戦姫絶唱シンフォギアEX-AID 運命を変える戦士   作:狼牙竜

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今回は、切歌の誕生日記念の特別編です!

ちなみに自分はシンフォギア装者は大好きですが、切歌のような元気なキャラは割とお気に入りです。

感想、評価が作者の原動力となります!

OP UNLIMITED BEAT
挿入歌 オーバーキルサイズ・ヘル



暁切歌誕生日記念 友情と愛のHappy Smile!

「これでオーケー…」

鏡の前、制服のシワを直す一人の少女。

 

 

「よし!準備万端デス!」

 

――――――――――

 

リディアン音楽院。

放課後の廊下をご機嫌そうにスキップしながら歩いている一人の少女。

バッテン型の髪留めをつけた短い金髪が揺れ、暁切歌は鼻歌を歌いながらカバンを持ち、校舎を出る。

 

今日、4月13日は切歌の誕生日。

そのため、切歌は授業が終わってすぐに帰り支度をし、将也と約束したデートの場所まで向かおうとしていた。

 

「先輩とデート♪先輩と誕生日デート…この日をずっと待ってたデース!」

 

思わず口に出してしまい、赤面しながら周囲をキョロキョロ見る切歌。

幸いながら近くには誰もいなかったので内心ほっとしながら歩き続ける。

 

…思えば、とことん数奇な巡り合わせだ。

 

切歌は、自分の過去を知らない。

暁切歌という名前も、今日という誕生日も、身寄りを失いF.I.Sの施設に入ってから付けられたもの。

物心つくころには既に施設におり、フィーネの魂を宿す可能性がある存在として育てられてきた。

 

向こうでの生活は辛いこともたくさんあったが、切歌はそれを否定するつもりはない。

辛く苦しい中でも、切歌はあの施設で多くの大事な人達と出会えたからである。

 

命にかけても守りたいと思える親友の調。

 

姉のような存在のマリア。

 

厳しくも実の子供のように扱ってくれたナスターシャ教授。

 

そして今は、仲のいいクラスメイトや頼れる先輩達、そして少し変わった形ではあるが、自分の恋人。

 

 

大事な人達の顔を頭に浮かばせ、切歌は歩いていくが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、切歌どこに行くの!?」

「デェス!?」

 

後ろから声が聞こえると、そこにはいつもどおりの彼がいた。

 

「ま、将也先輩…どうして…?」

「どうしてもこうしても無いよ。切歌、今僕のこと素通りしてったよ」

 

気が付くと、切歌は既に将也との待ち合わせ場所にたどり着いていたことに気が付く。

 

(さっそくやってしまったデース!)

恥ずかしさのあまり顔を俯かせる切歌だが、将也は切歌の頭を優しく撫でる。

 

「行こっか?」

「は、はいデス…」

 

頷いた切歌は、気持ちを切り替えると将也の右腕に抱きつく。

 

 

「今日はいっぱい先輩と遊ぶデス!」

 

切歌と将也はさっそくデートを開始するが…

 

 

 

 

《あ~…その…すまないな、2人とも》

 

――――――――――

 

 

デート開始から10秒ほどで将也と切歌に対し、弦十郎から通信が入った。

なんでも、街中にアルカ・ノイズが出現し、他のメンバーは別の場所に同時に現れたバグスターやアルカ・ノイズの対処のため来れないとのこと。

 

そのため、デート開始直後の切歌と将也にアルカ・ノイズ討伐の任務が入ってしまった。

 

 

 

「何でデスか!?何でこのタイミングで出てくるんデスか!」

理不尽すぎて口にしなければやってられないといった切歌。

 

将也はため息をつきながらもゲーマドライバーを装着し、ガシャットを持つ。

 

「こうなったら、さっさと倒してデートの続きだ!今日は切歌の特別な日だからな!」

「先輩…!了解デース!」

 

切歌はイガリマのコアを持ち、唄を口ずさむ。

 

「Zeios igalima raizen tron…」

 

将也は持っていた『爆走バイク(レベル0)』のガシャットを起動させる。

 

《爆走バイク!》

その場でターンし、右手に持っていたガシャットを素早く下向きにする。

 

「ゼロ速、変身」

《ガッシャット!》

ガシャットを装填し、素早くレバーを展開。

 

《ガッチャーン!レベルアーップ!》

出現したパネルから、レーザーのパネルを選び回し蹴りで選択。

 

《爆走!独走!激走!暴走!爆走バイク!》

将也が変身したのは、頭部がレーザーと同じだが、ボディがエグゼイドやゲンムと同一の装甲やスーツになった仮面ライダー。

レーザーのパワーアップ形態ともいえる『仮面ライダーレーザーターボ・バイクゲーマーレベル0』に変身した。

 

それと同時に、切歌も魔女を思わせるイガリマのギアを纏い、アームドギアの大鎌を振る。

 

「さて、さっさと片付けるぞ!」

《ガシャコンスパロー!》

レーザーターボはガシャコンスパローを持ち、切歌と並ぶ。

 

「ノリノリで倒すデスよ!」

 

(BGM オーバーキルサイズ・ヘル)

 

 

切歌が歌い始め、同時に走り出すレーザーと切歌。

レーザーは持ち前の機動力を武器に、ガシャコンスパローで次々とアルカ・ノイズを切り裂く。

 

切歌はアームドギアの鎌を巨大なハサミに変形させ、攻撃する。

 

『双斬・死nデRぇラ』

鋭いハサミはアルカ・ノイズを切断し、切歌は素早く鎌を変形させてスイング。

 

複数の刃がブーメランのように飛び、攻撃を続ける。

 

『切・呪リeッTお』

 

 

アルカ・ノイズを倒していく切歌を見て、レーザーはガシャコンスパローを弓モードに変形させる。

 

「負けてられねえな!」

レーザーは通常版の爆走バイクガシャットをガシャコンスパローに装填し、必殺技を発動。

 

《ガッシャット!キメワザ!》

タイヤ型のエネルギーが集まり、レーザーはトリガーを引く。

 

 

《爆走!クリティカルフィニッシュ!》

 

『BAKUSOU・CRITICAL・FINISH!』

 

バイク型のエネルギー弾が放たれ、アルカ・ノイズを蹴散らした。

 

しかし、ウジャウジャと出現するアルカ・ノイズに切歌はため息をつく。

 

 

「しつこいデスね…」

 

 

すると、どこからかバイクの排気音が聞こえる。

振り返るとそこには、見慣れたバグスターが立っていた。

 

「久しぶりだな!シンフォギア装者に仮面ライダー!」

専用バイク、モータスヴァイパーのアクセルを吹かすのは、爆走バイクのバグスターであるモータス。

 

「よりによってお前かよ…モータス!」

レーザーがガシャコンスパローを構えるが、モータスはバイクを走らせて突進してくる。

 

「うわっ!」

「デデス!」

素早く避ける2人だが、バグスターが出た以上全力で対処する必要がある。

 

 

「こうなりゃさっさと決めるぞ!切歌!」

「了解デス!」

 

レーザーはサブガシャホルダーから2つの黒いガシャットの内一つを取り出し、切歌は胸のマイクユニットを掴み、スイッチを押す。

 

 

《ジェット・コンバット!》

黒いガシャット『プロトジェットコンバットガシャット』を起動し、プロトコンバットゲーマが周囲を飛び回る。

 

 

「イグナイトモジュール…」

準備が整い、2人は同時に叫んだ。

 

 

「爆速!」

「抜剣!」

 

 

その言葉とともに、レーザーの体にプロトコンバットゲーマが装着され、切歌のイガリマは黒く、禍々しい変化を遂げる。

 

《レベルアーップ!爆走バイク!》

《アガッチャ!ぶっ飛び!ジェット!イン・ザ・スカイ!フライ!ハイ!スカイ!ジェットコンバット!!》

 

プロトガシャットの力で強化された『コンバットバイクゲーマー』にパワーアップするレーザーターボと、イグナイトモジュールを発動させる切歌。

 

 

「うわお!マジかよ!?」

驚くモータスだが、切歌とレーザーはさっそく行動に移る。

 

「早いとこ終わらせて!」

「デートの続きに入るデス!」

 

切歌は再び『切・呪リeッTお』を放つが、放たれた刃は何と5つに増えていた。

 

 

 

「こりゃまずいぜ!」

バイクを使い巧みに避けるモータスだが、上空からレーザーによるガトリング弾が降り注ぐ。

 

「え!?ちょ、それはいくらなんでも…ヌアアアア!?」

当然ながらよけられるはずもなく、爆発するモータスヴァイパー。

 

 

「ウイニングランを決めるのは…」

「私達デス!」

 

レーザーは地上に降りると、もう一つのプロトガシャットを起動。

《シャカリキ・スポーツ!》

 

灰色の『プロトスポーツゲーマ』が出現し、レーザーターボは再びガシャットをドライバーに装填、レバーを開く。

 

「爆速!」

《レベルアーップ!爆走バイク!》

《アガッチャ!シャカリキ!メチャコギ!ホット!ホット!シャカシャカ!コギコギ!シャカリキスポーツ!》

 

ゲンムが使っているのと違い、灰色でヘルメットの追加パーツが存在しない『スポーツバイクゲーマー』になったレーザーターボは、キメワザスロットホルダーにプロトシャカリキスポーツガシャットをセット。

 

 

《ガッシャット!キメワザ!》

それと同時に、切歌はアームドギアを構えて一気に接近。

アームドギアを振るい、モータスの体を空間ごと豪快に切り裂いた。

 

 

「ハアアア!」

『裂空・亜リiす』

 

 

「うおお!?ぐ……ああ…!」

切歌によって負ったダメージは大きく、ふらつくモータス。

 

「今デス、将也先輩!」

切歌が下がると、レーザーターボは頷いた。

 

 

「ナイスだ、切歌!」

レーザーターボは右肩のトリックフライホイールを外し、キメワザスロットホルダーのスイッチを押した。

 

 

《シャカリキ!クリティカルストライク!》

『SHAKARIKI・CRITICAL・STRIKE!』

 

トリックフライホイールにエネルギーがチャージされ、レーザーターボは全力で投擲。

 

「くらいやがれえええ!!」

投げつけられたホイールから刃が出現し、迫る。

 

 

「くっ!落ちろおお!!」

爆弾を投げるが、勢いが落ちることは無く…

 

「ノオオオオオオ!?」

モータスを切り裂いてレーザーターボの手元に戻った。

 

「また…負けたあああ!?」

 

 

モータスは爆発し、空中に『GAME CLEAR!』の文字が現れた。

《ゲーム・クリアー!》

 

 

 

 

――――――――――

 

 

モータスが撃破され、アルカ・ノイズも姿を見せなくなり将也と切歌はようやくデートを再開した。

 

 

「ハアアアア…とんでもない誕生日デートになったデスよ…」

バタバタして結局デートらしいことができず、落ち込む切歌。

 

「まあまあ。この後は調達が誕生日パーティーをしてくれるんだから、機嫌直して?」

将也の言葉で、切歌はパーティーの料理を想像したのか、足取りが一気に軽くなった。

 

「そうデス!帰れば調の手料理がたくさん待ってるデスよ!」

 

そんな切歌を横目に見ながら、将也は切歌に声をかける。

「切歌」

「?どうかしたデスか……!」

 

 

切歌が見たのは、将也の手に収まっていた小さな箱。

 

「これ、切歌の誕生日プレゼントだよ」

ゆっくりと受け取った切歌は、箱を開ける。

 

 

「これって…オルゴール…?」

小さな木箱のオルゴールで、上には切歌と調の小さな可愛らしい人形が乗っており、『HAPPY BIRTHDAY KIRIKA!』のメッセージが入っていた。

さらに、蓋の部分は写真を入れるスペースがあり、フレームには緑のバッテン型髪留めを付けた兎とピンクのリボンを付けた兎の絵が描かれていた。

 

「調と話し合ってたんだ…切歌の誕生日、何がいいかなって…」

ゆっくりとオルゴールを鳴らす切歌。

 

 

聞こえたのは、切歌にとって思い出深いメロディーだった。

 

「これって…私達が出会った時の…!」

将也と切歌達が出会った魔法少女事変で、切歌と調が戦場で歌い続けた、自らを鼓舞する歌。

 

 

「僕が初めて聞いた、切歌の心の歌…だったからね」

照れくさそうに笑う将也に、切歌もつられて笑う。

 

「…ありがとデス、先輩…」

帰ったら、調にも伝えよう。このありがとうの言葉を。

 

 

「…嬉しすぎるデス。先輩と調、大好きな人達からのプレゼント…」

小さく、聞こえにくいような声で口にする切歌。

 

「先輩…ちょっと耳を貸してもらってもいいデスか?」

「ん?いいけど…」

 

将也が顔を寄せた瞬間…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切歌は将也に近づき、キスをした。

 

「………!?」

「ふっふっふ!大勝利デース!」

 

驚いた将也を見て、切歌は素早く将也と腕を組む。

「さあ先輩!急いで帰るデス!調の料理が待ってるデスよ~!」

「ちょ、切歌!?」

 

切歌に引っ張られながらも、将也は切歌が耳まで赤くなっているのを見逃さなかった。

 

(全く…恥ずかしがってるのバレバレ…)

将也は内心で呟く。

 

 

(切歌………これからもよろしくね)

 

 

 

 

 

 

「先輩!折角デスからこの後みんなで写真撮って欲しいデス!上の部分に飾りたいデス!」

「え?帰ったら?」

「はい!すぐにデスよ!」

 

一緒に歩く将也と切歌。

明るく輝く月の光が、2人の道を照らしていた。

 

 

 

 

 

数日後。

切歌の部屋にはプレゼントのオルゴールが飾ってあった。

その中の写真に写っていたのは調やマリア、響達といったシンフォギア装者やS.O.N.Gの仲間達。

中央最前列に写る切歌は、右に将也を、左に調と腕を組み、満面の笑顔を浮かべていた。

 

 

To Be Next GAME…?

 




将也が切歌に送ったオルゴールの曲は、GXの切歌と調のデュエット曲『Just Living X-edgh』です。

次回のエピソードはそう遠くないうちに投稿する予定です。
では最後に…



切歌、誕生日おめでとう!

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