド】の首都で都市運営に携わりながら、戦士としての研鑽を重ねている。
・地方自治の実際
魔人族領はグリューエン大砂漠とシュネー雪原とに挟まれ、自然環境が非常に厳しい。その為、首都から離れた地方は限定的な管理が行われているのが実情である。
地方で重視されるのは農業や林業、水産業などの第一次産業で、王国から任命された者達によって担われる。
また、人間族が侵入しうる【グリューエン大砂漠】との境界付近である辺境は、各区画毎に任命された区長によって取り仕切られている。
・刑罰
数の少ない魔人族は他種族と比べても特に信仰心が
全体の犯罪件数が少ない分、人間族の法で微罪であるような行いでも、魔人族では深刻な罪であるとして扱われる事例が多かったようだ。
海洋調査:任務の失敗や、横領などに対する罰として行われていた。
零山調査:王国や神の決定に異議を申し立てた者への罰として行われていた。
大砂漠遠征:窃盗や暴行、不義と言った罪を犯した者がこの罰を受けていた。
大峡谷送り:強盗や拉致、同族殺しなどの重大な背信行為に対する罰として行われていた。
代表的な刑罰である以上の四つは、実質的には死罪と等しいものだった。
――トータスの裏社会
トータスにおける闇組織の多くは、【中立商業都市フューレン】を活動の拠点としている事が殆どである。人間族においては、“フリートホーフ”、“ザイルタンツェン”、“グーテラオネ”が三大組織として知られていた。
また、魔人族には巨大組織こそ存在しなかったものの、ギャングや彼らを利用して独自の奴隷売買ルートを確立していた者が確認されている。
フリートホーフ;表向きは人材派遣会社。裏では誘拐した人間族や海人族を含めた亜人族などを高額で取引する、人身売買組織だった。
北大陸全土にフリートホーフ傘下の下部組織があり、それらの組織によって誘拐が実行されていた。壊滅した“バーデヴァッサー”はその一つ。
ザイルタンツェン;表向きは金融業を営む企業。その実態は裏賭場と高利貸しを兼ねた暴力組織で、カジノで金を無くした客に暴利で金を貸し付けるなどは当たり前だった。
所謂“地上げ”なども行うため、フリートホーフよりも武闘派が多い。
グーテラオネ;表向きは魔力回復薬を中心に製造・販売する薬屋。実際には、麻薬や覚醒剤等の薬物売買によって利益を上げている違法組織である。
通常販売している薬自体が依存性を高めるように調合されており、非常に悪質。
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――トータスの文化――
――書籍
・【グリブ童話】
作者であるグリブ姉妹が共同で書き遺したとされる童話。お話の舞台の殆どが砂漠である事から、【アンカジ公国】を始めとする【グリューエン大砂漠】周辺の村や町で特に人気がある。
【トータス童話集】にも幾つかのお話が採用されている。
・【お伽噺の今昔】
ハイリヒ王国王立図書館から出版された書籍で、トータスにおける物語研究の先駆け的存在。
その内容は、著名なお伽噺が時代と共にどのように書き直されてきたのか、何故変更を加えられてしまったのかの推測等をまとめたもの。
お伽噺の中に意外な真実が隠されているのではと期待させるこの本は、大人を中心に流行の兆しをみせている。
――食文化
トータスには多種多様な食文化がある。食事形態は居住地域や身分、種族等の違いによって様々な表情を見せ、トータス世界の歴史の長さを改めて感じさせてくれる。
・各地域の名物
ウルの町
美しい湖が有名な観光地であり、新鮮な魚料理や、
露店街道
特に人気が高いのはダンプタンスープと呼ばれる料理で、仕事で疲れた身体に濃いめの味付けがたまらない。奥深い味わいの決め手であるシイドダケの出汁は、出汁の取り方から研究しつくされた特別なもの。
マグレーデ
【グリューエン大砂漠】手前の町であるマグレーデでは、チャーティンと言うパンと、独特なシチューが観光客向けに人気がある。
チャーティンは地球でみられるナンによく似ている楕円形のパン。質の良いファリヴ粉を利用し、香りを楽しむ事を重視したパンであり、地元民の間では祝い事の席で食べられる。昔の日本で例えるなら、お餅に近い扱いの様だ。
チャーティンに合わせて提供されるシチューもまた有名。食用サボテン――ノッパトス――をすり潰した異様なまでに鮮やかな緑色のシチューは、見た目のインパクトと深い味わいで、これを食べる為だけにマグレーデまで来る者がいる程。
魔人族領
子供のおやつや、酒のお供に好まれる大きな豆にハーシバ豆がある。豆をよく乾燥させて、塩と好みの香辛料をまぶして食べるのが基本。素揚げにしても美味しい。
・酒文化
地球と同様に、トータスでもアルコール飲料を好んで飲む文化の歴史は長い。一般的に飲まれるのは果物や穀類を発酵させた発泡酒や、果物や木の実を漬け込んだ浸漬酒で、蒸留酒は高級品として認識されている。
トラッパ;本来は穀物が原材料のウイスキーに似た蒸留酒を指すが、最近では蒸留酒全般を指す言葉としても使われる。酒に溺れた者の憐れさを描いた詩、【そうだ、トラッパ!】は種族を問わず知られ、その中の一節は酒場の合言葉に好んで使われる。
シャオル;ビールに近い見た目の発泡酒。冒険者や肉体労働に従事する者達に特に人気がある。材料には穀物と、生姜とリンゴの中間のような味の果物――ヴェアブル――が使用される。
辛味、甘味、苦味のバランスを如何にまとめるのかが、シャオル職人の腕の見せ所。
ピーシェ酒;ピーシェを漬けた果実酒。保存性の悪いピーシェを利用したこのお酒は、“祈祷師の里”の名産品でもある。
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――トータスにおける精霊――
――精霊と人
・赤の血族と黒の血族
精霊と係わりが深い“霊媒師”には、かつて二つの血族が存在した。それぞれに知恵を借りる精霊が異なり、赤の血族は“炎の精霊”を、黒の血族は“闇の精霊”を祀っていた。
赤の血族は炎が持つ浄化の力に通じており、“焚き上げ”によって穢れ払いを使命とし、黒の血族は闇によって穢れを克服するべく研鑽を続けていたと言う。
赤と黒の血族の対立は、古代における人同士の争いを鎮める方法への意見の食い違いが原因。
その後、大魔法発動の失敗によって引き起こされた精神汚染により、黒の血族はそのまま歴史から姿を消すこととなった。
・“恐ろしいモノ”
古代における北西の国で呼び覚まされた“力”の事。
“大異変”の引き金となったこの“力”は、精霊達によって強固な封印を施されている。
――精霊の魔法
・妖精
“大地の精霊”と“闇の精霊”によって考え出された魔法によって産み出される、精霊にとっての“子”のような存在。妖精を“幼精”とも表現するのはこの事実が由来である。
与える力の量によって自意識が強くなる傾向があり、独自性も増す。
精霊は、産み出した幼精との繋がりを断ち切る事によって、妖精を新たな精霊とする事が出来るが、実例はあまり多くない。
・精霊転移
精霊や妖精が、“寝床”として定めた場所へ直接転移する時に使用する魔法。
本来は現在地から“寝床”へ向かって一方通行の移動しか出来ない。だが、契約者との繋がりを利用する事で、契約者と“寝床”間での往復が可能になる。
ただし、契約者も同時に“寝床”へ転移した場合には、転移した元の場所へ移動する事は出来ない。
・精霊契約と意義
精霊と人との契約は、人にのみ利益をもたらしているかのように見える。しかし実際には、“力の受領”を成功させる事で得られる繋がりによって、精霊は自身の力を高めるのに必要なエネルギーを得ているのである。
・契約者の独占
精霊との契約は、一対一で結ばれるのが普通。本来は複数回の“力の受領”に人の身体と精神が耐えきれないとされており、契約した精霊が契約者の“器”に応じ、更なる契約の可否を決める事を“契約者の独占”と言う。
具体的には、契約済みであること示す“オーラ”を纏わせたり、契約者に別の精霊を認識させないと言った方法で、更なる契約を制限するもの。
※かつては気に入った者に対して契約前に“オーラ”を纏わせるのが流行っていたそうで、これを“唾つけ”と呼んだのだとか。
・精霊石
精霊が、契約者以外の人物に対して加護を与えたいと望む時に授ける力の結晶を“精霊石”と言う。
“精霊石”は本来の精霊契約とは逆で、精霊が契約者から許可を得て、儀式“石の譲渡”を執り行う事で創り出される。通常、“精霊石”によって与えられる加護は、受け取った本人にのみに効果があり、直接危害が降りかかる緊急時にだけ発動する程度のもの。
精霊によれば、本来はあくまでも“御守り”であるとの事。
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・精霊魔法“護光”
“光の精霊”光后様を中心として、霜中倬によって発動した精霊魔法が、“護光”である。
“護光”は、指定した対象の即死を回避させる永続的な防御魔法で、他に光系魔法の効果を僅かに高めたり、状態異常への耐性強化が付与される。
この魔法が“即死の回避”として機能するのは、“即死”として判定された時に限られる。現状では、対象の肉体及び精神へ直接的な危害が加わり、《一分以内》に死亡が予測される際に“即死”として判定、生命を保護する事が出来る。
あらゆる危害を防ぐ“護光”だが、想定を超える強力な攻撃によって破壊されてしまった場合、再展開までに必要な時間はおよそ《三分》となっている。
※この魔法の維持には《二十五万》程の魔力消費が常に発生するのだが、それによって技能“魔力回復”と“常時瞑想”がフル稼働しており、その影響からか平熱が上がったらしい。
――大精霊
大精霊とは、精霊の中でも特に大きな力を持つ方々の事。
地上に残る大物精霊である“大地の精霊”、“闇の精霊”、“光の精霊”はトータスの大地を広く管理していた精霊であるのに対し、大精霊は星全体を俯瞰するように見守っている。
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これを書く暇があったら本編を進めるべきかとも思ったのですが、自分用にも設定を確認できるように書いてしまいました。
今回改めて用意した捏造設定は、余程致命的な矛盾が発生しない限りそのままで書き進めたいと思いますので、どうかご容赦のほどお願いします。
では、八月頃に投稿予定の第三章もよろしくお願いします。
……ちゃんと書いているかどうか、失踪しやしないかと心配な方が居られましたら、Twitterにてアカウントを作りましたので、そちらも覗いて頂けると嬉しいです。
⇒茂塁玄格(もるいげんかく)@morui_genkaku
では、ここまでお読み頂き有難うございました。