亀氷を倒した後、通路を進み、足場が無くなっている場所に辿り着いた倬は、その先の光景に圧倒させられていた。
「これはまた……、とんでもないですね……」
眼下に広がるのは、分厚い氷の壁で仕切ることによって造られた巨大な迷路だ。見たところ氷壁で出来ていること以外はアスレチックの迷路と変わらないが、巨大さが桁違いなのだ。あまりに広大過ぎて天井に浮かぶ雲に遮られて、どれだけ奥に続いているのか判断が出来ない。雲に遮られていないためにどうにか確認できる横幅は、十キロメートルはくだらない。
倬が立つ場所からは階段が伸びていて、その先にはアーチ状の入り口が確認できた。
迷路の様子を眺めていると、この遊技場に興味津々でウズウズしていた妖精達が我慢できず一斉に飛び出した。真っ先に飛び出したのはつっちーだ。
「「「「つっちー! ふぁんたぁすてぃーっく!!」」」」
大量のつっちー達が、階段を下っていく。
「ふぅちゃんもー!」
「あら~、くぅちゃんもついていこうかしら~」
「あぁっ、ふぅちゃん、くぅちゃん待ってー! ねねちゃんもいくー。ほら、らいくん、やっくん、ゆっきーも一緒にいこー?」
ねねちゃんが近くの妖精達に声をかける。やっくんはムムムと唸りなから後を追う。
「さらば右手を壁につけて堅実に参るか否か……、広大すぎて難しいナリっ」
「よーしっ、らいくんが一番速いってとこ見せてやるぞ!」
「氷の迷路……ここはゆっきーが一番にごーるしないと……っ!」
らいくんとゆっきーは真剣そのもので、何やら意気込んで飛んでいった。
錫杖の先に立って迷路を眺めるもりくん。
「もりくんはどうしよっかなぁ」
「……きーくんも行く。もりくん、よいくん、かーくんも行こう」
「よしきた、かーくんに任せとけ! 行き止まりでも溶かして道を繋げてやるぜ?」
「…………よいくん、多分、かーくんのそれは反則だと思う」
よいくんの言葉に、「えー、だめかー?」と返すかーくん。
妖精達がアーチをくぐって迷路で遊び始めたのを微笑まし気に見送り、倬は階段を使うことなく、その場所からフワッと落ちてアーチの上に立とうする。
すると、周囲の空気が波打つような、奇妙な感覚が襲ってきた。
『あれ、魔力反応だ、これ。あちゃ~』
『主殿、流石に不用意でしたな』
『……“ですなー”』
ヴォン!!
薄い金属板を素早くしならせたような音が聞こえたかと思うと、倬の目の前は真っ暗になり、少しの間を空けて何処かに埋め込まれてしまったのが理解できた。
そのまま目を開けると、足元の下には迷路が広がっていて、自分が天井にぶら下がった氷の中に転移させられてしまったことが判明する。
『おぉ……! 今の転移トラップ凄いですね! ちょっと感動しました』
『………………うん、中々速かったな』
トラップの精度に宵闇様も感心している様子だ。
そこに、雪姫様が少し離れた天井を指差して現れる。
『アナタ様。氷柱がこちらに向かってきますよ? どうしましょうか』
『あ~……、何て言うか、この状態で特に息苦しくもないとなると、危機感が薄れていけませんね』
氷の中に居ると言うのに平気で息は出来るし、羽毛にでも包まれている感覚で体を動かすことが出来てしまった。正直、迫って来る大量の鋭い氷柱にも大した恐怖を感じなかったのだ。
雪姫様の加護による技能“氷同”を無意識の内に発動させたのが理由らしい。この事実に、先程の戦闘も楽に終わらせることが出来た可能性に思い至ってしまった。
『もしかして、亀氷も素手で何とか出来たのでは……』
もっと楽できたのかと落ち込んでいると、刃様が苦言を呈してくれた。
『主殿、“強さ”を求めるのであれば、横着はいけないでござる』
『それもそうですね。ご忠告ありがとうございます、刃様。んじゃ、まずはとりあえず、一度ここから出ますか』
ふんッと倬が氷の中で握っていた錫杖を力任せに引き寄せると、錫杖の通った場所の氷が砕け散る。倬を閉じ込めていた氷柱が崩壊し、倬共々そのまま迷路に落下していく。
倬が居た六角柱目掛けて伸びてきた尖った氷柱が、互いにぶつかり合い、やはり砕け散っていった。
その様子を仰ぎ見つつ、迷路の壁の上にゆっくりと着地する。
「流石に脱出してすぐに転移させられたりはしませんね」
「だが面白い罠だったな。僕にとっても興味深い魔法だ」
森司様も強く関心を懐いたようだ。
「微妙にタイムラグがあったので、ちょっと実験していきましょう。雷皇様、お手伝いお願いします」
「オレの出番か! 少しずつ移動速度を上げる感じでいいか?」
「ええ、お願いします」
そう言うと、倬は目を瞑り、全身で魔力の反応に集中しながら、壁の上で僅かにジャンプする。
先程と同様に、倬の周囲の空気ごと魔力に包まれたのが分かった。
(対象を補足するのが速いな。一、二、三……)
ヴォン!!
再度天井に構築された六角柱の中に転移される。
『ふむ、補足から転移開始、出現までに割とラグが長い。時間の無駄は“精霊転移”の方が圧倒的に少ないのか……。そしたら今度は……』
氷柱から抜け出し、今度は着地せず中空に浮かんだまま補足されるのを待つ。
周りの空気が歪むのを感じ取る。
『倬!』
『えぇ、どうなりますかね』
バチィッ!!
倬の浮かんでいた場所に閃光だけが残る。
雷皇様の加護によって発現した技能“雷同”を使い、雷の如き速さでもって、転移が始まる前にその補足された空間から抜け出す。
ヴォン!! と鳴り響くと同時に新たな六角柱が現れ、そこには何者も転移することはなかった。
人が転移してこなかったことを感知したのか、他の氷柱は伸びてこない。
「“ヤッ!、ホッ!、ホッホゥ!、イヤッヒィッ!”……なんちゃって」
赤い帽子を被る髭面の配管工の真似をしながら転移トラップを躱し続けていると、妖精達から黄色く光り輝く美しい宝珠が台座に飾られている映像が送られてきた。
興奮ぎみに、ゆっきーが声を上げる。
『あなた様、あなた様、とっても綺麗な宝石を見つけたのっ! ゆっきーが、見つけたのっ!』
『むー、ゆっきーずるいっ! ふぅちゃんの方が早かったもん!』
『まぁまぁ、今そっちに行くので待っててください』
その部屋に降りると、すぐさま部屋全体が震動を始める。
壁から、体長五メートルほどで、仁王像を思わせるような氷像が倬を睨みつけながら現れた。
鬼と似た額から一本角を生やした魔物は、鋭い爪を倬に向けて高速で倬に突進してくる。
「___“削水”」
“削水”を
“削水”が鬼氷の足を穿った次の瞬間に、氷雪洞窟の冷気によって即座に凍り付いたことで、地面に釘で打ち付けた状態になってしまったのだ。
「__“岩槍”。__“
倒れ伏した鬼氷が立ち上がろうとする前に“岩槍”を腹目掛けて出現させる。しかし、かなりの硬度があるために、身体に傷つけるくらいで精一杯だ。そこで、その“岩槍”に“雷包”という対象を雷で包み込む魔法かける。
電気に対する抵抗が強ければ強いほど、物体は熱を帯びる。
熱を持ち、赤く色づいた“岩槍”が氷鬼の腹を溶かしていく。その溶けだした水によって、“雷包”の効果が氷鬼自体にも影響し始める。電熱によって次第にその体を小さくしていく氷鬼に、錫杖の魔力刃を突き立てる。
妖精達が迷路で遊んでいる間に見つけた宝珠は四つ。危なげなく氷鬼を倒し、転移トラップを回避している最中に上から見つけていた両開きの大きな扉の穴に嵌め込んでいく。
茨や薔薇に良く似た植物達を彫りこんだ芸術的なデザインになっていた扉が、ゆっくりと開く。その先にも更に通路が続いているようだ。
通路の壁は殆ど鏡と言っていいほどに磨き抜かれていて、合わせ鏡になることで、この場所の広さを曖昧にさせていた。音もよく響き、音々様と契約していなければ、どこで音が鳴ったのか判断できなかったことだろう。
「いよいよ本格的なミラーハウスじみてきましたね」
「「「つっちー! めにぃ、めにぃ!」」」
「ただでさえ多いつっちーが大変な事になってるぞ、もりくんも増やすか?」
「いや、僕にその用事は無い」
「そっか……」
森司様にあっさり否定されたもりくんが、倬の肩にしょんぼりしながらしがみ付くのを撫でつつ、吹き抜けになった通路から頭だけ出して道を確認しながら進む。更に上の天井付近には雪煙が充満していて、天井そのものを見ることは出来なかった。
そのまま暫く飛び続けると、再び大きな門のある部屋に突き当たった。扉の造りは宝珠を鍵にしていたものとよく似ている。
扉に近づこうと部屋の中央まで差し掛かった時だ。
頭上から眩いまでの光が降り注いだ。その光の強さは、太陽を想起させる程である。
続いてキラキラと光り輝く粒子――それが煌く様はダイヤモンドダストの様だ――もまた降り始める。
――――倬、身を守れッ!――――
幻想的な美しさに見とれそうになる光景だったが、精霊達がいつになく必死に緊急事態を告げる。
(……ッ! ヤバいッ!)
その精霊達が発したアラートに続いて、倬自身もダイヤモンドダストの輝きがギラついたものに変わった事で危険を察知する。
「__“水陣”!」
咄嗟に水系魔法“水陣”によって水の防御結界を身を包み込むように展開する。出現した傍から水が凍りついてしまい、“水陣”としての維持が難しくなる。
だが、偶然にも今はそれが功を奏した。
ダイヤモンドダストから、強烈な熱光線が出鱈目に放たれ、その数本が倬の真上、氷結した“水陣”の表面を溶かしながらなぞる。
厚い氷によって熱光線の直撃をどうにか免れ外を伺うと、天井付近に漂っていた雪煙が迫って来ているのが分かる。ゴゴゴと地面を揺るがすような音を響かせる雪煙から、ワゴン車に近い大きさの氷塊が一つ、扉の前に落下する。
激しい破壊音が轟くと、落下の衝撃によって出来上がったクレーターの中央に、人型の氷像がゆっくりと立ち上がった。その大きさは五メートル程、ハルバートと全身を隠すタワーシールドを装備する丸みを帯びた体形は、いかにも重装兵といった様子だ。
「ランダムなレーザー攻撃を避けつつ、硬そうなアレを倒せ、か。しかも……」
「視界の悪い中で、ね」
状況を整理して次の手を悩んでいると、霧司様が手伝いを申し出てくれる。
「……兄さん、どうする? このもやもや、晴らしちゃうか?」
「んー、向こうから近づいてくるみたいですし、このままやってみます」
「そっか。……頑張ってな」
「はい、見てて下さいね、霧司様」
錫杖の先を向かってくる足音の方に向けて、熱光線の動きにも意識を配る。
「__“風刃”」
雪煙によって出来上がったドーム状の空間に重装兵が侵入してくる。倬は、その魔物目掛けて風の刃を放った……つもりだった。
(今、俺が“誘導”したのか……?!)
倬が動揺しているのは、放った“風刃”に必要もない誘導性を持たせてしまった事が原因だ。その指定した誘導先もまた、倬を困惑させた。
“風刃”がハルバートを掲げる重装兵を横切り、雪煙の中に消えていく。振り下ろされるハルバートを横に軽く飛んで避けると、背中を鋭い風が切り付けてきた。
“風属性無効”によってダメージ自体は無かったが、間違いなく、自分の魔法によって自分を攻撃してしまったのだ。
(何をされた?)
可能な限り最小限の動きで熱光線と重装兵の攻撃を回避しながら原因を考える。すると、自分の意識に奇妙な声が紛れ込んでいる事に気がついた。
――偽るのも限界だ
――いずれ無理が祟る
――全てを投げ出したいんだろ
――欲望を誤魔化すな
――薄汚い偽善者だ
漠然としているが、その全てが自分に向けられたものであることは判断できた。既に十一人もの精霊と契約しているため、沢山の意識であり“声”を常に感じているのが原因で、ハッキリと聞こえていなかったのだ。
『まったく趣味の悪い試練だことで……。しかし、皆さん、この声、どっかで聞き覚えのあるんですけど、どこですかね?』
『えー、倬様の声だよー? 中学二年生の頃、アフレコの練習中に聞いてたでしょー?』
無邪気に教えてくれた音々様の言葉に、倬は戦闘中だと言うのに、すってんころりん、すっころんだ。
「ぐえっ……」
『何やってるのよ倬、集中しなさい?』
「いや、その、まさかこんな時に中二時代の黒歴史を掘り返されるとは思わなくてですね……」
中学二年生の霜中少年は声優に憧れていたのだ。当時の彼はパソコンに自分の声を録音し、アフレコの練習や“歌ってみた”りしていた。因みに、録音した自分声が予想以上に棒読みで、歌声もブレブレだった事実にショックを受けてそのまま辞めてしまった過去がある。
『なに、黒歴史としては可愛いもんじゃろう?』
『うんうん、オレ達の方が色々やらかしてるぞ? 倬殿は知ってるだろ?』
『『『どんまい! どんまーい!』』』
土さんと雷皇様が暖かな視線を送ってくれた。つっちーも“どんまい”が言えて満足げだ。
「ふ、ふふ、ふふふ……」
突然、倬が笑い出した。
「あ、アナタ様?」
「あ、主殿、“常時瞑想”がブレています! 少し落ち着きましょう?」
雪姫様と刃様が倬の様子に若干怯えてしまっている。
倬は焦点の合っていない瞳で、足元に視線を落とし、詠唱を重ね始めた。
「__“影塗”。“瞳を遮る暗影に更なる闇を”、“遮る黒色に大いなる闇を”」
倬を中心に、影が四方八方に伸びていく。途中、身体強化魔法も使用して、錫杖で倬を叩き潰そうとするハルバートを往なしつつ、同様の追加詠唱を更に重ねていく。
「“塗り上げたる黒色は、色濃く滲みて世を浸食す”」
複数回の追加詠唱によって、自分ごと部屋全体を闇で覆う。周囲の雪煙や細かなダイヤモンドダストまで、漆黒のインクのような魔法によって染め抜かれてしまい、もはや光を反射するものは何処にもなくなった。
雪煙の上からこの場所に降り注ぐ陽光が、反射されるどころか黒色に吸収され、周囲に僅かだが熱をもたらし始める。
闇を被せられた重装兵は倬を見失ってはいるものの、恐らく部屋自体に細工がされているのだろう、倬のおよその位置を把握して攻撃の手を休めることは無い。
“闇属性無効”により自らの魔法の効果を無視し、技能“宵目”を得ている倬は、この闇の中でも、魔物の存在をその目に捉える。錫杖から手を放し、“宝箱”にその手を突っ込む。そこから抜き身で取り出した“剣断ち”によって、氷のハルバートを真横に切り落とした。
「__“削水”。“白露を更に呼びて誘い、水流は今、大瀑布の如く在れ”、“誘われし激流は止めどなく、その震えによって硬きを穿て”」
倬と氷の重装兵の頭上に移動させた錫杖の先に、“削水”が出現する。くるりと一回転し、その切っ先を真下に向ける。追加詠唱によって“削水”の太さが増していく、魔法版ウォーターカッターだったものが、もはや、氷像を穿つ滝の如くに変貌を遂げる。
倬と重装兵に、巨大に成長した“削水”が襲いかかる。
その水流は部屋全体に広がった“影塗”の影響を受け、漆黒の激流となった。
流れ続ける大水は、そう簡単に凍ることはない。まして、それが魔法によって操作された激流ならばなおさらだ。
氷の重装兵は、大量の水によって押しつぶされ、穿たれて、水に還っていった。
倬はずぶ濡れになったまま床に転がった魔石を拾い上げ、“剣断ち”と共に“宝箱”にしまう。
錫杖を掴んで周囲を見渡すと、雪煙が上空に昇り始め、部屋の扉が輝きを放ちだしたのが視界に入った。
「ん、この部屋はこれで終わりですか。……全く、忘れたい過去を強引に思い出させるとは、なんて恐ろしい試練だ」
「こほん。倬、少しは落ち着いたか?」
「あ、その、はい。もう大丈夫です。八つ当たり出来たお陰で、すっきりしました」
森司様から遠回しに窘められつつ扉の前に移動すると、扉が開くのではなく、大きなシャボン玉のようなもので覆われた。
妖精達が「わーい」と躊躇わず突入していく中、空姫様が興味深げに境界線を撫でる。
「霜様、ここから先は別の場所に繋がってるみたいよ~」
「転移門ってことですか……。まぁ、今さら躊躇する理由も無いですかね」
体を預けるようにシャボン玉の中に入り込む。
(転移の感触は迷路の上と変わらないか……。ん? 今、何か……)
転移した先はやはり鏡のような氷で作られた通路で、今までと異なり、天井があった。天井までの高さも横幅と変わらず二メートルほどで、高身長な挑戦者であれば窮屈に感じたかもしれない。
「転移の途中、視られましたよね?」
「………………気付いたか」
「さっきは自分の“声”に気付くのが遅れましたから、念の為に警戒してたんですけど」
「………………魂を覗かれたな。迷宮の入り口から続いてはいた、けど、間違いなく凄い魔法だぞ。宵闇の力を無視して覗いてきた」
「“闇属性無効”を突破して魂に干渉してきた訳ですか。何が出てくるやら」
精霊達とふよふよ前に進むと、広い部屋に出る。その真ん中には一本の大きな丸い柱が天井をしっかりと支えていた。
「あはははは、へんなかおー!」
「ぶふぅっ! くそぅ、やっくん面白過ぎるぞ、らいくんには耐えられん」
「ふぅちゃんも我慢できないよー」
その柱に自分を映して遊ぶ妖精達を見つける。なんだかすごい盛り上がっていた。
「皆さん、その柱の鏡、なにか面白いんですか?」
「主殿! やっくん達は今、氷越しのにらめっこ対決中なのでござる! 今のところやっくんが一番で!」
「やっくん? ゆっきーもまだ負け無しです。“極”の中ではゆっきーは無敵ですっ!」
あんまりに楽しそうなので、ゆっきーが真顔を維持し続けて優勝するまで見届けてから、倬も試しに氷柱を覗いてみる。柱が大きく湾曲が緩やかなため、鏡像には殆ど歪みはない。
鏡に映る倬は日本に居た頃より顔が僅かに小さくなり、首回りの筋肉だけ見ても、これまで鍛えてきた成果を見てとれた。鼠色のローブの上から、ショッキングピンクの“宝箱”を腰に巻いているせいで色合いは微妙そのものだ。
特に変化がなさそうだと、柱から離れようとした時だった。
鏡に映る倬が、楽し気に口元を嫌らしく歪める。
『よう、俺』
その言葉に、倬は驚愕に目を見開いたまま硬直してしまうのだった。
次回投稿は2/3に予定しています。
既に十一人もの精霊様と契約しているため、名前とキャラクターを一致させるために読む上での負担が増しているようなので、精霊様と妖精の名称一覧を用意しました。
取りあえずの参考にしていただければ。
“大地の精霊”=
“大地の妖精”=つっちー
“炎の精霊”=火炎様
“炎の妖精”=かーくん
“風の精霊”=
“風の妖精”=ふぅちゃん
“空の精霊”=
“空の妖精”=くぅちゃん
“音の精霊”=
“音の妖精”=ねねちゃん
“雷の精霊”=
“雷の妖精”=らいくん
“森の精霊”=
“森の妖精”=もりくん
“霧の精霊”=
“霧の妖精”=きーくん
“刀剣の精霊”=
“刀剣の妖精”=やっくん
“闇の精霊”=
“闇の妖精”=よいくん
“氷の精霊”=
“氷の妖精”=ゆっきー
では、ここまでお読みいただきありがとうございました。